PR
二次創作小説(紙ほか)
■漢字にルビが振れるようになりました!使用方法は漢字のよみがなを半角かっこで括るだけ。
入力例)鳴(な)かぬなら 鳴(な)くまでまとう 不如帰(ホトトギス)
- 始発とカフカ
- 日時: 2018/09/09 22:06
- 名前: 咲口 (ID: U8MSN2gK)
病室に横たわる彼はペンをとる。
「伝えたいことしかないのに、何も声が出なくてごめんね。
僕は毒虫になった。そんなに興味もないと思うけどさ。」
と書いて一度、私に紙を差し出す。
そしてもう一度ペンをとり、思い出したかのように急いで
文字を並べて私に差し出した。
「時間が惜しいから今度は手紙をだすことにするよ。」
そんな昨日の会話を思い浮かべながら、今日も私は始発の便に乗る。
君を見返そうと思って、君を追い抜こうとする。
けれどうまく足がでなくて、張り合えない。
窓のふちにおいてある花瓶に活けられたアベリアが
病室に横たわる君のようにみえた。
いつものように、君は今も町を眺めているのだろう。
そんなことを考えながら、アベリアの花を見ていると
窓のふちに小さな羽虫が止まったことに気付く。
私はそれが君に近づく菌にみえて、つい押しつぶしてしまった。
ふと、窓の外を見ると初夏の風になびいた白花がみえたような気がした。
教科書にさえ、乗っていないこの気持ちは今日が愛おしいようで
誰かに手を差し伸べることができない。
僕らは、はらはらと花弁が散るように歳をとっていく。
そして、その都度。心を理解していく。
今更そのことに気付いても、ただただ見つめていくしかない。
君はそのことにいち早く気付いて、散りゆく花弁を掬い
せめてもと、埋めていく。
そんな君が自分より遠くにいる気がして少し悲しくなった。
私が震えた手で君の手紙の返事を書いていっても。
紙は減るだけだった。
- Re: 始発とカフカ ( No.1 )
- 日時: 2018/09/09 22:07
- 名前: 咲口 (ID: U8MSN2gK)
リクエスト、感想待ってます!!
元ネタは始発とカフカで検索お願いしますー
Page:1
PR