二次創作小説(紙ほか)

■漢字にルビが振れるようになりました!使用方法は漢字のよみがなを半角かっこで括るだけ。
 入力例)鳴(な)かぬなら 鳴(な)くまでまとう 不如帰(ホトトギス)

この素晴らしい世界に祝福を! アクアルート9〜
日時: 2019/05/18 14:41
名前: 京都花漣澪 (ID: LmekyLqy)

第9話


「アクア・・・。どこにいるんだよ」
 アクアを探しに屋敷を出てからもう5時間近く建っている。
 今日は大きなクエストも無い為、冒険者が溢れている。
 その為アクアを探すことすら困難な状況になってしまった。
 しかし、アクアはまだ見つからない。
 アクアが行きそうな場所を、俺は走り回って行った。
 いつものギルドにウィズの魔道具店。
 めぐみんが爆裂魔法を撃ちに行くあそこにモンスターひしめくダンジョン。
 探して、探して、もういろんなところに行ったけれど、アクアはいなかった。
 どうするのか。
 このままじゃアクアは見つからない。
 だったら、どうすればいいのか・・・。
 このままひたすらアクアを探すのか。
 めぐみん、ダクネスに助けを求めるのか。
 後者は絶対にない。
 俺はめぐみんとダクネスに一人でアクアを探すと言ったのだ。
 じゃあ、前者か。
 それしかないだろう。
 地道にアクアを探すしかない。
 でも、簡単に見つかるとは思えない。
 だったら、諦めるのか。
 それも、絶対にない。
 俺はアクアを見つける。
 絶対に。
 だから、諦めない。
 地道にアクアを探す。
 ・・・それしかない。
 だから、俺は。
 たとえどんなに過酷で時間がかかったとしても。
 アクアを探す!
 絶対に!
 そして、また走り出す。
「アクアっ・・・!」
 俺は人混みをかき分け走りだす。
 絶対に。
 アクアを見つける。
 俺はこの街の地図を取り出す。
「・・・えっと・・・。ここが現在地で・・・」
 絶対にアクアを見つける。
「・・・あっちかなぁ・・・」
 いや。
 あそこかもしれない。
 俺はとにかく走った。
 そして、思いつく限りのところに行った。
「・・・はあ・・・。はあ・・・」
 疲れて、体力がなくなりそうになっても、俺は走る。
「アクアーーーーーーーーっ!」
 愛する人の名前を呼んで、走り続ける。


 振り返ることはもうしない。


「・・・疲れたあ・・・」
 7、8時間走っただろうか。
 もう疲れて、動けない。
 俺は地面に座り込んだ。
 今、何時かもわからない。
 だんだん眠くなっていく。
「・・・アクア・・・」
 最愛の人の名前を呼び、俺は眠りに落ちた。


「・・・朝か・・・」
 気がついた時にはもう朝だった。
 朝日が眩しい。
「・・・どうしようか・・・」
 ずっとここにいるわけにもいかない。
 本当にどうしよう。
 その前に。
「ここ。どこなんだ・・・?」
 今自分がどこにいるのかもわからない。
 辺りを見回すが誰もいない。
 地図を見るがどこかわからない。
 ここは。
 どこなんだ?
 辺りには大きく伸びた木が何本も生えている。
 つまり。
「・・・森なのか?」
 そうだと思う。
 しかし、街にこんな場所はなかったはずだ。
 街の地図にも載っていないわけだし・・・。
 じゃあ。
「ここは、一体どこなんだよ」
 つまり。

 迷子になってしまったわけなのだ。

 

第10話


「出口が見えてこねぇ・・・。どうすればいいんだよ・・・」
 この森から出ようと歩いたが、出口が見えてこない。
 いつまでも、たくさんの木が生えている。
 昨日来た道を歩いていけばいいのだが忘れてしまった。
 俺以外誰もいない。
「アクア」
 名前を読んだ。
 返事はない。
「アクア」
 愛する人の名前を呼んだ。
 返事はない。
 どうすればいいのかわからなかった。
 ここは、どこなのか・・・。
 それすらもわからなかった。


 ただ、愛する人に会いたかった。


「ねぇ。あのさぁ・・・」
「・・・っ」
 後ろからではなく、前から声をかけられた。
 もちろん、知らない人。
 年齢はめぐみんと同じか、一つ上くらい。
 長く、赤い髪をツインテールにした、美少女。
 もちろん、知らない人。
「きみ、誰かを探しているの?」
 と、美少女が言った。
「・・・っ」
 俺は一歩後ずさる。
「あたし、エリア。よろしく」
 美少女・・・エリアはにこっと笑う。
 エリア。
 アルリの時とは違う。
 エリアは今日初めて会った人だ。
 エリア。
「よ、ろ、し、くっ」
「・・・ああ・・・。よろしく・・・」
 誰かわからなかったが、アクアのことを知っているのかもしれないと思い、俺はエリアと握手した。
「えっと。カズマだよね」

 は?

