二次創作小説(紙ほか)

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転生したら異世界なんだが
日時: 2018/03/25 00:12
名前: マメツキ (ID: kIggbAFi)

 どうも、おはこんばんにちは、はじめましての方ははじめまして。マメツキです。

 内容変えました。

 転生したらナルトの世界だった男主のお話。微勘違い系。

 注意書は皆さんわきまえていらっしゃると思うので割愛させていただきます。


 緋宮 蒼也(あけみや そうや)

 チャクラ性質『風』
 使用武器『四挺拳銃』

 ミナト世代。
 別に死んだ覚えもなく急に赤ん坊になった天然大喰らい。いつ死んでもおかしくない職業(銃を扱う)だったので気にしてない。
 ナルトじゃんとかちょっと生命の危機を覚えたけど持ち前の天然さでまあいいかと流した大物。
 転生したところ実家が鍛冶屋だったため、三歳とは思えないほど完成された設計図を祖父に渡して四挺の拳銃をつくってもらった。弾丸はチャクラなので弾倉は必要なく無制限。ナルト世界で初めての拳銃使いとなる。
 常にぼんやりしている。整った容姿で時々ずれたことを言うので不思議扱い。金髪青目ジト目でうなじはヒヨコヘアー。某センとラの名前を取る歌い手とは反対の右の髪がアシンメトリーに長くなって紫のメッシュが入っている。そこと前髪以外は短くばさばさ、某テニヌのスピードスターみたいなのをちょっとストレートにした感じ。前髪の左側の半分を赤いピンで止めている。前髪は長いがばさばさなので視界は開けている。カメラアイ持ち。絵を描く画家でもある。絵には催眠効果を持たせることも可能であり、スパイ育成にも携わっている。銃を扱うので特別上忍の地位にいる元暗部。
 ミナトとは幼馴染みのような間柄で親友でもある。クシナとも顔見知り。
 身長192cmと背が高いが細いので大柄という訳でもない。もやしでもない。線が細い。
 独身。口数が少ない。
 四挺拳銃なので早撃ち。『木の葉の拳銃』との勇名を取る。
 あと瞬身が得意。巻物には遠距離ライフルなど(これまた見事な設計図を祖父に(ry))を仕込んでいる。近中遠全てに手をつけられない。
 デフォルトが無表情。


Re: 転生したら異世界なんだが ( No.1 )
日時: 2018/03/25 00:48
名前: マメツキ (ID: kIggbAFi)



 生まれて4年。
 死んだ覚えもなく知らん間に転生してた俺はどうやらナルトの世界に生まれたらしく、父が忍で殉職したらしいことを知った。生後五ヶ月のことである。
 まぁなんというか、ああそうみたいな感覚が抜けない。いや、この世界の父のことじゃなくてナルトの世界に対してな。別に前世……前世でいいのか? まぁ言うところのそれに未練は無いし、ぐらいの。まぁ俺にとっては些細なことらしい。
 拳銃が無いのは学生時代に押し付けられた友人のNARUTO原作で知っていたから、家が鍛冶屋なのはちょうどよかった。祖父に俺が作った設計図を渡して、拳銃が四つ手に届いたのは三歳の頃。二ヶ月でできたらしい。じいちゃんすげえ。
 まあそんなわけで。母は能天気な人なのか、俺が設計図を作って凶器を手にしたことを「お父さんに似たのね」と喜び、俺に父を重ねた。流石に俺を顔も知らない父の名前で呼ぶのはよせ。能天気と言うより狂気染みているのか、この場合は。まぁ母も俺がアカデミーに入学した直後に亡くなったが。気を病んで自殺。つくづく俺は親に恵まれないらしい。前世では両親は事故死だったが幼い俺に絵を描く以外生きてる意味はないとかのたまう馬鹿だったからな。俺はそれを馬鹿みたいに受け取って中学卒業まではただひたすらに絵しか描かなかった。カメラアイって怖いな、忘れられない。まぁお陰で金には困らなかったけど。一枚のキャンバスに数百から億の値が着いたし。
 とまあそれは置いといて。最初は空砲だったが、父らしい人の書物を読み漁りとりあえずはチャクラの練り方とか、手順を飛ばして瞬身とか影分身とか、俺のチャクラ性質が風だったので弾丸をチャクラにすることにしたり。
 そんなこんなで母が自殺した一週間は葬式とかお通夜とかで忙しかった訳っすよ。一週間ぶりのアカデミーである。



