二次創作小説(紙ほか)
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- 救出
- 日時: 2018/01/04 19:24
- 名前: 白銀 (ID: zKniY0ST)
皆さんこんにちは。白銀です。本日2作目です。
ほかの作品の閲覧数が順調に伸びてきているのがうれしいです。二桁いくようになりました。これからも頑張っていきたいと思います。
さて今作は、土方さんたちが早川を追い詰めていき銀さんを救出するところまで書けたらいいなと思っています。書けなかったらごめんなさい。
↓どうぞご覧ください。
ぼんやりとした意識の中で銀時は灰色の床を見つめていた。そして何も考えないまま時間が過ぎていくのを待っていた。早く過ぎ去ってほしかった。
だが、銀時のその思いもむなしく、扉を開ける音が部屋の中に響いた。拷問が始まってから飲まず食わずだったので、力が入らず顔を上げる気力もない。ただ無機質な音を聞いているだけだった。
「おい、生きてるか?」
顔を上げなくてもわかる。銀時の苦しむ姿を見て喜んでいるのだ。
「ああ・・・何とか・・・な」
「とっとと拷問を始めたいところなんだが、よく考えたらお前何も食ってなかったよな?だから特別に飯を与えてやる。」
そういうと早川は銀時の目の前に一つの握り飯と具が何も入っていないスープが出された。
「食え。」
「こんな手枷が付いたままで、食えると思ってんのか?」
「ああ、そうだったな。悪ぃ。」
まったく悪びれもせずに謝ると早川は銀時の手枷を外した。だが逃げられないように足枷は外さなかった。銀時はその状態で痛む腕を抑えながら握り飯を食べ始めた。
「・・・・・・げほっ、ごほっ。まじぃ・・・」
だがそれは決して食べられたものではなかった。
「そうか?」
早川はわざとまずい料理を食べさせたのだ。
「いらねぇ。」
そういうと銀時はご飯が乗ったお盆を早川のほうへ押し戻した。だが早川は握り飯を握りしめると銀時を壁に押し付け無理やり口の中へ詰め込んだ。
「っ!!やめっ!!!」
「おらおら、どうした?最初の威勢はどこに行ったんだ?」
早川は握り飯を放り投げると今度は湯気が出ているスープを銀時の口ではなく、体にかけた。
「ぐっ・・・ぁ・・・」
苦しそうにうめく銀時を早川は楽しそうに見つめていた。
そして銀時に再び手枷を付けた。スープがかけられた腕は薄暗い中でも真っ赤になっているのがはっきりと分かった。ただのスープではなく沸騰したものをかけたのだ。
「どうだ白夜叉?苦しいか?もういやか?いやならとっとと吐いちまえよ。楽になるぜ。」
「へっ、白夜叉じゃねぇって言ってんだろうが・・・」
「いつまでその強気が続くかな?そろそろ限界か?」
そういうと早川は机の上から短刀を取り出した。
「おい、何を・・・」
「何って、これでお前を刺してはいてもらうんだよ。まぁ死なない程度にやるから安心しな。」
クククと不気味に笑う早川を見つめながら銀時は思った。
(もうどうしようもねぇのか・・・?しゃべるしか・・・)
そんなことを思っているときだった。勢いよく扉が開いた。
「御用改めである!真選組だ!!」
土方達だった。土方の後ろには新八と神楽がいる。
「何!?なぜおまえたちがここに!」
「お前の行っていることが不当な取り調べであると上が判断した。よってお前を逮捕する。」
「逮捕だとぉ!?証拠はどこにもないだろ!!」
「証拠ならここにあるぜぃ。」
沖田が取り出したのは早川(正確には信女の声)が録音されたボイスレコーダーが握られていた。そしてボタンを押すと、
【「おい、坂田銀時ってやつをここに連れてこい。」
早川の声だった。
「それは逮捕じゃねぇんですね?」
沖田の声も入っていた。
「ああ、これは逮捕じゃねぇ。脅してでもこいつを連れてこい。」
