二次創作小説(紙ほか)

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新サバイバー「薬剤師」追加【完結済み】
日時: 2022/07/30 15:00
名前: 本月 (ID: HQL6T6.Y)

新サバイバー「薬剤師」追加



彼女は自分の居場所が欲しかった。



それだけなのだ。











こんにちは、本月と申します。
「読書家の少女」を改変し、1から書き直したいと思います。


設定
メディズン・ツバキ
職業 薬剤師
年齢 22
身長 165
体重 55
性別 女
説明
 彼女の望む結末はきっといつまでも変わらないだろう。
そう、いつまでも。
――――
暗い森の中を数時間ほど走っている。


永遠にあの荘園は見つからないのかと思ってしまうほどに。


さらに数時間走ると、ようやくあの荘園が見えた。


息ができなくなるほどの距離を走り続けてきた。

扉をノックすると、数十秒後に麦わら帽子をかぶっている女性が私を見て笑顔になる。

「いらっしゃいなの!」

私が来ることを知っていたようだ。さらにはここの荘園の住人全員が知っているらしい。

私の手を引いて食堂に案内してくれた。

「荘園へようこそ!」

みんなが私を歓迎してくれた。とても嬉しかった。

今日はもう遅いからと歓迎会が終わったらすぐに寝るようにと医師の女性に言われた。


「そうだ。」

私は思い出しながら部屋に置いてあった1冊の本を手に取る。

それには私の個人情報や私と一緒に追加されたらしいマップ「悲しみの図書館」が追加されたことが書いあった。

私の外在特質というのも書いてあった。

読書の才能
 彼女には生まれながらの才能があった。
解読速度が30%上昇する。

薬の扱い
 彼女の薬の扱いはとても天才的なものだった。
試合開始時点から「永遠の薬」を携帯しており、「永遠の薬」を相手に渡すことができ、渡されたサバイバーは使用すると自分の治療速度と板・窓操作が20%上昇する。だが、使用したあとの3秒後は解読ができなくなってしまう。自分には使用ができない。他のサバイバーのみ使用可能。(一つにつき一度のみ。)CTは30秒。

気遣い
 彼女はとても気遣いができる女性だ。
他のサバイバーと解読をすると、解読速度が5%上昇する。2度のみ重ね掛け可能。さらに、薬剤師と解読をしているサバイバーの調整が少なくなる。

罪悪感
 彼女の作った薬の実験相手を自身以外を対象にすることは彼女には耐えきれない行為だった。
サバイバーの1人が負傷・拘束状態になった場合、板・窓操作速度が10%低下する。最高30%まで重ね掛けが可能。だが、全サバイバーが負傷・拘束状態でなくなった場合、板・窓操作速度の低下がなくなる。

この4つの外在特質というものが書いてある本と1つの箱がおいてあった。

その箱を開けてみると説明書のようなものと、綺麗な衣装のようなものが入っていた。

衣装「代償の幸福」
説明
 家族や友人の幸福が続いているのは、彼女が幸福を代償としているからだ。
たとえ、彼女に幸福が舞い降りても、その幸福はほかの誰かに渡される。

説明文がよくわからないが、衣装がとてもきれいだった。


その衣装を試着しようと思ったが、眠気に耐え切れなかったのでもう寝ることにした。
――――


「…ん。」
眩しい朝の光にあてられ目が覚める。

昨日試着しようと思っていた衣装を着て、食堂に足を進めた。

「あ、メディズンじゃん。おはよう。」

あくびをしながら傭兵のナワーブさんが挨拶をしてくださった。

「サベダーさん、おはようございます。」
「あぁ、おはよ。」
「そういえば、この荘園にゲーム?というものがあるんですよね?」
「あるぞ。命がけだけどな。ていうか、それ…」
「あ、これですか?部屋に会ったので試しに着てみたんですよね。」
「一緒に説明も入っていたんですが…」
「それ貸せ」
「え?あ、ちょっと…」
「…」

