二次創作小説(紙ほか)
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- 秘封学走記 [Baldi's Basics]
- 日時: 2023/09/25 23:22
- 名前: 博士 (ID: 7ZyC4zhZ)
この小説は[東方Project]と海外の教育学習兼ホラーゲーム[Baldi's Basics]の二次創作小説です。
※注意
・独自設定が少しあります
・オリキャラは出ません
・Baldi's Basicsのネタバレが含まれています
以上です。 では、楽しんで!
-プロローグ-
京都の大学に通う大学生の-宇佐見蓮子-は、マエリベリー・ハーンこと-メリー-と一緒に夏休みを使って海外へと旅行に行った。目的は海外の怪異を探す事。そして、二人はとある国の辺境に存在し、不気味な噂を持つ学校に目をつけた。その学校は建設された記録なども無く、いつの間にか存在していたとされる学校であった。そして、興味本位で訪れた人達が行方不明になると言う謎。
二人は何らかの結界が張られているのでは無いかと調査を始める...
- Re: 第一話 僕の学校にようこそ! ( No.1 )
- 日時: 2023/09/26 00:32
- 名前: 博士 (ID: 7ZyC4zhZ)
-プロローグ-
京都の大学に通う大学生の-宇佐見蓮子-は、マエリベリー・ハーンこと-メリー-と一緒に夏休みを使って海外へと旅行に行った。目的は海外の怪異を探す事。そして、二人はとある国の辺境に存在し、不気味な噂を持つ学校に目をつけた。その学校は建設された記録なども無く、いつの間にか存在していたとされる学校であった。そして、興味本位で訪れた人達が行方不明になると言う謎。
二人は何らかの結界が張られているのでは無いかと調査を始める...
-空港-
夏の中旬、太陽がアスファルトをじりじりと照らす猛暑の日。昼過ぎに二人の女性が帽子と荷物を手に押さえ、汗水流しながら、空港の中へと入っていった。
メリー「蓮子っ!早くしないと飛行機が出ちゃうわよ!」
蓮子「ごめんメリー!」
秘封倶楽部として、大学で活動するオカルトサークルの二人-メリーと蓮子-は今、猛ダッシュで走っていた。二人は夏休みに海外旅行を考えていたのだが、蓮子が旅行前日に遅刻してしまったからだ。メリーはそれを見計らって飛行機の搭乗をずらしていたので、二人はギリギリ間に合った。
蓮子「間に合って良かった...」
メリー「蓮子ったら...こういう時に限って遅れてくるんだから!」
呆れたようにメリーは溜息をついて、ゆっくりと椅子に腰掛けた。
蓮子「本当にすみませんでした...」
メリー「分かればよろしい!」
気持ちを切り替えると、蓮子がリュックサックを開けてスマホを取り出した。
蓮子「目的地はここね...あっちの空港から何時間もかかるわね。」
メリー「町から離れた辺境にあるんだからしょうがないわ。」
蓮子「そうね。」
メリー「今回は今まで以上に大掛かりな活動だからちょっと緊張するわね。」
蓮子「...私達が今から行くのは海外で曰く付きの廃学校だからね...」
スマホの画面をスクロールして見せる。
蓮子「興味本位で行った人が誰一人行方不明になってしまった廃学校...その秘密を暴くわよ!」
しかし、飛行機でも一日はかかる。二人は明日に備えて早めに寝た。蓮子はスマホを見ながら寝落ちしてしまった。画面にはニュース番組の映像が延々と流されていた。
