二次創作小説(紙ほか)
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- 【APヘタリア】紳士と淑女と。【史実寄り】
- 日時: 2017/08/15 12:04
- 名前: 莉乃 (ID: CejVezoo)
APヘタリアの捏造ヘタキャラ中心、少々スキンシップ過多。
題名の通り英国紳士と実在する国家の史実です。
基本的に人名。史実紹介に国名を使用します。
初心者なので不備等ありましたらお申し付け下さい。
「我儘な共和制国家の複雑な家庭事情」
- Re: 【APヘタリア】紳士と淑女と。【史実寄り】 ( No.1 )
- 日時: 2017/08/15 12:04
- 名前: 莉乃 (ID: CejVezoo)
国家紹介
サンマリノ共和国 Serenissima Repubblica di San Marino
(人名)ルチアーナ・ヴィッラ
漢字一文字表記は「聖」。現存する共和政体を採用する国としては世界でも最も長い歴史をもつ。世界で5番目に小さなミニ国家である。また、現存する世界最古の共和国である(wiki参照)。位置はイタリア半島中東部。消費税がなく年間300万人の観光客が訪れる。
また、英国紳士の発祥の地とも言われアーサーとは16世紀からの仲。しかし現在はとある事情で疎遠に。かのローマ帝国の孫であり、マカロニ兄弟の姉。彼らを溺愛している。しかしイタリア戦争で兄弟が離れた為その原因となるローデリヒやアントーニョを基本的に苦手とする。フランシスはナポレオン戦争の際物資を譲ってくれたり併合を取りやめたりしてくれたので恩に免じて許している。
呼称一覧(メモ用)
北伊…フェリシアーノ(〜ウィーン会議)
リア(国名の場合)
フェリ
南伊…ロヴィーノ(〜ウィーン会議)
ロマ兄(国名の場合)
ロヴィ
独、米、露…〜君(〜国連加入、米は国名の場合メリカ呼びも)
(呼び捨て)
日、中、墺…〜さん
(日中は国連加入後呼び捨て交じり)
仏、西…〜兄
普…〜君(〜伊統一戦争)
(呼び捨て)
英…〜君(〜WW2)
(呼び捨て)
- Re: 【APヘタリア】紳士と淑女と。【史実寄り】 ( No.2 )
- 日時: 2017/08/12 15:20
- 名前: 莉乃 (ID: CejVezoo)
かのローマ帝国の孫の私は、(歳を考えてしまえば娘なのだろうが、彼は孫として可愛がってくれた)彼が国として消失する際に彼と約束をした。傍から聞けば他愛ない約束だったのだろうし、本人も忘れる事を前提に口にしたのだろうが、私の国としての道を大きく変えたと言っても過言ではないものだった。フェリやロヴィ兄がその場にいない事を私に問いかけた後、微笑みを浮かべて彼は呟いた。
「あいつらを、守ってやれよ。お姉ちゃん」
ふわっと、白い光が眼前を包んだかと思うと轟音とともに弟ではない誰かの怒鳴り声で意識が戻る。良く私の家では人が出入りするので日常茶飯事だが、久しぶりに人の声で目を覚ました。と、言えども体を起こす気にはなれず目を閉じていると扉が可哀そうなくらいの音を立てて開いた。一瞬、自分の部屋ではないだろうと思ったが明らかに近くで鳴ったので覚悟を決める。うっすらと目を開けると、私の貴重(彼からはそう見えるらしい)な寝顔が見られて嬉しそうな銀髪赤眼の男がいた。もちろん家に男が出入りするのも日常茶飯事であり、というか男しか来ないこの家にすっかり慣れているので特に動揺はなかった。過去に二回ほど頼んでもないのに起こしに来られた事もある。私の顔を覗き込んで、がさつに頭を撫でて二カっと笑った。
「おはよーだぜルナちゃん!!」
「…今日はルーイとフェリの付き添い?」
「ああ、まあな!せっかくだしルナちゃんも誘おうと思って」
「私は誘われなくても会議だし…ってか私も参加なのなんで知ってるのさ」
「リビングのカレンダーに書いてあったろ」
「よく気づいたね」
着替えるの待ってるぜ!と彼、ギルベルトは部屋を出ていく。騒がしい彼との付き合いもそこそこ長く、こんな朝から騒がしくされても許してしまうようになってしまった。クローゼットから適当にシャツを引っ張り出し袖を通す。ふと、机の上の英国製ロケットペンダントに目を奪われた。手に取って中を見ると、私が国連に加入した頃に撮ったマカロニ兄弟の写真が入っている。これを貰ったのは彼が産業革命で忙しかったあの時期。今思えば米独立で心を病んでいたはずなのに私にわざわざプレゼントを寄越すなんて世の中奇想天外である。スカートのポケットにしまい込んで、髪を整えてからリビングへと向かう。目に入った二人の弟に、今日夢で見たあの風景がよぎってどうしようもない感情がこみ上げてきた。きっと、今日も会場で会うであろう彼らにどう接するべきか分からなくなる。そんな時期が、私にには定期的に来る。
- Re: 【APヘタリア】紳士と淑女と。【史実寄り】 ( No.3 )
- 日時: 2017/08/14 12:49
- 名前: 莉乃 (ID: CejVezoo)
今回の会議の舞台は我が弟達の首都ローマ。だから自宅でゆっくりできるのだが。朝食を終えて電車を乗り継ぎ、会場へと辿り着く。騒がしい会場の中、四人と一緒に歩いているとどこからか「ロヴィーノ!!」と叫び声が聞こえた。私は身の危険を察して大人げなくダッシュで逃げようとしたがギルベルトに腕を掴まれており逃げることは叶わなかった。
