二次創作小説(紙ほか)
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- 落ちませんトモ!オリジナル
- 日時: 2018/06/16 09:36
- 名前: 花星みくり ciao (ID: 3KWbYKzL)
「ねぇ、ママ。恋って?」
「人を好きになることよ」
「じゃあ私、ママに恋したぁ」
「あら、ありがとう。美冬」
その時は、まだ、小さくて、あまり記憶がなくって。
恋ってたんなる人を好きになることだって。
そんな6歳の時、あの時だった…。
「やぁーい、やぁーい」
「お前、恋なんて知ってるのか?」
「ばっかじゃねーの?」
好きな子に好きっていったらまわりから馬鹿にされた。
まだ覚えてる。悲しかったなぁ…
それ以来、この10年間、恋に落ちるなんて馬鹿げてるって思って
恋なんてしようとも、しなかった。
「あのーっ」
「何?」
誰かに声をかけられた。それは男の子だった。
「その…好きです」
「え?」
好きって、なんだろう。落ちようともしなかったし、こんなの予想外。
「好きです!女の子として」
こういう時はどうすれば…
「私、あなたのこと知らない。名前教えて」
とりあえず聞いておかなきゃ。
「あ!すみませっ。僕は‥」
焦ってる様子で、「ん」を入れ忘れてる…。少し笑っちゃう。
「秋野とうまっていいます」
「あぁ、秋野とうまくん、私、誰とも付き合わないの」
「え…?」
きっぱり言った。いうしかないから。それで後悔なんてしない。
「そう、ですか…」
すごくショックだったのか、壁にぶつかったりしている後ろ姿をみてそう思ったのだ。
今のは…いいすぎたかな…
「ふったね…あの子結構人気なのにさぁ…」
「あーあ、勿体無い…私だったらOKするな。だって何も嘘つかなそう」
「そうだね…」
皆、いいじゃない。私だって、好きになるのは家族だけって…
帰り道…
「美冬さーんっ」
元気な声って…もしや…
「とうまくんっ?なんで…」
「あれれ?気づいてなかったんですか?僕と美冬さん、お隣ですよ」
え、ええぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!
「まってまって…今整理する…、君は私に告白してきた…?で、帰り道であったと思えば…『お隣の家』っ?!
「はい」
「あれれ…もしかして、とうま…くんだっけ…。あの…私が林檎あげた人!?」
「うん、そうですよ」
「あ、あぁ…思い出したよ…。あと、敬語はいいよ。同級生だし」
「そ、そう……ですか?」
「だーかーらっ敬語はいいのっ」
「は、チガウ…。うん!」
なんなんだ…この少女漫画みたいな空気!どこのヒロインだって…!
「あ、私1人暮らしなの。だから…なんかあったらいっていいからね」
「うぅっ。嬉しい!うんっ」
女の子みたいだなぁ…年下みたいで可愛いっ…
あれ。なんで私、男の子に笑ってるんだろう…?
ううんっ、恋じゃないっ、友達っ。と・も・だ・ち。
「そうそう、美冬さん、また登校一緒にいかない?」
「いいけど…ジロジロみないでね?ふったんだから」
「いいんですよっ、笑いましょっ」
「そうだねっ」
あーあ、なんか楽しい。あれ…
『美冬ちゃん、恋ってね、知らぬ間に落ちてるものなの』
「落ないっ」
「?どうしました?あぁ、あと、敬語にしますね。礼儀として」
「うっ、なんでもないっ。敬語ね。はいはい」
落ちてる…もの…?私はどうなんだろう。お母さん、どうなのかな。
「好きって気づいた、あの時、僕は告白したんです」
「ねぇ、怖いって気持ちはないの?ふられたりしたらどうしようって」
「ないですよ。好きって気持ちに恐怖なんていりませんから」
『恋にはね、沢山の好きなところもあれば、少しの嫌いってあるかもしれない。だけど嫌いは、お互いに直せば、きっと幸せになれるはずよ』
好きな…人…。幸せ…
「美冬さーんっ」
「あっ。あのね、お話があるんだけど、いいかな」
「は、はぁ」
「じゃあ、話すよ。私ね、人を好きになるって簡単だと思うの。とうまくんは、簡単に私を好きになったの?」
「そんなっ、違いますよー」
「私の嫌いなところはある??私の好きなとこは?」
「僕は、唯一嫌いなとこ、それは、僕を好きになってくれないところです」
「えっ。」
本当に、とうまくんは予想外すぎる。
あったと思えばいきなり告白されて、ふられたのに笑って。
「だからっ、ほんとにダメですか」
『恋ってね、落ちてるもの』
それは本当だった。こんなに嬉しくて楽しくて、心が騒いだのは初めて。
この人なら、私を…幸せにしてくれる?
「もし、私を幸せにできるなら、付き合うよ」
「ほんとっ?僕、幸せにするよっ、美冬っ」
嘘をつかないのか。嘘をついたとしても、悪い嘘じゃないはずだから。
「信じるよ」
「ありがとう」
「とうまくんっ、いや、とうまっ」
『きっと、美冬は、幸せになれるはずよ』
お母さん、ありがとう。わかった。どうして恋をしたくなかったのか。
後悔じゃなくて、怖かったんだ。
恋って、人を幸せにできる、魔法なんだね。
魔法は、あったんだね。お母さんが魔法をくれたんだ。
『恋の勇気』ってやつを。
とうまを信じる。とうまを信じるよ。
お母さんはお父さんを信じた。
お父さんもお母さんを信じた。
だから、幸せになれたんだ。
もう怖くない。怖いものは打ち消していけばいいんだ。
2人で。落ちたんだね
オワリend 花星みくり