「え、エリア・・・。どうして俺の名前を・・・」
「あたしは、エリア。何でも知ってる妖精だよ」
 エリアはふふっと微笑んだ。


Re: この素晴らしい世界に祝福を! アクアルート9〜 ( No.3 )
日時: 2019/06/22 14:57
名前: 京都花漣澪 (ID: LmekyLqy)

 

 京都花漣澪です。更新遅れてしまってごめんなさい。これからは出来るだけ早く更新するので宜しくお願い致します。第12話も読んでくださいね♪

第12話


「おい、エリア。まだ着かないのか・・・?」
「あと少しだってば」
 俺はエリアの後を歩いている訳だが・・・。
「もう1㎞は歩いたぞ」
 この道は。
 とにかく長いのだ。
 1㎞歩いても妖精界は全然見えてこない。
「うるさいなぁ・・・。あともうちょっとしたら着くから!」
 説得力の欠片もない・・・。
 やっぱり戻ろうかとか考えているとエリアが口を開く。
「それに・・・。妖精界にはアクアさんもいるんだし」
「っ!」
 エリアはさっきモンスターがいるかもしれないと言っていた。
 強力なモンスターが襲ってきたら死ぬ可能性もあると。
 けれどそこまで妖精界に行きたい理由は・・・。
「おい。妖精界にアクアがいるって本当なのか?」
 アクアが妖精界にいるとエリアが言ったからである。
 アクアが妖精界にいる。
 信じられない話だが、こいつはアクア、そしてめぐみんやダクネスも知っている。
 俺までも。
 何でも知っている。
 その言葉に嘘は感じられなかった。
 軽いが、俺はエリアを信じている。
「本当だよ。アクアさんは妖精界にいる。カズマを待ってるよ。だから・・・」
 エリアは後ろを向いた。
「探しに行くよ、アクアさんのことを」
「ああ。絶対に」
 あと10㎞あったとしても、最愛の人—アクアがいるなら、諦めない、絶対に。
 どんなに過酷で辛くても。
「で、妖精界まであと何㎞なんだ?」
「ええっとねぇ・・・。10㎞だけど?」
「マジで?」
「マジ」
 10㎞・・・。
 長い。
 歩けるか分からない。
 でも、諦めちゃダメなんだ。
「頑張ってみるよ」
「頑張れ」
 エリアが意地悪そうに言った。
 ・・・。
 怪しい。
 なんかエリアが隠しているような気がする・・・。
「おい。何か隠してないか?」
「(ギクッ)・・・いや、隠してないよ?」
 怪しい。
 エリアの顔に焦りというかバレちゃったかぁ・・・。というようなものが確実に出ている・・・。
「おい。正直に答えろ」
 俺が真剣な顔になるとエリアは俯いた。
「ごめん・・・」
 そして顔を上げ。
「10㎞っていうの嘘!本当は100㎞じゃ済まないよ!」
 にひひーと笑うエリア。
 今100㎞じゃ済まないって・・・。
「って・・・。ええええええええええええっ!嘘だろぉ!?」
「マジだよ」 
 この女・・・!
「ああ・・・。どこでもドアが欲しい・・・」
「どこでもドア?って何それ?」
 ひみつ道具だよ・・・。
 ドラ●もんが持ってる便利なやつね・・・。
「まぁあたしテレポート使えるから一瞬だけど」

「は?」

 今なんて・・・。

 テレポートが使える?
 
