二次創作小説(紙ほか)
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- 特殊村
- 日時: 2018/07/08 23:11
- 名前: 水根 鳴海 (ID: AHLqKRWO)
- プロフ: http://tokusixyumura.
特殊村
水根 鳴海
ここは特殊村、センスの欠片もうかがうことは出来ない名前だ。
ここは名前の通り特殊な者しかいないと言われつけられた名前だ。普通の人間はまず近寄ることすらしない。
そんな村にまた一人変な奴、いや訂正しよう。
〝特殊な奴〟
がまた一人、村に受け入れられようとしていた。
これはその一人と特殊な人間達のお話。
第一話 アムという人
「んん……ここは……」
目を開けると、自分が草原に横たわっていることが分かった。
空を見上げれば曇天という言葉がよく似合う様子でいつ雨が降り始めてもおかしくない状態のようだった。
「どこ? ここ、痛っ」
意識の覚醒と共に痛覚も目覚めたようだった、頭に鈍い痛みが走る。
また今までなにがあり、なぜ私がこんなところにいるのか含め多くの記憶が欠如していることに気付いた。
「私は……誰だ? なぜここに居る?」
頭を抱えるため触れるとぬるっとした感触を覚えた。手を視界の前に持ってくると手が赤く染まっていた。どうやら流血しているらしい。
気付くと同時に意識が急速に遠のいていっ
た。
「ねぇなんか倒れてる人がいるんだけど、どうする?」
「そいつの状況は?」
「外傷は見た感じ頭からの流血、多分貧血で意識失って倒れた。」
「……仕方ない、ここで見捨てたら弄さんにまた小言をいただくことになる。回収して3番で寝かせとけ。」
「了解」
そして記憶の中ではまだ二度目の覚醒なのだが、一回目と同じなのは
「ここ…どこだろ」
結局どこか分からないこと。
そして違うところが
「あー起きた、弄さーん起きましたよー。」
人がいて家の中ということだ。
なんか大きいアイマスクをした女性がベットの横で僕を見ながら叫んだ。
「んあぁ起きたか、具合は?」
奥の部屋から男性がまた一人出てきた、この人が弄さんだろうか。パッと見30代前半程度の男性だ。
「あっはいおかげさまで」
「よし話せる程度には回復したみたいだな。じゃあいくつか質問するが、いいか?」
私は特に拒否もせず答えていった、と言っても私が答えられたのなんて
「性別と年以外ほとんど覚えてない…か…」
という程度だった、自分でも驚いてるというかこれって…
「記憶喪失じゃないですかそれ」
後ろの女性が言った
「そうだなぁ、しかし名前も思い出せないか…参ったなこりゃ」
「あのー」
そろそろこちらからも仕掛けてみる
「結局ここってどこなんでしょうかぁ…」
「あぁ? あぁ悪い説明してなかったな、ここは」
「特殊な人間が募る “特殊村”さ」
「特殊……村……?」
聞いたことない地名だった。日本にそんな変な名前の村があるのだろうか。まぁ目の前の人達が日本語を話しているから日本ではあるんだろうが……。
そしたら奥の女性は突然笑いだして
「ふふふ……センスの欠片も無い名前だよねぇ、村民からも不評なんだよこの名前、弄さんいつ改名すんの?」
「うーん俺はいいと思うんだけどなぁ…?」
成程私の感性は間違っていなかったらしい。
「で? 君名前は? 俺は…まぁこいつがさっきから言ってるけど弄って言う。この特殊村の村長だ」
「で私が幸、特殊村村民、不眠症だよ。よろしく」
「はぁよろしく……。」
おずおずと差し出された手を握り返す。意外なのか手は柔らかかった。
「しかし呼ぶ名前もないのは正直面倒だなぁ…なぁ君」
唐突に呼ばれ、少々驚きながら返事をする。目の前の彼は予想外にもニヤッと笑って
「ここには特殊…まぁ訳アリな奴らばっかいる。そんな奴らは基本過去の名前なんて捨ててんのさ。こいつも俺も」
改めて考えてみると名前を名乗る時名字まで名乗らないのは違和感を感じる、二人とも珍しい一文字の名前なのも違和感を増幅させている。
「そこで本題だ、君名前覚えてないなら話が早い。偽名作って記憶戻るまでここ…特殊村に住まないか?」
今日はいろんなことが起こったが、これが一番驚いた。正直初対面の人に対して自分が村長やる村に勧誘するなんて普通じゃない。あぁそうだったこの人達は特殊なんだった。
しかしこの非現実的状況に少なくとも、おかしくもワクワクし始めているのも事実であり、私はすぐに答えてしまった。
「あっはいじゃあよろしくお願いします。」
なぜそういったかは今となっては分からない。ただ先程言った通り私はただ無根拠にワクワクしていた。
「うっし決まりだな、じゃあ次は名前だが……なんか思い付いたのあるか?」
幸さんがスッと手をあげて
「あぁ二人ともなにも思いつかないなら私がつけてもいいですか?」
「なんだ?」
私の名前のことだあまり変なことは言わないでほしいが
「記憶喪失って英語でアムニージャって言うんですよ、なんでもじってアムでいいんじゃないですか?」
そうして私はアムと名付けられ、特殊村で過ごすこととなった。