二次創作小説(紙ほか)
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- 妖怪ウォッチ! 紡ぐ日常
- 日時: 2021/11/25 20:17
- 名前: マシュマロ (ID: nEqByxTs)
「さっ、西園寺 桜です。よ、よろしくお願いしますっ!」
明るい教室、眩しい朝の光、皆の視線。それを弱々しく受け取りながら私は黒板の前に立っていた。
「はい。よろしくお願いしますサクラさん。皆さん拍手!」
『パチパチパチ』
ここは桜第1小学校。私はその5年3組に転入してきたのだ。
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【注意】
ゲーム版妖怪ウォッチの二次創作です。
エンマ家の複雑な関係は無印版にさせて頂きます。
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ー目次ー
【始まり】 >>1-2
【出会い】 >>3
- Re: 妖怪ウォッチ! 紡ぐ日常 ( No.1 )
- 日時: 2021/11/25 20:18
- 名前: マシュマロ (ID: nEqByxTs)
【始まり】
外見、性格、能力共に普通...でありたい、平凡な少女。私は西園寺 桜。親の事情である県から桜第1小学校に転入してきた。
親は...サクラカンパニーという大企業のトップ。会長だ。母もサクラカンパニーの幹部であり、普通……とは程遠い両親である。
普通、平凡、平均。
私が目指す三大目標だ。
これまで、普通とは程遠い私だが、決定的に普通では無いことが1つある。いや、他のことも普通では無いのだが……。
それは、超能力が使える事だ。
気づいた頃から私は超能力が使えていた。超能力というのは、氷と風を操れる事だ。
物心ついた時からそれはあって、私にとっては普通だったのだけど、幼稚園に入ってからはそれはめっちゃ普通じゃないことに気づいた。
親からはその能力を人前に出さないために丸メガネを貰った。仕組みはよく分からないけどこの丸メガネは能力を制限することが出来るらしい。
それでも年々力は増してって、今では能力を弱める事しか出来ないけど、ないよりマシだ。
こんなハチャメチャで普通じゃない私だけど、この学校では普通!平均!平凡!を目標に掲げて行こうと思う。
内申点とかテストとかそういうのは本気でバンバン取りに行くけど!
とにもかくにもこんな私が主人公の物語どうぞ覗いてってください。
- Re: 妖怪ウォッチ! 紡ぐ日常 ( No.2 )
- 日時: 2021/11/25 20:13
- 名前: マシュマロ (ID: nEqByxTs)
「サクラちゃんは何が好きなの?」
休み時間。新たなクラスメート達が私を囲い質問攻め開始だ。
よく漫画とか小説では転校生は質問攻めされてたけど、本当だったんだ。
「え、ええっと普通...かな」
「何それ?」
「わ、私も...分かんない。」
「そっかぁ、ごめんね?」
申し訳ないことをしてしまった...
好きなこと普通ってなによ!もう!私のバカ!
「サクラちゃんはどこに住んでるの?」
「えっと、そよ風ヒルズだよ。」
「てことは、もしかしてお金持ち?」
「あっ、いや、そんなことなくて...
ふ、普通だよ!普通!」
「そ、そうなんだ。」
食い気味に話してしまった私に対して、質問してくれた子は少し引く。
こんなつもりじゃなかったのに...どうしよう...どうしよう...!
「サクラちゃんって、もしかして人付き合い苦手?」
うっ、その通りだ...
皆と明るく話すことが不得意で、いつもおどおどしてしまうのだ。
「えっと、あと」
「サクラちゃんってさ。変わった髪してるよね」
「えっ、あ、ふ、普通だよ!普通!」
私は慌てて訂正する。いや、訂正じゃない。『変わった』という言葉に反応してつい普通と連呼してしまった。
私の髪は青髪に髪先へ行くについて水色になっている。それに加え、黄色いメッシュがあり、かなり変わった髪型である。
「普通?この髪型で?」
「いやっ普通...じゃ...ない……かも…………」
私は慌てて訂正をするが、その子はふーんと言う。
この出来事が後に私に大変なことが降りかかるととは思いもよらなかった。
- Re: 妖怪ウォッチ! 紡ぐ日常 ( No.3 )
- 日時: 2021/11/25 20:15
- 名前: マシュマロ (ID: nEqByxTs)
【出会い】
転校して1週間たち、夏休みに入った。それまでに色々なことがあった。
この学校と、前の学校の勉強の進み具合の違いとか、新しい人間関係とか……
でも、1番の変化は虐められるようになったこと……かな……
きっと、急に入ってきた異物である私、そしておどおどした私をみて、いじめたくなってしまうのだと...思う。
もっとはきはきしなきゃ行けないんだけど...
