二次創作小説(紙ほか)

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コロコロSplatoon メガネとヘッドホンの奥の気持ち
日時: 2018/01/16 21:06
名前: REN-REN (ID: yhkbI.2W)

皆様、コロコロSplatoonはご存知ですか?
有名なのは、『マスニト』『アミエフ』などと言った
二次創作イカップルでしょうか。私が個人的に気に入っているのは、
メガネ君とヘッドホンちゃんのカップリング・通称『メガヘド』です。
誠に勝手ながら、この2人の小説を書いちゃいました!
なるべく大勢のコロイカを登場させるつもりですが、もし登場させたい
コロイカがいれば教えてください。では、どうぞ!

「美味しかった〜!」
茶色の紙袋を丸めながら、ニットキャップちゃんが言った。
今は休憩中。屋台『ロブス・10・プラー』のフードを食べている。
わたしはポケットから、小さな鏡を手にした。毎朝見る自分の顔を映し、
口元にエビフライのカスがついていないかを確かめる。
「お前なぁ、口の周りにエビの尾っぽ!ちゃんと拭けよ!」
忠告された気がして、慌ててもう一度見直してしまう。
冷静になって見ると、叱られたのはゴーグル君だった。
そして、叱咤したのはメガネ君。不意に背筋がピンと伸びる。

メガネ君。
いつでも真面目な、ブルーチームのリーダー的存在兼苦労人。
愛用ブキは筆型のメインウェポン。クロブチレトロがよく似合う。
思い出せば、ずっと前からチームを組んでいるんだけど
・・・何だか最近、彼が特別に思えて仕方ない。
チームだから、じゃない。
わたし、メガネ君の事が、ボーイとして好きなんだ。
いつか伝えたい、この気持ち。
でも、もしわたしの告白が原因で、チームに亀裂が入ってしまったら?
くだらない恋が原因で、みんなを困らせてしまったら?
そんなの許されるはずがないから、怖いよ。伝えず終いも嫌だけど。
恋するって、誰かを好きって、難しいなぁ・・・。
「・・・ちゃん、ヘッドホンちゃん?どうしたの、ボンヤリして?」
ニットキャップちゃんに尋ねられて、どこかに消えそうだった意識が
あっという間に体内へ吸い込まれる。
「あ、ああ。ごめん、急に意識が飛んじゃって。」
「ゴーグル、紙袋に落書きするな!ロブさんに失礼だろ!」
メガネ君が立ち上がり、すみませんとロブさんに頭を下げた。
「いいの、いいの。まだ腹ペコなんだね?ゴーグル君。オマケでもう一個
アゲるから、待っててね。」
ハサミを振ったロブさんは、仮設キッチンに移動して姿を消した。
「優しい!・・・はぁ。ホント、ロブさんは良い人だよな。
街一番の優しい人かもしれないな。」
違うよ。一番優しいのは、メガネ君じゃない。気付かないの?

わたしはメガネ君の天性の優しさから、
アナタを好きになったんだよ。

いつも通り笑い合うみんなをよそに、
わたしはメガネ君をジッと見つめるのだった。

Re: コロコロSplatoon メガネとヘッドホンの奥の気持ち ( No.3 )
日時: 2018/02/23 20:25
名前: REN-REN (ID: yhkbI.2W)

気合い入れて、とにかく書きました!
今まで更新を遅らせた分、楽しんでいただけると
嬉しいです。では、どうぞ!

「ケホッ、ケホッ!」
喉に痰が絡まり、大きな咳をした。
うう。顔が火照って、すごく熱い・・・。
最近、悩み過ぎて全然眠れなくて、寝不足がたたって
風邪を引いた。意外と高熱が出ている。
スポーツドリンクを飲むのにも一苦労で、動きたくない。
でも、冷えピタ少なくなってきたし、買わなきゃ・・・。
うーん・・・どうすれば良いやら・・・。
ブー、ブー、ブー。ブー、ブー、ブー。
考えていたわたしの耳に、電話の着信音が入り込んだ。
スマホは枕元で、振動を繰り返している。
画面を確認すると、『メガネ君』とあった。
・・・正直言って、今だけは一番話したくない人。
だけど無視は良くないと思い、指先で通話のボタンを押す。
「はい・・・。」
「あ、ヘッドホンちゃん?」
殆ど感情が込もらないまま返事をすると、いつも通りの
メガネ君の声が、電話越しに聞こえた。
「今、風邪なんだって?大変だね。」
「ん・・・。」
「無理しないでね。ボクらだけでも頑張るから、
心配しないでゆっくり休んで。」
どうしよう。メガネ君の優しい気遣いが、
何故かどうしても軽々しく感じられる。
この感覚、やっぱり例の写真のせい・・・?