-アメリカ-
飛行機で丸一日かけて向かったのは、アメリカであった。二人は空港を出て、目的地へと続く電車に乗車した。
蓮子「やっぱり海外の方が都市の規模が大きいわね。」
メリー「日本を上回る先進国だからね。」
数時間、会話したり寝たりしていると、ようやく目的の駅についた。
蓮子「えーっと...あのバスよ。」
その学校近くに停車するという一台の黄色いバスに顔を向けた。赤い扉を開けて中に入るが、二人以外に乗客はいない。二人が座ると、運転手のいないバスが走り始めた。
蓮子「都市から離れた所だけど...自動運転はあるのね。」
メリー「でも少し奇妙ね。車なんて少し前の乗り物よ?」
蓮子「確かに...外見はあれだけど」
少し歪んだ形をしたバスであったが、問題無く走っている。
-辺境-
しばらくして、例の学校に到着した。バスは学校から少し離れた所に停車した。運賃として、二人は25セントを出して降りる。学校の外観はボロボロだった。所々、壁が剥がれ落ち、内部の蛍光灯が落ちている。
メリー「...確かに結界の様な物があるわ。」
蓮子「本当!?」
メリー「ええ...この建物から感じ...」
二人が期待を膨らませたその瞬間、視界に強い閃光が映った。
蓮子「...眩しい!」
メリー「きゃぁぁぁぁ!?」
蓮子「メリー?...って、わぁぁぁぁぁ!」
閃光と共に何かに吸い込まれた。
蓮子「...痛た」
目を覚ますと、近くにメリーが倒れていた。急いで近づくが、メリーもすぐに起き上がった。
メリー「ここは一体...蓮子は大丈夫?」
蓮子「怪我はしてないわ。ここは...あの学校の中?」
周りを見渡すと、確かに先程まで自分たちが見ていた学校だが、全て廃墟とは思えない程綺麗だった。しかも、外は地面が無く、白い雲のような物と青い空が続く空間であった。
メリー「もしかして...異世界に来たのかしら?」
蓮子「緩んだ結界の中に入ってしまったのかもね。出れるかなぁ...」
試しに目の前の黄色い扉に手をかけるが、びくともしなかった。二人が扉の前で悩んでいると、いきなり声が聞こえた。
?「Oh...Hi! Welcome to my Schoolhouse!」
後ろにいたのは、青い長ズボンに緑色の長袖を着た禿頭の男性であった。
蓮子「英語?」
メリー「そのようね。私は喋れるけど。」
蓮子「私だって話せるわよ!」
メリー「でも、ここは既に結界の中よ...あの人も信用できないわ。」
蓮子「確かに外の空間も異常だけど...このままじゃ何も始まらないわよ?」
(ほとんど日本語で書きます)
メリー「まぁ良いわ...いきなり入ってしまってすみません。どなたですか?」
バルディ先生「僕はこの学校の教師さ!バルディって言うんだ。よろしくね!」
蓮子「私達...ここから出たいんですけど、どうすれば良いですか?」
バルディ先生「ならば、一つ勉強と行こうか!」
蓮子「え?」
バルディ先生「この学校の中に七冊のノートが散らばっているんだ。それを全て集めれば、出入り口を開けてあげよう!ただし、ノートには一冊につき三問の問題があるからね!」
蓮子「それを解けば良いんでしょう?」
バルディ先生「その通りさ!」
バルディ先生が蓮子に緑色のタブレットを渡した。
バルディ先生「ノートに近づくとそのタブレットに問題が映るよ!僕が採点してあげるからね。」
蓮子「ありがとう!」
バルディ先生「準備は良いかい?よーいスタート!」
続く...