「はぁ」
そんな学校生活最悪なスタートを迎えた私は今おお森山にある神社へ来ている。これからの学校生活へのお祈りをしに来たのだ。
『チャリン』
100円がお賽銭箱に投げられる音が木霊する。
『パン!パン!』
大きく2回拍手すると私はお祈りをする。
(楽しくてワクワクしてドキドキする生活がしたいです!)
私はそう願った。
普通の生活を願ってもいいけどどうせなら楽しい生活がいい。高望みすぎたかな...
ふとお賽銭箱がどうなっているか気になりお賽銭箱を除くするとメガネが落ちかける。
ネジが緩くなってきてるのか...
するとメガネが落ちてしまった。
「あぁっ」
それを拾おうとした瞬間。無意識に風の超能力を発動させてしまった。
メガネは風に乗って森の奥へ奥へと飛んでいった。
「ま、まってぇ!」
私はそのメガネを追いかけて行った。
あのメガネがないと無意識に能力を発動させてしまう。
私は周りも見えずに唯メガネだけを追いかけた。
「んっ!」
私はメガネが手元に来た瞬間思いっきりジャンプしてメガネを掴む。
私は半泣きになるぐらいほっと胸を撫で下ろした。
そしてメガネを掛けて帰ろうとするが...
「ここ...どこ?」
私の目の前には3階建てのビルぐらい大きいご神木がある。それを囲うように木々がある。
どうやら神社の奥へと来てしまったようだ。
けど、1つ怪訝なことがある。それはご神木にガチャがあることだ。
石で出来てるような、古びたガチャガチャ...
どうしてこんなところにあるのだろう?変わったおみくじかな?
そう思って私は百円玉を入れて回してみる。
「うっ、硬い...」
そう嘆きながらも頑張って手首を回す。
『ガチャガチャ コトン』
すると石が出てきた...
『石』が出てきた。
「え?石?」
私はそれをとる。本当に石のように硬い...
しかし、若干カプセルのように見える。
よし!開けてみよう!
そう決心し私は両手でカプセルを包み込み、引っ張る。
「んんん...えいっ!」
ようやくカプセルが、真っ二つに割れてくれた。
すると、青い謎の文字が書かれたオーラが空中で舞い始めたのだ。
なに...これ...
その舞ったオーラの中に何かの影が見える...
何...あれ。
オーラが収まり、その影が降りてくる。
何何?!い、イタチ?犬?カラス?!てか、このオーラは何っ?!
「ニャニャっ!メイドニャンただいま参上致しましたニャンっ!」
「は...はへ?」
その影は猫が2つの足で立っており、メイド服を来ている。おしりから出ているしっぽは2つに別れている。
え、待って、猫って二本足で立つものだっけ?それよりもしっぽが2つに割れてる?!け、怪我?!いや、化け猫っ?!
「ばっ、化け猫?!」
「ニャニャっそこのお嬢様さん。ザッツライトですにゃん!」
化け猫...化け猫?!てことは妖怪?!
お、襲われるかも...怖い...怖い!
もし襲ってきたら...わ、私の超能力効くのかな?
あ、確かエスパータイプはゴーストタイプに効果今ひとつだったよね?!効かなそう...
「いやぁ、外の世界は久しぶりですニャン。そこのお嬢様が開けてくれたのですかニャ?」
「え、えっと、はい」
もしかして封印されてた強大な化け物とか解放しちゃった系?て、100円玉で解放できる化け物ってなによ!
てか、本当にこの子の正体が分からない...き、聞いてみる?
「あの、貴方は...?」
「私?私はメイドニャンですニャンっ!」
「そ、そうじゃなくて…種族的な...」
「私はプリチー族ですニャン!」
「ぷ、ぷりちー?」
自分で可愛い族って言ってる...
「あっもしかして妖怪に出会うの初めて系の方ですかニャン?それは失礼致しましたニャン。では説明を。」
話がトントン拍子に進んでいくことに混乱する私。
「この世には妖怪という存在がいることはご存知ニャンね?」
「ぞ、存じてないです...」
妖怪なんて童話は神話の中の存在じゃ...
「ニャンと!妖怪を信じてなかった嬢様でしたかニャ!これは失礼致しましたニャ。この世には妖怪という存在がおりまして、人間に混じって暮す妖怪。人間に手を貸して暮す妖怪。中には悪い妖怪もおりますニャン!」
「妖怪って...こう凶暴なイメージが...」
「そりゃ凶暴な妖怪もいますが、私みたいにプリチーな妖怪も沢山いますニャン!」
そうなんだ...ちょっと想像してたのと違うかも...