「ねえ、メガネ君。」
「うん?何だい、ヘッドホンちゃん?」
「あの、えっと・・・そのう・・・。」
思い切って聞こうにも、あと少しの勇気が振り絞れない。
口の中でモゴモゴ動いては、すんなり消えていく。
「ごめん、何でもない。」
前言撤回しようとしたら、怪訝そうな声が
耳元に聞こえた。
「・・・そう?あのさ、本当に大丈夫?」
「えっ?」
重ねて聞き返すと、微妙な調子で言われた。
「ヘッドホンちゃん・・・はさ。ゴーグルとか
ニットキャップちゃんみたいに、そんなに自己主張が
激しくないからさ。それってつまり、人に気を
遣い過ぎてるとも考えられるんだよ。だから、たまには
我慢しないで、言いたい事言ったらどうかな。」
熱でストレスが溜まっていたのか、メガネ君の言葉を
素直に受け止められず、即座に言い返す。
それも、結構キツめに。
「・・・何それ。わたしにワガママ言って欲しいの?」
「あ、いや、そういう意味じゃな・・・。」
メガネ君が言い直すのも構わず、わたしは叫んだ。

「そんなの余計なお世話。メガネ君はアホなの?
もう良い、しばらく話し掛けて来ないで!」

そうやって吐き捨て、乱暴に通話を切った。
ふと我に返ったわたしが、自己嫌悪に陥るのは、
もう少しだけ後だった。

Re: コロコロSplatoon メガネとヘッドホンの奥の気持ち ( No.4 )
日時: 2018/02/24 20:28
名前: REN-REN (ID: yhkbI.2W)

早く5巻が読みたい・・・。1日でも早い発売を
心待ちにしている、今日この頃です。続きをどうぞ。

スマホで動画を観ながら、わたしはボンヤリと暇を
持て余していた。
『ノーティス・エギング』という、昔の有名人。
聞いた話だと、史上最速の身体能力を持つらしい。
確かに、動画の中のエギングは、
誰よりも素早く動いてインクを塗っていた。
撃ち合いは負け知らず。グイグイ塗り面積を広げていく。
ガールのわたしでも、思わず魅了された。
カッコよくて、画面越しなのに息遣いが聞こえそうだった。

試合後、今も伝説として語り継がれているエギングは、
大勢の報道陣を前にインタビューに応じていた。
眩しいフラッシュが、パシャパシャ、鳴り止まない。
「今回もお見事でしたね。何故、そのような素晴らしい
身体能力を手に入れようと思ったのですか?」
スタッフの1人が、エギングに質問を投げ掛ける。
そうですね、と相槌を打ち、少し考えたエギングが答える。
「やっぱりアレっすね、他人とは違う才能が欲しいって、
ガキの頃から常々願ってたんで。
努力はキツかったっすけど、今は最高っすよ。」
うーん、すごいな。才能がある人って、それに値する努力を
積み重ねたんだからカッコいい。
報道陣も、エギングにマイクやカメラを手向けながら
大きく頷いた。
「あと、大事つーかモットーなのは、仲間との協力っすね。」
ふむ、と報道陣が耳を傾け直す。

「一度でも自分を信じてくれた仲間は裏切らないって、オレは
思ってますからね。オレも仲間を信じるんっす。」
その瞬間、わたしの心の中の何かが振動を起こした。
ブルーチームは仲間との協力第一だから、
共通点を感じたのかもしれない。
・・・心から好きな仲間にフラれたのって、裏切り?
あんな事を隠れて、それでいて堂々とするなんて、
わたしは気持ちを踏みにじられたのかな?
裏切られたのかな・・・?
「・・・う。」
目頭が熱くなって、呼吸が上手く出来なくなって、
独りぼっちで泣いた。
悔しさと悲しみが交互に溢れ出て、胸が潰れそうだ。
でも、それでもわたしは、メガネ君の事を・・・。