「うっせぇ、会場で叫ぶなハゲ」
「え〜?久しぶりにロマんち来たんやで?そりゃあ叫ぶわ〜、あっ帰り家寄ってもええ?」
「却下」
「あっマリノ〜!元気しとった?風邪引いとらん?」
却下と言ったにも関わらず馴れ馴れしく私に話しかけてくるトーニョ兄に身を引きながら、ギルベルトの陰に隠れる。少し寂しそうな表情を浮かべた彼を無視して、ギルベルトを連れてその場から離れた。会議は嫌いだ。昔は沢山の人や国に会えるのが苦痛ではなかったが今となっては三人程嫌いな人がいる為近寄りたくもない。サミットなんかを近くでやられると必ずと言っていいほど家に遊びに来るあの紳士面した馬鹿も嫌いだ。ベンチに座り、ため息をつくとギルベルトに笑いながら小突かれる。
「ったく、ローデリヒに関しては俺様も嫌いだけどよ、もーちょっと対応の仕方ってのがあんじゃねぇのかお姉様?」
「…うるさい」
分かっている。あの二人に関しては完全に私怨な事くらい。ただ私が兄弟を守っていたくて、私の依存が深まって引き起こしているただの我儘だって事くらい。無言になった私の頭をまた雑に撫でて、先行ってるなと言い残して会議室の方へ歩いて行った。本当は彼は来なくてもいい存在になってしまったのだが、多分弟が心配なんだろう。そんな存在になってしまった事が私の中で少し気がかりだが、あの調子なら大丈夫だろうと思っている。暫くの間別の考え事をしていると、頬に冷たい何かが押し付けられた。吃驚してそちらの方を向くと、悪戯っ子のように笑うフラン兄がいた。
「どーしちゃったの浮かない顔して。どうしたのさ、男?」
「んなわけ、私はイタリア兄弟一筋ですよーだ」
押し付けられたジュースを受け取り、お洒落に決めたフラン兄を見つめる。多分彼にしか似合わない白のジャケットに、ブランド物のネクタイ、それとゆるくウェーブした金髪。何となく見ていた私に気づくと、見惚れた?と笑ってきた。
「…見惚れたって言ったらどうする?」
「調子良い事言っちゃって、そのうち落とされんじゃない?」
「ばっか、絶対有り得ない」
- Re: 【APヘタリア】紳士と淑女と。【史実寄り】 ( No.4 )
- 日時: 2017/08/15 12:02
- 名前: 莉乃 (ID: CejVezoo)
フラン兄と会議場へ入ると嬉しそうな顔をして駆け寄ってくる女の子一人と男の子一人。アフリカの方の島国の子…名を何と言ったか覚えていないが、その子とマシューだ。私はお邪魔になりそうだったので彼らに会釈を返し、サンマリノと英語で記された石碑のようなものが置かれた座席に座る。机の上には今日の資料が並べられていたので、じっくりと目を通す。今日もきっと進歩がないであろう会議に出席する意味はあるのか、否国家たる者形だけでもと自問自答しながら騒がしい会場にイヤホンで耳を塞いだ。皮肉にもあの貴族と趣味が被っている為脳を浸すのはグランドピアノの伴奏。目を瞑り、机の上で伴奏の指使いを合わせていると突然手の甲を掴まれた。別段驚きもしなかったし、その細く柔軟な指には覚えがある。相手の指を傷つけないように振り払い、脳内演奏会を続けた。その数秒後、頭を資料か何かで叩かれ止む無く目を開くことになるのだが。
「…何ですか、演奏家でもない私に気を使わなくたって良いんですよ」
「ここの建物の内部にはピアノがあるそうですから、後で弾いてもらいたいと思ったので止めました」
「誰がいつ弾くと?」
「貴方にはそろそろ人前に慣れてもらわないと困るとロヴィーノに文句を言われまして。折角ですし弾いてみたらと思ったのですが」
「…それロヴィが言ったんじゃないと思います、ただトーニョ兄が聞きたいって零したのを遠回しに叶えてあげようって」
「はぁ…被害妄想もそこまでにしておきなさい、見苦しいですよ」
「…それに、私はオルガンの方が得意です」
目を細め叱ってきたローデリヒさんに明らかな嫌悪感を醸しながら、席を離れる気力も無くそのまま机に伏せた。経済の影響で最近体調が優れない上に世界会議の後なんてどれだけの人に聞かれるか堪ったものではない。そういう所を直せと言われているのだろうが、大国じゃあるまいに治す必要がないのだ。ローデリヒさんは呆れた様にまたため息をつくと自分の席に戻っていった。よく自分一人で会場に辿り着けたなと彼の方向音痴さを踏まえて感心していると、耳元の曲が終わる。切り替わるまでの外の騒がしさに顔をしかめるも次の曲がパイプオルガンだったので自分の中で良しとした。その曲がまた終わる頃、アルフレッドが始まりをマイクで知らせる。隣で話していたらしいアーサーと偶然目が合って微笑んでやると、ひらひらと手を振り返された。
先程嫌いな人が三人いると言ったが、訂正しよう。アーサーは結局貿易やらなんやらでまた関わる事になって仲の良さはあの事件前と変わらないとは言えないものの、遊べるようにはなった。トーニョ兄は無神経で何も変わらないけれど私が我儘を自覚して少しは和らいだ。ローデリヒさんはギルだとかエリザちゃんとかに振り回されて、いつの間にか彼への心配と配慮くらいはするようになった。結論から言うと、私は実に決意と踏み止まる恨みだとかが鈍いのだ。…500年も恨んでおいてアレだが。
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