「中には私みたいに冤罪で封印された妖怪もいるニャン」
「てことは...私封印解いちゃったの...?」
「そうニャン!というわけで、封印を解いてくれたお嬢様につかえることを誓うニャン!」
え、話が急展開過ぎて追いつけない...
妖怪が人間である私につかえる...?!
「私こう見えてメイドですので!お嬢様に豊かな妖怪ライフを送らせて差し上げますニャンっ!」
よっ、妖怪ライフ?!そんな明らかに普通じゃないライフいらないよぉ!!!
「いやっ、私は普通が良...」
「ではでは、早速これを差し上げますニャン!」
私の言いたいことを遮り、メイドニャンが首かけの懐中時計を暮れる。ピンク色だったり、ハートマークがあしらって会ったり可愛いデザインの時計だ。
高価そうだが貰っても良いのだろうか...?
すると、急に時計が光出した...
「近くに妖怪が居る合図ですニャン!」
妖怪?!私は周りを見渡してみる。けれど何もいない。
「な、何も見えないよ?」
「その時計で周りを照らしてみてくださいニャン!」
照らす?私は勘で、時計の横についているボタンを押してみた。すると光った。
これで辺りを照らせばいいのかな?
私は無造作に周りに光を当ててみた。すると。
「ミン?何だミン!」
セミが見えるようになった。いや、正しくはセミ...じゃないかも。
二足歩行だし、なんか侍みたいな服装で、腰に刀持ってるし。
「この妖怪ウォッチを使うことによって、こんな感じに妖怪が見えるんだニャン!」
「お、お主...!拙者が見えるので御座るか!」
「え、う、うん」
「妖怪が見える人間がいるとは...拙者も知識不足でござる」
セミの妖怪がうーんと唸る。
「この方実は妖怪を初めて見たのですにゃん!名前は...ええと」
そういえば名乗ってなかったな。この3人(?)の中で名前判明してるのメイドニャンだけだし。
「西園寺 桜です。」
「サクラで御座るか!拙者はセミ丸!今妖怪になったばかりで...初めて同士で御座るな!」
「い、今妖怪になったって...?!」
妖怪の前ってことは生きてたの?!生きてた人間がここで殺されて怨念で妖怪になったとかじゃ...
「いやぁ、元気よくミンミンと鳴いていたらコロッと死んでしまって...妖怪になったんでござるよ 」
「いやセミかい!しかもミンミンゼミ?!」
つい私らしくもないツッコミをかましてしまった。恥ずかしい...
「おお!拙者らの種族名をご存知とは!有難いでござる!ここで会ったのも何かの縁。是非とも友達になって欲しいでござる!」
と、友達?妖怪と...?!
するとセミ丸が手をグーにして突き出してきた。
えなに、私も突き出したらいいの?
そう思いお互い拳をぶつけ合うと...
ガチャで出てきた謎のオーラが拳を包み込み...何か出てきた!
私は慌ててそれをキャッチする。
え、何これ?
「な、何だミン!」
いや、お前も知らんのかい。
私は頼みの綱であるメイドニャンの方向を向くとメイドニャンは説明を始めた。
「これは妖怪メダルですニャン!妖怪と友達契約した証として現れるメダルで、妖怪ウォッチにはめるといつでも友達妖怪を呼び出すことができるのですニャン!」
妖怪って便利だしフレンドリーだし...2人とも私のイメージしてる妖怪よりかなりファンシーだし...
私の妖怪感が崩れ落ちそうだ。
「じゃあ拙者は新たな人生を楽しんでくるミン!サクラも妖怪ライフ楽しむミン!あと困ったらいつでも呼ぶミン!」
そう言ってセミ丸は飛び去って言った。
...もう混乱しすぎて訳わかんない。
とりあえずセミの妖怪セミ丸と友達になった。
「えっと私はこれからどうすれば...」
「妖怪が見える生活を楽しんで頂ければいいニャン!」
妖怪が見える生活って...それって...それって...
「全然普通じゃなぁぁーーーーーーーい!!」
そう私は大声で叫んだ。
- Re: 妖怪ウォッチ! 紡ぐ日常 ( No.4 )
- 日時: 2021/11/30 22:11
- 名前: マシュマロ (ID: nEqByxTs)
街の結界を守れ!
