二次創作小説(紙ほか)
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- 悪役少女の恋は。
- 日時: 2017/09/17 21:29
- 名前: たぬきときつね (ID: 7TIhQdvp)
悪役になって、何年たった?
いつの間にか、心はそこになくて生よりも操のほうが私のことを支配していた。
本当の私を誰か、、、、見つけて。
高校はクロノス学園。
全寮制の学校で、生徒の自主性に任せると言ったような方針の学校で。
遂にこの高校に来て三年が経つ。
最後の、この一年私が出来ることは無い。
「くそぉぉお!殺してやる!大木聖!!!!!!」
大きな雄たけびを上げてナイフを持ち私に襲い掛かった。
「痛い。」
背中にグッサリと刺さったナイフ。
白い制服から滲む赤色。
でも、私を助けようと思う人は誰もいないだろう。
当然だ。それだけのことをしてきたのだから。
「大丈夫!?」
薄れ掛けた視界の中、ボンヤリと見えたのは黒い髪の毛、大きな手や体。
優しい声。
久しぶりに人肌に触れた。
その瞬間悟った。
あぁ、この子は一年生だと。
私のことを、私がしてきたことを知らないのだと。
そして、死ぬんじゃないか。
でも悔いはない。
白いベッドに真っ白い壁。
私には似合わなすぎるこの室内でスースーと安らかな寝息が聞こえて、意識がしっかりとしてきた。
私の手をしっかりと握っているこの少年は最後に見た少年だった。
助かったのだ。
それにしても見ず知らずの人にこうもよく付き添えるものだ。
「もし、、、、聞こえますか?」
頬を軽くたたいてやるとむっくりと起き上がる体。
「大丈夫ですか?」
「貴方のおかげで何とか。助かりました。」
起きたときに人がいたことの安心感と同時に親がいなかったことの寂しさを感じていた。
「うわさに聞いていた人と全然違いますね。」
彼に咄嗟にそんなことを言われたものだから、急ブレーキがかかったように驚いてしまった。
「う、わさ?」
「はい。聖さんであってますよね。憎くて、憎くて仕方が無い存在だって。
いじめられて、会社もプライドもつぶされて、あいつは最低の人間だって。」
「あ、、、、あ、ぁ。」
「きっとそのせいで刺されたんですよね?」
「そうだけど。」
「でも、今僕の目の前にいる聖さんはそんなことをする人には見えません。」
キッパリと言い切った少年。
不思議な少年だ。周りの人のうわさを聞いて、流されることなく、悪いうわさの耐えない病人に
付き添ったのだから、とんだ物好きだ。