- Re: 第二話 鬼ごっこの時間 ( No.2 )
- 日時: 2023/09/26 21:19
- 名前: 博士 (ID: 7ZyC4zhZ)
バルディ先生からタブレットを貰うと早速、一番近い教室へと歩き始める。99と書かれた青い扉を開けると、教卓に一冊のピンク色のノートが置かれていた。メリーが触ろうとすると、ノートは透けてしまう。
メリー「やっぱり問題を解かないといけないのね...」
蓮子「あ、タブレットに何か映ったわよ!」
ノートの前に蓮子がタブレットを置くと、画面の左下にバルディ先生の顔が映った。真ん中には問題が映し出され、右には数字を打ち込むためのボタンがついていた。
バルディ「早速始めようか!最初の授業はみんな大好き...数学の時間だよ!」
画面には[3−7=]と映されていた。
蓮子「え?簡単過ぎない?」
-4と打ち込むとバルディ先生が笑顔で喋り始めた。
バルディ先生「よく出来たね!その通りだ!」
大げさに褒めてくれるが、大学生の蓮子達からしたら全く手応えの無い問題だ。
蓮子「どんな物が来るかと思ったら数学?こんなの中学生でも出来るわ。」
残りの2つを面倒臭そうに解き終わると、ノートが一瞬光り、手で持てる様になった。
蓮子「これを後六回もやるの?結界を越えられたと思ったら数学の勉強なんて...ちょっとガッカリだわ。」
メリー「さっさと終わらせて帰りましょう。」
二人が扉を開けて廊下に戻ると、バルディ先生がニコニコしながら出迎えていた。
バルディ「良い出来だったね!僕からのサプライズだ...」
そう言うと、バルディ先生がポケットから二枚のコインを取り出した。
バルディ「ピカピカ光るクォーターだ!これで自販機から食べ物や飲み物を買えるよ。」
蓮子「あー...ありがとう」
つまらなくなってきたのか、蓮子はぶっきらぼうにお礼を言ってコインを受け取った。25セントのようだ。
バルディ「さて、次のノートは右の部屋にあるよ。それを解いたら、校舎の中を開放しておくね!」
バルディ先生はそう言い残して、黄色の扉を開けて奥の方へと歩いていった。
蓮子「あーあ...拍子抜けだわ。結界の先がただの学校だなんて...」
メリー「さっさと帰りたいんでしょ?早くノートを集めましょうよ。」
何とか蓮子を説得させて、2つ目の部屋に入る。中には青いノートが置いてあった。
メリー「私もやってみたいわ。それ貸してくれない?」
蓮子「え?良いけどつまらないわよ?」
タブレットを受け取って、ノートに近づくと、またもや問題が映し出された。
バルディ先生「さて、二冊目も張り切っていこう!」
メリーはバルディ先生の声を無視しながら問題を解いた。
メリー「...え?」
しかし、突然メリーの動きが止まった。気がついた蓮子がメリーに話しかける。
蓮子「何で行き詰まってるのよ......って、何この問題!?」
最後に出された問題は、何重にも数字と記号が重なり、とても読んで答えられるような問題では無かった。
バルディ先生「問題3...3;@w353;#4&4&$#5`:;325(3~¥56(435'たす...984"32;4p@223%94=?」
