二次創作小説(紙ほか)
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- バトルロワイアル・パロディ
- 日時: 2019/10/02 00:00
- 名前: バトロワ (ID: s0HJVqnB)
小林旋風という少年について語るならば、サッカー少年という言葉がまずあがる。
健康的に焼けた肌とスポーティーな私服はいかにもアウトドア系であると言わんばかりで、小学校高学年ほどの容姿とともに、わんぱく坊主という印象を見る者に与える。
そして気質はまさしくその通りなのだから人は見た目によるというものだが、彼の首にある機械とそれによる彼の落ち込んだ姿が、その気質も印象も変えていた。
この首輪、ボタン一つで膨張し、頸動脈に針を突き刺し、人間の身体を固めてしまう、人間のカチコチ爆弾・カチコッチというものである。
つまりいつでも殺されてもおかしくないということである。
やっべぇな。
「またかよ……」
「ウププププ! いい顔してるロン!」
刑務所のような無機質な場所でガックリと項垂れる彼の目の前のモニターから流れるのは哄笑。
そこに映るのは遊園地に行ったら見かけそうなデザインをしたマスコットのようななにか。
その名をギロンパという。
彼、あるいは彼女について語り得ることは少ない。
未来からやってきた警察を名乗り、正義の味方を僭称していたこと。ギルティゲームなる小学生を百人集めて三日間かけてなぶり殺しにする催しを行ったこと。そのぐらいである。
そしてその催しの数少ない生存者が旋風であった。
彼の兄の疾風を含む、九十名以上の小学生の死は、死体が見つからなかったことから日本全国で同時に起こった児童失踪事件として扱われている。
その犯人こそがギロンパであり仇であるのだが、殺生与奪を握られた旋風は、モニターを睨みつけることしかできなかった。
「ン〜〜〜! そんなに見られると照れるロン。さて……脱獄劇は終わりだ。犯罪者にはもう一度教育しないとなぁ。まあ、リピーターは自己紹介が省けて助かるけど。」
そう言うと画面に映るギロンパが消え、代わりに文章が表示される。
『ギロンパからの挑戦状〜バトルロワイアル〜』という題字の下には、ルールと呼ぶには余りにも簡素な説明が書いてあった。
『1、ここに集められた子供達は未来の犯罪者であること』
『2、それを未来の警察であるギロンパが取り締まるために集めたこと』
『3、子供達の間で死刑を執行しあい、模範囚は未来の罪が赦されること』
このような趣旨のことが書かれている。それを旋風が確認したかしないか、といったところでその視界が揺れた。
ガスだ、そう思ったときには、もう身体の自由がきかなくなっていた。
- インフォ ( No.1 )
- 日時: 2020/01/04 16:57
- 名前: バトロワ (ID: s0HJVqnB)
※とりあえずエタります。もしかしたらどなたかのリレーに参加するかもしれません。
それまではぼちぼち他の作者さんのリレー企画とかに顔出したり出さなかったりします。
バトロワの二次も多いしそっちの作品で感想を書くこともあるかもしれませんが、「そんなことしてないで早く書け」みたいなのはこのスレでお願いします。
というわけでバトルロワイアルのパロディをギルティゲームとのクロスでやります。
