二次創作小説(紙ほか)
■漢字にルビが振れるようになりました!使用方法は漢字のよみがなを半角かっこで括るだけ。
入力例)鳴(な)かぬなら 鳴(な)くまでまとう 不如帰(ホトトギス)
- [復活]愛された苦味
- 日時: 2019/03/22 23:51
- 名前: エノキ (ID: UeLkOLiI)
業界を追放された天才パティシエの兄
あらくれもので兄以外の味方がいなかった弟
小さな田舎町を救って、そこで牛耳ってた悪逆どもを追い払い、町の英雄となった兄弟
しかし、数百年の間に変化はつきもので、兄弟の意思を継いだ町の自警団はマフィアになり
天才が編み出した唯一無二のレシピは独占され、過去の栄光をいまだにすすり続ける老害ども
拾い子たちが一致団結して、もう一度町を救うお話
_復活二次創作、オリジナル要素多め(オリキャラ視点、オリジナルファミリー、オリジナルリングとか)
_十数年後が舞台
_作業BGM兼イメソン「ビターチョコデコレーション」「ラブ&デストロイ」「雨とぺトラ」「幸せ者(ゲキヤク)」
_話数タイトル参考にしてます
_キャラのネタ尽きたのでリク掲示板でキャラ募集してます!
_1レスごとの文字の配分めっちゃ適当なんで後々変更するかもしんないです
目次
1話[兎角言わずにたんと召し上がれ]>>1-3
2話[食わず嫌いはちゃんと直さなきゃ]
//前半>>4-8
//後半>>9-12
3話[正しさに取り憑かれて、曲げれない思いを振るった]執筆中
- [復活]兎角言わずにたんと召し上がれ ( No.1 )
- 日時: 2019/01/26 17:43
- 名前: エノキ (ID: UeLkOLiI)
※オリキャラ中心で進みます
1話/①
[兎角言わずにたんと召し上がれ]
今から3年前のことだ
10代でスイスに来て名のある時計職人の弟子になった俺は、人よりもかなり器用な手先とたゆまぬ努力で10年で時計職人として認められた。10秒で折り紙の鶴折れる特技がある。
そして、やべー依頼を請け負って“邦人男性、交通事故に遭い死亡”と新聞の一面を飾ったことがある。勿論死んじゃいねぇ、だって今こうして喋れてるわけだしな。
実はやべー依頼というのは、マフィアの重鎮が所有してる腕時計の修理。
本当は機密情報を隠すために時計に仕込んでたチップを見つけてしまい、苦労しつつも無事取り出して
「こんなものが入ってたんですけど、純正品なら、数年しないうちに壊れてしまうところでしたよ」
と呑気に依頼主に報告してしまい、この男は生かしてはおけないということでパスポートを盗られ、俺の店を打ち壊された。
更には、俺によく似た俺じゃない男の死体を使って死者偽装をしてまで俺という存在をこの世から抹消される始末だ。
日本大使館にいって事情を話して何とかなるんじゃないか、だって現代は世界はグローバルみんな友達なんだから。
って思うだろ?
残念ながら、最後に時計修理の報酬の代金を持ってきた男が、俺を誘拐して見知らぬ土地に捨てた挙句
「チクったらお前さんの家族友人諸共の命はないと思え、いいな?」
と、日本語で、脅してきたので無理だ。
それに、代金はこちらが報酬として提示した額よりも少なかった。一週間食っていけるか怪しい。
さてどうしたものか、と適当に目に付いた裏路地に座り込んで考えていると、ピアスをバチバチにつけたスキンヘッドの野郎に声をかけられたのだ
「お前観光客か?」
「あ、俺イタリア語わかんないっすドイツ語いけますか」
「あードイツ語ね、自信ないけどまあいけるぜ。で?ここでどうしたんだ、スリに荷物盗られたのか」
「まぁそんな感じ…。スイスで時計職人してたんだけど、やべー依頼受けちゃって相手の機嫌損ねて、店とかもろとも、うん…」
ここまで話すと、スキンヘッド野郎は納得のいった顔をして
「うちならしばらく面倒見れるぜ。お前みたいに戸籍のないガキばっかだし成人男性が1人ぐらいきても大丈夫だし」
とお誘いを頂けたのだ
勿論その誘いに乗ったさ。お先真っ暗だったけど死ぬつもりはなかったから、1日でも生き延びるために。
- [復活]兎角言わずにたんと召し上がれ ( No.2 )
- 日時: 2019/01/26 17:45
- 名前: エノキ (ID: UeLkOLiI)
※オリキャラ中心で進みます
1話/②
[兎角言わずにたんと召し上がれ]