ノイズが混じった支離滅裂な読み上げに恐怖していると、横から蓮子がボタンを押し始めていた。
メリー「何してるの?」
蓮子「こんな問題分かるわけないじゃない。適当に打ってみない?」
画面に100と打ち込むと、問題の横に赤いバツが記された。
蓮子「ひっ...!」
蓮子がいきなりタブレットを手から離して後退る。メリーが画面を見ると、睨んだような顔をして、無言でバルディ先生が怒っていた。口は異常な程に折れ曲がり、先程までの友好的な印象は消え失せ、殺意すら感じる。二冊目のノートを取った二人はタブレットを持って、素早く教室の外に出た。
メリー「...怒ってたわね」
蓮子「こっちだって怒ってるわよ。あんな問題出すなんて考えられないわ。」
[EXIT]と書かれた黄色の扉に手をかけるが開かない。七冊のノートを集めるまで出られないという事を思い出すと、蓮子はため息をついた。
その瞬間、校舎の奥へと続く3つの黄色い扉に解錠されたような音が鳴る。それと同時に一定間隔でバチンッ!バチンッ!と聞いた事の無い音が近づいてくる。気味悪がりながら、メリーが真ん中の黄色い扉を開けると、定規を手に持ち片手に打ちながら移動するバルディ先生の姿が見えた。定規の音と共に、体を動かさずに短距離をテレポートするようなその挙動は不気味さを醸し出していた。
メリー「あの...最後の問題は解けなくて...」
話しかけようとするが、バルディ先生の反応は全く無かった。バルディ先生は無言で二人に少しずつ近づいていた。
メリー「蓮子...」
蓮子「何?」
メリー「逃げるわよ!」
蓮子の手を繋いで、メリーが走り出した。
蓮子「いきなりどうしたのよ!?」
メリー「あの先生...やっぱりおかしいわ。こんな異世界にいて友好的なはず無かったわ...」
メリーは確かに感じていた。捕まれば死ぬよりも痛い目に会うと、バルディ先生の異常な殺気を感じ取っていたのだ。蓮子も少なからずバルディ先生の異変に気づいた様で、一緒に走り出す。
蓮子「でも7つのノートを集めないと学校から出れないわよ?」
メリー「バルディ先生から逃げながら探すしか無いわね...」
廊下を走っていると、少し先の曲がり角から「Let's play!」という声を聞いた。
- Re: 第3話 遊びの時間 ( No.3 )
- 日時: 2024/05/04 23:09
- 名前: 博士 (ID: 7ZyC4zhZ)
廊下の角から突然現れたのは、赤い服を着た少女であった。縄跳びを回しながら歩いており、子供の落書きの様に歪んだ不気味な顔を持っていた。
メリー「えっと...こんにちは?」
Playtime「一緒に遊ぼうよ!」
メリーの言葉には反応を示さず、蓮子にぶつかった。
蓮子「痛っ...縄跳び?一体何なの?」
Playtimeにぶつかった瞬間、いつの間にか蓮子の両手に縄跳びがついていた。蓮子はその場に落とそうとするが、手から離れる事は無かった。
蓮子「どうやったら取れるのこれ!?」
Playtime「一緒に遊ぼうよ!」
メリー「このままじゃ先生が来ちゃうわよ!」
蓮子「......遊ぶ?...分かったわメリー!」
メリー「え?」
蓮子は縄跳びを使ってその場でジャンプし始めた。