バトロワは今年で二十周年、基本的には参加者が最後の一人になるまで殺し合うというものです。
毎日日付が変わると同時に投稿していきたいと思います。
よろしくお願いします。
【参加者】
『バトル・ロワイアル』……稲田瑞穂、川田章吾、国信慶時、黒長博、南佳織
『バトル・ロワイアル(漫画版)』……稲田瑞穂、国信慶時
『バトル・ロワイアル(映画版)』……稲田瑞穂、桐山和雄、国信慶時
『ギルティゲーム』……北上美晴、小林旋風
『黒魔女さんが通る!!』……伊集院麗華、霧月姫香、小島直樹、速水瑛良
『悶絶少年 其の伍 少年拉致強姦』……ひで
『四つ子ぐらし』……宮美一花、宮美二鳥
『ロウきゅーぶ!』……香椎愛莉、竹中夏陽、湊智花
- 第1話 リピーターズ・イン・ザ・デッド ( No.2 )
- 日時: 2019/10/04 00:43
- 名前: バトロワ (ID: s0HJVqnB)
川田章吾が修学旅行のバスで催眠ガスが撒かれたことに気づくも抵抗虚しく意識を失い、それを取り戻したのは何処とも知れぬ森の中であった。
あまりの事態に思わず頭を振りたくなったが、己が持ち合わせる医療知識に照らし合わせてやめておく。その代わりのように、彼は傍らに置いてあったデイパックへと手を伸ばしていた。
「なるほど……ようはまた、クソったれの殺し合いか。」
そしてこの催しの参加者全てに配られるタブレットでギロンパからのメッセージとルールを読み状況を理解した。
さて、なぜこの男はこんなに手際が良いのか?と思う者も多いだろう。修学旅行に行くはずが拉致られて殺し合わされるという状況をなんでまたこんなにあっさり受け入れられるのか。その答えは彼の第一声にある。
何を隠そう、彼はリピーターだからだ。
大東亜共和国という東アジアの大国で行われる、中学三年生の一クラスで最後の一人になるまで殺し合うというプログラム、それの優勝者である。
ゴツい顔つきと身体はまさに歴戦の戦士の風格を漂わせ、纏う空気は人を寄せ付けないプレッシャーを近くの者に与える彼だが、年齢にすると十六歳、プログラムのせいで一年留年しているので二度目の中学三年生である。そんな彼が二度目の殺し合いに巻き込まれたとなれば、否が応にも身体が先に適応してしまう。彼にとってこの状況は真に遺憾ながらとても憶えがある。もとい、忘れようがない。であるからして、彼の次の行動も恐ろしいまでに素早いものであった。
まずタブレットを確認しながらデイパックを漁り(ちなみにこのデイパックはタブレットと何らかの物品を一点支給品として入れてあり参加者全員に配られている——このあたりも彼が前に参加した殺し合いと同じだ)、武器になりそうなナイフを見つけておくと、やおら立ち上がり駆ける。パァン、と間の抜けた銃声を前方から感じながら森の中を走るとすぐ様に人影に飛びかかる。僅かな間で、彼は自分が何者かに狙われていること、そして敵がどこにいるのかを感じ取っていた。しかしながら。
(!? 子供——ぐっ!?」
「ヘンタイ!」
手のひらにマシュマロめいた触り心地の何かを感じ取っていた。少し顔を上げると、小学校高学年ほどの女子と思われる顔と目があった。その恐怖と、困惑と、怒りと、そしてそれをまとめて上回る羞恥の表情を見たとき、川田の股間に走る電流!否、激痛!