スキンヘッド野郎はマフィアのお偉いさんの息子らしくて戸籍のない元一般人の俺も難なく泊まらせてもらえた
連れてこられたのは大きな屋敷で、2人の男の銅像と土台にはイタリア語の文章が刻まれたプレートが初めに俺を出迎えた。
それから、お世辞でもかっこいいとは言い難いこの屋敷の主人、あるいはスキンヘッド野郎のファミリーで位の高い役職と思われる男たちが何人かいた。
他には絶えず周りを気にしてキョドキョドしてる若い男たちが沢山。
まるでガキ大将と金魚のフンみたいな大人の男たちだ。あとは屋敷で働くハウスキーパーが何人か。
そこだけみると、まぁ映画で見るマフィアよりカッコ悪いがマフィアなのは間違いない。
しかし、こいつらがマフィアだと言うには躊躇うようなものが多数存在していた。
10代前後の子供たちが、大人に玩具のように扱われていたのだ。そんな異常な光景が当然のように、客人の俺の目すら気にせずに行われていた。
「まー……言いたいことはわかってる。お前が気にすることはない、イタリア語がわかんねーならそのままでいろ」
スキンヘッド野郎は吸っていたタバコを消して、他の男と同様に子供を弄んでいた壮年の男性に近寄った
遠目に2人が話しているところを眺めていると、壮年の男性がふとスキンヘッド野郎の身体を触り、それに対して怯えた様子で反応したスキンヘッド野郎は足早に男性から離れて戻ってきた。
「空いてる客室があるから、しばらくはそこで。今は誰もお前に興味示してないが……まあゆっくりしてってくれ」
そういうスキンヘッド野郎の顔はすっかり生気が無くなっていた。まるで、今も遊ばれてる周囲の子供たちのように。
大の大人が怯えるくらいなんだから、あの男性はスキンヘッド野郎の父親だろうな。
実の息子といえど、自分に逆らわないものは玩具なんだろうなと、ふと思った。
客人でドイツ語は喋れるものの、言葉どころか銃を持ってる男に叶うわけないので俺は黙って従った。
2、3日は何事もなかった。その間にスキンヘッド野郎が俺のパスポートやらなんやら探ったのだがどうしようもできないという。
つまり、俺は二度と表社会に戻れないわけだ
どーしたものかと悩んだものの解決は早かった。同じ建物内にいたけど全く関わらなかった子供たちと、スキンヘッド野郎を助けようと思った。
俺は、あんな酷い有様を見せつけられておいて無視できるほど人ができてない。
ということで、4日目の夜にスキンヘッド野郎と相談した。あいつは
「そんなのぜってぇ無理、無理だって」
と根拠もなく無理無理を繰り返してきた。
「どーして無理なんだよぉ」
ちなみに、この時2人とも酒飲んでて酔ってた。俺の相談内容を聞いたスキンヘッド野郎が持ってきたのだ、ちゃんと話聞くつもりあんのかこんにゃろう。
「だってよぉ、俺だってよぉ最初は頑張ったんだぜ…。でも無理だった、なーんもかも、無理だった」
「何があったんだ…」
「俺の企みがバレて親父にこっぴどくやられたんだよ。もー腹が立ってスキンヘッドにしてピアスバチバチにしたんだけど、ぜーんぜん効果ねーや!はーくそ!」
「おん?……何に腹立てたんだよ」
「あ?だってそら……」
そう言って、スキンヘッド野郎は固まった。酔いで理解ができない、というよりも理解ができてしまい酔いが急に冷めた顔付きだった。
「とにかく……ヒック、おめぇは手出しすんな。母国にかえりてーならな」
「そりゃ帰りたいよ。でも無理だ、バレたら俺だけじゃなく家族や友達が殺されんだ。なら悔いのないように生きさせてくれや」
「……どうすんだよ」
グラスの中の酒をグイッと一気に喉に流し込み、スキンヘッド野郎の目を見据えた。
「俺もマフィアになる。んで、ここを変える。老害どもをぶっ潰してやる」
「ロウガイ…?なんだその単語。ていうか、お前がマフィア?!はっ、笑わせてくれるなぁ!」
「俺にはもう何もないんだ。俺の骨はここで埋めるしかねーんだ。弱みのない人間以上にやべー奴がどこにいる?」
スキンヘッド野郎は顎に手を当て考えるそぶりを見せた
「お前……本当にそれでいいんだな?酔った勢いっつって言い訳しねーよな?」
「おう」
「わかった。明日の……夕方がいいな、食堂に集合だ」
「おう。……食堂で何すんだ?」
「あー、あれだよあれ、日本の映画まで見た……ケジメってやつやんだよ」
「へー」
ここまでくると酔いでスキンヘッド野郎の言葉にツッコミを入れる気力すらなかった