サベダーさんは驚いたのか、目を見開いている。
――――
はじめ、薬剤師という職業の女が来た時はどんな奴なのか気になった。
歓迎会をしたらすごくうれしそうにいていた。

それで――――
悲しそうだった。
よくわからないが、なんとなくさっせた。
メディズンは多分罪のない優しい女性だ。

俺はそう信じている。

だって—―—

説明書きには、とてもと思えないほどの彼女の自己犠牲心が感じられたから。


メディズンと呼ぶのが言いにくいと思った為、ツバキと呼ばせてもらうことにした。

ツバキも俺をナワーブと、さんづけで呼ぶそうだ。

食堂に行き、朝食をツバキととる。

そのまま朝からゲームだったから、一緒にゲームをする部屋に行くことにした。

「そういや、ツバキの外在特質しらなぇな。」

「ぁあ、そうですね。今持ってるので読みますか?」

「ああ、読む。」


「ツバキは解読・援助型だな」

「あの、解読・援助型ってなんですか?」

「あぁ、主に解読型は暗号機っていうのを解読するんだ。解読する速度ははぇえが、板とか窓とか操作すんのはおせぇのが多いからな。」

「で、援助型は主にサポートだな。牽制も解読もおんなじくらいできるから万能といっても過言ではねぇな。だけど、基本的には、そうだなイライみたいに味方にハンターが誰かとか教えてくれる奴もいるぜ。イライのほかはヘレナとかだな。ツバキと同じ解読型だ。イライは援助な。」

「なるほど。よくわかりました。ありがとうございます。」

「んじゃ、早く飯食って試合だな。」

「はい。」


そう言って私たちは再び歩き始めた。

初戦の期待 ( No.2 )
日時: 2022/06/30 16:19
名前: 本月 (ID: HQL6T6.Y)

アンタが嫌いなのよ!


パリンという音の後にそう…の声が聞こえた。


放送「サバイバーは傭兵・占い師・庭師・そして新サバイバーの「薬剤師」、ハンターはリッパーです。マップは新マップの「悲しみの図書館」です。」


試合の始まりには放送が入るそうだ。


 先程聞こえた…の声に一瞬顔をしかめてしまったが、心の中の違和感を無視して、暗号機のもとへ走った。




カタカタ…


私がキーボードをたたく音と風の音だけがあたりに響く。





たしか、解読型は解読する速度が速くなると言っていたような。



そう思い出しながら、キーボードを打つ指はとめない。



暗号機が光る。ナワーブさんが言うには、これが暗号機の解読が終了したという知らせらしい。




次の暗号機に足を進める。



ドクン ドクン


…?


