二次創作小説(紙ほか)

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集会酒場の蛇と兎
日時: 2018/02/16 19:39
名前: Re-o@ギルドナイツ (ID: i33vcyQr)

【注意】
・こちらはモンスターハンター系の二次創作です。
・自キャラ、そして身内のキャラが出ます。苦手な方はご注意ください。
・不定期更新の短編集のようなものです。
・元ネタがある場合は記載します。

【お知らせ 2018/02/16】
・板違いのため、今後の更新は二次創作総合にて行います。
・こちらの跡地は、改変し、元ネタありのもの専用にしようと思います。
・ほんへとは別の、色々な世界線で展開していこうと思います。
・気軽にご覧になってください。

どうも、Re-oと書いて「リオ」と読みます。
友人とMHXXをやっていて、二次創作物を描きたくなったので、思うように
気ままに書いていこうと思います。

主人公 Ruuto:龍歴院所属のハンター。得意武器はハンマー。
装備は龍歴院に所属して以来ずっとガララシリーズを愛用する物好き。
たまに素材が集まらず乱獲しては、ギルドナイツにお世話になることも。

もう1人の主人公 リオ:表向きは龍歴院所属のうさ耳帽子のハンター。
その一方裏の所属はギルド直結の暗殺組織「ギルドナイツ」。
一般ハンターを装う際は太刀を、ギルドナイトとしては双剣・ガンランスを
使用する。ちょくちょくRuutoの乱獲関連で面倒ごとに巻き込まれる。



基本的にはこの2人でパーティを組んで狩猟を行なっています。
色々拙い文でしょうが、よろしくお願いします。

Re: 想い人をキャンバスに乗せて ( No.1 )
日時: 2018/02/17 09:34
名前: Re-o@ギルドナイツ (ID: i33vcyQr)
プロフ: http://blog.livedoor.jp/goldennews/archives/51681082.html

それは、リオが新大陸で第3期調査団をやっていた頃のお話。
(元ネタはURLから)



「ふう、この絵はこの程度かな」
第1期古龍調査団が築き上げた調査拠点「アステラ」。
1期団の船を解体、資材化し造られたこの拠点は、現大陸との境界線である
大海を横に、古代樹の森に隣接している。
 そんなアステラの、海を望む桟橋の上で、新大陸に棲息する飛雷竜トビカガチ
の素材を用い、工房で2期団の加工屋が作り上げた純白のカガチシリーズを
身に纏い、筆とキャンバスを持って、海を眺めている少女がいた。
名前はリオ。ヴェルリオーネ・ラーイ・ヘフナ・カッシウス。
3期団として新大陸へ渡って来た際に、遭難した本隊とは別の船で
アステラへ辿り着いた、古龍調査団のハンターである。
「ここに来た時よりは、だいぶマシになってきたかな」
そのキャンバスに描かれているのは、リオレイア亜種の一式装備を纏った
女性の絵がぽつりと一つ。周りのスペースは、何処か意味ありげに空白だった。
「次の構図はどうしよう?」
そう言い、持っていたキャンバスを木造の桟橋の上に置いては、隣から
新しいキャンバスを取って、筆を顎に当て考え込む。
その時、後ろから活発そうな明るい声がリオの名を呼んだ。
「おっ、リオじゃん! 何してんのさ」
振り返れば、桃色の右側にすかした前髪と、ツインリングが特徴的な女性ハンター
が、腰に手を当て、片足重心で立っていた。
彼女の名前はラッテ。ラッテ=フォン=タヒルン。
リオと同じく3期団として派遣され、同じくアステラに流れ着いた狩人。
新大陸の新種、浮空竜パオウルムーの素材で作られた装備を身に纏い、背中には
オーダーレイピア、赤い細身の刀身の双剣を担いでいた。
久々に会ったために、リオは少しばかり驚愕の表情を浮かべた。
「ん? ああああ、ラッテ。久しぶり。今は絵を描いてたんだよ、ほら」
そう言って、リオは先ほど置いたキャンバスを手に取りラッテに見せる。
それを見たラッテは、おお、と感嘆の声を漏らしては、ふるふるっと首を
振るい、上から目線に評価した。
「へ、へえ……まあまあ上手じゃん」
リオはその態度に不満を覚え、わざとらしく頬を膨らませた。
ラッテは暫く絵を眺めていたが、誰を描いたのか気になり、リオに問いかけた。
「……で、これは誰を描いたのさ」
「私の大切な人ってだけだよ」
それを聞いたラッテは、にやっと不敵な笑みを浮かべた。
「リオがそう言うとか、どんな人なんだろうね」
「ラッテから見たら、きっと普通の女の子だよ」
そうリオはすぐに、平然と返す。
「ふーん……ま、そのうち私にも合わせてよね」
「一度くらいはその機会があるサ」
「じゃ、楽しみにしておくからねっ」
そう言いラッテは桟橋を戻り、アステラ一階の流通エリアへと戻っていった。



