二次創作小説(紙ほか)
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- 君に溺れて愛に溺れて
- 日時: 2018/07/05 21:22
- 名前: miimi (ID: IWyQKWFG)
君の所為だよ、こんなに想いが溢れるのは。
君の所為だよ、涙が溢れるのは。
君の所為だよ、好きになっちゃったのは。
彼女に出逢ったのは、中学一年生の春だった。
その日は、入学式で。
身体が弱かった僕は、今まであまり学校に行った事がない。
初めての学校にワクワクしていた。
先生は、どんな人なんだろう。
友達ができるかな。
そんな感じ。
桜をふと見ると、風が舞う。
綺麗だった。
まるで、僕が入学するのを祝福するかの様だ。
思わず微笑むと、背後から声が聞こえる。
「綺麗ね。」
振り返ると、長い黒髪の綺麗な子が立っていた。
同じ中学の制服だった。
「そうは思わない?」
透き通った声が聞こえてくる。
「うん。思うよ」
僕が言うと、彼女は大きな目をスッと細めた。
「私、桜が好きなの。」
髪が風になびいて邪魔なのか、耳にかけながら言う。
「だって、綺麗でしょ。」
僕を見ないで続けた。
「でもね、その分悲しいの。」
「なんで?」
すると、彼女が僕を見てふわりと笑った。
「いつか、散ってしまうんだなぁって考えると。悲しいの。
こんなに綺麗なのにいつか散っちゃうなんて。でもね、思うのよ。
来年また見ようって。来年まで生きていようって思えるから。
彼女達は、私の生きる糧なの。」
思わず笑ってしまった。
「彼女達、なんだ。」
「だって、女性っぽいでしょう?」
顔を見合わせ、笑い合う。
僕は、「それに」とつけたす。
「生きていようって、君にとってそんなにも死は身近なの?」
「…わからないものよ…。人がいつ死ぬかなんて…。私だけじゃない。
みんなにとって、死は身近だと思うのよ。」
彼女は、寂しそうに微笑んだ。
「おかしな事言っちゃったわね。」
「そんな事ないよ…。僕も、そう思うから。」
僕の言葉に驚いたみたいだった。
まるで、初めてかのように。
「……そう、そうね。ありがとう」
また、笑った。
綺麗、だった。
また会えるといい。
また会えるといい。
胸に何か暖かいものが広がった。
「如何いたしまして」
一体、これは何だろう。
「もう、行きましょうか。遅刻しちゃうわ。」
タッタと走って行く。
「さようなら!」
後ろ姿のまま叫ぶ。
「あっ、そうだわ!忘れてた!」
くるりと彼女が向きを変える。
「私、舞!小笠原舞!」
僕もスゥッーと息を吸う。
「僕は、金田尚!!」
舞は、小さく口角をあげると手を振って走って行った。
今思うと、この時から恋してた。
新入生代表で、舞が出てきた時はびっくりした。
壇上の上の舞は綺麗で、凛々しくて。
目を奪われた。
同じクラスで、席も隣で。
幾ら何でも偶然が重なり過ぎていた。
舞が話しかけてくる。
「さっきぶりね、金田君。」
「うん、小笠原さん。」
こうやって、会話をするだけで喜びが溢れ出そうだった。
「同じ学校ってことは、制服でわかったけど、まさかクラスも一緒で席も隣なんて…。」
舞も嬉しそうに笑う。
どんどん、心を奪われていった…。
舞は、悪い子だよ。
愛している人がいるくせに。
僕を虜にするなんて。
舞はずるいよ。
いつだって。
僕ばかりがこんなに好きなんだ。
願いが叶うのなら、舞と会う前に戻りたい。、!!!んなタナナナキカカサカカ抱き締められるもちよ
この恋心を無くしてしまいたい。
「尚くんっ」
胸が苦しいんだ。
如何しても忘れられないんだ。
舞の優しい声を。
舞の綺麗な笑みを。
涙がとまらないんだ。
会えば会うほど好きになってく。
でも、今日断ち切るよ。
君への恋心。
勇気を出せ!!金田尚!
踏み出せ!!
「あ、尚くん。遅かったわね。」
優しく舞が微笑んだ。
ぎゅっと抱きしめる。
「わっ、何?尚くっーーんっ!?」
僕は、強引に舞の唇と自分の唇を重ねた。