二次創作小説(紙ほか)
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- 銀魂*葉桜が満開になる日
- 日時: 2020/03/09 20:37
- 名前: 日の入り時子 (ID: xs5T8t9X)
銀魂二次小説。
天人が入り混じるこの日本。
かぶき町には様々な個性的な人間等が集まってきた。攘夷戦争で両親を失った少女
天羽依吹、彼女の父の道場の一番弟子伊庭七郎。
- Re: 銀魂*葉桜が満開になる日 ( No.1 )
- 日時: 2020/03/09 21:04
- 名前: 日の入り時子 (ID: xs5T8t9X)
「あ、よぉ。七郎、依吹ちゃん」
見回りに来ていた真選組副長の土方十四郎と総長である山南悠助が声を掛けてきた。
土方はまじまじと二人を見て噴き出す。
「ブフォ!依吹のほうが背が高いとか…」
「はい、あっという間に抜かされてしまいました。後、土方さん?身長の事で笑ったら
…分かりますよね?」
伊庭の柔らかい口調と表情。土方の額から汗が噴き出る。
「マヨネーズしか喰ってねえからな。マヨネーズ語で話さねえと」
「いや、マヨネーズ語!?何語!?」
山南の言葉に依吹が突っ込みを入れる。それで全員が笑った。
巡回を終え戻ってきた悠助は縁側で寝転がる。
「いやぁ可愛くなったなぁ依吹ちゃん。スレンダーで。あ、十四郎君、鼻血出てるよ」
「お前だよ!否定はしないけども!!」
鼻血を出してたのは山南悠助だった。
「おぉ、戻ってきてたのか二人とも。依吹ちゃんたちはどうだった?」
「近藤さん…元気そうでしたよ依吹」
「そうか、まぁ伊庭が一緒なら大丈夫だろう」
- Re: 銀魂*葉桜が満開になる日 ( No.2 )
- 日時: 2020/03/09 21:28
- 名前: 日の入り時子 (ID: xs5T8t9X)
「こいつぁ……」
たまたまポストを覗いた沖田総悟はその手紙を見て悪い笑顔を浮かべた。
副長の座は取れずとも総長の座は取れる。そうと決まれば密告だ。
吉原桃源郷では遊女の頂点、日輪に最も近いとされる遊女がいた。彼女は襖を開け
彼の元へ近寄る。
「灯里と申します。雪羅様、どうぞごゆっくり」
淡い水色の和服を纏った灯里は胡坐を掻く男に頭を下げる。真っ白な肌に黒髪、背中には
雪の結晶が描かれている。純血の夜兎、雪羅だ。彼は目を開き部屋を出ようとする灯里に
声を掛ける。
「想い人がいるみたいだな…」
「ッ!!」
冷たい瑠璃色の眼が彼女を捉える。彼女を近くに寄らせる。
「月も太陽も見ないで酒を楽しむことは出来ない。安心しろ、鳳仙は俺に干渉してこない。
その人間はどんな名前で、どんな人物なんだ?」
「は、はい…私の想い人はとても優しい方なのです。貴方のように色白で背は高くはありませんが
とても勇敢な剣士なのです」
真選組屯所、全員が集まって夕食をしているときに沖田総悟は例の手紙を近藤さんに見せた。
「これは勿論、違反ですよねぇ?」
「いや、それは無いさ総悟。悠助、婚約者から手紙だぞ」
近藤勲は悠助に手紙を渡す。宛名を見て彼は少し微笑んだ。
「灯里…!」
手紙を開いた。他も覗き込んでいる。
『山南悠助様 いかがお過ごしでしょうか?しっかりご飯は食べていますか?寝れてますか?
糖分ちゃんと取ってますか?』
「子供を溺愛する母親か!!」
『私は少し寂しいです。お仕事がお休みになったら会いに来てくださいね。またお話ししましょう。
私は今、怖いです。夜兎族の方々によって吉原桃源郷には太陽が出なくて…』
そこまで読んで悠助は視線を近藤へ向けた。彼は察してくれて頷く。
「行って来い、婚約者のところに」
- Re: 銀魂*葉桜が満開になる日 ( No.3 )
- 日時: 2020/03/09 21:47
- 名前: 日の入り時子 (ID: xs5T8t9X)
同時刻、晴太という少年の母親であろう遊女と晴太を合わせるべく銀時たちも動いていた。
「お主らは下手なことはしなくてもいいだろう」
「そうネ。依吹ちゃんはめっちゃ美人アル!」
「ありがとう神楽ちゃん」
月詠が交渉に出て全員を中に入れた。中に入るとき伊庭は依吹に声を掛ける。
「僕から離れないでくださいね依吹ちゃん」
「…はい」
依吹はギュッと伊庭の裾を握った。途中、月詠と別れ全員がバラバラに動き出す。
依吹と伊庭はたまたまいた山南悠助と鉢合わせた。
「お前らも来てたの?桃源郷」
「はい。銀時さんたちの手伝いを…悠助は?」
「俺はあれだ。女を守りに」
「え!?恋人がいるの!?ちょっと意外…」
「オイこら、どういう意味だよ依吹ちゃん。俺だって女はいるっての」
襖に手を掛けた悠助だが動きが止まった。刀を構えている。そして一気に開けた瞬間。