あれから数日経った日の夕方、調査拠点アステラ。
「また絵を描いてるの?」
普段と同じように、桟橋で絵を描いていれば、後ろから透き通った声が
呼びかけてきた。淡い水色の編み込んだロングヘアに、澄んだ海色の瞳。
新大陸の飛竜レイギエナの装備と、その太刀を拵え、リオの後ろで微笑みつつ
立っていた。名はアリシア・アリットセン。2期団として派遣されてきた
ハンターで、2期団としては珍しく戦闘要員だった。リオがアステラに辿り
ついた頃からの始動役で、面倒見が良く、リオ自身もよく慕っていた。
「あっ、アリシアさん。……そうなんです、また絵ですね」
そういって振り返り、苦笑いを浮かべたリオを不思議そうにアリシアは見た。
「そんなに楽しいものなのかな?」
リオは暫く考えた。時折、なぜ絵を描いているのかがわからなくなる。
「楽しいっていうか……。他にやることがないんです」
「そっか……」
アリシアは暫く黙り込んでいたが、軈て何かを思い出したかのように
アイテムポーチをゴソゴソ漁り、そうして口を開いた。
「そうだ、さっき流通エリアでこれ買ったんだ。よかったら飲んでね」
そうしてリオに手渡されたのは、瓶に入った暖かい紅茶。
リオは受け取り、温もりを感じつつ問いかける。
「便の紅茶……? なぜ私に?」
それを聞いたアリシアはふっと笑み、優しく答える。
「外で絵なんて描いてたら冷えちゃうでしょ?」
「ありがとう、ございます……」
そうしてアリシアは、どさくさに紛れてリオの隣に腰掛けては、キャンバスを
覗き込むように見ては、声を漏らす。
「いつも、同じリオハート装備の女の子だね」
「そうですね」
リオはそう、平然と返す。アリシアははっといい事を思いついたという表情を
浮かべては、リオと目を合わせる。
「あっそうだ! たまには私をモデルにしてみない?」
リオは最初こそ目を合わせていたものの、照れ臭くなったのか、キャンバスに
目を戻した。
「遠慮しておきます……」
それを聞いたアリシアはむっとした。
「何さ、つれないなぁ」
リオはキャンバスに、リオハート装備の女の子を描きつつ答えた。
「だって……あの子を描かなければ意味がないんですもん」
「そう頑なに拒否されると、意地でも描いてもらいたくなっちゃうな」
そうアリシアは笑いを交えながら呟いた。
「はいはい」
「もう、本当につれない後輩だなぁ」
アリシアはそうとだけ言って立ち上がり、リオに軽く手を振って、流通エリア
へと、のんびり彼女らしい歩調で向かっていった。



