二次創作小説(紙ほか)
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- ラスボスだから
- 日時: 2022/11/18 07:09
- 名前: ガチ恋オタ君 (ID: ykAwvZHP)
婚約者がアーサーに決まった。
皆が祝福してくれて、半年後には結婚式もある。が、
「おかしいわ…。」
プライドは自室でー人考えていた。
(だってアーサー、全っ然婚約者として接してくれないんだもの!そりゃあアーサーは騎士だから仕方ないのかもしれないけれど!!)
プライドは小さなため息をついた。
「もう少しくらい意識してほしいわ…。亅
ハァー、と今度は大きく息をはき、
「でも私はラスボスだもの…。」
と考え直した。
分かっている
愛されるべきはティアラ。
好かれるべきはティアラ。
可愛いものはティアラに。
美しいものはティアラに。
ヒロインはティアラ。私はラスボス。
分かっている。
(それでも愛されたいなんて、本当に私はラスボスね…。)
そう思いながら眠りについた。
>>>
「おはようございますっ!お姉様っ!」
「おはようございます。姉君。」
「プライド様。おはようございます。」
「お、おはようございます!プライド様!」
ー斉に言ってくれる皆にフフッと笑いかける。
「おはようティアラ、ステイル。今日もよろしくお願いします。力ラム隊長、アーサー。」
「お任せください。」
と力ラム隊長は言ってくれるが、
「は、はいっ!」
アーサーは緊張してガチガチなのが伝わってくる。
(この悪役顔のせいかしら?それとも単純に私が嫌いなだけ?どちらにせよ、好きな人にそう思われるのは悲しいわ…)
そう思い、私は意を決っしてアーサーと話すことにした。
>>>
アーサーに話があるとステイル達に言って部屋に二人きりにしてもらった。
「アーサーこっちに座って?」
と、私のとなりを示す。
「し、失礼、します…。」
となりには座ってくれたものの…まだきょりがある。
ためしに私からアーサーに近づいてみる。
するとアーサーは顔を真っ赤にし、体をビクッとさせ、更にガチガチになってしまった。
(怒った?呆れた?やっぱり私のことが嫌い?)
そうやって自問自答をくり返していると、
ポロッ
自然に涙がこぼれてしまった。
「っ!?」
どうしよう、やってしまった。と、あわてて目を隠すが、涙はとまらない。
アーサーは目を丸くしてこっちを見ている。
何か言わなければ、と声をふりしぼる。
「…アーサー」
「っはい」
「……私のことが嫌い?」
「……はい?」
アーサーは更に目を丸くした。
その反応を見て、ああ、やっぱりそうなんだ、と思う。
(当然ね…。彼は元々ティアラに恋をする筈だったんだもの…。)
「…アーサーが望むのなら、婚約は解消するわ。勿論アーサーが悪くならないように…」
「っちょ、ちょっと待ってください!?」
突然の大声に少し驚く。
「…どうしたの?」
「話の流れが全ッ然分かりませんッ!なんで婚約解消になったンすか!?」
「え?だってアーサーは私のこと…」
そこまで言ったら突然アーサーに抱きしめられた。
「っアーサー!?」
「…プライド様」
「…はい」
「俺はプライド様が、す、好き、です。」
「!?っえ!??」
アーサーが、私を?
驚いてしばらくフリーズしてしまった。アーサーも全身が真っ赤だ。
しばらくして、やっとの思いで口を開いた。
「…アーサー?無理しないでいいわよ?」
「無理なんて少ッしもしてないです!」
「…本当に?」
「本当にです!」
「でも私は…」
ーー私はラスボスでヒロインじゃない…。
私の表情から何かを察っしたのか、アーサーがひざまづいた。
「プライド様。」
そして私の手をとり、優しく語りだした。
「プライド様。俺がガキの頃、貴女は親父…父上と多くの新兵の命を救ってくれました。」
「…それは…偶然予知ができただけよ。」
「ですがプライド様は自ら戦った。全てプライド様の力です。それにプライド様、貴女は俺も救ってくれた。」
「アーサーを?」
「はい。あの頃の俺は自分に絶望して、騎士になる夢を拒絶し、全てのことに反抗していました。そんな時、父や新兵が目の前で殺されそうになった時、何もできねぇ自分を悔い、恥じました。
でもプライド様は、父や新兵を目の前で自ら救い、騎士を理解し、俺の夢を受け入れ、更には予知までしてくれました。俺が騎士になれたのも、強くなれたのも、最悪から立ち上がれたのも、全部が全部、プライド様、貴女です。」
涙が溢れてくる。
「プライド様。」
アーサーが私の目尻に親指をそえながら言う。
「ーー俺と結婚してくれませんか?」
嬉しかった。
でも私はラスボスで。
皆を傷つける嫌われ者で。
そんな私が幸せになるなんて。
「貴女が好きです。」
ーーパキンッ
私の中で何かが割れた。
気持ちが溢れて止まらない。
気付けば自分からアーサーに抱きついていた。
「っ私もっ、アーサーがっ、アーサーのことが好きです!」
アーサーが私を抱きしめ返す。
そして心から安心した様子で
「ありがとうございます。」
なんて言うので
「結婚式なら半年後にあるわよ?」
と少しいじわるを言ってやると
「っ!?」
声にならない声を上げ全身を真っ赤にしてフリーズしてしまった。
体調をくずしたのかと心配して声をかけても、小さい声で何かを言うだけだ。
何だかおかしくて、私が笑うと、アーサーも笑ってくれた。
お互い笑い合いながら、私は彼からの愛を確かに感じたのだった。