二次創作小説(紙ほか)

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【終わりのセラフ】——君ニ染マル——
日時: 2018/06/08 20:39
名前: 無印 (ID: /48JlrDe)

 はじめまして、無印といいます。読み方は、そのまま。¨むじるし¨です。

〜注意事項〜
*更新不定期
*オリキャラ登場
*残酷描写あり
*基本原作よりですが、構想の問題でカットしている部分多々あり。気になる人は、原作を

なお、注意事項は足されていく可能性大

〜目次〜
>>3

〜登場人物プロフィール〜
>>

Re: 【終わりのセラフ】——君ニ染マル—— ( No.1 )
日時: 2018/06/08 19:07
名前: 無印 (ID: rBo/LDwv)

 恐怖に顔を歪める人間を眺めながら、ボクは無造作に剣を振った。

**********

 「リーフェちゃん、暇ー?」
 「……?」

 慣れ親しんだ気配だから、本から目を話さずにいたら、考えてもみなかった言葉に私は本を近くのデスクに置き、彼を見上げた。

 少なくとも、初めてあってから変わらない美貌が近くにあった。

 というか、ズルい。

 「銀髪で長髪が似合うイケメン、ズルいですフェリドさん」
 「……相変わらず、思考が迷走しているね。リーフェちゃんは」

 思わず呟いてしまった心の声に反応された。

 迷走、少なくとも

 「フェリドさんよりはマシですかね」
 「そして正直」

 ニコニコと楽しそうに笑いながら、向かいの椅子に腰掛けるフェリドさん。

 イケメンは、何をしても絵になる。足を組む姿とか特に。

 ただ興味深そうに、部屋を見渡し首をかしげられた。

 「で、暇?」

 部屋を見渡したわりには、部屋のことは突っ込まず、自分の用を言う姿は、流石である。

 「流石にそれだけじゃ、わかりませんよ。」
 「楽しいことかな?」

 楽しいこと。とても魅力的な言葉ではあるが、フェリドさんは吸血鬼である。人間と感覚が違う。もっというなら、フェリドさんは人間で言う変人である。いや、吸血鬼だから変吸血鬼か。

 不完全とはいえ、人間から外れた吸血鬼の私の楽しいことと一致するかはまた別問題である。

 「ちなみに、クローリー君もよびます」
 「喜んでお付き合いさせていただきます」

 私は欲望に忠実である。フェリドさんの言葉に、私は手を握り締める。

 すぐ会えるフェリドさんと違って、クローリーさんとはたまにしか会えないのだ。会いに行こうにも、五月蝿いのが近くにいるから我慢していた。

 そのクローリーさんに会えるなら、参加する価値は充分にある。

 それを力説すれば、フェリドさんは「あいかわらずだね〜」と苦笑する。

 そうだろうか。少なくとも、昔はこんな性格ではなかった気がする。まぁ、自分では客観的にみれているかは分からないから、案外こんなもんかもしれない。

 「じゃあ、リーフェちゃんは参加と。」

 話は終わったのだろうと判断した私は、立ち上がり扉へ向かう。

 「行ってらっしゃ〜い。あ、会議には出席してね」

 後ろからかけられた声に、振り向く。ツッコミたい所は、たくさんある。表情は相変わらずニコニコと楽しそうで、何が楽しいかとか。ここは私の家ではあるけど、フェリドさんの家じゃないから「行ってらっしゃい」は違うんではないかとか。でも何よりも

 「フェリドさんも、ほどほどにした方がいいですよ」

 流石に私でも、フェリドさんが何かをやっているのは分かる。ぽかんとしているフェリドさんを見ながら、私は首をかしげ言う。

 「何事も、命あってのことですからね」

 こればかりは人も吸血鬼も変わらない。死んだらそれまでた。人と吸血鬼が変わる事といえば、どの程度の傷で死ぬかだろうか。人で即死の傷でも、吸血鬼で即死はしないだろう。だが、吸血鬼も万能のようで不便である。吸血鬼にも死は訪れる。必ず。