鼓動が激しくなってた。




あ、そういえば____



ナワーブさんが、



「心臓の鼓動が激しくなったらすぐに逃げろ。」


と言っていたような。




その言葉を思い出した瞬間、霧が私の顔の横を通り過ぎた。



「おや、外してしまいましたか。」



その低めな声に後ろを向く。




「どうも。私、ジャック・ザ・リッパーと申します。」



「ツバキさん。初めてで申し訳ないのですが、私、手加減は苦手なんですよ。」


私は目を見開いた。



「そこだけは、注意してくださいね。」





逃げなきゃ。



本能がそういった気がした。




痛くなってきた足を憎みながらも走り続ける。



「なかなかしぶといですね。」


幸運なことにまだダメージは一度も受けていない。


「だって、皆さんが見ているんでしょう?よけい頑張りますよ。」


「そうですか。」



穏やかにも聞こえてしまう私はついに頭がおかしくなったのだろうか。




「あっ…」



足がもつれてしまい転びかける。


その隙に殴られてしまった。

「まずは一撃…」


だが、痛みは来ない。


「なんで…?」


梟の鳴き声。


あぁ。なるほど。



よかった。言っておいて。



「手を貸して!早く!」



これが梟が欲しいという合図だという。



放送「暗号機は残り2台。新サバイバー「薬剤師」120秒牽制」


っ!そうなんだ…。


走る。走る。皆に教えてもらったチェイス場所に行った。


「ちょこまかとちょこまかと…。」


ジャックさんが怒っている間も走り続けた。

「暗号解読60%」

「暗号解読78%」

ナワーブさんとエマさんが暗号解読をしているらしい。

「暗号解読85%」


「暗号解読70%」

クラークさんも解読しているのか。多分だがエマちゃんと同じ暗号機だろう。


どうやらナワーブさんは解読にデバフというものがあるらしい。


そうのんきに考えていると、後ろから殴られてしまった。

これはさすがにクラークさんも梟さんも庇えなかったのか。


「ふふ。調子が良くなってきました。」

「…っ。」

もともと医療の仕事はあまり動かない為、体力はもうなくなりそうだ。

というか、もうすでになくなっている。

この状態で走っている。たとえるなら、ゾンビだな。

そう考えていたら、足元に石があったのか、つまづいてしまった。


ゴーン!

大きな鐘の音と同時に私の体は殴られていた。

「…ぅ。ぃたぃ。」


「すごい時間を稼がれてしまいましたねぇ。」

暗号機は残り一台。

「解読に集中して!」

そうメッセージを送り、初めて椅子に座らされる。

「暗号解読80%」

クラークさんやエマちゃんは大丈夫なのかな。

…不安。

「もうすぐ飛びそうですねぇ。」

「ええ、そうですね。」

椅子のゲージが9割に満たされた時。

もうだめだ。

私は目をつぶった。

そうすると、風の音が一瞬びゅんっという音を立てた。

目の前にナワーブさんがいた。

「またせたな!」

ナワーブさんの衣装「明瞭」の青い服がふわっと音を立てた。

ナワーブさんはジャックさんの攻撃をかわした後に私を助けてくれた。

「あ、ありがとうございますっ。」

「気にすんな!俺ら仲間だろ?」

「!そうですね…!」

「お二人ともそんな話をしている暇なんてあるんですか?」

「いいえ!あるとは思いません。」

「ですが、1人だけ負傷状態、他3人は負傷・拘束状態にはなっていない。」

ゴーンゴーン!

霧で私はダウンし、ナワ―ブさんも一撃貰った。

「ですが、ジャックさん。」




「解読に集中して!」


「俺達には、」


ウーー!


「仲治りがあるんだよ!」

私は負傷状態に、ナワーブさんは健康状態に回復した。

「…っ。せめて、ツバキさんだけでも…!」

「初試合なので完全勝利したいんですよ…!」

「ツバキは俺が守る!」

「あ、ありがとうございます…!」

「その余裕…むかつきますね!」

「ツバキ!俺が壁になる!」

「いえ!大丈夫です!」

「っ…!」

ゴーン

ナワーブさんが殴られた。

「ナワーブさん!大丈夫ですか?!」

「大丈夫だ!それより、急ぐぞ!」

「はい!」

「!ハッチがあります!」

「ツバキ!ゲートに行け!俺はここでリッパーをひきつける!」

「わかりました!どうかご無事で!」

「ああ!」



もうすぐ、もうすぐ。


開いているゲートに向かって足を進める。


いつもより足が速く感じたのは気のせいなのだろうか?


先に行くよ!