「おはよう、大丈夫?」



 開口一番そう聞いたのは我が幼馴染みであり将来の四代目火影な波風ミナトくんだ。『大丈夫』と一言返し彼の隣に腰を下ろすと「そっか」と満足げに笑んでいた。多分母のことだろう。言うほど入れ込みはないから大丈夫だ安心しろ。



「今日の授業なんだろうねえ」
『……さぁ?』



 ニコニコのミナトにどうせお遊戯みたいなやつだろつまんねえなんて言えない。夢壊しちゃう。


**


 一年後、俺とミナトはちょっと周りから一目置かれるようになっていた。俺はまぁ多分銃の早撃ちじゃなかろうか。5秒で手裏剣用の的とかぼろっぼろにしたしな。こう、四挺拳銃をうまく扱ってガトリングガン並みの速さを出してだな。うん。
 まあ、ミナトは見るからに天才だからな。時空間忍術になんか興味持っちゃってさ。そりゃ自来也様に忍になるべくして生まれた子とか言われてもしゃーねえってばよ。お前まだ五歳だろ!
 とは言え、今年でミナトに卒業試験の話が来なかったのは意外だ。マジか。絶対来ると思ったのになー。聞けば一年で卒業するのは本当に極稀らしい。へえー。じゃあカカシはまじもんの天才だったって訳かアイツすげえな。



『おはようミナト』
「ん! おはよう蒼也!」



 背負ったボディバッグを席にのせてミナトの隣に腰を下ろすとねえねえ聞いて聞いてと裾を引っ張られた。なんだお前可愛いかよ。



『ん、何?』
「今日、渦の国から転校生が来るらしいよ!」
『……渦』
「ん! 同盟組んでるとこだね!」
『そうだな……』



 ああ、これあれか。うずまきクシナ襲来的な。ミナトお前頑張れよ。



『お前が一目惚れする様な女の子だな、きっと』
「ん、んん!?」



Re: 転生したら異世界なんだが ( No.2 )
日時: 2018/03/25 01:26
名前: マメツキ (ID: kIggbAFi)



 案の定と言うか。教室にやって来た赤毛のちょっと顔が丸い女の子、うずまきクシナに隣のミナトは目を奪われていた。でも俺の服の裾握るのは勘弁してくれ。お前ホント可愛いかよ……違う、服が伸びるから。
 初めての女火影になると叫んだ彼女にミナトも火影になるのが夢だと言い切った。多分ミナトは同じ夢を持つもの同士頑張ろうぜ! なニュアンスだったんだろうと思うけど、端から聞くに逆効果だそれ。俺も負けねえからなこのやろうって喧嘩売ってるようにしか見えないぞ。
 定石通りライバル宣言と受け取ったクシナはミナトを睨み付け、ミナトはちょっと困惑していた。なんで睨まれたかわかんないんだろうな。……なんだあの女男とか思ってそうクシナちゃんあの子。やだこわい。



『ミナト、とりあえず座れ』
「え? あ、うん」



 素直に席についたミナトの宣言を聞いた五歳男児共は彼女をいじめの標的にしたようだ。赤い髪もまあ珍しいからな。とは言え、ここは日本と同じく排他的だなと自分の過去を振り返る。俺も絵しか興味なくてその手の才能は世界でも有名だったから異質と捉えたんだろうな、噂の的だった。いじめは無かったけど、まぁ基本一人だったし。高校に上がってからもそんなんだろうと思ってたけど、そこの高校がまためちゃくちゃで絵は本当にお前がやりたいことかよとか言われてちょっと考えたこともある。
 要するに、独りは辛いぞと言うことだ。早速いじめられそうな彼女を見てミナトにおい助けるぞと言うと「それはあの子の為にならないと思う」と言われた。
 要するに見守れと。自分が助けるから手を出すなと。