翌日、朝日が昇り切る前のアステラで、リオはいつものように、いつもの
場所で、キャンバスと筆を持ち、絵を描いていた。
ぼーっとしながら、昇る朝日を眺めていれば、後ろから足音が聞こえてきた。
その足音はだんだん隣へと近づいて、軈て止まった。
「よっこいしょ」
そういう掛け声とともに、隣に腰掛けたのはラッテだった。
今回は武器を置いてきて、その代わりに画用紙と羽ペンを持ってきていた。
「ラッテ、その画用紙と羽ペンは……」
リオは驚いた。普段絵を描くようなことはしないラッテが、絵を描くための
画用紙とペンを持ってきていたのだ。そう声を漏らしたリオに、ラッテは
にっと笑って答える。
「リオを見てたら描きたくなってさ。隣いいでしょ?」
リオは、ふっと笑っては、ラッテの目を見て答えた。
「構わないよ」
 それから数分後、まずラッテが声を上げた。
「あぁっ!! ぜんっぜん上手くいかない!」
そういうので、リオはラッテの画用紙を覗き、苦笑した。
「確かに、これは酷いなぁ」
それを聞いたラッテは、笑いながら反発した。
「うるっせぇ!」
しかしリオは、絵の人物に何処か見覚えがあった。そう、1期団の。
「……これ、1期団のおばさまを描いてた……の?」
「なんで疑問系なんだよ!」
そう言ったラッテではあったが、自分の画用紙を見つめては静かに続けた。
「……でもないか、この画力だと」
リオはすかさず、それをフォローするように言葉を挟む。
「心配ないよ」
「ふえっ?」
リオは、一つ間を置いて、呆けた顔のラッテをよそに続けた。
「ラッテがおばさまを想う限りは、どんどん絵が上手くなるから」
ラッテは小首を傾げた。
「どうしてそれがわかるの?」
「想いは飲み込みの早さを変えるんだ」
リオはそう言って、再びキャンバスと向き合い始めた。
ラッテはリオの言葉を考えながら呟いた。
「なんか……体験してきたみたいな言い切りだなぁ」
それ以来、ラッテはよくリオの隣に座って、おばさまの絵を描くようになった。



その日の夜、月明かりの照らす海を眺めつつ、リオは絵を描いていた。
後ろの流通エリアからは、未だに人々の話し声が聞こえる。
そんな時に、後ろから鎧を揺らす音と共に、人影が近づいてきた。
その人影はリオの隣に立つなり、何かを差し出してきた。
「ん……?」
何かと思い、見上げたところにはアリシアが、皿に乗ったケーキを持っては
にっと微笑んでいた。
「今日はケーキを持ってきたんだよ?」
リオは困惑した。ケーキを外で食べるとは予想もつかなかったからである。
「ケーキって、野外で食べるものでしたっけ……」
「いいのいいの、美味しいものはどこで食べても美味しいんだから!」
アリシアがそう豪語しているうちに、リオは韋駄天の如き早業で、ケーキを
既に食べていた。
「……ちょっ、私が言ってる間に食べてるじゃないの。あんなこと言ってたのに」
そう声を上げるアリシアをよそに、リオは感想を述べる。
「……美味しいケーキです」
「そう? ……ありがとう」
それから、暫くの沈黙が続く。少ししてから、その沈黙を破るように
リオが喋り出した。
「アリシアさんって、何かやりたいことはあるんですか?」
突然の問いに拍子を抜かれたアリシアは、それに対して戸惑った。
「やりたいこと?」
暫く考え込んでから、アリシアは自分の考えを喉の底からひねり出した。
「私は、一刻も早く古龍渡りの謎を解明したいな」
リオは、違うそうじゃないと言いたげな表情で返した。
「調査団としてやりたいことじゃなくて、アリシア・アリットセンとして
やりたいことは何なんですか?」
そう言われ、また拍子を抜かれたアリシアは、呻き声を上げつつまた考える。
「え? そう言われると……んー……」
「……」
リオはそれを、ただ黙って見つめていた。
「やりたいことは沢山ある気がする。でも、咄嗟には思いつかないな」
「そうですか」
と、短く返したリオの顔を見ていたアリシアが、あっと声を上げて続けた。
「あっでも、一つだけ楽しみなことがあるよ」
「どんなことですか?」
「秘密だよ」
そういうアリシアを見ていたリオは、昔を振り返るように考えてから、
アリシアに向けて一言言った。
「そうですか……それが何かは私にはわかりませんが」
アリシアはそれを黙って聞いていた。
「やりたいことは、やれるうちにやっておいたほうがいいですよ。私はそれに
気付くのが遅過ぎて、本当にやりたいことを、できなくなったから……」
「……」
リオは、寂しげな瞳でキャンバスを見つめながら、最後にボソッと呟く。
「絵なんて、所詮は代替手段の出来損ないに過ぎないのに……」
それ以来アリシアは、よくリオのところに手作りのお菓子を持ってきては、
感想を訪ねるようになった。