「ああああああああ!この女!もっと早く言えよおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおーーーーーーーーーー!!!」 
 全部無駄じゃねーかよ!
「まぁまぁ・・・。落ち着いて。カズマの慌てるところが見たかっただけだってば」
 エリアはそう言うと意地悪そうに笑った。
 俺がアクアじゃなくてなんかの力を持って転生してたらコロッとエリアに堕ちていたかもしれない。
 よく見れば胸もダクネス並に大きいし、悩殺でもする気なのか?
「じゃあ行くよ。『テレポート』!!」
 


「・・・ん・・・」
「カズマ・・・。ここだよ」
「ふぇ?・・・え」
 エリアに言われ妖精界に目を向けると・・・。
「おい。ここは、妖精界になのか・・・?」
 見つめたまま呆然とする俺。
「そうだけど」
 ここはまるで暗黒界だった・・・。
 俺がイメージした明るくて楽しいワンダーランドというのとは真逆だった。
 荒れ果てて黒い何かに囲まれた暗黒世界。
 建物は数100m先にある荒れ果てたお城のような建物だけ。
 地面には血があらゆるところにべったりとついていた。
 誰もいない。
 ここは本当に妖精界なのか・・・?
 アクアはいるのか・・・?
 不安が溜まっていく。
「カズマ。あそこに行こう」
 エリアが指さしたのは、荒れ果てたお城・・・。
「うん・・・。行くか」
 嫌な予感がした。
 けど。
「アクアさんはあそこにいるよ」
「本当か?」
「うん」
 エリアが走り出した。
 俺は涙が出できそうになったがエリアの後を追いかける。
 

「はあ・・・はあ・・・」
「開けるよ」
「うん」
 門をくぐって扉の前に立つ。
 エリアがそっと扉を開けた・・・。
 そこには・・・。







 あたしはエリア。
 なんでも知ってる妖精の神だ。
 あたしは優秀な妖精の神。
 カズマがアクアさんじゃなくてあたしを好きになるようにすることだってできるんだ。



 


 







Re: この素晴らしい世界に祝福を! アクアルート9〜 ( No.4 )
日時: 2019/06/22 15:11
名前: 京都花漣澪 (ID: LmekyLqy)

 

京都花漣澪です。感想書くのはOKですので是非是非書いてくださいね☆

Re: この素晴らしい世界に祝福を! アクアルート9〜 ( No.5 )
日時: 2019/06/23 14:04
名前: 京都花漣澪 (ID: LmekyLqy)

第13話


 扉の先には・・・。
「エリア。・・・開けるな!」
 俺は大きな声で言った。
「・・・分かった」
 エリアが静かに扉を閉めた。
 俺は扉を開ける必要はないと思った。
「いいの?開けなくて」
 エリアが不思議そうな顔をして聞いてきた。
「いいんだ。・・・やっぱり帰るよ」
「え?」
 俺は冷静に言った。
「危険な気がしたから。・・・それにアクアのこと本当に好きなのかなって思って・・・。アクアも俺のことを本当に好きだとは思えないんだよ」
 今思えばそうだった。
「そうなの・・・」
 エリアは何とも言えないという顔をする。
「俺はアクアに告白した。好きだって。・・・でも。やっぱり違うのかもしれない。アクアは、俺から逃げたんだ。手紙で俺のことが好きって言ってくれて嬉しかったけど・・・、だったらなんでどこかに行ってしまったんだろうって思ったんだ」
 エリアは黙って聞いている。
 本当にそうなんだ。
 本当に好きなら俺が告白した時にはいって言えばいいはずなのに。
 なんで。
「だからアクアの好きはあまり信じられなかったんだ。・・・それに、俺は本当にアクアのことが好きだったのか分からない・・・」
 あの言葉が本当なのか、今では分からない。
 俺はアクアのことが、本当に好きなのか?
 それは、恋だったのか?
「だから・・・。俺、やっぱり帰る・・・」
 少しの迷いはあったと思う。
 でも。
「エリア。テレポートを頼む」
 俺の決断は・・・。
「うん・・・。めぐみんさん達のところに帰るの?」
 それは・・・。
「どうしようかな・・・」
 あの二人のところに帰れるとは思わない。
 じゃあ、どこに帰るか・・・。
「カズマ」
「なんだ?」
「もし、よかったらさ、あたしの家に来ない?」
 エリアの家に・・・?
「カズマが住んでる世界にもあたしの家があるんだ。ちょっと遠いけどテレポートでさ・・・」
「いいのか?」
「うん・・・。来てほしいの」
「じゃあ行くよ」
 俺はエリアの家に行くことにした。
 離れているし安全だろう。
「二人だけなんだけど、いいかなぁ?」
「分かった。いいよ」
「じゃあ行くよ。『テレポート』!!」
 



