二次創作小説(紙ほか)
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- Re:ゼロから始める短編生活
- 日時: 2018/12/25 16:16
- 名前: リア (ID: iEhb5hB8)
【エピソード1 五つ子】
※この話は、アニメの次回予告より考えたものです。
「スバルくん、実はレムたち五つ子なんです」
「…ふぇ?」
突然のコメントに、スバルの口から小さな吐息が漏れた。
場所はロズワール邸使用人控室のうちの、スバルが私室に使っている小さな部屋の中だ。
机に向かって、文字の習得の勉強をしているスバルに付き添った、青髪のメイド—レムは、決まり悪そうに苦笑した。
「……今、何て?」
「スバルくん、実はレムたち、五つ子なんです」
噛んで含めるように一句一句言葉を切り、正確に教えてくれる。一瞬の間をおいて、スバルは遅すぎるにアクションを返した。
「は、はぁぁぁぁ⁈ 双子じゃなかったのかよ。…ふざけてんじゃ…ねぇみたいだな」
真剣なレムの瞳は、決して揺るがない。口調は柔らかいが、言葉を発する時の語尾が次第に強くなるのを感じ、嘘をついていない事を認めた。
「それで、その五つ子の中で、レムは何番目なんだ?」
「四番目です。ラム、リム、ルム、レム、ロム」
「待て待て待て。それ全部同性か? 男女混合だよな?」
急に慌てだすスバルにレムが首を傾げる。
「はい。姉様とレムが女の子、後はみんな男の子になります」
「聞きたくなかったぜ…もしかしてもしかすると……」
「何がもしかしてなの? バルス」
音もなく扉が開き、桃色の髪のメイド—ラムが顔を出す。以前まではレム双子の姉という立場だと思っていたが、五つ子という驚くべき実態を告げられたので、五つ子の一番上、ということで。
「なあ、ロムって…」
「ロムのことをなぜ知っているの? 彼は盗品蔵にいて、でかい図体で、それはそれは小さい頃は苦労したわ」
「ロム爺!!!!」
驚きのあまり、手にしていたインク瓶のインクを盛大にぶちまける。白いノートは黒く染まり、折角書いた文字の書き取りも、今は黒いしみでしかない。
「あ、ちなみに、ルムは本名ではなくって、でも本当にすごい兄様なんです。剣をふるえば突風が巻き起こり、今はクルシュ様のもとでお仕えされていて…さすが、『剣鬼』です。レムは鼻高々ですね」
まるで自分のことのようにはしゃぐレムに、羅夢も目を閉じて静かにうなずく。
「当然ね。彼はラムの弟だもの」
スバルは二人の発言に顔を青くした。まさかと思うが……。
「その、ルムの本名って……」
「ヴィルヘルムの『ルム』です」
「ヴィルヘルムの『ルム』ね」
「剣鬼ヴィルヘルム・ヴァン・アストレア!!!!」
もはや口もきけない暴露に、今度は羽ペンの柄が折れる。
つまりラムレム姉妹は、盗品蔵の巨人ロム爺と、剣鬼としておそれられるヴィルヘルムが兄弟なのだ。
「老いてみえるもんだな、ロム爺」
「ああ見えて実際はぴちぴちの十三歳です」
「ああ見えて本当は十三の麗しき餓鬼よ」
「フェルトやあるいはベア子より年下⁉ 俺が見ていた『孫想いの爺さん』のイメージはどこへ……」
驚愕するスバルにレムとラムは冷ややかに告げる。
「見かけで人を判断する人は嫌われますよ」
「偏見で人を判断する奴は汚れそうだわね」
その夜、最も大きな発見をした一日であった。(※実際は五つ子ではありません)