「どうだリオ!」
ある日の昼下がり、暖かい日光を浴びつつ、桟橋ではラッテがリオに、
画用紙を見せつけては誇らしげな表情を浮かべていた。
「最初を思えば、上達したよね」
それを聞いたラッテは、やった! と声を上げた。
しかし間髪入れずリオは追撃する。
「でも、私に比べたらまだまだだよ」
ラッテは落胆したように、呻き声を上げた。
「うぅ……」
暫くはその様子を眺めていたリオだったが、軈て言いたかった事を思い出しては
ラッテに声をかける。
「ねぇ、ラッテ?」
顔を上げたラッテが、リオと目を合わせる。その瞳は、暗いリオのものとは
対照的に、きらきらとまるで希望が満ちているように輝いていた。
「ん?」
「私達がさ、こんなことしてて……意味はあるのかな」
ラッテは笑った。
「いきなり随分な質問だなぁ、リオも」
そんな笑いも気にせず、リオはただ続けた。
「私達がこんなことしてても、描かれたハンターは何も得ない」
そりゃそうだ、とラッテは相槌を入れつつ、しっかりとリオの話に耳を
傾けていた。昔からラッテは、リオの良い相談相手だった。
リオは震えるような声で言葉を続ける。
「こんな自己満足を続ける意味……あるのかなって、最近考えるんだ」
ラッテは黙って聞いていたが、軈て、ゆっくりと口を開いて答えた。
「意味は、あるじゃん」
リオは、えっという声と共に顔を上げた。ラッテがそういうことが意外だった。
「自己満足だって、立派な理由の一つだって」
リオはそれを、ただ黙って聞いていた。
「私だってさ……おばさまのこと、忘れたくないんだ。だから、絵を描いてる。
こんなことしたって、別に誰かが喜ぶとか、そんなことは決してないんだろうけど、
描いても描いても、世界は少しも変わりやしないけど、あの人を忘れたくないって
いう気持ちは、ちょっと満たされるんだ。それで十分、それでいいんだ」
そこまで、ただ俯いて聞いていたリオだったが、それを聞いて顔を上げた。
「……そうだね、ラッテの言う通りかもしれない」
ラッテはにっと、いつものように笑った。それがリオには救いだった。
「それにしても、自己満足を正当化するって、ラッテらしい論理展開だね」
ラッテは笑いつつ言い返す。
「あっはは! どういう意味だよ!」


 それから3日後、ラッテは、瘴気の谷で、想い人のおばさまと同じように、
同じ場所で命を落とした。リオの隣は永遠の空席になった 。


 リオは、ただ一人、暗い瞳をして、輝く海とは対照的な雰囲気を纏い、
いつもの桟橋でキャンバスに絵を描いていた。
「絵を描いているんだよ。そう、モデルは私の大切な人」
そう呟くリオが抱えるキャンバスには、いつものリオハート装備の女の子の他、
二人の調査団のメンバーが描かれていた。
「それから……。仕方がないから、君と、君の大切な人も描いてるよ。
忘れたくなかったんだよね、おばさまのこと。私がちゃんと覚えておいて
あげるから」
そう言ってリオは、キャンバスから顔を上げて海を眺めた。
「もちろん主役はあの子だけど、ラッテとおばさまも、必ず絵の何処かに
入れてあげるから……」
そういったところで、リオはふうっと息を吐き、間を置いて続けた。
「だから、ゆっくり休んでね。ラッテ」



