二次創作小説(紙ほか)

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ホヒンダ村 本棚に眠る恋の秘密(シゲルイ)
日時: 2018/03/02 21:51
名前: REN-REN (ID: yhkbI.2W)

ホヒンダキャラで、図書室を舞台にした小説も良いかなって。
図書室が舞台=学パロです。予めご了承ください。
主人公は、明るく積極的だけどヘタレ(?)なシゲと、
優しくて可愛らしい大天使、ルイコちゃんです。どうぞ!

部活帰り。鏡に自分を映したら、想像以上に
ヒドい顔をしているとシゲは感じた。
今さっき彼女にフラれて、頬を引っ叩かれたばかりだ。
ほとんどデートが出来ないと怒るので、部活の方が
大事だと答えたら、こうなった。
(オレは、ただ正論を言っただけだ。何で暴力を受けるんだ。
これだから女ってモンは、理解できなくて困る。)

本格的に冬が始まっても、学校側は知らん顔で部活をする。
暗いし寒いので、朝練ほど辛いモノは無いとシゲは思った。
汗と泥でクタクタの体操服を北風が通り抜け、急に冷える。
耐えられない寒さとはいえ、ジャージを着るのは面倒臭いし、
そもそも家に忘れたのを思い出す。
校内に、暖まれる場所は無いだろうか。
少し考え、ふと思い当たった。
向かい風に吹かれながら、シゲは校内に走った。

「すいませーん。ちょっと暖まってって良いっすかー。」
シゲが向かったのは、利用者がごく僅かな図書室。
蔵書数は見渡す限りの多さだが、最近の学生は本に
触れようともしない。『最近の学生』のうちに入るシゲが、
偉そうにして言える事ではないが。
古くて人気の無い部屋なのにも関わらず、冷暖房の充実さは
ココがダントツといっても過言ではない。
(どうせ誰もいないんだろ、好きなだけのびのびしてやるさ。)
そう思って、ソファに寝転ぼうとした、その時。
「はい、どうぞ。」
自分以外の人の声がして、喉から飛び出しそうになった大声を
慌てて制する。いくら無人でも、ココは図書室なのだから。
シゲは、恐る恐る身を乗り出して、カウンターの向こうを覗く。
すると、たった1人で本を読んでいる女子がいた。
目が合うと、穏やかそうにニコッと微笑まれた。
「・・・アンタ、ココで何やってるんだ?」
ゆっくりと心を落ち着け、やっとの思いで声を振り絞った。
女子は、額の上で緩めに結んだ髪を揺らして言った。
「司書ですよ。大して出来ていないんですけど。」
『司書』という聞いた事の無い単語に、シゲは首をかしげた。
疑問が浮かんだシゲの心を見透かすように、女子は付け加えた。
「つまりですね、図書館の店員さんみたいな感じです。本の
貸し出し・返却の手続きとか、蔵書している本の整理ですとか、
本についての仕事をしているんですよ。」
「へえ〜、そうなのか・・・。」
本にそこまで興味を示した事の無かったシゲは、
女子の説明に適当に相槌を打つ。
「読みたい本があったら、教えてくださいね。蔵書されていたら
場所に案内しますし、されていなかったら注文しますから。」
丁寧に言われ、軽く会釈したシゲの目に、
10冊以上を超える本の山が飛び込んできた。
「・・・ホントに本、好きなんだな。」
シゲが呟くと、女子は少し表情を曇らせた。

「確かに、本は好きです。でも、せっかく司書をしていても、
誰も来てくださらないから・・・正直、退屈なんです。
ですから、気付けば本に手が伸びている、と言った方が
正しいでしょうか。それにわたし、お恥ずかしながら人見知りで、
なかなかお友達が出来なくて。
クラスにいても緊張してしまうので、ココで休み時間を
過ごすんです。ココなら1人で、静かに本が読めますから。」

その直後。
シゲの心の中の何かが、締め付けられるように痛んだ。

自分と真反対の性格の女子は、何となく嫌っていた。
しかし、それは嫌っていたのではなく、ただ近寄り難いと
思っているうちの勘違いであり、その感情が自分と相手を
引き離していたのだろう。
・・・と、女子の言葉に気付かされた。
「・・・オレ、これから毎日、1回はココに来るよ。」
そう言うと、女子は「えっ?」と聞き返し、慌てた。
「いえ、そんな。お忙しいのに、悪いです。」
断られたシゲだが、諦め切れない。
「いい、気にすんな。オレは、お前を放っておけないんだ。
オレはシゲ、お前の名前は?」
女子は困惑していたが、やがて立ち上がり、クスッと微笑んだ。

「ルイコ、です。よろしくお願いします、シゲさん。」


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