「・・・エリアぁ・・・」
「おーいカズマ、着いたよ」
「・・・ん」
 起き上がってあたりを見回すと、エリアの家だった。
「・・・ここがエリアの家か?・・・綺麗だな」
 インテリアに気を使ったおしゃれな家だ。
「ありがと。・・・で、何する?」
「・・・どうする?」
 年下美少女と二人っきりなのだ。
 そりゃあドキドキする。
「も、もう夜だけど、寝る?」
「夜なのか・・・」
 夜だと更にドキドキする。
 何か、甘酸っぱい出来事が起きそうで・・・。
「あ、あたしシャワー入ってくるからっ!」
 何故か顔を赤くしながらエリアは走って行った。
「・・・」
 何故か、俺も顔が赤くなってしまう。
 期待しているわけじゃないけど・・・。
 エリアってまぁ、可愛いし。
 ・・・。
 ・・・。
 別に本当に期待してるわけじゃないけど!けど・・・。
 俺ってまだ経験がないんだよなぁと思っていた。
 

 い、いやいや!
 エリアが好きとかないし、可愛いっちゃ可愛いし・・・。
「ああああああああ!」
 なんで!?
 じゃあなんで、想像しちゃうんだろう!?
 

 想像ってエロいことじゃないよ!?
 違うよ!?

「ああ・・・」

 じゃあどうして、エリアが可愛いって心の底から思っちゃうんだろう・・・。
 エリアが好きだから?

 違う!
  
 エリアのこと好きじゃ・・・ないし。

 ほ、惚れてなんかないし。
 じゃあ。
 なんでこんなにも意識してしまうのだろうか?
 好きってわけじゃないし・・・。

「どうして・・・」

 あ。

 俺、エリアのことが好きなんだ。
 どうしても、好きなんだ。

「好きだ」

 エリアが。
 好きなんだ。
 愛しているんだ。

 ありえないけど、これアルリの時と同じじゃん。


 エリアって、俺のたった一人のファンじゃん。

 理解した。


第13・5話①
アクアの気持ち

「うっ、うわあああああああん!!うわあああああああん!」
 私は大声を出して号泣した。
 これ以上ないってくらい泣いた。
「カズマの、カズマさんの嘘つき!私が好きって言ったじゃん!言ったのにぃっ!」
 なんで。
「どうしてあの女を好きになるのよ!私って言ったのに・・・。なんでよぉっ!」
 妖精界のギルドで泣いた。
「カズマ・・・」
 呼んでも何も聞こえない。
「カズマさん・・・」
 何も聞こえなかった。
 愛しているのに。
 世界で一番愛しているのに。
 それなのに・・・。
「どうしてあの女に騙されるのよ・・・。私を好きじゃ、なかったの?」
 泣いた。
 悔しかった。
 けど。
 言い訳なんだ。
「カズマさん・・・。」
 カズマはあの女が好き。
 だから。
「絶対に私が勝つ!あの女に負けるわけにはいかない!」
 カズマは私が好きなんだから。

第13・5話②
エリアの気持ち

「ふふふ・・・。カズマは落とせたわ・・・。あたしのもの・・・。あの女なんかに渡さない!絶対に勝つ・・・。簡単よ・・・うふふ・・・」
 カズマはあたしのもの。
 カズマはあたしが好きなのよ。
 あの女に負けないわ。
 負ける気もしない。
「ファーストキスはあたしが奪わせてもらうわ」
 好きだった。
 魔王軍の幹部をどんどん倒していったカズマはすごくかっこよかった。
 だからサインを貰って、握手もして・・・。
 好き。
 異性として。
 大好き、愛してるの。
「あたしが絶対に勝つ・・・」
 これは確定している。
 負けないわ・・・。




 



Re: この素晴らしい世界に祝福を! アクアルート9〜 ( No.6 )
日時: 2019/06/23 14:09
名前: 京都花漣澪 (ID: LmekyLqy)



 京都花漣澪です。今回は13・5話がありました。カズマ視点の時は普通に、それ以外の時は・5が付きますのでよろしくお願いします。これからもこの素晴らしい世界に祝福を! アクアルートをお読み下さい!

Re: この素晴らしい世界に祝福を! アクアルート9〜 ( No.7 )
日時: 2019/06/27 16:27
名前: 京都花漣澪 (ID: LmekyLqy)

第14話
  
 