「最近は、ラッテとおばさまも描くようになったんだね」
夜のアステラで、後ろからいつものように、アリシアに声をかけられた。
「心境の変化が、ちょっと……」
短く答えたリオの隣に、アリシアはそっと腰掛けた。そうして、リオに
そっと、皿に乗ったチョコタルトを差し出した。
「今日の差し入れはチョコタルトだよ」
アリシアがそう言っている合間に、リオはすでにチョコタルトに口を付けて
いた。いつものことだが、その早さにアリシアは多少驚きの表情を浮かべる。
「いやぁ、リオって遠慮がないよね」
「……ほろ苦くて、甘すぎない。私が好きな味です」
それを聞いたアリシアは、喜びの声を上げた。
「本当!?」
「はい、本当ですよ。とっても美味しい」
「よかったぁ……」
そう言ったアリシアは、安堵したように胸をなでおろす。
ラッテもそう"だった"が、アリシアも喜怒哀楽が顔に出やすい人である。
「……ねえ、アリシアさん」
突然、リオが呼びかける。
「なになに?」
「次の絵のモデルになってみませんか?」
数分後、適当な樽を見つけては、そこに座ったアリシア。
そうして、それを描くリオ。
「動かないでくださいね……」
そう呟きつつ、筆を動かすリオを不思議に思ったアリシアが問う。
「絵を描いて欲しいとは確かに以前言ったけど……どうしてまた突然?」
リオは筆を止めることなく、キャンバスと向き合ったまま答える。
「やれることは、やれるうちにやっておきたいんです……」
「そうだね、したいことはできるうちに……いつまでこうしてられるか、
わからないもんね」
アリシアの一言から、しばらくの沈黙が訪れる。
「……アリシアさん」
「ん?」
それを打ち破るように、リオがアリシアの名前を呼ぶ。
「今度はシュークリームが食べたいです」
「リクエスト? 珍しいね」
「その次はロールケーキ、その次はモンブラン……そうして次は」
そう、機械的に、念仏のように続けるリオの様子を心配したアリシアが
声を上げる。
「ねえねえ! ほんとにどうしたの!?」
「……」
リオは黙っていたが、軈て震える声でアリシアに言う。
「アリシアさんだけは、いなくならないで……」
そう言ってリオは、知らぬ間にアリシアに抱きついていた。
暫く頭を撫でていたアリシアは、あることを思いついて、顔を離し、リオの
頬にそっと手を当てて続けた。
「じゃあ、こうしようか」
「……?」
リオの瞳は涙ぐんでいた。
「この後、流通エリアでスケジュール帳を買いに行こうよ。そうして、一年先
までの予定を決めておくの」
「一年先までの、予定……」
「五年分でも、十年分でもいいよ! そうして予定を立てれば、お互い
破れないよね。それで意地でも死ねなくなる」
リオは、そのアリシアの気遣いにただ甘えていた。涙が流れれば、アリシアが
そっと人差し指でそれを拭う。
「そう……ですね」
そう言って笑ったリオの頭をぽんっと撫でたアリシアは、リオを離して
立ち上がる。
「よしっ! じゃあ早速スケジュール帳を買いにいこう!」

それから1週間後、アリシアは、渡ってきた古龍との戦いで命を落とした。
以来、美味しい差し入れがもらえることは二度となかった。

「今日はロールケーキです。流通エリアで買ってきたんですよ」
そう言ってリオは、いつもの桟橋で、皿に乗ったロールケーキを口にしていた。
「アリシアさんが作る方が、何千倍も美味しい。……絵も賑やかになってきた
んですよ。あの子がいて、ラッテがいて、おばさまがいて、アリシアさんがいる。
アリシアさんは独りぼっちじゃない。孤独じゃないんですよ。だから寂しくない」
そう言ったリオは、ロールケーキを食べ終え、海を眺める。
「アリシアさんが楽しみにしてたこと、なんだったんだろ……」

Re: 想い人をキャンバスに乗せて~epilogue~ ( No.2 )
日時: 2018/02/17 22:56
名前: Re-o@ギルドナイツ (ID: i33vcyQr)

あれから、何度も何度も出逢いを繰り返し、同じだけの数の別れを経験した。
その度に笑ったり、泣いたり、傷ついたりを繰り返して
キャンパスの中のハンターは、日に日に増えるばかりだった。
「素敵な絵……」
立ち寄った内気そうなハンターがそう呟く。
「君も一緒に描いてみる?」
そう言ってリオが画用紙とペンを差し出せば、ハンターは驚愕した。
「えっ!? で、できるかな、俺に……」
「できるよ」
「それなら……」
だけどやはり出逢いというものは、どれも掛け替えがない。
だから今日もリオは、キャンバスに筆を走らせる。
大好きなこの世界を、形にするために。

リオ「悪口大会」 ( No.3 )
日時: 2018/02/18 09:21
名前: Re-o@ギルドナイツ (ID: i33vcyQr)
プロフ: http://blog.livedoor.jp/hirumabusi/archives/1013188007.html

