二次創作小説(紙ほか)
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- アサプラ(ラス為)
- 日時: 2022/12/08 23:04
- 名前: ガチ恋オタ君 (ID: ykAwvZHP)
アーサーと結婚し、部屋でアーサーを待っている時のこと。
外の空気を吸いたくなって置き手紙を残して庭園に来ていた。
その時、前世でも見覚えのある花を見つけた。
「なつかしいわね…」
キミヒ力をプレイしていた自分がアーサーと結婚するとは、あの頃の私は夢にも思わなかった。
日本の家族に、友人に会いたい。私は向こうでは死んだことになっているのだろうか。
涙がこぼれる。
まだずっと先まで続くと思っていた日常はもう無い。もう戻らない。もう取り返しがつかない。
「っ帰りたいっ…」
ーーもう、帰れない。
このキミヒ力の世界で王女として、次期女王として、悪役として、ラスボスとして生きていくしかない。
私は皆を不幸にする存在。
嫌われるように、怖がられるように、恐れられるように、そして最後には負けて死ぬように。
物語が最高になるように最悪として使われる存在。それがプライド・ロイヤル・アイビー。
分かっている。
ヒロインはティアラで、私はラスボスだということ。
分かっている。
愛され役はティアラで、私は嫌われ者だということ。
分かっている。
世界の中心はティアラで、私ははじかれる役だということ。
分かっているけど、
「辛、いっ…」
辛い、苦しい、悲しい、寂しい、怖い。
自分が皆を苦しめるかもしれない。関係のない人を巻き込むかもしれない。周りの人を傷つけるかもしれない。
そうなるくらいなら、周りを巻き込むくらいなら、
「わ、たしっなん、て、生ま、れてこ、ない方がっよかっ、たっ…」
その時
「っプライド様!」
背後から名前を呼ばれた。
驚いてふり返ると、今にも泣き出しそうなくらい辛そうな、少しの怒りを持った表情のアーサーがいた。
「アー、サー?」
「プライド様。」
アーサーはこっちに歩みながら言う。
「どうして泣いてンすか。」
「っこれは…」
「何がそんなに辛いンすか。」
「っ…」
そして私の元に辿りつく。
「プライド様。俺はプライド様が何を抱えこんでいるのか分かりません。俺には理解できないかもしれませんし、プライド様は話したくないかもしれません。ですがプライド様、…ー人で泣かないでください。」
アーサーは私を抱きしめた。
「プライド様の力になりたいと思ってる人は大勢います。ッだから、生まれてこなければよかったなんて二度と言わないでくださいッ!」
アーサ一の言葉は何故か心に染みる。
「っええ…えっと…ごめんなさい、アーサー。もう言わないわ。」
「はい。………プライド様、貴女は他人に優しすぎます。自分の物を迷わず他人に差し出してしまう。もっと自分を大切にしてください。そして貴女が背負っている痛みを、苦しみを俺にも分けてください。」
「アーサ-」
「はい。」
「私は、幸せになってもいいの?」
「はいッはい!勿論ですッ!プライド様だからこそ幸せになるべきですッ!」
私はラスボスだから幸せになってはいけない。
そう思って生きてきたけどアーサーは正面からそれを否定してくれた。
しかも私だからこそ幸せになるべきだと。
なんて眩しいんだろう。こんな彼だから愛してやまない。
「アーサー」
「はいッ」
「大好きよ」
「!?」
アーサーの全身が真っ赤になった。
「ア、アーサー!?大丈夫!?」
「大丈夫です!すンません!」
まだ真っ赤だ。
「ごめんなさい!…怒った?」
するとアーサーは目を見開き、大きなため息をついた。
「…プライド様」
「…はい」
「怒った訳ないじゃないすか!プライド様が可愛いすぎて!愛しているから照れて恥ずかしいの察っしてくださいッ!」
「ッ!?」
今度は私が真っ赤になった。
「プライド様?真っ赤ですよ?」
「ア、アーサーだってかっこいいし!大好きすぎて恥ずかしいの!」
「ッ!?」
「「…………」」
「フッ!」
「フフッ!」
二人で真っ赤になりながら、最後には笑い合う。
そんな日常が、私は大好きだ!