「撃つよ! う、撃ちますよ!」
「ま——待て! 俺はノッてない!」
頭上から降る声。向けられる銃口。涙を目に浮かべた少女の指は引き金にかかっている。
川田は慌ててナイフを投げ捨て、腕を広げて地に伏せる。大方突然のデスゲームに恐慌状態に陥った参加者だと思い殺すことも視野に入れて無力化を図ったが、思いっきり墓穴を掘ってしまった。こうなったら殺意が(あんまり)無かったことを伝えるしかない。とてもではないが謝って許してもらえることでもないが……
(おいおい二度目だからって油断してたんじゃないか? にしても、中三には見えないな……プログラムのルールが変わったのか……? とにかく……)
まずは謝罪、それから交渉を……と考え口を開こうとする川田。それより早く、「小学生ですか?」と声をかけられた。無論、銃を突きつけている少女がである。
「……一応、中学三年だ。」
「……名前もお願いします。」
「川田章吾。城岩中3年B組。アンタの名前を聞いても?」
「……北上、美晴です……えっと、学校は……あっ、撃ってごめんなさい!!」
銃を伏せた相手に構えているという優位な立場にあること、名前を知ったことで相手を殺人鬼のような名前の知らない恐怖の対象からコミュニケーションができる人間だと認めたこと、そんなところがポジティブに作用したからか次第に少女——美晴の動揺が治まっていくのを川田は感じる。荒い息遣いと銃が手の震えで立てる微かな音、それらは美晴から名前が告げられるまでの僅かな間に無くなっていった。
川田は、内心舌を巻いていた。美晴はかなり図太いようだと。具体的な年はわからないが、川田が小学生ぐらいの時にはもっと自分の心を律するとか興奮を治めるというのは苦労することであった。そればかりか発泡まで謝罪して気遣う余裕まである。男子と女子の差か?と思ったが、美晴からはそれでは説明がつかない凄みを感じていた。
川田の直感は当たっていた。
北上美晴、彼女は今回の殺し合いの主催者であるギロンパが開催したギルティゲームというデスゲームから脱出した、数少ない生存者である。
つまり、彼女もまたリピーターなのだ。
- 第2話 光の戦士 ( No.3 )
- 日時: 2019/11/25 19:11
- 名前: バトロワ (ID: FA6b5qPu)
身長は160cmほどだろうか。小学生が着るような体操着を着た筋肉質なオッサン、というのが思わず冷静にその姿を眺めてしまっていた宮美二鳥と小林旋風がその男に対して抱いたイメージだ。
二人は努めて、男だけを見ていた。その男の体操着が赤く染まっていることも、男の近くの地面に倒れている人間にも、その人間から流れ出した赤い液体からも、目をそらすように。
やがて、その男と目があって。
「走れ!」
旋風は弾かれたように駆け出すと共に二鳥の手を引いて坂道を下った。
(今日も学校楽しかったなあ。早く帰って宿題しなきゃ……)
時間は少し遡る。彼が腹部への微かな痛みと眩しさを感じながら微睡みから覚めたとき、見上げた視界には太陽が真上にあった。
「ここは……?」
何処とも知れぬ山道に、デイパックを枕にして寝ていた。背中にはランドセル、直前の記憶は、学校からの帰り道。いつものように通学路を下校していて——
「あれぇおかしいね……」
そこで、記憶が途絶えている。いつもどおりの学校、いつもどおりの帰宅。なのに……瞬間移動したように見知らぬ場所で寝ていた。
起きて一分ほどすると、段々ととまどいの気持ちが高まってきた。理解できた状況と理解できない状況、二つの情報が結びつかない。自分は誘拐されてしまったのだろうか?という不安も出てきたが、じゃあなぜこんな場所で寝ているのかがわからない。それに、彼が下校していたのは昼下がりである。小学二年生の彼だって、帰る頃には太陽が真上にないことぐらい知っている。なのに明らかに南中している太陽に、言葉は知らないまでも違和感を感じざるをえなかった。
だんだんと恐怖が増してくる。
とりあえず何をしようか、そう考えた彼が手にしたのは、自分が枕にしていたデイパックだ。もちろん彼にこんなものを持った憶えはない。だから、その黒い袋が気になった、それだけである。そして無遠慮に開くと、おそるおそる突っ込んだ手に硬質なものが触れた。