『……案外子供なんだな、お前』
「え!? どういう意味だよそれ!」
『なに言ってんだ、まんまだろ。……良いぜ、付き合ってやるよ』
「……ん!」



 ありがと、と笑うミナトにホントにそれでいいのかねえと思いながら面白くなりそうだと目を細めた。ただしミナト、お前はこれからクシナにめっちゃ嫌われるぞ。
 頬杖を着きながら男子に笑われて怒鳴り返す彼女を眺めた。


**


 あれから彼女を見守るもめちゃくちゃミナトは嫌われていく一方だ。そりゃ影から見てて目があったら逃げたて、それ一番ダメなパターンだろ。
 俺はと言うとミナトの見てないときに殴る蹴るに発展しそうになったらさりげなくそこを通って人目につかせたりしている。そのたび為にならないとミナトに叱られるが『お前目の前であの子が殴られそうになってみろ、俺みたいにさりげなく出るとか出来ないだろ、飛んで出るだろ』と告げると頬を膨らませて黙る。言い返せないんだな、わかるぞ俺正論だもんな。
 俺はちらちらなにか言いたげに視線をもらうが基本スルーだ。だって関わるとミナトがうるさいし。

 しかし、その関係も変わった。クシナが他の里の奴にさらわれた時は大騒ぎだったもののミナトと俺とで無事取り返したからだ。俺はただめざとくクシナの赤い髪を見つけたミナトに着いてっただけだがね。それからはクシナを交えた三人で行動したり。なにやら実力を発揮し始めた彼女は「トマト」から「赤い血潮のハバネロ」なんてとんでもなく物騒なあだ名がつけられるようになったし。ホントとんでもねえあだ名もらったなお前。

 そしてアカデミーを飛び級した俺達三人はなぜか教師から三人でセットみたいに見られていたらしい。おいおいマジかよ。まぁ飛び級したのはあともう一人、うちはのフガクもいるんだけど。

 本日は担当上忍との顔合わせ。誰だろうとか思いつつ両隣をミナトとクシナで固められてるのが謎過ぎる。なぜ。



『……お腹空いた』
「さっき食べたばっかじゃなかったっけ」
「ホント蒼也は食いしん坊ってばねー」
『胃袋がでかいと言えよ』
「蒼也それ意味変わんないよ」
『マジかよ』



 からからと笑う二人を眺めていたら「遅れてごめんねー」と銀髪がやって来た。顔を見ると……なん、だと。



「今日から君たちの担当上忍のはたけサクモだよ、よろしくね」
『なん、だと』
「蒼也どうしたの」
「よろしくお願いしまーす!」



 ミナトはちょっと心配そうに、クシナに至ってはスルーされた。悲しみ。いやいやそれにしてもだろ。木の葉の白い牙が担当上忍て。無敵かよ。
 固まったままの俺をちょっと心配そうに見るサクモさんに両隣二人が「基本これなのでほっといて大丈夫です!」と元気よく言っていて俺の扱いが最近酷い。



『……わりと心に来るものがある』
「自己紹介とかします?」
『おいミナトてめえ』



 頬をぐい、と引っ張れば「ごめんいひゃいいひゃい」と謝られた。なんだろうこの気持ち。
 困り顔のサクモさんに『うちのミナトがすみません』と謝罪した。ミナトにめっちゃ恨みがましい目で見られたが知らんぞ俺は。



「じゃ、じゃあ自己紹介してもらおうか! どうぞ!」
「波風ミナトです! よろしくお願いします!」
「うずまきクシナです!」
『緋宮蒼也です』



Re: 転生したら異世界なんだが ( No.3 )
日時: 2018/03/25 05:56
名前: マメツキ (ID: kIggbAFi)


 チームワークが合格の基準な下忍試験も無事突破してそこからそつなく任務をこなして原作ナルトたちのようにトラブルは起こらずに俺とミナトは13歳で上忍になった。
 そこから二年か三年ほどミナトが自来也様と修行に出たり俺が暗部に入ったりと班で行動することはあまりなくなってしまった。俺は暗部であり、活動時間が大幅に変わるため最近はミナトとクシナにさえ会えていない。
 ちょっと寂しく思いつつ祖父が亡くなる最期に作ったライフルでターゲットの頭にヘッドショットをかました。