そうメッセージを送り、ゲートの扉を超えると


黒と赤が混ざった煙のようなものがでた。


「せめて、あなただけでも!」

「はあっはあっ!」



「ックソが…」






完全勝利



逃走人数 4人

残り暗号機数 0台

板破壊数 3

サバイバー牽制合計時間 300秒


ベスト演劇者 新サバイバー「薬剤師」・傭兵

絶望と確信 ( No.3 )
日時: 2022/07/09 15:02
名前: 本月 (ID: HQL6T6.Y)

初の試合は完全勝利で幕を閉じた。


私を優しく呼びかける声で目が覚めた



「…ここ、は…?」


「ここは医務室よ。それより…ツバキ、体調は大丈夫かしら?」


「あ、はい…」
「そう、よかったわ。」

「起きたばかりで申し訳ないんだけど、新しくサバイバーとハンターが来るのよ。」

「え、そうなんですか?」

「ええ。あ、これがサバイバーとハンターの説明書ね。」


新サバイバー 悪女

職業「貴族」

外在特質

猫かぶり
 男好きの彼女は猫をかぶりつづける。男性サバイバーと解読をすると解読速度が15%上昇する。また、悪女と解読をしている男性サバイバーも解読速度が5%上昇する。

女の武器
 女には涙という武器がある。ハンターの半径3m以内で涙を流すとハンターは動揺し、15秒の間、攻撃をすることができない。しかし、女性ハンターの場合は5秒間のみ。

羨望
 男性サバイバーが負傷、もしくは拘束状態になると、移動速度・治療速度が15%上昇する。

歪んだ性格
 彼女は女性を好まない。女性サバイバーと解読をすると解読速度が20%低下する。

説明
 彼女が欲しいものはなんだろうか?すべてを欲しがる彼女は荘園に来て自身にとって大切なものが安全だと、初めて知ることになるだろう。


「私が欲しいのはあいつの持っているものだけよ。それ以外は欲しがらないわ。」



新ハンター「読書家」

職業 ??

外在特質

本の虫
 マップ内にある全ての暗号機に本が立てかけてある。その本を獲得し、読むと(使用する)1人のサバイバーの解読、もしくは移動を2~5秒間停止させることができる。読書をしながらの移動をすると、移動速度が15%低下される。サバイバーは暗号機に立てかけてある本を獲得することが可能だが、獲得すると移動速度が5%、解読速度が8%低下する。本を獲得済みの暗号機から一定の
距離をとると、本が再び立てかけてある。

虚しさ
 開始10秒間の間、サバイバーに近い暗号機が3つ表示される。だが、サバイバー自体は表示されない。
その暗号機の半径2mにいると、移動速度が5%上昇する。さらに、半径5m以内に暗号機が2つあると、移動速度が7%重ね掛けされる(合計12%)。12%以上は重ね掛け不可能。

代償の連鎖
 開始から60秒以内にサバイバーに攻撃をしていない場合、もしくは、開始30秒以内にサバイバーに気絶させれられた場合3秒間移動を停止する。移動再会後、サバイバー全員の解読速度、移動速度を10%3秒間のみ低下させる。

独りぼっち
 「読書家」は補助特質を使用ができない。そのかわり、ランダムにサバイバー2名を自身の半径2mに3回まで引き寄せることができる。引き寄せられている3秒の間、サバイバーは行動ができない。だが、引き寄せられる前にサバイバーが2名以上、半径2m以内にいれば、サバイバーは全員引き寄せられない。引き寄せ時に壁がある場合、強制的に引き寄せを終了する。その時にサバイバーはダメージを受けない。CT(クールタイム)は65秒使用ができなかった場合、CTはない。

説明
 彼女は自身の居場所が少しづつ失われていっているのに気が付いてしまった。
そこには、もう幸福など、あるわけがないとわかっていたのに。


「私には、知識が必要不可欠なんです。」


新ハンターはアイデンティティシステムです。サバイバーの皆様、もちろんハンターの皆様も考察してください。新ハンターのみが、誰のアイデンティティかが、わかります。
                                     荘園の主