メリー「ちょっと!こんな時にふざけないでよ!」
そう叫んでいると、ちょうど五回飛んだ所で、蓮子の手から縄跳びが消滅した。
Playtime「縄跳び上手だね!また遊ぼうね、お姉ちゃん!」
Playtimeがバルディ先生の方向へ走ったのを見届けると、二人は全速力でダッシュし始めた。数分後、バルディ先生を巻いた二人は廊下の端に座って休んでいた。
メリー「どうして縄跳びを飛んだの?」
蓮子「この空間は異常な学校になってるけど...郷に入っては郷に従えって言うでしょ?その通りにしただけよ。」
メリー「そういう事なのね。じゃあ、この看板も読んでおいた方が良いかしら?」
二人が寄りかかる壁の後ろには大きな張り紙が貼られていた。この学校の校則について書かれている様だ。
メリー「いじめをしてはいけない、走ってはいけない、教員室にはいかない、飲み物で遊ばない...お仕置き部屋から逃げない...普通の規則ね。」
蓮子「最後の第四の壁を越えてはいけませんってのが気になるけど...取り敢えず守ったほうが良さそうね。」
メリー「貴方は良く遅刻するから無理かもね。」
蓮子「いやいや、命がかかってるし...」
二人は休憩を済ませると、すぐ近くの教室へ入り、3つ目のノートを獲得した。
蓮子「これは貰っておきましょう。」
ノートを回収するついでに蓮子はピンク色のハサミを手に入れた。
メリー「ここは食堂かしら?」
黄色い扉を開けて、二人は大きな食堂へと入って行った。テーブルには無造作に大量の食べ物が置かれているが、腐敗した様な痕跡は見当たらない。メリーはテーブルに置かれていたソーダと近くの自動販売機で売られているエナジーバーを手に入れた。蓮子も反対側の自動販売機を使ってソーダを入手した。しかし、探索を続けている蓮子の耳に一瞬、定規の音が微かに聞こえた。
蓮子「定規の音が聞こえる...近くに先生がいるかもしれないわ!」
メリー「そんな!隠れる場所が無いわよ!?」
二人が慌てていると、遂に食堂の扉を開いてバルディ先生がやってきた。
メリー「ひっ!」
バルディ「君たちの開けた扉の音は全て聞こえているよ!」
笑いながら言い放ったその言葉は、二人を戦慄させるのには十分だった。
蓮子「隠れる場所は無いってわけね...全力で逃げてやるわ!」
そう言って、蓮子はソーダを振って、バルディ先生に投げつけた。
バルディ「ぐわぁぁぁぁ!?」
缶はバルディ先生の頭に当たるのと同時に爆散し、青いソーダを撒き散らした。
蓮子「今のうちよ!」
バルディ先生が混乱している隙を突き、二人は食堂を抜け出した。しかし、二人の行く手を灰色の服を着た人間が阻んだ。
メリー「だ...誰?」
校長先生「先生に飲み物をぶつけて遊ぶとは...罰を与える。」
校長は蓮子の腕を掴みながら叫ぶと、校長と蓮子が一瞬で消えてしまった。まるで最初からその場にいなかった様に。
メリー「蓮子!?」
相棒が目の前から一瞬で消えてしまい、混乱してしまった。しかし、バルディ先生の定規の音が近づいていた。
メリー「......私も生き残らないと!」
メリーは決意を固めると、バルディ先生が扉を開けるより先に廊下の角を曲がり、別の教室へと走っていった。
続く...