「ただいまー」
そよ風ヒルズ北方面にある大きな洋風の屋敷ここで私は1人で暮らしている。
私こと西園寺 桜はついさっき、妖怪ライフを無理やり送らされる羽目になったのだ。そして……
「おぉ、ここがお嬢様のお家!立派ですニャー!」
「な、なんで家まで着いてくるの?」
「もちろん!それはサクラお嬢様の忠実なメイドであるからだニャン!」
「いや、でも妖怪と一緒にいたくないし...」
普通の生活がしたい私にとっては妖怪が見える生活なんて理想とは真反対の生活だ。メイドニャンを厄介払いしたらこの時計も処分するつもりだ。
「そんなこと言わないでくださいニャン!てか、この屋敷ホコリ臭いですニャン。ちゃんと掃除やってますニャンか?」
ギクッ。実はこの屋敷広すぎて自分の部屋しかろくに掃除してない...一人暮らしだし…というか出来てないんだよね...
「生ゴミの匂いも...ご主人様ゴミ処理もしてないニャンね?」
ギクギクッ。だ、だってゴミの分別とか分からないんだもんて…
「もう仕方ないですニャン。私はサクラお嬢様の忠実なメイド。家事なんて朝飯前ですニャンっ!」
「嘘…?!でもお高いんでしょう?」
「今ならニャンと!妖怪ライフ堪能してもらえさえすればただですニャン!無料!」
嘘!屋敷中ホコリだらけの家が綺麗になる!それに朝昼晩ご飯が用意されて洗濯物も済まされる。
何このパラダイス!これなら勉強にも趣味にも集中できるし…趣味…あれ、私趣味なんてあったっけ。
それよりも……!
「買います!買います!お願いしますっ!」
「承りましたニャンっ!」
そうして私の妖怪ライフは家事というかかりすぎる手間へのめんどくささによって呆気なく始まった。
この先どんな楽な生活が始まるのだろう…
私は別の意味でワクワクしていた。
- Re: 妖怪ウォッチ! 紡ぐ日常 ( No.5 )
- 日時: 2021/12/07 17:17
- 名前: マシュマロ (ID: ShMn62up)
『チチチ チュンチュン』
うっすらと遠くから鳥の鳴き声が聞こえる。目をうっすら開けてみると朝の光が窓から差し込んで眩しい。
そうだ…掃除して朝ごはん作って洗濯しなきゃ…夏休みなのに…
「お嬢様、お嬢様!起きてくださいニャン!」
誰かが私の体を揺する。起きなきゃ起きなきゃ行けないんだけど…
あれ、私の目の前にいる人…誰だろ?
金髪で頭に猫耳のような2つのお団子が結ってあって…青い瞳にメイド服。え、本当に誰…?
「お嬢様私でございます!メイドニャンです!」
メイドニャン…?嘘?!
「家事をする際に少々不都合のため人間の姿になって貰いましたニャン。イケメン執事の方が良かったですかニャン?」
あー、頭痛い。そうだ、私は妖怪というありえない存在と友達になって…それからこのメイドニャンって奴が居候してるんだった。
「だ、大丈夫。少し驚いただけ… あ。今日桃と三角公園で待ち合わせしてたんだった!」
「桃……様?」
メイドニャンはその整った顔を首をこくりと傾げる。
「梶野 桃って子で、私の…クラスの唯一の友達かな。」
「お嬢様の友達様ですかニャン!なら早く行かなければならないですニャンね!洋服と朝食の用意は出来ていますニャン。脱いだ服はこちらへ、洗濯いたしますニャン。」
まるでお母さんのようだ。
「え、そんなことしてもらっていいの?」
「当たり前ですニャン!タダでここに居させてもらってる身ですし、私はメイドニャンですニャン。」
…お言葉に甘えさせてもらってもいいかな?
「あ、ありがとう…起きるね。」
「はい。下のリビングで朝食を用意させて頂いてますのでいらっしゃってくださいニャンそれでは。」
そうするとメイドニャンは部屋を出ていった。ニャンさえ無ければクールガールの美女なのに。なんかもっいない。私は着替えようとした。するとその服はフリフリがいっぱい着いているゴスロリがあった。
基本私パーカーやTシャツのラフな格好が好み何だけど…
私は用意された服をそのままにしてクローゼットを開け、私の好みの服が揃ってるのを見て微笑む。やっぱこういうのがいいよね。メイドニャンには申し訳ないけどね…て、早く着替えて行かないと遅れちゃう!