一枚の紙を手に取り、まるで小説を読むかのようにすらすらと頭の中に入っていく。


新サバイバーの悪女…まさか…

少し悪寒が背中を通ったが、気にしないことにした。


「ありがとうございました。お返ししますね。」

「読むのが速いのね。小説家のオルフェウスさんでももう少しゆっくりだったわよ。」

「え、小説家の方がおらっしゃるんですか?」

「ええ。いるわよ?今は新しくできた図書館にいるんじゃないかしら。」

「そうなんですね。…あの。」

「?なにかしら?」

「その方とお話をしたいのですが、その…」

「…!ふふ。いいわよ。いってらっしゃい。」

「はい…!それでは、失礼します…!」



悲しみの図書館にて

カチャ

「…!どなたでしょうか?」

「あ、えと、新しく荘園にきました。薬剤師のメディズン・ツバキと申します。よ、よろしくお願いします。」

「よろしくお願いしますね。メディズンさん。」

「あ、はい。よろしくお願いします。」

「ああ。まだ、名乗っていませんでしたね。私はオルフェウスと言います。」

「あ、オルフェウスさんですね。わかりました。」

「はい。…ところで、メディズンさんは何の御用でこちらに?」

「え、えっと、その…」

「?」

「オルフェウスさんの小説についてのお話を聞かせて欲しくて…。」

「そうですね…まずは」




「長い間、時間を取らせてしまい、申し訳ございません。」

「いえいえ。気になさらないでください」

「で、ですが…」

「それなら、ツバキさん、とお呼びしてもよろしいでしょうか。」

「…!それならいくらでもお呼びください。」

「そうですか。ありがとうございます。…そうだ、私におすすめの本を教えてくださりませんか?」

「わ、わかりました。ですが、小説家のオルフェウスさんがおすすめする本に勝るでしょうか…。」

「勝るか勝らないかは気にしないで、ツバキさんのおすすめしたい本を私にすすめてくださりませんか?」

「そ、そうですよね!わかりました。すぐに探します。」


「この小説だと、特にここが…」

「ここのラストシーンはとても感動しました。」

「少し怖い感じの小説ですが、結構読みやすくて、お勧めです。」



「こんなにおすすめの本が…」

「すみません。多すぎましたよね。」

「…ああ。いえいえ。こんなに本を好きな女性はあまり見たことがなくて。」

「そうなんですね。」

「あ、ですが、」

「?」


「偶然見た新聞に5歳の少女が難しそうな本を抱えている写真を見つけましたね。あの子は本が好きなんでしょうね。」

「…っ!」

パシッ

思わず動揺し、オルフェウスさんの腕をつかんでしまった。

嗚呼。違うの。驚かないで。


「あ、す、すみません。」

「気になさらないでください。」

「それと、どうかされましたか?」

「あの、そのオルフェウスさんが見た新聞、もしかしたら」



「私の幼少期かもしれません。」

「そ、そうなんですか!?」

バタッ

オルフェウスさんが驚き、椅子を倒して立ち上がる。

それと同時に大きな音をたてて積み上げられた本が机から落ちていく。

「でも、本当とはかぎらないので…。」

「そうですか…。もし、」

「?はい」

「もし、ツバキさんがあの新聞に載っていた天才少女であった場合、相談したいことがあります。」

「そうですか。わかりました。」

「それと、1つ質問があるのですが、」

「はい。なんでしょうか?」

「貴方にとって生きるとはなんですか?」

「…随分と哲学的なことを問いただしますね。」

「最近、哲学に興味がありまして。」

「そうですね…私にとって生きるとは、誰かに認識されていることですかね。」

「というと?」

「例えばですが、誰かが私のことを覚えているなら生きているとほかの人も、自身もわかりますよね?」

「はい。そうですね。」

「ですが、逆に言うと、誰かが私を覚えていない限り、私は“生きていない”と言えるのではないでしょうか。」

「そうですか。ありがとうございます。」

「どういたしまして。それでは、夕食の準備があるので、失礼します。」

「はい。」




小説家は深く息を吐く。

「まさかな…。」

彼は哲学に別に興味があるわけではなかった。

興味半分だったのだ。

天才少女もインタビューで受けていたのだ。生きるとはなにかを。


「わ、私にとっての生きる…そうですね、誰かに認識されていること、ですかね。」




「そうですね…私にとって生きるとは、誰かに認識されていることですかね。」


まさか。

同じ返答が来るとは思ってもみなかった。


「ツバキさん、貴方は本当に…」


溜息をついた顔はとても懐かしそうな雰囲気を出していた。


悲しみの図書館で1人の小説家が膝から崩れ落ちた。






再会した時の喜びは、今までの苦しみを解放してくれる。

新サバイバー&新ハンター ( No.4 )
日時: 2022/07/06 18:21
名前: 本月 (ID: HQL6T6.Y)