「わかった。あいつに同行してもらえばいいんだな?あくまでも同行だ。変なことをすれば・・・」
「ああ、わかってる。拷問は相手を逮捕してから行うもんだ。」】
ここで録音は終わっていた。
「でっちあげだ!」
「んなこと言われてもねぃ、もうこいつは証拠として認められてんでさぁ。いまさら何を言ってもこいつはひっくり返らないぜ。あんたは不当な取り調べを行い冤罪を引き起こそうとした。おまけにここまで衰弱させて、こいつは、傷害罪、殺人未遂罪、この人以外にも拷問をしていてそのせいで死んだやつもいるから殺人罪、俺らに対する脅迫罪、その他もろもろといったところですかねぃ、土方さん。」
「そうだな。早川観念しろ。お前を逮捕する。」
土方が早川に手錠をかけようとしたその時、早川は自分の後ろにいた銀時の首筋に短刀を突き付けた。
「来るな!それ以上近づけばこいつの命はない!!」
早川は自棄になっていた。
「銀さん(ちゃん)!」
新八と神楽が近づこうとするが早川が阻止する。
「無駄な抵抗はやめろ!」
近藤が説得を試みるも早川は聞く耳を持たない。
「うるさい!逃走用の車を用意しろ!」
早川は気づいていないが銀時の首筋にあてた短刀は首ではなく肩に少しずつ刺さっていっている。銀時の服が血に染まっていく。銀時はうなだれたままピクリともしない。その様子を見た新八と神楽がついに耐え切れず早川の前に飛び出した。
「来るな!こいつを殺すぞ!」
「・・・さっきから黙って聞いてりゃ、勝手なことばかり言いやがって。」
「何様のつもりアルか。散々人を傷つけておいてそれでもまだ足りないアルか。」
二人からは怒りを通り越した殺意がにじみ出ていた。その様子に早川どころか真選組の三人も止めるのを躊躇うほどだった。
「銀ちゃんは今まで辛い思いをいっぱいしてきたアル。私たちが想像もつかないような苦しいこときっといっぱいあったアル。それでもつらい表情を少しも見せない銀ちゃんはお前なんかよりも何倍も何千倍も強いアル!!」
「お前なんかに銀さんの何がわかるんだ。人を傷つけて何も思わない奴なんかに何がわかるってんだよ!!」
その声に銀時がわずかに反応した。
「しん、ぱち・・・か、ぐら・・・・・・」
だがその声は今の二人には聞こえない。
「よ、寄るな・・・!」
早川が銀時ではなく二人に短刀を向けた。だが二人は全くおじけづくことなく歩みだした。
「「銀さん(ちゃん)は・・・」
「「強い!!!」」
そういうと二人は早川に殴りかかろうとした。だがその二人を銀時が止めた。
「やめろ、もういい。分かったから。」
その声に振り向くと銀時は衰弱していながら、だがまっすぐな視線で二人を見つめていた。
「確保!」
土方が指示を出すと扉の外から真選組の隊士が早川をとらえた。枷を外すためのカギを探していると、待ちきれなくなったのか神楽が無理やり破壊した。バランスを失った銀時が前のめりに倒れると、新八と神楽が支えてくれた。
「銀さん!しっかりしてください!」
「銀ちゃん!!死んじゃ嫌アル!」
先ほどの殺意などまるで何もなかったかように二人は子供らしい表情で銀時を見つめた。
「へへっ・・・俺は、強い・・・か」
「そうです。強いです。誰よりも強いです。」
「そうアル。でも銀ちゃんは強いぶん、不器用でもあるネ。これからはもっと頼ってほしいアル。」
「それは・・・家族、だからか・・・?」
「家族アル。もう私たちは切っても絶対に切れない家族アル。」
「銀さん。神楽ちゃんに伝える伝言はもう必要ないですよね?」
「ああ・・・そう、だ・・・な・・・・・・」
「銀さん!銀さん!」
「銀ちゃん!しっかりするアル!」銀ちゃん!」
銀時の意識はそこで途切れた。
続く
あとがき
ようやく次回で終わりそうです。なんか少し無理やりな感じがありましたかね?すみません。
次回はエピローグみたいな感じで進めていきたいと思います。
では次回お楽しみに!
コメント待ってます!