ピンポーン。呼び鈴が鳴り、慌てて目尻を拭う。
マスクを付けたままドアを開けると、モコモコの
ニットキャップが目に飛び込んできた。
「ヘッドホンちゃん、大丈夫!?みんな来たから、
看病するね!」
それはニットキャップちゃんで、彼女の後ろから
ゴーグル君が、心配そうに顔を出した。
何故か両手に、抱え切れんばかりのクルミを持っている。
「風邪にはあったかい飲み物が良いらしいから、
クルミ飲んで元気出して!あれ?でも、クルミって
飲み物じゃないんじゃ・・・。」
どうやらゴーグル君、『ホットミルク』のミルクを
クルミと勘違いしたみたい。

「アホ!『ホットクルミ』って何だよ。」
間髪入れずツッコんだのは、昨日、無理矢理
電話を切ってしまったメガネ君。
胸の奥に沈めた、何とも言い表し難い感情が、沸々と
湧き出しそうになるのをグッとこらえた。
「ヘッドホンちゃん。冷えるから、中、入ってね。」
「・・・うん。」
ニットキャップちゃんに言われ、わたしは3人を
部屋に入れてから、ドアを閉めた。
昨日あんなに怒ったのに、やっぱりいつも通りの
メガネ君から、目を反らせないまま。

Re: コロコロSplatoon メガネとヘッドホンの奥の気持ち ( No.5 )
日時: 2018/02/25 20:43
名前: REN-REN (ID: yhkbI.2W)

ついに2人が〇〇します。

「ヘッドホンちゃん、熱は?」
ゴーグル君に聞かれ、布団を鼻の上まで被せながら答える。
「うん・・・引いた時よりずいぶん楽だけど、まだある。」
「冷えてない?」
「大丈夫・・・湯たんぽとかカイロとか、暖まるモノは
出来るだけ使ってるから。」
「汗かくから、こまめに着替えてね。
サッパリしたければ、お風呂沸かそうか?
あ、ニットキャップちゃんにうどん作ってもらう?」
「平気、平気。心配しないで。ニットキャップちゃん達と
一緒にいなよ。」
ゴーグル君のオカン風対応に、思わず吹き出しそうになる。
ジッと我慢して、遠回しにゴーグル君を部屋から出した。

静まり返った部屋で寝て、しばらく。
喉が渇いた・・・スポーツドリンク飲みたい。
ベッドから立ち上がり、ドアノブに手を掛けようとした時。
「ヘッドホンちゃん、起きてる?」
メガネ君の声がして、慌ててベッドに潜り込む。
「スポーツドリンクが冷蔵庫にあったから、持って来た
・・・って、あれ?まだ寝てたのか、ごめん。」
メガネ君に心を見透かされた気がして、背を向けたまま
ギクッとする。
タヌキ寝入りならぬイカ寝入りを突き通し、反応はしない。
「ココ置いておくから、良かったら飲んでね。」
わたしが寝たフリなのを見抜いたかのように、メガネ君は
色々と話した。上手く返せず、まだイカ寝入りをする。
ストン、と静かな音がした。
メガネ君が、絨毯に座ったみたいだ。
「・・・ヘッドホンちゃん。」
何?と言いたくなるのをこらえる。
「この間は・・・本当、その・・・。」
メガネ君はモゴモゴと言葉を選び、やがて言った。