 「死んだら、それまでですから」

**********

 私の正体を知り、ある意味で私と同質の存在になった彼は、私を責めることはなかった。

 「なにか用、リーフェちゃん」

 そして、初めて会った日から変わらない態度をとってくれる。

 「んー」

 それが、なんだか心地いい。ある意味では、私は彼等の敵になりえる存在なのにだ。

 多分、問い掛けには答えは必要なかったのだろう。彼は、私の曖昧な態度を気にすることなく言った。

 「優ちゃんを助けたい。力を貸してくれ」

 あの時から変わらない、真っ直ぐな瞳。私は答えることなく、椅子から立ち上がり背を向けた。

 「そうだ。同じ部隊みたいだよ」

 ただ、一言告げて

**********

 おそらく撤退するだろう。人間の本隊が到着した今、わざわざ死に急ぐ必要はない。

 きっと、フェリドさんの目的も達成している。心配事は優とミカだろうか。

 優はやさしい。やさしすぎるのだ。おそらく、皆殺しにして撤退したら悔やむのだろう。

 そして、優第一のミカも同じだ。何だかんだ、ミカは優を尊重する。それなら、優の事を今回は諦める必要がある。

 ミカが大人しく撤退できるか。まぁ、フェリドさんがなんとかするだろう。

 だとしたら問題は一つだけ。出来るだけ先程の出来事から目をそらさせる必要がある。箝口令が出されようと、記憶に熱烈に刻まれてしまえば……。

 フェリドさんがミカを連れ撤退するのを見送り、聞こえているかは分からないが 「ちょっと、遊んでから帰ります」と言う。

 耳のいいフェリドさんのことだ。多分、聞こえているだろう。

 逃がすとでもと、目の前の人間はほざくが違う。逃がせざるおえない状況に追い込んでやるだけだ。

 そしたら、身体能力の高い彼等は勝手に撤退する。

 「遊ぼうか、人間」

 先程の出来事を考えられないように、暴れまわろうか。

 さて、何人殺せば諦めて退くかな。

 剣を抜いたと共に、何かが吹き飛ぶ。ひょっとしたら、身内もやったかもしれない。だが、逃げ遅れた彼等が悪いと開き直る。

 「余所見していると、死ぬよ」

 可愛らしく忠告をしてあげながら、ボクは剣を持つ手を振った。

Re: 【終わりのセラフ】——君ニ染マル—— ( No.2 )
日時: 2018/06/08 19:10
名前: 無印 (ID: rBo/LDwv)

 序章、更新。

 序章なので、色々抜粋していますが、まぁ伏線です。

Re: 【終わりのセラフ】——君ニ染マル—— ( No.3 )
日時: 2018/06/14 18:46
名前: 無印 (ID: 9AGFDH0G)

*第一部、「君笑ウ」
 ・序章 >>1
 ・第一章、「私ト青年」 >>4-5
  ・間章、「死鬼ト不自然ナ子供」 >>
 ・第二章、「生ト死」 >>
  ・間章、「怒リノ声」 >>
 ・第三章、「友人」 >>
  ・間章、「似タ者同士」 >>
 ・第四章、「色オチル」 >>
 ・終章 >>
*第二部、「君想ウ」

*第三部、「君ニ染マル」

☆章題等、変更する可能性あり

Re: 【終わりのセラフ】——君ニ染マル—— ( No.4 )
日時: 2018/06/09 14:41
名前: 無印 (ID: a0p/ia.h)

 私の世界は、彼により——いや彼等により構成された。だからこそ、それ以外は、無価値であった。

**********

 私には記憶があった。うっすらとだが、自分ではない人の記憶。名前はわからず、性別もわからない。しかし、確かに自分以外の人が、自分の中にいる。気味が悪い。

 幼かった私には、分別がつかなかった。気味が悪く。ただ、誰かに話したかった。楽になりたかった。だからこそ、他者に話していい内容の区別がつけられなかった。それゆえに、安易に喋った。喋ってしまった。今、思えば純粋すぎたのだろう。その結果、実の親に捨てられた。

 その後は、ある施設で育った。親はさすがに道端に私を捨てることなく、また、殺すことなく、施設に置いていった。幸運に思わなければいけない。彼等が私に手を出さなかったことを。施設での私は、喋らなかった。幼心にあれはいけないことだと理解したからだ。だが、何をすればいいか、何を話せばいいか分からなかった。ゆえに、周囲に馴染むことが出来ずに、ただ、時だけが流れた。

 その結果、無表情で何を考えているかわからない子供——すなわち、私ができた。

 私の判断は、また間違えたと理解したのは施設の人間に捨てられた時だった。

**********

 目の前の青年は、ニコニコと楽しそうに笑う。

 捨てられた私は、ある青年に拾われた。青年は若い見た目だが、ずっと年上らしい。んで、吸血鬼らしい。吸血している姿は見たことがない。でも、八重歯があるし、多分本当のことなんだろう。はじめは、非常食あるいは、常備食の為に連れてこられたのかと思った。