- Re: 秘封学走記 第四話 清掃の時間 ( No.4 )
- 日時: 2024/07/14 17:34
- 名前: 博士 (ID: 7ZyC4zhZ)
メリーは決意を固めると、バルディ先生が扉を開けるより先に廊下の角を曲がり、別の教室へと走っていった。
東の長廊下に来たメリーはすぐ近くの教室へ入り、ノートを獲得する。しかし、バルディ先生の物差しの音はどんどん近づいてくる。
メリー「本当は奥の教室のノートも...いや、リスクが高いわね」
もう一冊のノートは諦めてメリーは教室を飛び出すと、南の方へと廊下を駆け抜けた。バルディ先生は廊下をゆっくりと歩いていく。そして、東廊下をあと少しで超える所で、廊下の角に突き当たる瞬間、逃げたと思われていたメリーが飛び出してきた。
バルディ「まさか...キミ!?」
メリー「これでも喰らいなさい!!」
メリーはBソーダを思いっきり振りかぶり、バルディ先生に投げつけた。Bソーダから出た青い液体はバルディに纏わりつき、廊下の奥へとふっ飛ばしていった。
メリー「これでかなり時間が稼げるわ。」
南東の教室のノートと南京錠を回収したメリーが西に向かおうとしたその時だった。
LOOKS LIKE IT'S SWEEPING TIIIIIIIIIIME!?
隣の教室から音の割れた叫び声が響いた。
メリー「な...何?」
メリーが右を見た瞬間、そこには扉を突き破る巨大なモップの姿があった。
Gotta Sweep「GOTTA SWEEP SWEEP SWEEP!!(掃くぜ掃くぜ掃くぜ!)」
メリー「きゃああああああ!?」
Gotta Sweepはメリーを乗せて、廊下を爆走し始めのだ。西の長廊下の突き当りにはPlaytimeが歩いていた。
Playtime「あ、さっきのお姉ちゃ...」
メリー「避けて〜!!」
Gotta Sweep「SWEEP SWEEP SWEEP!!」
しかし、Gotta Sweepが突き当りに行く事は無く、直前の中央廊下に進路を変えた。そこには仁王立ちするIt's a Bullyの姿があった。
Bully「なんか寄越せェェェェェェェェェ...」
BullyはGotta Sweepに自ら押され、一緒にくっついているメリーの服のポケットからエナジーチョコを盗むと、廊下の端に飛び移って逃げて行った。
メリー「私も早く逃げないと...」
メリーはGotta Sweepの柄の部分から勢い良くジャンプして、その場に倒れ込んだ。
メリー「助かって...ない!?」
しかし、目の前にはようやく動けるようになったバルディの姿があった。
バルディ「やっと見つけたぞ!」
メリー「しつこいわね...絶対に逃げ切ってやるわ!」
バルディを尻目にそう呟くと、メリーは西側の長廊下へと逃げて行った。
-お仕置き部屋-
お仕置き部屋...校長室には蓮子と校長先生が向かい合って座っていた。
校長先生「......拘束時間は終わりだ。二度と悪さをしないように。」
蓮子「はーい。」
不貞腐れた口調で返事を返し、蓮子は廊下に出た。
蓮子「全く...ずっと喋らないから気味悪くてしょうがないわ...」
ブツブツと呟きながら、近くの教室に入り込み、ノートを回収する。
蓮子「メリーは無事かしら...」
西側の長廊下から物差しの音が聞こえる。蓮子はバルディ先生を避けて、東廊下側に向かって歩き始めた。東の長廊下に辿り着くと、奥側から機械の駆動音が鳴っている事に気づいた。
蓮子「...誰だろう。」
奥にはボロボロの顔にキャタピラと巨大な手、胴体に巨大な心臓の様な物が浮かぶヘンテコなロボットがいた。
蓮子「...なんか近づいてきてるわね」
ゆっくりと此方側に向かってくるロボット。蓮子がその場を離れようとした瞬間、突然キャタピラを高速回転させ、一気にロボットが距離を詰めてきた。
蓮子「早いっ!?」
1st Prize「私ハ貴方ノ思ウ様ニプログラムサレテイマス...」
1st Prizeは突進し、巨大な手で蓮子を廊下の壁に叩きつけた。
蓮子「がはっ...離して!」
1st Prize「ケッコンシテクレ...」
蓮子に何度も体当たりをする1st Prizeに体力を消耗していく。頭が壁に当たり、意識が朦朧とする所で、1st Prizeの動きが止まった。
蓮子「え...?」
1st Prizeの後ろには校長先生が立っていた。
校長先生「女性に強引なスキンシップはいけません。」
1st Prize「チョトマ...」
1st Prizeは校長先生に引きずられながら、お仕置き部屋へと連れて行かれた。
蓮子「...助かった。早くメリーも見つけないと...」
-食堂-
メリー「やっと距離を離したわ...」
途中で拾った25セントでBソーダを買い、再びバルディとの距離を引き離したメリーは、食堂の裏側に位置する教室に向かい、ノートを一冊回収した。教室を出ると、そこには息を切らした蓮子の姿があった。
メリー「蓮子!無事だったのね!?」
蓮子「まぁなんとか...後、これを。」
メリー「貴方もノートを持っていたのね...つまり...」
七冊揃った!
それと同時に鈍い機械音が響いた。出入り口の扉が解錠したのだろう。二人は最初の出入り口へと走って行った。
メリー「これで帰れるわね!」
蓮子「こんな場所...さっさと抜けましょう!」
しかし、蓮子が出入り口の扉に触れようとした瞬間、巨大なシャッターが勢い良く降りた。
メリー「大丈夫!?」
蓮子「平気平気...」
シャッターが降りると共に、学校内が停電し、赤いランプがついた。すると、上部のスピーカーからバルディ先生の声が響いた。
バルディ「おめでとう!七冊のノートを遂に集めたんだね!さぁ残りは...」
GET OUT WHILE YOU STEEL CAN!!!!!!!!