リオ「悪口大会」

居酒屋アステラ
※未成年の飲酒は危険なのでやめましょう。





リオ「第5期調査団も来て、アステラも随分と人が増えてし」

リオ「この際、お互いの悪口を言い合って親睦を深めよう?」

ソードマスター「それ如何に」

ラッテ「なんで私がそんなこと……抱え込んでることなんてないし」

リオ「ダメだよ、今日はみんなが腹の底に溜めてたどす黒い何かを吐きあって、結束を強める日なんだからさ」

アリシア「リオが言うなら私は賛成するよー、でも許容できる欠点なら
わざわざ挙げる必要ないんじゃないかな?」

リオ「小さな欠点でも、改善する努力は必要でしょ」

アリシア「そう、だね」

このは「鈍いんですねアリシアさん」

このは「脳味噌を不思議の国に忘れてきたのでは?」

アリシア「ああっ、ほら、見てよ。このはさんに至っては悪口全開じゃない!」

このは「貴方に対してだけです^^」

アリシア「余計にタチが悪いよ」

ラッテ「でも、やっぱり私達には……」

リオ「その油断が命取り。さあ、やろうよ」

Ruuto「……龍ノコハク酒を」

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

リオ「じゃあまずアリシアの悪口から。せーので一斉にね」

リオ「じゃあ、師匠。お願いします」

ソードマスター「やれやれ、女子の会話は不毛なものだな」

ソードマスター「このはとRuutoに至っては男であるが」

リオ「早く」

ソードマスター「……せーの」

リオ「能天気」
ラッテ「油断しがち」
Ruuto「ランスの俺を転かすとか太刀厨乙」
このは「太刀とか地雷」

アリシア(以下アリス)「ちょっと下二人は表出ろや」

アリス「上二人はまだわかるよ?」

アリス「能天気だったり、油断してたり。よく言われるけど……」

Ruuto「おう」

アリス「でも貴方達二人はただの太刀使い批判でしょ!」

このは「悪口大会だからいいですよね」

Ruuto「それに事実」

アリス「欠点を治すためのものでしょ!? 貴方達のは趣旨が違うって!」

リオ「いいの。今日はみんなの鬱憤を晴らす日でもあるしね」

アリス「ぐぬぬ……」

Ruuto「(ほんとは十分上手いけどね)」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

アリス「だいたい太刀はゴミってなんなの!」

このは「奇人大迷惑斬りとか桜花奇人斬とか奇人下がりとか」

ソードマスター「(このはも言うねぇ)」

アリス「それは……それはっ!それは……」

このは「とうとう日本語も話せなくなりました?」

アリス「知ってるんだよ!昨日このはがリオの部屋に入って、リオの太刀を……!」

リオ「このはの悪口はまだだよ」

このは「無様ですねアリシアさん……」

アリス「あとで覚えとけや」

リオ「あとで覚えておいてね」ぼそっ

このは「えっ」

ソードマスター「Ruuto、こっちの酒はどうだ」

Ruuto「是非頂きます」

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

リオ「はいはい、次行こう?」

ソードマスター「そなたはさっきから何をしたい」

リオ「いいからお願いします。次ラッテね」

ソードマスター「せーの」

リオ「言葉遣いが悪い」
アリス「遠慮しない」
Ruuto「とりあえずランスの邪魔しないで」
このは「乱舞厨」

ラッテ「ちょっ、それマジおかしいでしょ」

リオ「何ハイになってるの」

ラッテ「半分以上中の人のせいなの!」

リオ「いや、でもね」

ラッテ「でもね、じゃないでしょ!さっきの流れからして!」

リオ「それはそれ。これはこれよ」

ラッテ「裏切ったな……っ!」

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

このは「流石にスーパーノヴァの予備動作にも気付かないで乱舞して
吹っ飛ばされてるのはちょっと……」

リオ「うわぁ……」

ラッテ「怯むかと思ってたの!」

このは「確かに、ラッテさんの猪脳は確かですね」

ラッテ「お前は黙っとれ」

このは「この間だって、格好良く鬼神ダッシュで突っ込むところまでは
惚れ惚れしましたけど、それでブレスに当たったじゃないですか」

ラッテ「……」

このは「5回も」

ラッテ「……」

Ruuto「結構キツめですね。師匠は平気そう」

ソードマスター「っははは、年を取れば美味くなるものだ」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

リオ「次行こうか」

ソードマスター「ふむ」

リオ「ほら、ちゃっちゃとしてください」