 任務より帰還すれば、なんかめっちゃ久々にうちの班員を見た気がする。



「あ、帰ったんだね」
「ん! 蒼也!」
「おかえり!」
『ただいま……サクモ先生、』



 俺がもの言いたげに見る視線の先にはサクモさんの側にいる口布の少年がいて、まさかあやつかと思いながら疑問を口にすると「息子のカカシだよ」と朗らかに微笑まれた。そうだこの人親馬鹿なんだった。



「今年で三歳になるんだ、かわいいだろ?」
『……はあ。すげえちっせえっすね』
「違う蒼也、サクモさんが言いたいのはそうだけどそうじゃない」
『マジかよ』



 俺がカカシの頭を撫でつつちいせえと口にするとミナトにわりと真顔で肩を叩かれて首を振られた。な、なんだってー。クシナになんであんた表情変わんないのよと叱られた。表情筋が仕事しねぇからさ。
 カカシはちょっとムッとしている。ちいせえっつったのにどうやら不満があるようだ。



『……そんなに睨むなよ』
「まあ、カカシはまだ三歳だし、蒼也は俺達の中でも飛び抜けて身長高いからそう感じるのかもね」
「……ぜったいぬかすし」
『なんだコイツ可愛いかよ』



 ぶすくれるカカシの頭を撫でくりまわしたあと、サクモさんに『じゃ、失礼します』と告げると「え、もう行くの?」と引き留められた。



「久々にご飯でも行こうかと思ってたんだけど……」
『や、俺報告まだなんで……あと、流石に財産なくなったら困るじゃないですか』
「さらっと財布が空になるまで食う宣言したってばね……」
「ん! 蒼也が大食漢なのに変わりないみたいで安心したよ!」
「だねえ、店を一個潰したのはどうかと思うけど……」
「父さんたち、それなごんでいいぜんれいじゃない」



 真顔で父サクモの服の裾を引っ張ったカカシはふるふると首を振る。俺もカカシに同意したら「そうやさんがいえたことじゃないよ」と素早く切り返された。一理ある。



『そんじゃ、また』
「うん、お疲れ様」
「またね蒼也!」
「途中で寄り道すんじゃないわよ!」
『……………………努力は、できるだけ、そこそこにしようとは……思ってる』
「間があったってばね!?」
「断言しないのが蒼也らしいよ……」



Re: 転生したら異世界なんだが ( No.4 )
日時: 2018/04/01 03:57
名前: マメツキ (ID: i9Ld0l81)




 俺が17歳の、暗部総隊長としてヘッドショットを遠くからぶちかましていたその年。
 恩師のサクモさんがお亡くなりになったことを耳にした。木の葉の白い牙、そう勇名を轟かせた彼は戦場ではなく自宅で息を引き取ったらしい。……見落としていた。なにかあるんだろうとは思っていたのに。ここら辺は詳しくない、ナルト世代のストーリーのみ頭に叩き込んだので過去のことはあまり詳しくないのだ。
 しかも俺はここ半年任務で里に居なかったのだが、ミナトに聞くとサクモさんが任務より仲間を優先して掟を破ったらしい。それだけでなぜ、と思うも、それが財政に関わる大事な任務だったらしい。国民から誹謗中傷され、挙げ句助けた仲間からも罵倒されサクモさんの精神はすり減っていったようだ。

 そこで俺が心配になったのはサクモ先生のたった一人の愛息子カカシ少年のことだった。
 もちろんサクモ先生が亡くなったのはショックで、俺は別に任務放棄で仲間を助けたことが間違ったこととは思えない。死ぬ覚悟で望んでいた忍たちだったろうからその罵倒する気持ちは分かるが、生きてるだけ儲けものだろうに。
 サクモ先生への疑念の白い視線はきっと残されたカカシ少年にも向けられていることだろう。今は七歳だったか。ミナトに様子を見ているか聞けば見掛けは大丈夫らしい。ただ、掟に固執するようになり、また、あれだけ尊敬を込めて話していた父の話をしなくなったらしい。そりゃまずい。
 七歳て、前世じゃ俺小学生じゃねーの。俺たちがアカデミー卒業した歳だろ、カカシもう中忍なのかよ違うそうじゃない。