「・・・ごめんね。」

耳を疑い、起き上がりそうになる。

「電話・・・切られてから、すごく反省したんだ。
いくらチームだからって、言い過ぎは良くないって分かった。
だから今日、ゴーグルがヘッドホンちゃんのお見舞いを
提案してくれて、助かった。いい加減に謝りたくてさ。
でも、みんなに内緒にしてたから、すぐには言えなかった。
今じゃないと、機会を逃すから言いたかった。突然でごめん。
って、寝てるから聞こえてないよね・・・。」
わたしは布団を剥がし、メガネ君に抱き付いた。
風邪なのも忘れて、つい反動的に。
目頭はこれほどなく熱く、大量の涙が勢いよく頬を伝った。
「メガネ君・・・メガネ君!」
嗚咽が漏れて、呼吸がしづらい。でも正直言って、嗚咽より
『自分から謝りたかった気持ち』の方が、胸に分厚く
そびえる壁を打ち破った。
「うっ、うぅ・・・うわああああああ。」
長いこと泣きじゃくり、メガネ君を困惑させたのは
言うまでもない。だけど、大声を出したくてたまらなかった。

それから2、3日。ゆっくり眠って、しっかり栄養をとって、
きちんと薬を飲んだら、すっかり風邪が治ってピンピンしていた。
なんだかんだ1週間ぶりぐらいのハイカラスクエアに行き、
ブルーチームのみんなと集合して、バトルをする。
こんなに楽しい事はないんだなって、体調を崩して
よく分かった。その分、勝っても負けても、
いつも以上に面白かった。いつも以上に笑顔になれた。
そしてその日の夕方。茜色に染まるハイカラステーションで、
わたしは向かい側のホームで別れるゴーグル君に手を振った。
メガネ君も別なんだけど、手を振る前に、腕を掴んで
耳打ちした。
その直後、メガネ君の頬が薄紅色に変わって笑ったのは、きっと
夕焼けが照らしたせいだよね。


「メガネ君、この間はごめんね。でも、真面目なメガネ君だから
ああ言ってくれるって信じてたよ。
これからも、ずっとわたしとチームでいてね。」
やっぱり・・・大好きだよ、メガネ君。

Re: コロコロSplatoon メガネとヘッドホンの奥の気持ち ( No.6 )
日時: 2018/03/17 19:52
名前: REN-REN (ID: yhkbI.2W)

メガヘドちゃんの恋仲(なのかな?)を邪魔(?)する
ライバルが現れます。それは・・・。

「お前は、ブルーチームの・・・。」
ベンチで休憩していたわたしは、声を掛けられて
顔を上げた。そして、うっ、と躊躇する。
目の前に立っていたのは、前にタチウオパーキングで
戦った、絶対射程距離を持つパープルチームのリーダー。
また、イカ達の中でも特に実力のある4人を集めた、
通称『S4』の最高実力者、スカル君!
これぐらい詳しく紹介しないと、S4に失礼だよね。
いつの間にかスカル君は、わたしのすぐ隣に
どっかりと腰掛けていた。

・・・それにしても、やっぱりスゴい迫力。
一度、パープルチームに完敗しただけあるなあ・・・。
っていうか、今のは完全に自虐・・・。
口の中で言葉を選んで、おずおずと切り出した。

「スカル君・・・今日は、チームメイトの人達と
一緒じゃないの?」
「ああ。オレ達だって、プライベートな時間はある。」
「そう・・・なんだね。変なこと聞いて、ごめんね。」
わたしが謝ると、スカル君は黙った。
会話が途切れ、気まずい空間になってしまう。
一生懸命考え、ようやく話題を持ち掛けた。

「あの「お前は・・・。」
言い始めがタイミング良くかぶってしまい、口をつぐむ。

「2度目の対戦で、オレにスパショを撃ったな。」
スパショとは、ハイカラシティで売っていた一部のブキの
スペシャルウエポン、『スーパーショット』の略称だ。
そういえばわたしは、絶対射程領域『スカルエリア』に
居座っていたスカル君に対して、奇跡的に
スーパーショットを発動できたんだっけ。
スーパージャンプでかわされて、キルは出来なかったけど。
「う、うん。そうだったね。」
どういう反応をされるのか全く読めず、返答に困惑する。

「いくらかわせたとはいえ、不覚を突かれた。
ああやってオレを翻弄させようとするイカは、あまり
いないものだ。お前、なかなかの腕利きだぞ。」
「え?あ、えっと、ありが、とう・・・。」
まさか、褒められるとは微塵も思わなかったから、
つい曖昧に返してしまう。しかも、S4の1人に。