翌日


コンコン


「ツバキ〜!起きてるの〜?」



「…ん…。」


機械技師のトレイシーさんが私の部屋のドアを開ける。

どうやら鍵を閉め忘れたらしい。


「ツバキッ!朝だよっ…て、ツバキまだ寝てたの?」

だんだんとトレイシーさんの呆れた声で目が覚めていく。

「あ…お、おはようございます。トレイシーさん。」

「もう!ツバキってもしかして、朝弱いタイプ?」

「そうですね。どちらかというと夜型なので夜型なので…。」

「僕は朝型かな!あ、でも、夜型でもあるかも…。」

「すごいですね。朝も夜も大丈夫なんて。」

「えへへ。でしょ?」

表情が緩みきったトレイシーさんがすぐに焦った顔になる。

ずっと見ていられそうだ。

「そうだ!ツバキ早く起きないと、新しくくるサバイバーとハンターに会えなくなっちゃうよ?」

「たしか、夜に来るはずでは?」

「ううん。それが、荘園の主が「あの二人は朝に着くだろうから、早く準備してくれ。」って。」

「そういうことなんですね。じゃあ、急いで着替えちゃいます。」

そう言い、私はパジャマを脱ぎ始める。

下着のみ着ている私を見て、トレイシーさんは驚いた顔をした。

「ツバキってスタイルすごくいいんだね!女優さんみたい!」

「そうですかね?ありがとうございます。」

「うんうん!あとさ、男の前では着替えちゃだめだよ?」

「?は、はい。わかりました。」

「よし!食堂へレッツラゴー!」

「?ゴ、ゴー?」


食堂

朝とはいえ、数十人も集まる食堂は騒がしい。

「お、ツバキちゃんじゃん〜!」

「オフェンスさん。おはようございます。」

「おはよ!ツバキちゃん、そんなに堅苦しくなくていいんだぜ?」

「あまり、目上の人には敬語で接しろと教わったものでして…」

「なるほどな!家の関係はしょーがねぇな!ま、ゆっくりでいいからさ!」

「はい。ありがとうございます。」

「ツバキちゃん!一緒に食べましょう!」

「あ、はい。オフェンスさん。失礼します。」

「おうよ!」



「なぁ、新しくきたツバキちゃん、可愛くねぇか?」

「ああ。可愛いとも!」

「俺的には美人だと思ったぜ?」

「わかる。その気持ち。」

「そういや、今日は新しくサバイバーとハンターが1人ずつ来るんだろ?」

「そうだな!よし、考察すっか!新ハンターはサバイバーの誰かなんだろ?だれだと思う?」

「う〜ん、いまのところはって感じだな〜ナワーブは誰だと思う?」

「ツバキだな。」

「なんでそう思うんだ?」

「ツバキの外在特質に「読書の才能」ってのがあったのは知ってるだろ?それでだ。」

「なるほど。そう言うことか。」


コンコン

食堂にドアをノックする音が響き渡る。

「はーいなの!」

エマさんが扉を開けると、私の姉が気色悪い笑顔で立っていた。







再会はしたはいいのも、絶望を感じることもある。

姉妹の関係 ( No.5 )
日時: 2022/08/06 20:08
名前: 本月 (ID: HQL6T6.Y)

「今日からお世話になります!イーヴァル・メディズンです!よろしくお願いします!」


「イーヴァルさんよろしくなの!」

「うん!えっと…」

「エマ・ウッズなの!」

「エマちゃん!よろしくね!」

「よろしくなの!」


嗚呼。まただ。

「っ…!」

ガシャンッ!