「なぁ、皆!モンスター退治に行こうぜ?」
「はぁ?何言ってるのよカズマ。もう私達にはたくさんのお金があるの!モンスター退治になんか絶対行かないわよ。どうせ、私が危険な目にあって・・・」
「何言ってるのですか。アクアの言う通り、もうお金はあるんです。絶対に行きませんよ」
「そ、そうだカズマ!もう、お金があるんだ!べ、別にいいだろう?・・・でも、あの攻撃・・・。私をいやらしい目で見てくる・・・」
「お、おい!め、めぐみんの爆裂魔法で一発の雑魚モンスターにするからお願い!」
「私は、雑魚に爆裂魔法なんて撃ちませんよ。強い、強いモンスターにだけ、撃つのです!我がの最強爆裂魔法を!」
「それにしても、ニートのカズマがモンスター退治に行こうって、珍しいわね。カズマは働きたくないただのニートじゃなかったの?」
「おい、お前。何気に酷いこと言ってるぞ」
「あ、か、カズマ。あそこに、カズマのことをちらちら見てる奴がいるぞ。赤い髪の奴」
「なんだ、ダクネス?」
「ほ、ほら、あそこに今向かってくるあの人だ!」
「気のせいじゃないか?」
「い、いや、お、お前のファンじゃないのか?」
「ファン!?」
「そ、そうだ。あっ」
「あのー・・・。すいません。えっと、カズマさんはいますか?」
「ああ。俺だ」
「っ!か、カズマさんですか!?あの、ファンのエリアです!いつもかっこいいです!えと、あの、握手していただけませんか?」
「はぁ?あの人カズマのファンなの?ありえないわよ」
「そうです。カズマのファンなんているわけないですよ」
「や、やっぱりそうだったのか・・・」

「いいぞ。エリアだったな。ありがとうな」
「あ、ありがとうございます!一生忘れません!」
「カズマ、ファンの前でかっこつけてるわね」
「そうですね。正直言ってダサいですね」
「ね、寝取られた!?」
「お、お前らうるせーぞ!エリアは俺の正真正銘のファンだぞ!」
「そうです!あたしは、カズマさんのファンです!カズマさん、あっち行って、話をしましょう!」
「そうだな!行こう」





 これが、俺とエリアの出会いだ。
 俺とエリアは、出会っていたんだ。
 その後、俺の勇者伝説を語り、エリアの話を聞いたりした。
 けれど、エリアは突然消えてしまった。何も言わずに、跡形もなく。
 1年前以上の出来事だったから、忘れていた。エリアの存在を。
 つまり・・・。
 
 運命の再会ってわけだ。

「エリア・・・」
 俺はエリアが好き。最愛の人は、アクアではない。
「エリア、だったんだ・・・」
 今なら分かる。エリアが好きだって。
 一目惚れだったんだと思う。
 俺のファンで、かっこいいって言ってくれて、笑顔が素敵で可愛くて、俺の話もちゃんと聞いてくれて、そんな彼女に恋してたんだ。
 この気持ちは変わらない。
 愛する人は、エリアだ。
「カズマ・・・。で、出たよ」
「っ!エリア」
「は、入る?」
「あ、ああ」
 好きな人と話すのが恥ずかしくて、赤くなってしまう。エリアも。
 これって意識しているってことなのか?
 エリアは、俺のことが、好きなのか・・・?
 そんなことを考えながらシャワーを浴びた。
 ずっとエリアのことを考えながら。
「愛してる」
 この気持ちが、伝わればいいのに。
 エリアが、俺のことを好きだったらいいのに。

「は、入ってきたぞー」
「カズマ、早いね」
「そんなことないぞ、普通だろ」
「そうかなぁ・・・」
「っ!そうだろ」
 エリアの笑顔にやられてしまいそうだった。
「あのさぁ・・・。い、一緒に寝る?」
「っ!べ、別にいいけど・・・」
 高鳴ってる、胸が、これ以上ないくらいに。
「じゃあ、連れてってよ、ベッドに」
「ああ」
 エリアの誘いに、俺は躊躇うことなく即答した。
「んっ」
「軽いな。運びやすい」
 俺はエリアをお姫様抱っこでベッドまで運ぶ。
「ありがと」
「どういたしまして」
 俺とエリアは、布団の中に入った。
「おやすみ」
 エリアがそう言った。
 けど、まだ寝たくなかった。
「エリア」
「っ!か、カズマ」
 俺はエリアの手にそっと触れ、握った。
「かっ、カズマ・・・」
 そして、エリアのほうを向く。
 息が触れるほどの距離。
「あっ、んっ・・・」
 俺はエリアを抱きしめると、キスをした。






Page:1 2



小説をトップへ上げる
題名 *必須


名前 *必須


作家プロフィールURL (登録はこちら


パスワード *必須
(記事編集時に使用)

本文(最大 7000 文字まで)*必須

現在、0文字入力(半角/全角/スペースも1文字にカウントします)


名前とパスワードを記憶する
※記憶したものと異なるPCを使用した際には、名前とパスワードは呼び出しされません。