 サクモ先生の墓を参ったあと、カカシ宅に足を運んだ。ぴんぽんと鳴らしたチャイムからしばらくしてからりと玄関が開けられる。
 あのとき見た子供から成長した、普通の少年だった。目が荒んでいることを除けば。



「……そうやさん、お久しぶりです」
『おう。飯行くぞ』
「……すみません、俺今そんな気分じゃありません」
『ガキが俺にそんな口調使うな。俺腹減ってるんだよ行くぞ』
「あっ、ちょっ!」



 渋るカカシの手を引いて俺が幼い頃から通わせてもらってる美味しい定食屋に足を運ぶ。人目につくからか少年から抵抗は無かったがめっちゃぶつくさ言われた。そこら辺は年相応でよろしい。
 定食屋の、なんかもうヤクザの親分じゃねえのと言う俺の偏見からなるそんな外見のいかついおっさんに『俺スペシャルと鯖定食』と単語で注文する。もう慣れたもんだ。
 多分おやっさんの顔で客来ねーんだよ。カカシお前一瞬ビビったろ絶対ビビったろふはは俺は初回無言で泣いたけどな。

 カカシをテーブル席の俺の向かいに座らせて俺も腰を下ろした。ら、めっちゃ殺気飛ばされた。



「……どういうつもりですか」
『別に、特になにも。腹減ったから』
「蒼也お前三十分前にもここ来たろうが」
『嘘だろ』



 信頼出来ると思っていたのに。速攻で裏切られた気分だ。実際裏切られたなこれは。
 まぁ腹が減ってたのは事実だ。いかぶしげな視線を寄越してくるカカシ少年に『言いたいことがあるなら言え』と告げると殺気が増した。ここで殺気をばらまくのは不味いから引っ込めなさい。



『カカシ、殺気引っ込めろ』
「……暗部総隊長のアンタも知ってんでしょ、父さんの掟違反」
『そこはかとなく皮肉詰め込まれた気がするがそれを知ったのは一昨日だ。半年ほど里外の任務に出ててな。話はミナトから聞いた』
「掟を守らないやつはクズだ。教え子だったあんたなら薄々わかってたでしょ、父さんがクズだってことぐらい」
『とりあえずカカシ、殺気引っ込めなさい』



 聞けよ!、怒鳴ろうと立ち上がったカカシにひゅんひゅんと飛んできたヘラがごんっと激突する。あーあー、言ったのに。



「怒鳴り散らすのは別に構わねえが、飯食うとこで殺気散らすんじゃねえ」
「……」
『だから言ったのに……』



 ここのおやっさん、殺気にかなり敏感で嫌っている。俺も一回されたわ……。



『で、まあ……サクモ先生だろ? 確かに掟違反だ命令違反だ』
「……」
『でも俺はあの人がクズだとは思わない。あの人がやったことが悪いことだとは思ってない』
「……は?」
『周囲がなんの陰口叩こうが俺はあの人に憧れたんだ。尊敬したんだ。それだけは俺のなかで絶対に変わらない。
確かにカカシの言うように掟破りはクズかも知れない。
でもなあ……それは行動理由によるんだ。悪を働こうとしたものにそれは適応される、じゃあサクモ先生は? 命を救った、悪いことなど微塵もしていない。任務なんて信頼が落ちたら回復につとめりゃいい。もとに戻る。でもな、人の命は金じゃ買えない、何にも変えられない、一度失うともう二度ともとには戻らない、それきりだ。
……掟を破るやつは確かにくずだ』
「……」
『でも、仲間を見捨てるやつはもっとクズだ。
……これだけは覚えていなさい、カカシ。お前の、お父さんのサクモさんは、なにも悪くないんだ』



 だからそんな泣くなよ、と告げたらカカシは目をぐしぐしと擦って、鼻をズズッとすすって「泣いてないっ、泣いてなんかないっ!」と明らか泣きながら抗議してきた。ああはいはいと適当に返事をしてから運ばれてきた料理をしょくす為に箸を取った。