 何が楽しいのかは、よくわからない。私がボーとしてようが、黙っていようが、楽しそうに私を眺めていた。何が楽しいのだろうか。

**********

 何か会話があるわけもなく、ただ時だけが静かに、穏やかに流れていった。

 そんなある日、青年は二人の青年を連れてきた。

 多分、同族。いわゆる、吸血鬼。そして、ふと思った。青年が三人になってしまった。と

 今まで、この空間は青年と私しかいなかった。だから名前を必要としなかったのだ。

 「君達が来たいと我が儘を言ったから連れてきたんだ。おいたは、しないでくれよ」

 青年は、そう連れてきた青年二人に告げ、私を紹介しようとして、黙り混む。

 そして右頬を右手で掻きながら、私に振り向き言った。

 「名前なに?」と。

 だが、この言葉に私は返す言葉がなかった。

 ただひとつ言えたのは、黙っていてはいけないということだった。

 青年は、焦らさず待っていてくれた。

 「…………ぃ」
 「ん?」
 「…………ない」

 私の言葉に青年は「ナイちゃんか」と笑う。違う。そうではない。いや、私の言葉がいけなかった。

 「名前、ない」
 「ん?」
 「名前、知らない」

 長年、会話を拒み続けていたからか、上手く言葉が見付からずに、たどたどしくなってしまう。

 それでも青年は、私に近付き目線を合わせた。

 のちに、この時の事を聞けば、私は泣き出しそうになっていたらしい。

**********

 青年に抱き抱えられ、そのまま椅子に座る。

 正直、はじめてのことである。

 「さすがに、イオ君のお気に入りを殺すバカいないって」

 向かい側に座った、一人の青年の言葉に納得した。青年達は男で大人で吸血鬼である。確かに、私を殺すのは簡単だろう。

 だけど、ズルい。そこまで、考えて私は考えるのを止めた。私はズルいと思った。でも、なんでズルいと思ったのか、よくわからなかった。

 そもそも、会話をしなかったのは私が悪い。だから、名前を知っているのをズルいと考えるのがオカシイのだ。

 「名前がないのは、不便だよねぇ。どうしよっか?」

 首をかしげて、覗きこむようにされ、思わず仰け反る。だけど、よく考えたら抱き抱えられているわけだから、あまり意味はなかった。それどころか、先程よりずっと距離が近付いた気がする。実際、むぎゅーっと抱き締められていた。

 青年は気にすることなく、ブツブツと呟く。

 確かに、不便ではある。青年と私だけなら問題はなかった。それもそれでどうかとは思うが、問題なかったのだ。

 ふわりとした浮遊感。青年にぞくにいう、高い高いをされたと理解した時には、地面に下ろされていた。

 「リーフェってどうかな?」

 意味は、わからなかった。いわゆる、名前の由来というもの。でも、不思議と嫌ではなかった。それは、名前が気に入ったからか。青年がつけてくれた名前かはわからなかったが。

 のちに青年に、名前の由来を聞いた時、やはり青年は変わり者だと確信した。

Re: 【終わりのセラフ】——君ニ染マル—— ( No.5 )
日時: 2018/06/14 18:45
名前: 無印 (ID: 9AGFDH0G)

 あれから、彼等はイオさん——あの後、無事に青年の名前を聞いた。名前はイオリス・ガーディアンというらしい——がいないときも、部屋に訪れるようになった。

 何が楽しいかはわからない。一喜一憂している。いや、一憂はみていないから一喜だけかもしれない。

 ポニーテールの銀髪イケメンのフェリドさんと、三つ編みイケメンのクローリーさん。

 どちらかと言うと、フェリドさんにクローリーさんが巻き込まれている感が凄いある。来る比率は圧倒的にフェリドさんが多いし、クローリーさんが単体で来ることはまずない。大抵、フェリドさんに連れて来られている。

 事実、今日もフェリドさんに連れて来られたみたいだった。

 ただ、私は二人——いや二吸血鬼のことが嫌いではなかった。彼等の怖いところを見たことがないからか、あるいはイオさんが連れてきたからか、あるいは彼等の事を気にせずに過ごしていても問題ないからか。

 「にしても、いつにもまして小難しい本を読んでいるねぇ」

 私は普段、本を読んで過ごしている。私は人間である。貴族のイオさんの庇護を受けていても、吸血鬼の住処を歩き回るのは危険であるから、一緒でないと出歩けないと昨日聞いた。もっとも、言われるまで外出のことなど考えていなかったが。

 本に栞を挟み顔をあげたら、隣に乱雑に積み上げていた本をフェリドさんが眺めていた。クローリーさんはソファーベッドで、自分の家のように寛いでいる。

 今、読んでいる本のシリーズは中々に興味深く面白い。犯罪心理学から、死の定義やら、考えさせられる内容である。また正解が一つだけではないのがいい。複数の視点から考察しているのだ。

 「そうですか?面白いですよ」

 人の感情ほど、分かりにくいものはない。笑っていても、逆の事を思っているかもしれない。いや、これは人に限った話ではないけど。でも、正直に言えば吸血鬼の方が、分かりやすいかもしれない。

 一つに執着を見出だす種族、貪欲に複数の執着を見出だし執着されたい種族。どちらがいいかは分からないが。

 その事を、淡々と告げればフェリドさんに頭を撫でられた。

 皆、撫でるというか触れ合うのが好きなのだろうか。フェリドさんはよく撫でてくるし、クローリーさんは高い高い、イオさんはぎゅーと抱き締めてくる。とはいっても、関わっている吸血鬼は変わった吸血鬼だからなんともいえないが。

 あ、

 「幾つか、御伺いしたいことが」
 「ん〜?」

 私が、気になっていたことを聞けば、フェリドさんは楽しそうに笑い人差し指を口許に持っていく。

 「時が来れば分かるよ。きっとね」

 この時の私は、フェリドさんの言葉を文字どおりの意味で受け取っていた。しかし、私は本当の意味で知ることとなる。

 薄々と、手引きをしたのはフェリドさんではないかと思う。けれども、不思議と怒りや怨みは湧き出てこなかった。

 ただ、必要なことを行ったのではないか。それこそ、呼吸するかのように。


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