二次創作小説(紙ほか)
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- 真の魔女は誰? ハリー・ポッター
- 日時: 2018/05/03 21:54
- 名前: マスカット (ID: KpEq4Y5k)
真の魔女は誰?
これは魔法の美しさに魅入られ、「魔女」と師弟関係を結んだ14歳の少女エスティルの話。
目次
第一章
1.プロローグ >>01
2.「魔女」と「人間」 >>02
3.影表し、影遊び >>03
4.タイムリミット >>04
5.忘れられない光景 >>05
6.逃亡生活 >>06
7.私のせいで >>07
- プロローグ ( No.1 )
- 日時: 2018/04/05 16:22
- 名前: マスカット (ID: eD.ykjg8)
渓谷に自然に出来た横穴の中、一人の少女と老けた雰囲気の女性が一本の杖を見ていた。
女性が言葉を紡ぎ、少女は身動きもせず杖を見る。女性が杖を捧げるように持つと、杖の前にあった大鍋に満たされた水が生き物のように波打つ。
少女は大鍋の水が波打つのをやめるまで、目を離さなかった。
また、とある古城では長い髭の老人と一匹の猫が頭を悩ませていた。老人は長い羊皮紙を掴み上げ、何かを探している。
老人の傍らにある古めかしい帽子の裂け目が動く。老人はその話す帽子の声に耳を傾けた。そのまま難しい顔で封筒と便箋を取り出す。
老人を見守っていた猫が身動きした。そのまま、猫が座っていた場所には厳格そうな老婆が立っている。老婆は何かが書かれた封筒と便箋を受け取ると、自身の執務室で手紙を書き始めた。
- 「魔女」と「人間」 ( No.2 )
- 日時: 2018/04/05 18:18
- 名前: マスカット (ID: eD.ykjg8)
私は今、杖を作っている。「新月の誕生の杖」、という名前の杖らしい。黒檀を使っているけれど、本当に新月の空みたいな真っ黒だ。とても丈夫で、決まった魔法を使うのには最適だって聞いた。
それを聞いた時、ちょっとだけ安心した。まだ魔法が上手く使えない間は、固い木材の杖の方が使いやすい。柔らかい木材は、融通が利く分使い手によって魔法が変わりやすいらしい。
私は先生に言う。
「魔法を練習するには、使える魔法が決まっている方が楽だと思います。下手に魔法を変えて、先生に迷惑でも掛けるのは嫌ですし。」
先生は普段は優しい人だと思うけれど、魔法に関しては厳しい。
「何を言っているのです。人に迷惑が掛かるとか、そういうことを気にしなくても良いのですから、もっと自由に魔法を表しなさい。第一、楽を求めるのは駄目ですよ。経験や勘をもっと大事にしなさい。」
先生に手順を時々質問して杖を作っていると、見本では簡単そうに見えても杖を作るのはいつも難しいということが分かる。
まず黒檀をすべすべになるまで磨いて、一方の端を細く、もう一方を太くする。これは均一に太さを変えるのが大変だった。
次に、杖に模様を刻む。円が複雑に絡まった眩暈がするような模様は、固い黒檀にはなかなか滑らかな円が刻めない。炭で下書きをするのも、大変だった。
苦労して杖に模様を刻んでいると、もうお昼になっていた。先生がパンとスープを出してくれる。二人で食べていると、ふと疑問が沸き上がって来た。
「先生。どうして魔女は悪評が強いんですか?」
聞くのは失礼かと思ったけれど、先生は悪人とは思えなかった。人の事を傷つけたりもしないのに。
先生からの返事は無かった。怒っているのかと思って、不安になったけれど、違うみたいだ。
先生は考えながら言う。
「そうですね...。貴方が自分の持ち物を盗まれたとします。そして犯人の候補は見知らぬ泥棒と親友です。エスティルはどちらが犯人だと思いますか?」
それは泥棒だと思う。いつの間にか知らない人物に盗まれていた方が納得できるし、親友が盗ったとは信じれないし、疑いたくない。
「見知らぬ泥棒の方が可能性としては高いですよね。知っている人が盗んだとは考えられませんし。」
先生は諦めたように言った。
「そういうことです。自分たち「人間」を疑いたくない、それよりも魔法という得体のしれない力を使う「魔女」が全て悪い。そういう風に人間にとって都合が悪い事実はどんどん「魔女」の仕業になるんです。理不尽な事ですが。」
「疑いを晴らそうとはしないんですか?」
お互いに歩み寄って疑いを晴らそうとはしないのか、不思議に思って聞く。
やっぱり先生は諦めた様に言った。
「そもそも「魔女」は魔法の真理を研究する事が目的です。ですからあまりそういう人は居ませんね。稀にいても全ての事例で失敗しています。」
その話を聞いてから、エスティルの気持ちは晴れなかった。
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