二次創作小説(紙ほか)
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- 勿忘草
- 日時: 2018/07/07 15:23
- 名前: nanako& ◆xeRP5peGjo (ID: wJzAqpnE)
勿忘草 一,幸せ
カ「ハニー!」
「あ、カラ松くん!」
黒い革ジャンを着た人が手を振りながら走って来ると思ったら私に会うなり抱きついてくる。
カ「会いたかったぜマイスイート!」
カラ松くんが額にキスをする。
「ちょっと、ひとが・・・」
抑止も効かず、頬や鼻と・・・顔中にキスをされる。
「ちょ、カラ松くん・・・!」
カ「ん〜?生憎俺はハニーを愛でるのに忙し・・・」
「人が見てるでしょ!」
恥ずかしさと人目を気にしない無神経さからカラ松くんにビンタをかます。
カ「・・・っつ、今のは効いたぜ。」
「ごめん、カラ松くん!大丈夫・・・じゃないよね。」
カ「ノープロブレム。俺もつい調子に乗ってしまったからな。
それにしてもハニー、早く来すぎだ。まだ約束の十分前だぞ?」
「折角きてもらってるのに待たせたくないの。」
カラ松くんの住んでいる赤塚町は私の住んでいる町の隣だ。そのため、会う時は大体カラ松くんが電車できてくれている。
カ「それにしてもだな・・・」
「私が勝手に早く来てるんだからいーの。そんな事よりこれからどうする?」
カ「フッ・・・。今日のデートプランは俺に任せてくれないか?」
「え、勿論いいけど。」
いつも私にデートコースをほとんど任せるカラ松くんがリードしてくれるのはめずらしい。
期待と不安を抱えて手を引かれるままついて行くと、着いたのは自分の顔をプリントしてくれる訳のわからん服屋でも釣り堀でもなくオシャレなカフェだった。
「え?ここ?」
カ「き、気に入らなかったか?」
「いや、全然そんなんじゃ無いけど。」
何故君がこんなオシャレな店をチョイスできたのかと聞いているのだ。
カ「ここは猫カフェになっていてな。〇〇の猫好きは知っているぜ?ビンゴォー?」
空いた口が塞がらない。
何なんだ今日の君は。センスの塊じゃないか。
「ん、美味しい。」
カ「む、そうか。」
カラ松くんが私の口に付いたクリームを取って食べる。
カ「うん。ベリーデリシャスだな。」
「な、何を・・・!」
カ「照れた顔もソゥキュートだぜ?」
私の顔が赤くなるのを見てからかう。
何か今日のカラ松くん、ずるい。
カフェを出ると、次は私が気になっていた映画を見に連れて行ってくれた。
映画を見終わってフラフラ歩いていると、気付いた時にはもう五時三十分だ。
カ「もうそんな時間か。そろそろディナーにしようか。」
「そうだね。」
軽い足取りで行って着いた所は、チビ太くんのおでん屋さんではなく夜景が綺麗なレストランだった。
「え?え?」
カ「どうだ?今日の主役にぴったりな店だろう?」
席につこうとするカラ松くんを慌てて引き止める。
「ごめん、私給料日前だから払えない。チビ太くんのとこ行こ。」
カ「何を言ってるんだ。流石に今日はハニーに払わせる訳にはいかないさ。」
「尚更だめ!もうすぐチョロ松くん達の誕生日でしょ!?こんな所で使うくらいならプレゼント買ってあげて!」
カラ松くんは少し驚いた顔をすると、私の頭をポンと撫でる。
カ「もちろんブラザー達のバースディを忘れた訳じゃない。だが今日は何も考えず俺に格好つけさせてはくれてはくれないか?」
「じゃあ、今日はご馳走になろうかな。」
カ「あぁ、そうしてくれ。」
あぁ、幸せだ。私達の住んでる町の夜景を一望しながら美味しいお肉を食べている。それに何より・・・。
「ふふっ、カラ松くんってお肉なら何でもいいの?」
カ「あぁ、大体肉は好きだな。無論、一番はハニーの作った唐揚げだが。」
「嬉しいこと言ってくれるねぇ。」
目の前に幸せそうな顔をしたカラ松くんがいる。
カ「しかしあれだな・・・。」
「?」
カ「ハニーの生まれた日を祝える俺は幸せ者だな。」
「え?」
カ「どうかしたか?」
「今何て・・・。」
カ「ハニーの生まれた日?」
「えぇーーーー!?」
すっかり忘れていた。そうだ私、今日誕生日なんだ。
カ「まさか、忘れていたのか?」
「完全にわすれてた・・・。この頃仕事が忙しくてそれどころじゃなかった。」