出してみる。タブレットだった。
時間は、12時を少し過ぎた程だった。画面に並ぶアイコンは四つ。時計、何か文字の書かれたサムネイル、ミッションと書かれたもの、そして白紙のノートのようなもの。以上。
順に押してみる。
時計、反応しない。
白紙のノートのようなもの、どうやらメモ帳のようだ。
ミッションと書かれたもの、画面が黒くなって終わり。
そして何か文字の書かれたものを押して——
「動くな。」
「!?」
首筋にひんやりとした硬い感触。
そのまま押し倒され伏せられる。
うつ伏せになった体勢で首だけ向ける。
セーラー服を着た女が見えた。
「お前は悪魔か……?」
女からの誰何。
「ぼくひで。」
男はそれだけ答えた。
ひでと名乗ったやたらガタイの良い自称小学生のオッサンを前に、稲田瑞穂は困惑していた。自分と同じぐらいの身長でなぜか小学生の着るような体操着を着ている危ない臭いのする男だったので光の戦士として立ち向かわねばと思ったのだが、彼と話すうちにやはり色々と危ない人物だと感じ始めていた。
瑞穂は、川田章吾と同じ城岩中の生徒だ。彼女は川田と同じように修学旅行のバスに乗り、川田と同じようにギロンパに拉致られ、川田と同じようにゲームに巻き込まれた。
ただ二つ、彼女は川田と違うところがあった。
一つは、彼女はリピーターではないということだ。もちろん彼女も、政府が行うバトルロワイアルについては知っている。中学三年生がクラス単位で最後の一人になるまで殺し合うというまさにデスゲームだが、彼女も中学三年生、自分がそれに巻き込まれるかもとは一度は思ったこともある。だから、他の参加者と同じようにタブレットを確認し、ギロンパからの挑戦状を見た段階で、これがバトルロワイアルと同じものだと認識はしたが、バトルロワイアルと違う点には気づかなかった。これはバトルロワイアルの情報自体が情報統制で経験者か関係者でなければ知りようがないためいたしかたがない。
そしてもう一つは。
「つまりギロンパは悪魔だ。」
「この人頭おかしい……」
彼女は電波だ。
彼女は自らを光の神アフラ・マズダに仕える、聖なる一族ディキアン族の末裔で、光の戦士プリーシア・ディキアン・ミズホと称して普段から光の戦士になりきるという、ようするにやべー奴だ。
そんな彼女が、修学旅行に行くと思ったら山道にいたという神秘体験をしたら。
「この光の剣でその首を刎ねてやる。」
「ソウデスネ。」
思いっきりこじらせた。
どうやら彼女、完全に自分が異世界転生とかそんな感じのことになったと思ったらしい。もうやる気マンマンである。
そんな彼女にさらなる神秘体験が訪れる。それは。
「「……悪魔め!!」」
自分のドッペルゲンガーとの遭遇である。
さてドッペルゲンガー、もといもう一人の稲田瑞穂——便宜上、後から来た方と呼ぶ——の正体は、平行世界の稲田瑞穂だ。
二人の違いは、本来彼女が参加するはずだったバトルロワイアルで、銃弾を二発食らって死ぬのが稲田瑞穂、1発食らって死ぬのが後から来た方、そのぐらいである。
なので後から来た方は稲田瑞穂と同じように考え、同じように理解と誤解をし、同じようにこじらせた。
さて、ドッペルゲンガーにまつわるエピソードといえば、会うと死ぬというものがあるがもちろんそれはオカルトマニアの稲田瑞穂も知るところで。
「「死ねええぇ!!」」
二人の声がこだまする。同時に稲田瑞穂はひでに突きつけていた両刃のナイフを構え突貫し、後から来た方はオートマグを乱射した。
ナイフが心臓に刺さるのと、マグナム弾が頭を吹き飛ばすのは同時であった。
「なんや今の音?」
「銃か?」
ここで時間は冒頭に戻る。小林旋風は今回もギロンパをなんとかせんとまずは仲間集めから始めていたが、ゲームが始まってすぐに一つ上の宮美二鳥という少女と合流していた。もちろん、彼女は殺し合いに乗る気はない。そもそもこれが殺し合いだと旋風から聞かされてまだ半信半疑な程なのだが。
「走れ!」
否応なく、受け入れさせられた。
怪音に誘われ彼女たちが見たものは、血塗れの変態と死体。
ようするに、ひでが殺した(と誤解して)現場だった。
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