リオ「あ、次このはね」

このは「お手柔らかにお願いしますね」

ソードマスター「せーのっ」

リオ「ガチ勢臭い」
アリス「ゲス
ラッテ「ゲスすぎる」
Ruuto「ないよ」

このは「!?」

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

このは「ゲスってなんですか!!」
リオ「いや、君の企画の縛り内容はゲスい」

アリス「そう」
ラッテ「よ」
Ruuto「ね(連携便乗)」

このは「これは予想外でしたよ……」

リオ「ランスに慣れない頃のRuutoに提案したのが裸飢餓ジョー」

リオ「それはもうゲスでしょ」

アリス「あの、ゲスさん。自分も行くって覚悟の上なの?」

リオ「あんまりそういう話すると、ゲスさん困惑する」

ラッテ「いや、私の方……」

リオ「自称ゲスは地雷」

アリス「眼科をお勧めするよ」

このは「……………………」

このは「……ううっ、ひっぐ……」

ラッテ「このは、大丈夫!?」

ソードマスター「(おやおや)」

このは「だってぇぇ!先輩方がああぁっ!!ひっぐ」

ラッテ「よしよし」

ラッテ「ちょっとリオ達、いじりすぎじゃん。このは繊細なんだよ」

リオ「飢餓ジョー勧めたのにガチ泣きはないね」

アリス「そうよねぇ」

リオ「あとこのは。君が夜な夜な私の太刀に水掛けてってるのは
知ってるから。あとで君の武器防具全部売っぱらって、太刀を新調する」

このは「うわあああぁぁんっ!!」

ソードマスター「(こやつら……)」

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

リオ「さ、盛り上がってきたね。締めにRuuto、行くよ」

Ruuto「(俺はリオが居ればなんとでもなる)」フッ……

リオ「師匠あく」

ソードマスター「せーのっ!!」

アリス「打ち上げんなゴミ」
ラッテ「ハンマー厨」
このは「1人で抱え込みすぎです」





リオ「 生 理 的 に 無 理 」

Ruuto「はっ?」

ソードマスター「(おお……)」

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

Ruuto「なんで!? どうしてだよリオ!?」

リオ「普通太刀がいるのにランスで尻尾斬る輩に近付きたくないよ」

Ruuto「」

このは「カシスオレンジお願いします」
ラッテ「あ、私もー!!」
アリス「ワインはある?……そう、じゃあお願い」

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

Ruuto「違う!違うぞリオ!!」

リオ「何が違うのかな」

Ruuto「あれは事故!事故なんだ!事故であって故意ではない!」

リオ「毎回尻尾斬っては『ミスです!』っていう人がいる?」

Ruuto「」

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

リオ「さあ、結束も和睦も深まったし、今日はこれでお開きにしよっか」

アリス「ちょっと待ってリオ」

リオ「ん、どうしたの。アリス?」

アリス「貴方だけ何も言われないのは虫が良すぎるよ」

ソードマスター「うむ、そこの青髪の女子の言う通りだ」

Ruuto「っ!……何を言い出すんですか師匠!!」

ソードマスター「君達5人中4人……リオ以外が悪口を言われたのだ」

ソードマスター「彼女だけが何も言われないなんて理屈にそぐわない」

ソードマスター「君達がなんと言おうが始めさせてもらう」

リオ「………………」

Ruuto「師匠、やめてくれよ!」


ソードマスター「せーのっ!!!!」



アリス「実はギルドナイツやってそう」

ラッテ「人殺しそうな目してる」

このは「誰か親しい人がいなくなるとすごいことになる」

ほむら「………た、太刀が上手い?」


リオ「Ruuto」

Ruuto「な、なに。リオ?」

リオ「私を慰めてくれたんだね。ありがとう」

Ruuto「お、おう。気にすんな」

リオ「でもごめんね、Ruuto」

Ruuto「……?」

リオ「やっぱりランスと和解は無理。ハンマーに戻るまで狩り行かない」

Ruuto「」

〜完〜











Re: 集会酒場の蛇と兎 ( No.4 )
日時: 2018/02/19 07:02
名前: D8車 (ID: P9eWmugO)

こちらでは初めまして。新総合版でもコメントさせていただいた、D8車です。

短編集が一つ完結しましたね。この調子で、執筆を心待ちにしております。

それでは、頑張ってください。


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