「気付いていないかもしれないが、お前のチャージャーの
手さばきは、ガールらしい繊細さと的確さがあった。
あれは、伸ばすべき才能だと感じた。」
褒めちぎられて、急に恥ずかしくなる。
普段、あんまり人に褒められたことがないから余計に。

「そんな、そこまでスゴくないよ。スカル君の方が
確実に狙えるし、長射程だし、スコープだし・・・。
わたし、普通のスプラチャージャーだから・・・。
つまり、スカル君は、やっぱりスゴいよ。」
必死に伝えると、スカル君は目線をわたしに向けた。

「謙遜するんじゃない。自分の長所は、素直に
強みだと思え。それに、お前はあの時、あの場にいた
誰よりも・・・。」
まっすぐな眼差しが、わたしの動きを止める。





「・・・美しかったからな。」


それだけ言うと、スカル君は無言で立ち去った。

頬に手を当てると、じんわり熱かった。

Re: コロコロSplatoon メガネとヘッドホンの奥の気持ち ( No.7 )
日時: 2018/04/21 12:17
名前: REN-REN (ID: yhkbI.2W)  

「よっしゃー、また勝ったーっ!!」
ゴーグル君とニットキャップちゃんが、イカにも嬉しそうに万歳をする。
「やった、やったー!」
「うえーい!」
「コラコラ、騒ぐなよ。」
すかさずメガネ君が叱ると、2人は笑顔で「はーい!」と返事をした。
「全くもう、分かってないな・・・。あ、ヘッドホンちゃん!」
溜め息をついたメガネ君が、急にコチラを見るので、わたしは驚いてのけぞった。
「さっき、すごく良かったよ!流石はチャージャー使いだね!」
メガネ君に褒められたのに、反応が遅れた。
「・・・ああ、うん。ありがとう。」
実はバトルが終わった時から、お腹が痛いんだ。上手く言えないけど、お腹が回っているような感じがする。
「ねえ、もっとバトルしない?」
「やるやるー!」
「ああ、良いぞ!」
着々と会話を進めていく3人に、わたしは勇気を出して言った。
「あの、皆・・・。」
ゴーグル君が、不思議そうな顔をして首をかしげた。
「ヘッドホンちゃん、どうしたの?」
「あ、えっと・・・。」
いざ尋ねられると、キチンと言えなくなってしまう。わたしの悪いクセだ。
その瞬間、脳裏に言葉が浮かんだ。
「人に気を遣い過ぎているとも考えられるんだよ。」
前に風邪を引いた時、電話越しにメガネ君にそう言われた。あの時はムッとしたけど、冷静に考えたら、確かにそう、なのかな?
「じ、実は、さっきからお腹の調子が良くなくて・・・バトル、続けられないかも・・・。」
しどろもどろに言うと、ゴーグル君が慌てた声を上げた。
「えっ!ヘッドホンちゃん、死んじゃうの!?大丈夫!?」
「アホ!死ぬ訳あるか。それよりヘッドホンちゃん、バトルは休んでよ。」
予想外の答えが返ってきたので、思わずわたしは目を見開いた。前にも体調不良でバトルを休んだから、ダメだって言われると思ったのに。
「い、良いの?」
「うん。ボクらだけでも全然平気!」
「大丈夫!オレがヘッドホンちゃんの分まで頑張るよ!」
そう言うとゴーグル君は、その場でハイスピードの大回転を始めた。いつかBバスパークの高台の上で、メガネ君やニットキャップちゃんとやっていたみたいに。
「アホー!!危ないから止まれ!」
再びメガネ君に怒鳴られ、ゴーグル君はふらつきながら回転を止めた。
「うう、クラクラしてきた・・・。」
目を回すゴーグル君。脱力するメガネ君。その様子をニコニコ笑って見ているニットキャップちゃん。
ブルーチームには当たり前の情景なのに、何故なのかこれまでになく大切に思えた。
「それじゃ、行ってくるねー!」
「ゆっくり休んでて!」
「うえーい!頑張るー!」
口々に言いながら、デカ・タワーに走り出す3人の、小さくなっていく後ろ姿。
その背中に、わたしは叫んだ。
「ありがとう!頑張ってね!」

「大好きだよ!」
って。


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