二次創作小説(紙ほか)
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- ライアーゲーム〜幻影〜
- 日時: 2018/11/13 13:26
- 名前: 山田 (ID: 4uYyw8Dk)
俺の名前は片桐優(カタギリユウ)。そこらへんにいる何の変哲もない男子高校生だ。毎日繰り返される退屈な日々に、いつしか俺は激しい嫌悪感を抱くようになっていた。
どこを見てもだれを見ても何を見ても代り映えのしない日々・・・。そんな日々が一生続くのだろうか・・・?毎日のように、そう考えていた。
しかし、日常というものは時に唐突に、理不尽に、非日常へととってかわられるものなのだ。
例えば病気や自動車事故やなにかしらの事件・・・。そういったものに巻き込まれることがないなんてことは、誰一人として断言できないのだ。だからこそ何気ない日常を、そのあたりまえの日々を、人々はこう呼ぶんだ。
幸せ・・・と。
この時の俺にはそれがわからなかった。とっくの昔に大人になったつもりだったけど全然そんなことはなく、俺が日常を幸せだと気づくことができたのは・・・
あの恐ろしいゲームが、
ライアーゲームが、あったからなんだ・・・。
- Re: ライアーゲーム〜幻影〜 ( No.1 )
- 日時: 2018/11/13 14:54
- 名前: 山田 (ID: 4uYyw8Dk)
「ねぇユウくん、ここの部分がよく理解できないんだけど・・・」
彼女の名前は朝田恵(アサダメグミ)。中学までは成績トップでめちゃくちゃ優秀だったらしいが、高校に入ってからは成績が下がってしまった。本人曰く「勉強に価値を見出せなくなった」らしい。
「あ!セケーぞ朝田!なぁなぁユウ。俺にも教えてくれよ!」
そしてコイツの名前が小川翔一(オガワショウイチ)。勉強はあまりできないが運動神経がよく、高校二年の現在先輩たちを押しのけサッカー部のキャプテンをしている。当然先輩のサッカー部員には嫌われている、のだが本人はそれに気づいていないようだ。
ちなみになんで俺がこんなに勉強を教えるようせがまれるのかというと・・・。
「お前ら席につけー。この前のテストを返していくぞー。ま、言わずもがな片桐に関しては全部百点だがな」
自分で言うのもおかしなことだが、産まれてこの方百点以外をとったことがなく常に学年トップだったからだ。
−放課後−
「じぁまたな、朝田、小川」
朝田・小川と別れたあと俺は普通に帰宅する・・・ハズだった。
- Re: ライアーゲーム〜幻影〜 ( No.2 )
- 日時: 2018/11/13 17:02
- 名前: 山田 (ID: 4uYyw8Dk)
目が覚めた時、俺は薄暗い廃屋にいた。いや、俺はという表現は的確ではない。俺の他にも十人ほどおり、その中には朝田と小川も含まれていた。
突如、コンクリート壁に埋め込まれた液晶に不気味な仮面を身に着けた人間が映し出された。その人間はボイスチェッカー特有の低い声でこう口にした。
「ようこそ皆様。私は当ゲームのディーラーを務めさせていただく”カペラ”と申します。以後お見知りおきを」
頭の中が「?」で埋め尽くされていく。なぜ自分がこんなところにいるのか、なぜ朝田と小川もいるのか、あのマスクの人間は何者なのか、ゲームとはなにか・・・。
それは周りの人間も同じだった。大声で取り乱す者、黙りこむ者、液晶にくぎ付けな者、泣き出す者、頭を抱える者・・・。
「げ、ゲームって・・・、なんなんですかぁっ!?」
サラリーマン風の男が取り乱しながら液晶に向かって叫ぶ。液晶に移る不気味なマスクの人間”カペラ”は「フフフ」と笑い、こう続けた。
「それは、ライアーゲームです!!」
「ライアー・・・ゲーム・・・?」
この時、ここにいる全員が予想もしていなかった。これから行われるライアーゲーム。このゲームのおぞましさを・・・・・・・・・。
- Re: ライアーゲーム〜幻影〜 ( No.3 )
- 日時: 2018/11/13 17:32
- 名前: 山田 (ID: 4uYyw8Dk)
混乱する俺たちを気にも留めず、”カペラ”はひたすら説明を続ける。
「これから皆様には大金を賭けて一つのゲームをしてもらいます。そして勝者は大金を手にし、敗者は負債を背負う。いたって単純です」
「なんで勝手に連れてこられたのに負債を背負うんだよ!ふざけるな!警察を呼ぶぞ!」
ビジュアル風な男がまっとうな意見を述べる。この男の言う通り、俺達がこんな意味不明な状況に付き合う必要などないのだ。警察を呼んで、それで終わりだ。しかし・・・。
「どうやって、呼ぶのですか?」
”カペラ”は少しも動揺した様子を見せず淡々と返答した。
「そりゃぁ、携帯・・・で・・・あれ?」
「当然ながら、皆様の所持していた物は全て没収させていただきました。しかしご安心ください。ゲームが終われば、勝敗に関係なくご返却いたしますので」
「意味わからない!!どういうことだよ!!」
短髪で太り気味の男が怒鳴りつける。これまた至極まっとうな意見だ。とにもかくにも現状を理解できなければゲームもくそもないのだ。
「とにかく、皆様には一つのゲームでマネーを奪い合っていただきます。皆様、ご自身の手の甲をご覧ください」
手の甲・・・?言われたとおり手の甲に目を向けるとそこには、バーコードが印字されていた。
「なんだ・・・コレ?」
「実は我々は皆様に、一億円を貸し付けさせていただきました」
「い、一億!!?」
「はい、一億円です。皆様の左手側に青いボックスが見えるはずです。そのボックスの中には人数分のスキャナーがご用意されております。そのスキャナーでバーコードをスキャンすると、ご自身の所持金が表示される仕組みになっております」
言われるがままに青い箱の中に入っていたスキャナーを手にする。
ピッ!
スキャナーに付属されていた画面に、にわかには信じがたい金額が表示された。
カタギリ ユウ ¥100,000,000
「マジで、一億?」
「それから、液晶画面下に金庫が見えるとございます。ご注目ください」
追われた通り目をやると確かにコンクリート壁の下のほうに扉のようなものが見える。
ウィーン・・・ガチャンッ!!
鍵が外れるような音。その数秒後、扉が開かれ・・・中には…。
「ご覧ください。ここにあるのは十三億円です。プレイヤー十三名、一名につき各一億円ずつ配布いたします。ですが、今の段階であれば出場をキャンセルできます・・・。出場キャンセルを希望する方は今の内にお申し出ください」
しかしこの場を動こうとするものは誰一人としていなかった。突拍子もないでたらめな話を聞かされたと思った矢先、目の前に現れた見たこともないような大金。身に起きたあまりにも非現実的な現状に対し、動けるものはだれ一人としていなかった。
「どうやら、いないようですね。では、これから各プレイヤーに現金一億円を配布いたします。準備に三十分程お時間をいただきます。右手側の扉を開けていただきますと休憩室がございます。短い時間ではありますが、ごくつろぎ下さい」
その声を最後に、液晶は真っ黒になった。
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