カ「oh・・・。あれほど適度に休みを取れと言っているのに・・・。」
「っていう事は、今日のデートコースって事前に考えててくれてたの?」
カ「あぁ、少し前からな。」
「凄く嬉しい・・・。ありがとう。」
それからも話をしながらのんびり食べていると、店員さんから閉店時間を告げられ店を後にした。
「うそ!もうこんな時間!」
カ「終電終わってるな・・・。」
「じゃあ久しぶりに泊まっていきなよ。」
カ「そうだな。お邪魔させてもらおう。」
これは余談だが、私達はこれまで互いの家に泊まることはあってもまだいわゆる体を重ねた事がない。
だから今の泊まるというのは特にそういうことをさしているのではない。
「カラ松くんお風呂しといたから先にどーぞ。」
カ「あ、あぁ。すまない。」
カラ松くんの後に私が入って出てくるなり、カラ松くんがこちらをじっと見ている。
「どうかした?」
カ「いや、その・・・。綺麗だと思ってな・・・。」
「本当?もうお化粧落ちちゃったよ?」
よいしょ、とカラ松くんの隣に腰を下ろす。
カ「もちろんいつもの格好も凄く綺麗だが、こっちの方が・・・幼くて可愛い。」
まだ少し濡れている髪をいじりながら言う。
素で喋るのはずるい。本当にずるい。
「あのさ、カラ松くん。」
カ「?」
「確かに今日は私の誕生日なんだけど、私達が付き合って丁度半年になる日でもあるんだよね・・・。」
カ「え。そ、そうだったのか。すまない。忘れてた。」
「いやいや。私も祝って欲しいとかじゃないんだけど、 一応プレゼントを・・・。」
カ「本当か!?それは嬉しいな。」
頭に血がのぼって言葉が詰まってしまい、ゴクリと息を呑む。
「わ、わわわ、私とか・・・。」
カ「はひ!?」
二人で顔を真っ赤にして黙り込む。
「だ、だから私を・・・」
カ「あー!あー!レディがそういう事を言うんじゃない!」
「もちろんいらなかったら無理して受け取らなくても・・・」
カ「ち、違うんだ!俺は・・・もっとハニーを大事にしたいんだ。」
いつもの優しい言葉に一瞬胸が締まり、カラ松くんにキスをする。
「大事にしてもらったよ。それも十分過ぎるくらい。」
カ「・・・っ!!」
次の瞬間、ベッドに押し倒される。
カ「怖かったら言ってくれ。傷付けたくない。」
「うん。」
カ「愛してる。〇〇・・・。」
「私も、愛してる。カラ松くん・・・。」
引き寄せられるように唇を重ねた。
・・・・
「ん・・・。」
目を開けると、隣でカラ松くんがまだ寝ていたので、後ろから抱きしめる。
まだぼーっとして体の熱が冷めない。
「カラ松くん。」
カ「お、おはよう・・・。」
ビクッと体が跳ねる。
「ご、ごめん。寝てると思って・・・!」
離れようとすると、カラ松くんがゴロンとこっちを向いて正面から抱きしめられる。
カ「あまり、可愛いことをしないでくれ。」
更に顔が赤くなる。
「あの・・・、カラ松く・・・」
頭を上げようとすると上から目隠しされる。
カ「好きだ。」
「・・・っ」
あぁ、この人はいつもいつも。昨日の夜だって何十回、何百回言われたか分からない言葉だけど、体の芯まで思いが伝わってくるようで、毎回胸がグッと締め付けられる。
私には、凄くもったいなく感じる言葉。
「私もだよ。これから先もずっとカラ松くんが好きだよ。」
カ「じゃあ俺は生まれ変わっても〇〇を探してまた俺のハニーにしよう。」
「ふふっ、何それ。」
カ「出来るさ、だってこうしてハニーと出会えたのもディスティニーなんだぜぇ?」
いつものイタさが戻ってきたが、アバラの痛みとは別にまた胸がグッと締め付けられた。
「本当に?生まれ変わってもまた好きになってくれる?」
私の返しが予想外だったようで、少し驚いた顔をして私をまたギュッと抱きしめる。
カ「あぁ、約束する。」
その後、私が遊びに来たいのもあってカラ松くんの住む赤塚区まで送りに来ていた。
カ「すまないな。ここまでついてきてもらって。」
「いいよ。私が勝手についてきたんだから・・・あ!あの猫、一松くんの友達かな?」
道路の真ん中で寝ていた黒猫を抱き上げる。
「こんな所で寝てたら危ないよー。」
カ「危ない!!」
「え・・・」
ドンッ
カラ松くんの大声と同時に突き飛ばされる。次の瞬間、目の前に広がっていたのはカラ松くんの血で一面真っ赤に染まったコンクリートだった。