悠助は刀を弾いた。
「ほぅ…流石真選組総長だな。流石に出し過ぎか」
「あぁ。それじゃどうぞ構えてくださいって言ってるようなもんだぜ夜兎」
悠助は辺りに目を走らせる。そこには両手足を縄で縛られ身動きが取れない灯里がいた。
「俺は雪羅、お前は山南悠助だろ。そっちの剣士は…伊庭七郎っていったか。随分と腕が
立つらしいな。それに二刀流…堪らないねェ、強い奴と闘うってのは」
雪羅と名乗った男は笑みを浮かべる。七郎も刀を二本構える。そして同時に三人が動く。
雪羅は楽しんでいるようだ。伊庭たち二人はかなり強い剣士だ。彼らを相手に勝つことは
並大抵の人間では不可能に近い。
- Re: 銀魂*葉桜が満開になる日 ( No.4 )
- 日時: 2020/03/10 09:27
- 名前: 日の入り時子 (ID: xs5T8t9X)
「うわぁ!な、何々!!?」
依吹が声を上げた。天井を突き破り上から降りてきたのはもう一人の夜兎。
神威と名乗る男だ。
「雪羅ばっかり、ずるいよ。俺も混ざっていいかな?」
「勘弁してくれよ…一人でも結構大変なのにさぁ…七郎」
「分かってます。向こうは僕に任せてください」
「じゃあ任せた!」
伊庭と山南が互いに背を向けて走り出した。
「(突き…!?)」
山南の突きは雪羅の頬を掠る。七郎は離れながら神威と闘っていた。手数は伊庭の方が多い。
「凄いね。二刀流剣士なんて初めて見たよ!」
「そうですね、二刀流の方が大変なんですよ?両利きの方はどうも思わないかもしれませんが
僕は左利き、右手も使って剣を扱うのには中々慣れるのに手こずりましたから」
苦笑を浮かべながら七郎は攻める。隙を与えてはいけないと考えたからだ。
雪羅を相手取る山南の体が吹き飛ばされた。
「山南さん!」
「ダメだ、動くな依吹ちゃん!ここにいる以上、俺は二人分の命を背負ってんだ」
ゆっくりと体を起こし山南は刀を構え直す。灯里は依吹を呼ぶ。そして彼女にあることを
頼む。
「意地を張っても無駄だ。肋骨も折った、情けのつもりで利き手じゃない腕も折った」
声を荒げ山南は剣を振りかぶる。周りの声が聞こえていない。必要ないものを全て排除している
状態だ。彼の顔面を雪羅は鷲掴みし床に叩きつけた。
「山南さん!!」
「ッ!?ァ…!!」
灯里が投げた短刀は雪羅の右眼に刺さる。彼女は山南に駆け寄る。
「灯里…無事か?」
「えぇ、大丈夫です…」
ゆっくり窓から日が射してきた。吉原に昼がやってきた。依吹は近くに転がっている番傘を
開き雪羅に渡した。
「…何故渡す?このまま殺したほうが良いだろう」
「そんなこと、できない…本当は殺す気なんてないくせに」
- Re: 銀魂*葉桜が満開になる日 ( No.5 )
- 日時: 2020/03/10 14:33
- 名前: 日の入り時子 (ID: xs5T8t9X)
銀時や依吹たちが帰った後、白い番傘を手に人知れず雪羅は吉原を出ようとしていた。
「雪羅様?」
「…」
少し手が止まるも彼は傘を開き外に出ていく。それを灯里は追いかける。
「またおいでくださいな。優しい夜兎様」
雪羅が振り向いた。何かに驚いている様子だ。だがそのうち微笑んで見せて再び歩きだし
手を振った。
灯里は雪羅と仲良くなった一方でこれから依吹を狙う事件が起こる。依吹と伊庭が真選組屯所に
やってきた。伊庭が近藤に呼び出され依吹が付いてきたのだ。
「じゃあ僕は近藤さんとお話があるから暫く待っててね。沖田君たち、依吹ちゃんのことを
お願いしますね」
「大丈夫ですぜィ、伊庭の旦那。しっかり見てるから」
「僕たちで見てますから安心してください」
沖田と山崎に依吹を任せ彼は真剣な面持ちで別室に姿を消した。別室には近藤と土方がいた。
「依吹ちゃんが狙われている?」
「あぁ、手に入れた情報だとこの男が動いているらしい」
伊庭はその写真を見て必死に怒りを堪えていた。突然、道場に乗り込み依吹の父親ともども
門下を殺した男。さらに彼が作り出した組織には夜兎族同等の天人、月兎族が数名いた。
その種族は夜兎族同等の戦闘能力を持ち彼らを超える回復力を持つという。
「…君にとっては因縁のある相手だよな。七郎。君の師匠、依吹ちゃんの父親を殺した男
黒宮夜見、鬼神と言われる人斬りか…そんな男が依吹ちゃんを狙う理由は」
「彼女を人質に取れば殺し損ねた僕を釣ることができる…そう思っているのかもしれません」
伊庭の声が震えている。伊庭と依吹の繋がりは強い。その理由を彼らは知っている。
依吹を世話する沖田たちも今はいない銀時たちも。
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