二次創作小説(紙ほか)
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- 古道具屋 不思議堂
- 日時: 2019/12/10 20:07
- 名前: コロン (ID: Go.89if1)
裏道にひっそりとある古道具屋、『不思議堂』。
そこでは、玲子という名の女性が一人、店を営んでいる。そして、今日も、普通な誰かが、店へと入っていく。
***
TSF他者変身作品です。趣味満載な小説。
古着 >>2
- Re: 古道具屋 不思議堂 ( No.1 )
- 日時: 2019/12/13 18:50
- 名前: コロン (ID: Go.89if1)
《古着》
「さてと、ほうれん草は買ったし、ティッシュと醤油も買ったから……後は家に帰るだけね」
主婦である佳純は、ようやく今日の買い物を終え、帰路についた。肩には、前よりずっしりと重くなった買い物袋が下がっている。
「今日の晩御飯は……オムライスにしよっかな」
娘の由梨の喜ぶ顔を思い浮かべて、思わず微笑みが佳純の顔に浮かぶ。
その時。
「あら?あそこ………」
佳純は、暗い裏道の中に、小さな店を発見した。
「こんなところにこんな店なんてあったかしら?」
店の名前はーーー『古道具屋 不思議堂』。
「不思議堂か……そうだ」
古道具屋と書いてあるのを見て、佳純は一つの事を思い付いた。
少し錆のついた取っ手を掴んで回し、扉を開ける。
チリンチリン……
扉についていたらしい鈴の音が響いた。
「………ん?あら、お客さん、いらっしゃい。ようこそ『不思議堂』へ」
店の中にいた黒髪の女店主ーー玲子が、笑顔で会釈する。
「こんにちは。古道具屋って書いてあったけど、ここって子供服の古着とか、あるの?」
「ありますよ。少し待ってて下さいね」
少しの間、玲子は姿を消し、やがて引き出しのようなアンティークの色の木箱を持ってきた。
「これが全部です。少なくてすみませんね」
「いえ、大丈夫よ」
応答しながら、佳純は木箱の中を覗き込んだ。
木箱の中には、子供用の服が何着か入っていた。
一着ずつ取り出して確認してみるが、どれも小学四年生の由梨には小さそうに見える。
(うーん……もう少し大きいのは無いのかな……)
一枚一枚、きちんと服を確認していく。
「これじゃあ駄目かな……ん?」
最後の一枚。
青と黄色の縞模様のボーダーシャツと、青い短パン、赤い靴下。
男の子っぽい服だが、このサイズなら、由梨でも着られるだろう。
「この服、くれない?」
「はい、まいどあり。ついでにこれもどう?」
玲子がついでにと、赤と青の野球帽子と赤のスニーカーを手渡す。
「んー………」
佳純は、一瞬迷ったものの、有り難く受け取る事に決めた。代金を玲子に渡して、代わりに袋に入った服を受け取り、店を後にした。
***
「ただいまー」
「お帰りお母さん!」
佳純が帰るなり、由梨がすっ飛んできた。
由梨の頭を、佳純が軽く撫でる。由梨が嬉しそうに笑った。
「はい、新しい服よ」
「わあ!ありがとう、お母さん!」
袋を佳純から受け取り、由梨が目を輝かせる。
「あ!しまった!ケチャップ買い忘れてた!ごめん由梨、留守番してて!」
買い忘れに気付き、慌てて家を飛び出す佳純を見送って、由梨は自分の部屋に戻った。
由梨は、佳純から受け取った袋を開いて、中身を確認した。
服を出して見てみる。
「うーん……あんまり可愛くないなあ。でも、男の子みたいで面白いや!」
由梨は、自分の着ていた白いワンピースを脱ぐと、ボーダーシャツと短パン、靴下を着込んだ。
さらに、頭に野球帽を被った。
「………えへへ!」
鏡に映った少年のような格好の自分を見て、思わず笑みがこぼれる。
「変なのー!あはは!」
由梨はくるくる回りながら、自分の服装を見る。
「……あっ!?うっ……!!」
その瞬間、由梨の頭に激痛が走った。
思わず膝をついてしまう。
「あっ……がっ………!」
由梨の体に、変化が起こった。
由梨の茶色がかかった長い髪が黒く染まり、シュルシュルと短くなっていく。
由梨の身長がぐんぐんのびて、小学四年生にしては低かった身長が、小学六年生の男子の身長くらいまでになった。それだけではなく、発達途中の胸が一気に小さくなって平らになり、白かった肌は程よい小麦色に日焼けする。
さらに、変化は由梨の顔にも起こった。由梨の顔つきが変化し、幼さを残した少年の顔へと変わっていく。
「あっ……かっ……こ、声が……」
由梨の高く澄んだ声が、あどけない少年の声へと変わったことに気付き、由梨は慌てて喉に手をやる。すると、そこには少し膨らんだ喉仏があった。
「うう……わ、わた、ぼ、僕、どうなっ……て、僕!?」
変化は由梨の精神へも及ぶ。自然と「僕」という一人称を使った自分に、由梨は驚きを覚えた。
「あっ!そ、そこはっ……!!」
そして、とどめに由梨は股間に違和感を感じた。その違和感は、由梨が完全に少年の体へと変化したことを決定的にしていた。
「僕……男の子になっちゃった……」
鏡に映った自分を見て、間違いなく男の体だと確信する由梨。
だが、由梨の心にはそれほどパニックは無く、むしろ落ち着いていた。
「僕は……由梨って名前だけど、なんかしっくりこないなあ、僕の名前は………
『ネス』?」
突然浮かび上がったネスという名前に、由梨は一瞬驚くが、その名前を呼んでみて、頷く。
「ネス……僕の名前は、ネス。うん、記憶はあるけど、こっちの方が慣れる感じがするな。なんか、ずっと前から、元々ネスって名前だったみたいだ。体も………」
どうやら、体の変化と共に、心も完全にネスという少年に変化し、精神的年齢も成長してしまったようだ。
由梨……いや、こちらも今からネスと呼ぶことにしよう。
ネスは、いつのまにか近くに置いてあった黄色いリュックを掴むと、玄関に走り、スニーカーを穿く。
「今ここにいたら、お母さんびっくりするかもしれない……悪いけど、ちょっと出てみよう。もしかしたら、僕と同じように、変身した人がいるかもしれないな」
ネスは、ドアを開くと、自らの家を飛び出した。
***
「ふふ……冒険を楽しんでね、ネス。大丈夫よ、すぐに仲間も見つかるから」
第一話 「超能力少年」
To be continued…………?
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