そう思い私は急いで着替えた。
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下へ降りると本当に朝食が置いてあった。
焼き魚に白米、味噌汁。健康的な日本食だ。
メイドニャンは人間の格好で横に立っていた。
「お嬢様!なんで私が用意した服じゃなくてそんなラフな格好してるんですニャン?!」
「いや、だってあれ、私の趣味じゃないし…」
「一室丸々ゴスロリが積み重なった部屋がありましたのでてっきりお嬢様の趣味かと…」
あれか…。あれは親が送ってくるゴスロリの置き場に困って一室に押し込んでいたのだ。私の趣味というか親の趣味だな。完全に。
「あれは私じゃなくて親の趣味よ。」
「あらですニャ。」
呆れつつ私は朝食を食べ始めた。
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ー三角公園にてー
「桃!遅れた。」
「あー、桜ー!遅いー!」
ピンクの髪に三つ編みにしている前髪、肩や脇など露出度が高い服にフリフリな派手な服。まるで私とは正反対ね。
この子が私の唯一の友達。梶野桃だ。
「あれ?隣の方は?」
桃が隣のメイドニャンに視線を送る。あれ?妖怪なのにメイドニャンが見えるの?!
「私桜お嬢様の忠純なるメイド。メイでございます。」
おうおう色々なんか違う!まずニャンどこ行ったの!あと名前メイドニャンじゃなくてメイ…?
「へぇ、サクラっ家メイドさんいたんだ。お金持ちだもんねぇ」
「え、えっと……」
私はどうしたら良いか分からなくて戸惑っている。メイドをやとってるなんて普通じゃないし……
「お嬢様。合わせて」
メイドニャンが小声で私に声をかける。
「え、ええっとそ、そう!家で雇ってるの……!」
あぁぁぁ全然普通じゃないお嬢様になっちゃったぁぁ!
「そーなんだぁ羨ましいなぁ」
桃がいつもみたいにゆっくり話す。こういうマイペースな所だからこそ私に分け隔てなく接してくれたんだけどね。感謝してる。
「でもぉ。なんかそのメイドさんサクラに悪いことしそうだねぇ」
え?!
いや、どうしたの急に?!いや、たしかに実際私を普通から遠ざけてるけど!
桃はこんなこと余り言わないと思ってたけど…
「お嬢様妖怪がおります。」
メイドニャンが私に耳打ちしてくる。え、妖怪……?
「桃様の顎を妖怪ウォッチでお照らし下さい」
メイドニャンが桃を見ながら私に耳打ちする。
妖怪ってどういうこと?
私は言われるがまま妖怪ウォッチで桃の顎を照らしてみる。
すると…手が長い小さいおばあちゃんが居た。
いや、何言ってんだと思うよね私も何言ってるんだろうと思ったわ!
でも……でも……!本当に手のひらサイズのおばあちゃんが長い手で桃の顎にしがみついてるの!
「お嬢様。あれはバクロ婆という妖怪で、取り憑かれると人の思ってることをバクロしてしまう妖怪です。」
そんな妖怪がいるの?!というか、妖怪って結構ポップな感じなのね。
「ババァっん」
するとバクロ婆さん(?)が私に向かって、てか顎に引っ付いてきた!
「ふ、普通の……普通の生活がしたい…」
不思議と私の嘆きが口から漏れ出てきた。
「お金持ちとか……超能力とか……妖怪とか…普通じゃないことばかりで。友達も一人しか居ないし、虐められるし…私は…ただ普通の生活がしたいだけなのに…」
何これどんどん思ってることが口から溢れてきて…涙も溢れてきてしまう。
「あぁぁあ迷惑かけちゃう。なんで泣いちゃうの!」
「だっ、大丈夫だよサクラ!私はサクラが好きだからぁ!大丈夫大丈夫」
私はモモに頭をなでなでされながら宥められる。
「ババァンッ」
すると私を泣かせて罰が悪くなったのかバクロ婆が私から離れていく。
「にゃにゃっ!お嬢様!追いかけましょう!」
メイさんメイさん。メイドニャンがのニャンが出ちゃってますよ。
「え待って、ニャンって?超能力とか妖怪とかも……」
私が暴露してしまっためんどくさい事情を聞かれてしまったぁぁ!どうしよう…どう説明したら…
よし、それは後にしてとりあえずバクロ婆を追いかけよう!
「ごめんモモ!急用出来ちゃった!ゴメン!」
私は手を合わせてモモに謝りながらメイを追いかけた。
「だ、大丈夫だよぉ。また遊ぼ!」
こういうモモの優しいところに甘えるの辞めなきゃな…
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