姉らしき声が聞こえ、お皿を落としてしまった。

「ツバキ、大丈夫?」

「あ、はい…。すみません…。」

皆さんの視線が私に集まる。もちろん姉の視線も。

エミリーさんに謝罪をし、割れたお皿を片付ける。

そうしていると、姉の気色悪い笑い声が聞こえた。


「あはは!ツバキじゃない!メディズン家の落ちこぼれが、どうしてここにいるの?」

「…あ…。」

恐怖で体が震える。

泣いたら馬鹿にされる。でも、涙は今にも零れ落ちそうで。

「な、んでも、いいじゃないですか。貴方はもう私の姉じゃない。」

「でも、血は同じよ?だから、元姉として、妹の貴方を昔みたいにこき使ってあげるわ!」

「…ぁ。」

「大丈夫!あなたは私の奴隷みたいなものじゃない!ここにもどうせ、居場所が欲しいとかで来たんでしょ?」

「…っ。」

「まぁ、いいわ。それよりツバキ。お金貸してくれない?すぐ返すからさ~…ね?」

「貴方には今まで500万貸したけど、1円も返ってきたことはない。」

冷静になれ。そうだ。そうすれば涙は引っ込む。

「でも、貴方は薬剤師として結構な金額を収めているでしょう?年収が確か…3000万だったかしら?」

「何で知っているんですか?」

「貴方の姉だもの。なんでも知っているわ。」

「先ほども言いましたが、貴方とはもう縁を切ったので、家族でも何でもないんでです。」

鷹のように目は鋭く。

「本当になんでも知ってるのよ?誕生日、年齢、好きなものに嫌いなもの…あなたの癖だって知ってるわ。ほら。貴方は私の妹よ?」

「…いい加減にしてください」

静かに、でもはっきりとした声で元姉を睨む。

さすがに堪忍袋の緒が切れた。

でも忘れちゃいけない。

どれだけ心が熱くなろうとも、冷静沈着でいること。



いつでも冷静沈着で。これが彼女の信条だ。

奴隷と女王 ( No.6 )
日時: 2022/07/09 14:39
名前: 本月 (ID: HQL6T6.Y)

「あら、急に睨まないで頂戴?」

頭に熱がたまっていく。

でも大丈夫。大丈夫。

こんなの昔の姉にこき使われていたころよりはましよ。


「睨むのはなんでもいいわ。さっきも言ったけど、お金貸してくれない?ちょっとだけでいいのよ~」

「…。」

通常運転のこいつに怒りを通り越して呆れてきた。

自身のハイライトがたった今、なくなった気がする。


「嫌です。」

元姉にはっきり言ってやる。


「もう私はあなたの、奴隷じゃありませんから。」


元姉の顔が赤くなる。真っ赤に育った林檎みたいだ。

「はあ!?昔は反抗しないいい妹だったのに!?そうだわ!私達から離れたから、反抗的になったのよ!お母様のもとへ連れて行けば、反抗的な態度はなくなって、私にお金を貸してくれる!!」

大声でまくしたてる“彼女”を眺めながら。違うことを考える。

今日の試合はあったかな。確か、なかった気がする。

そんな、状況とは反対のことを考えていた。

「…はぁ…。」

思わず大きなため息をつく。

「なに!?ようやくお金を貸してくれるのかしら!?」

少し喜びに満ちている彼女を見つめ。

「なに言ってんだ?」

思わず口が悪くなる。

「もうアンタとは縁の結びがないんです。今日から苗字を変えます。」

「は…?」

皆が驚いたような顔をする。もちろん彼女も。

「まぁ、少し前から変えていたんですけどね。」

「まぁ、そういうことなので。」

「さようなら。私の」


“元”お姉様


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