二次創作小説(紙ほか)
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- 終戦のアルカディア 3話「王国軍入団試験 Part1」
- 日時: 2018/11/16 22:49
- 名前: ロラン (ID: 86FuzJA.)
- プロフ: http://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?no
【主な登場人物】
【アレン・レグナート】
・この物語の主人公。主に炎属性の魔力の使い手。相棒のアクトとは信頼できる仲。炎属性の他、剣術や体術、武術なども習得している。黒の世に終止符を打つため、王国軍入団試験に挑む。穏やかで優しい性格をしており、自分の持っている刀の刃のようにまっすぐな意思と瞳の持ち主。
【アクト・シュバルティア】
・アレンの相棒。主に無属性の魔力の使い手。アレンとは相棒の仲であり自分が唯一見込んだ人間。二刀流なため腕力の筋肉が凄い。好戦的で気が強く。売られたケンカは買うタイプ。気が荒い印象だが根は優しくいざとなったら役に立つ兄貴タイプでもある。
【アース】
・気高き貴族の息子。自分も国のために戦いたいという意思を持っているらしいが、周りを見下す態度が目立つ。アクトが一番大嫌いなタイプらしい。アクトとは犬猿の仲のような関係になる。
【レオンハルト】
・【剣神】という異名を持つ王国軍の将軍。雰囲気からして勇ましく頼もしい印象が持たれるがまさにその通り。彼の言葉は部下達に安心感と激励を与えるらしい。軍の誇りが強いらしい。彼の中でアレンとアクトは好印象らしい(?)
———アレン達が門を潜ると、目の前にあるのは真っ白な空間。参加者一同は眼を見開いて周りを見渡す。しかし見えるのは白い空間だけ。するとそこに黒い毛並みをした狼のような魔獣が現れ、こちらに牙を剥いた。好戦的なアクトはすぐに察したようで
「おいアレン、俺達でアイツをぶっ倒せば良い感じじゃないか?」
魔獣を指さしてアレンにニシシッと笑って見せた。アレンも言われてみればと思いすぐに納得した。さっそく刀に手を添え、構えて見せた。アクトも同様に、自慢の腕力で一気に二本の刀を抜いては構えて見せた。
「あの二人……変な奴かと思ってたけど、あの目……ガチだぜ……」
参加者の間で二人の様子がなぜか自分たちに勇気を与えていて、いつの間にか参加者達全員が剣や杖を構えていた。
「よっしゃあああ!行くぜアレン!」
「あぁ!行くよアクト!」
アレンとアクトが先陣を切って魔獣の方に間合いを詰める。それに続くように参加者一同も魔獣に間合いを詰めていく。すると魔獣は鋭い爪を尖らせ、アレン・アクト含め参加者一同に斬撃を放つ。するとどうだろうか、まるで木の葉のように参加者のほとんどが吹き飛ばされる。一部の人間を除いては……
「ったく、周りの奴ら味気げなさすぎるな!」
アクトが勇ましくそう叫ぶと、魔獣の斬撃をアクトとアレンの斬撃で迎え撃ったのだ。魔獣も「何だこいつら」と言わんばかりの仕草をしており、アレンとアクトも魔獣の様子に気が付き、このまま押し込むぞと意思疎通をする。そしてアクトが一撃を入れようとしたその時……
「誰か助けてください!!」
と女性の声が聞こえた。アレンがさっと振り向くと、迎え撃った斬撃の破片が女性に刺さりそうになっていたのだ。女性に破片が刺さろうとしたその時、アレンはいつの間にか女性を抱え斬撃の破片から救出していたのだ。
「ありがとうございます……助かりました」
女性はペコりと頭を下げた
「気にしないでくれ、それよりまずはここを一緒に切り抜けよう」
アレンが女性に勇ましく微笑んで見せると、女性は「はい!」と返事をしアレンを頼もしく思った。
「私はカシェナと言います……魔法なら得意ですよ」
杖を構えて優しく微笑んで見せる。
「新しいお仲間ができたようだな。俺はアクト……さっさと片付けるぞ」
相変わらずの口調でカシェナにそう自己紹介すると、アクトは魔獣の腕を切り刻んだりする。アレンも負けてられねえなと、刀身に炎を宿し魔獣に間合いを詰める。
「アレンさんにアクトさん……二人とも頼もしいです……特にアレンさんは……なんて勇ましい……」
カシェナは杖を構えたまま二人の様子をじーっと見ていた。一方アースは……
「さぁかかってこい化け物!僕がお前を八つ裂きにしてやろう!」
ばっと前に剣を突きだし、挑発すると、魔獣の斬撃に吹っ飛ばされる。しかしなんとか着地し間合いを詰めたその時、魔獣の尻尾がこちらに襲いかかってくると、避けきれないと判断する。すると近くの人間を身代わりにして自分は逃げる。
「あの野郎どこまでゲスい野郎なんだ!ほんっと気にくわねえ!」
たまたまその様子を見ていたアクトはそう呟く。隣でアレンが
「アクト、今は試験に集中するんだ。カシェナが今援護をしてくれてるからこちらが優勢だよ」
「だな……アイツの事なんか知ったこっちゃねえ……」
「あの二人に続くぞ!!」
次々と二人の勇ましい行動に勇気を貰った参加者たちがそう叫ぶと魔獣に一気に襲いかかり、数の暴力でこちらが圧倒する。
「地より舞い上がりし紅蓮よ……その熱と激しさを持って、我らが闇を焼き尽くしたまえ!」
カシェナが詠唱を始めると魔獣の真下から紅蓮が襲いかかる。高度な熱に怯んでいる間に、アレン・アクト含め、多くの参加者達も一気に腕を振るった。
「壱ノ型……【無影斬】!!」
「弐ノ型……【炎舞斬】!!」
アクトは刀身に無を宿し、恐ろしい速さで魔獣を切り裂き、アレンは円形に炎の斬撃を周りに発する。二つの型が混ざり合い魔獣の四肢に激痛と熱さを伴わせた。
「ヴオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!」
魔獣が醜い雄叫びをあげるとそのまま消えて行く。生存者は500人中200人にまでなってしまった。この300人の途絶えた命を背負いアレン達は次の関門に進もうとしていた。
「一体……レオンハルトさんは何をさせたいんだ……」
「死んだら自己責任ねぇ……こりゃ悪質だな……」
「アレンさん、アクトさん、これからも着いていきます……未熟な私ですが精一杯頑張りますね!」
「あぁ、こちらこそ頼むよ」
にこっとアレンはカシェナに微笑んで見せた。カシェナはほんのりと頬を赤くして目をそらすと、アクトは腕を組んでお熱いねぇと茶化す。血塗られた場に、一筋の笑顔の光が見えた瞬間だった。