二次創作小説(紙ほか)

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【ドラクエⅪ】レベル99の勇者様 時渡り失敗したらしい?
日時: 2020/12/06 13:10
名前: 通りすがりの鹿 (ID: PEx0ZAEq)
プロフ: https://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?no=12942



第零話 過ぎ去りし時を求めて


長かった魔王「ウルノーガ」との対決も、数多くの人々の犠牲を出しながらもようやく決着がついた。
あるものは泣き、あるものは喜び、満身創痍の状態で帰ってきた勇者一行を最後の砦の人々が称え、祝った。

三日三晩にわたって、勇者一行をたたえる宴が開かれ、人々もやっともとの日常が......平和が自分たちのところに戻ってきてくれたのだと、そう思った。

しかし、一番の主役であるはずの勇者「イヴ」は「疲れたから」とデルカダール王に断って、宴か開かれている最後の砦の中でも一番大きなテントから出て行ってしまった。


どれだけがんばろうと、どれだけ悲しもうと、喜ぼうと、失った友人ベロニカがもう戻ってくることはない。きっと、この宴が終わろうとも...あの桟橋にいるあの子のように、途方に暮れ、先が見えない真っ暗闇の中をただただ一人で歩いていくだけだ。


ふと、これからどうしようという考えが頭の中をよぎった。


勇者としての役目はもう終えた。
役目を終えたのならば......私はもう、誰にも必要とされなくなってしまうのではないのだろうか?自分が勇者であるということをぺルラから話されることがなかった限り、ただの村人A同等だった私を必要とする人なんて、現れるのだろうか。


仲間たちも、また、自分たちの道を歩んでいくのだろう。


セーニャはラムダへと戻り子供たちに魔法を教えながら勇者の物語の語り部として生きていき、シルビアはナカマたちとともに世界各地を回り人々を笑顔にする。

ロウおじい様はユグノアを再建するためにデルカダール王などとともに様々なことをするらしいし「これからは倍以上に忙しくなるぞい」と嬉しそうに言っていた。

マルティナは近々女王として即位する戴冠式のためにいろいろな準備をしなければならないらしいし、グレイグもマルティナについて行くと決めているらしい。


カミュは――――詳しくは何も聞いていないが、きっとマヤちゃんと一緒にまた旅に出るんだろう。トレジャーハンターのようなことをしてみたいとかってマヤちゃん言ってたし、カミュだって「アイツのわがままは出来るだけ聞いてやりたい」って嬉しそうに言ってたから...


......最初の時のように一人旅にでも出ようかな...


なんならロウおじい様のお手伝いに行ってもいいし。





「どうしようかなぁ...」



「何がどうしよう。なのですか?」



「うわっと......セーニャか...なんだ、驚かせないでよ...」



「あぁ!す、すいません、イヴ様。
...物思いにふけってらっしゃるようで...何か相談に乗れればと思い探してましたの。
それに、私だけじゃあありませんわ」



「あちらをご覧ください」とセーニャが指を刺した方向を見ると、私の口から「あぁ...」という呆れ交じりのため息がこぼれた。
さすがに心配症にもほどがありすぎる。
私が誤って川に落っこちるとでも考えたのだろうか?

セーニャがネタばらししたため、指を刺した方向からはぞろぞろと仲間たちが現れた。

一人は恥ずかしそうに、一人は呆れた様に、一人は楽しげに笑っていた。




「あのなぁ...俺はやめようって言ったんだぜ?」




苦笑いを浮かべながらカミュがそう言ってくる。
まぁ、彼のことだから最初は止めたのだと思うけれど...



「あらぁ!途中から結構やる気だったじゃないカミュちゃん♡嘘はダメよん♡」



シルビアの口車にうまく乗せられたんだろう。
いろいろと凄いオネエだから...



「いや、わしらはただ心配じゃったんじゃよ。
ベロニカがいなくなってからという者、お主がボーっとしてることが多くなってきていることに、一番近くにいるわしらが気付かんとでも思ったのか?」


「そうよ、イヴ。最近の貴方は少しがんばりすぎてると思うわ...少し肩の力抜いてみたらどう?」


「うむ、ウルノーガを倒して少しは楽になったようだが、お前はこの中でも一番多くの敵と戦ってきたのだから...無理をするんではないぞ」




ロウおじい様に続いて、マルティナとグレイグが口を開く。
知らない間にたくさんの人に迷惑かけてたんだと思うと申し訳なくて恥ずかしくなってしまった。




「ご、ごめんみんな...
あはは。心配かける気はなかったんだけどさぁ...」


「イヴ様......少し聞いてもよろしいですか?魔王を倒す戦いは終わりを告げました。イヴ様は、これからどうなされるのですか?」




笑顔でみんなの顔を眺めながらそう言うと、セーニャが先ほどまで考えていたことを言ってきた。

もうみんな...これからやることは決まってるんだもの...

いつまでもみんなと旅していたいなんてわがまま言ってはいけないとわかっていながらも、心のどこかではこれからもずっとともに...なんて考えが出てきてしまう。

馬鹿みたいだと心の中で苦笑しながらも、繕った笑顔を消して崩さないように専念する。




そうでもしないと、今にも泣きだしてしまいそうだから。




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