『……美味いだろ、ここの飯』
「ずずっ……ん、うん……うん、!」
『……ここな、サクモ先生にうまいとこがあるよって、つれてきてもらったとこなんだ』
「……! ぐす…う、ひぐ……」
『あーあー、もー……泣け泣けカカシ、今日は忍者なんて休んで思いきり泣いちまえ』
「ひぐ、う、うぇ……ひっ、」
『……あー……おやっさーん! ティッシュねぇー?』



 厨房の奥から鼻をすする音共に顔面に箱入りティッシュが避ける間もなく猛スピードで飛んできた。



『いってえ!』




Re: 転生したら異世界なんだが ( No.5 )
日時: 2018/04/02 02:48
名前: マメツキ (ID: i9Ld0l81)

ミナトside


『はよ、』
「おはよー蒼也」
『ん』



 アカデミーからの付き合いである言うところの幼馴染みと言う関係の彼は、なんと言うか、熱い男だと思う。
 いや、見た目が熱血漢とかそんなんじゃなくて。基本クールだけど、やるときはやるみたいな。
 彼は己の母から亡き父に重ねられ、充分な愛情もないまま育ったらしい。だから表情筋が動かないのかとか思うところはあるけれど。人に愛情を持って接していけると言うか、なんと言うか。

 不思議なやつだ。会話が噛み合わない時もあるけど、戦闘になるととたんに頼れる男に様変わりする。片手に二挺ずつの四挺拳銃と、超遠距離ヘッドショットと言うらしい狙撃の戦闘スタイルは幼い頃から既に確立されていたし、そのおかげか既に暗部に所属して総隊長と言う立場を任されていた。

 クシナの一件を経てさらにお人好しだとわかったし、先日のサクモ先生が亡くなったあとのカカシを案じてつれ出したときもそう。親しい人が困ってると見捨てられないんだなあ。あいつほど忍に向いてない忍は居ない。
 現にカカシなんて最近「ミナト先生」の次の二言目には「蒼也さん」「蒼也さん」で彼の担当上忍としてちょっと妬けている。まぁ掟に固執しなくなって安心したけど。



『……はよ』
「ん! おはよう蒼也!」
『出くわすの珍しいな』
「だね、俺はこのあと任務なんだけど……蒼也は今日非番?」
『ん。半年ずっと任務に出てたから休めって有給叩き付けられた』
「ん! 相変わらずだねえ」
『パワハラだ、これはパワハラなんだ』
「ぶっ、あはははは!」



**


カカシside


 初めて会ったときから不思議な人だった。父さんみたいに見当違いなことを言うときもあったりするけど、同じように優しくて。一度戦う姿を見てその異色さに目を見張った。
 目まぐるしく代わる手のひらの拳銃から見切れないほどの連続発砲、隠密からの超遠距離狙撃。『木の葉の狙撃手』の名は伊達じゃない。
 出来ないと分かっていても鮮烈に記憶に残って、あれほどの実力をつけたいと思った。

 父さんが亡くなったあと、あの人が訪ねてきて強引にご飯に連れていかれた。なんでも半年ほど任務で里におらず一昨日にこの事を知ったらしい。
 定食屋での掟の話。父を尊敬して憧れて、掟破りは善悪があると告げた。そこから理解出来たのは父さんは別に悪いことをした訳じゃなかったことだ。



『掟を破るやつはクズだ。でもそれ以上に仲間を大切にしないやつはもっとクズだ』



 確かこんなニュアンスだった筈。
 あの人の言うことに胸が熱くなって泣き出した。父さんの葬式でも泣かなかったのに、びゃあびゃあ泣いてしまった記憶がある。しまいには蒼也さんはあの定食屋には父さんにつれてきてもらって知ったと言うのだから、妙になにかが込み上げてきて余計決壊したのを覚えてる。
 恥ずかしさ半分と感謝半分。そしてそれを覆うほどの憧れと尊敬を緋宮蒼也に持った。俺もあの人みたいに仲間を大切にする人になりたい、強くなりたい。

 またあの定食屋にもいこうと思う。




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