バルディの絶叫が響くと共にエンジンの様な巨大な雑音が学校中に鳴り響いた。
メリー「何よこれ!?」
蓮子「頭が裂けそうな音ね...早く逃げましょう!」
物差しの音が響いている。バルディはまだこちらに気づいていないようだった。二人は東の長廊下へと走り、2つ目の出入り口に行くが、こちらもシャッターが閉まってしまった。更に、奥からバルディ先生が高速で向かってきていた。
メリー「西側に行きましょう!」
二人は再び走り出した。途中、Gotta Sweepや1st Prizeがが突っ込んできたが、どちらもバルディの動きを妨害する形で動きを止めていた。西の長廊下突き当りにはPlaytimeが立っていた。
Playtime「お姉ちゃん達だ!もう一回遊ぼうよ!」
しかし、蓮子は答える前に小さなピンク色のハサミで縄跳びを切断した。
蓮子「ごめんね...今は急がないといけないの。」
Playtime「そうなんだ...今度また遊ぼうね!」
蓮子「分かったわ。」
Playtimeを通り過ぎた後、蓮子が「また会えたらね」と呟いていた。
メリー「...ここも駄目だわ!」
蓮子「食堂にも出入り口があったはず...急ぎましょ!」
しかし、二人の後ろには蓮子を睨む校長先生の姿があった。
校長先生「生徒をいじめてはいけません!」
蓮子「こんな時に...」
メリー「心配無いわ!」
食堂に入り、メリーは黄色い扉の南京錠をかけた。校長先生と追いついてきたバルディは扉の前で立ち往生していた。食堂の出入り口は他の所と違って、上部のEXITという文字が一際輝いていた。
メリー「本物に違いないわ!」
だが、二人を逃さんとしていたのは、バルディ先生でも校長先生でも無かった。二人が出入り口に向かおうとした瞬間、反対側の扉から巨大な靴下の様な生徒-Arts and Crafters-が巨大な口を開けて、二人に突進してきていた。
蓮子「危ない!」
蓮子はメリーを庇いながら飛び退いた。Arts and Craftersからは不気味なノイズ音が響いている。
メリー「痛...」
蓮子「メリー!」
倒れた衝撃でメリーは足を捻っていた。Arts and Craftersは容赦無くメリーに突進した。
蓮子「メリーから離れろ!」
さっき使ったハサミをArts and Craftersの口に投げ込んだ。Arts and Craftersは不気味な嗚咽音を出しながらその場で藻掻いている。蓮子はメリーに肩を貸して、出入り口から外へと脱出した。
一瞬、閃光に包まれた二人はいつの間にか、真夜中の道路に倒れていた。メリーが結界の綻びを見つけた所だった。
蓮子とメリーはすぐさま学校の方を向いた。そこには何の変哲も無い...古びた廃学校が立っているだけであった。
蓮子「やっと...戻ってこれた...」
バルディに追われる時間は一日にも一ヶ月にも感じられた。二人は安堵してため息をつくと、ちょうど近くに停車するバスを見た。最初に乗ってきた時のおかしな見た目では無い。二人はバスに乗って、空港へと向かった。
蓮子「足は大丈夫?」
メリー「ええ、もう治ったみたいだわ。」
蓮子「良かった...それにしても、気味の悪い場所だったわね。」
メリー「空港近くにホテルを予約しているわ。今日はそこに泊まりましょう。」
蓮子「賛成〜」
こうして、二人の夏休み序盤は、海外の怪異との遭遇という波乱の展開で終わっのであった。
-1週間後-
日本に戻った二人はこの日、大学近くのカフェで一息ついていた。
メリー「あら、蓮子が夏休み序盤にレポートに手をつけるなんて驚いたわ。」
蓮子「これは、この前の学校で撮った写真を報告書に貼り付けてるだけよ。」
メリー「呆れたわ...いつの間に写真なんて撮ってたの?」
蓮子は黙り込み、ノートパソコンを真剣に眺めていた。
蓮子「そういえばさ、最近くじ引きが当たったのよね。」
メリー「くじ?景品は?」
蓮子「ふふふ...これを見たまえ...」
妙に意気込んだ顔をする蓮子の手には、二枚のチケットが握られていた。
メリー「二泊三日...アメリカリゾート券!?」
蓮子「そうよ!これでまた海外に行けるわ!」
メリー「まぁ、普通の観光ぐらい楽しみたいわよね...」
蓮子「何言ってるのメリー。」
メリー「え?」
蓮子は待ってましたと言わんばかりに、メリーにノートパソコンの画面を見せた。そこには海外のオカルト掲示板が載っていた。
蓮子「オハイオ州に存在すると言われる便器から顔の出ている化け物...様々な超常存在を集める謎の財団...」
メリー「ま...まさか...」
蓮子「海外の怪異調査...パート2といきましょう!」
メリ「もう海外旅行は懲り懲りよ!!」
-完-
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