二次創作小説(紙ほか)

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人マニア 創作
日時: 2023/10/17 21:37
名前: 梓海瑠夏 (ID: 2d811rR1)

最初は「人マニア」の要素はあまりありません!途中から入ってきますので、気長にご覧ください。
それでは本編をどうぞ!


僕はは愛が欲しい。
ーーなんて、いきなり陳腐なこと言われても困るよな。でも、これが僕の全てだから。
大手企業の社長の家に生まれた僕は、金も、名声も、信頼も何もかも不自由ない暮らしを送ってきた。
でも、何もかもを手に入れても、心のどこかが空いたような気分になるんだ。友人も、先生も、恋人も、「僕」を見てるんじゃない。「僕の親」を見て仲良くしている。まぁ、その「友人」だって、母親が決めた人たちだから、友情もクソもないよな。
僕はこんなとこ継ぐ気はない。かといって他にやりたいことがあるのかと言われても、ない。
昔から、今だって。今日まで僕にやりたいことをやるなんていう選択肢はなかったから。

「直人。随分と遅かったわね。門限は5時まで。何度も何度も口を酸っぱくして言っているでしょう?」
「…すみません」
「あなたはじきにここを継ぐことになるのよ?ちゃんと自覚があるの?」
「…はい」
「無い、わよね?」
僕を見ずに話す母親。僕は頷く以外なかった。
「突っ立ってないで、早く勉強しなさい。」
僕は会釈をして、自分の部屋に向かった。
ーー愛情を持たない母。僕に無関心な父。
そんな人たちの期待に応えるために、そんな人たちが苦労しないために僕はずっとこんな生活をしていなきゃいけないのか?
やりたいこともできず、友達すら管理され、将来は生まれた時から決まっている。
こんな人生を送りたくて生まれてきたんじゃない!
俺はノートにグシャリと爪を立て、家を飛び出した。
母親がまたもこちらを見ずに何か言っていたようだが、どうでも良かった。
俺は近くの橋まで向かった。体がなくなったように軽かった。

昨日、雨が沢山降ったせいか、川はいくらか濁り、速度を上げていた。
冷や汗がふつふつと出てきて、唾液が喉を伝う。
でも、気持ちは落ち着いていた。
「どうか、どうか来世は、『普通の家』に生まれることができますように。愛をもらえますように…」
そう言って身を乗り出すと、何者かにパーカーのフードを引っ張られた。
しまった。見つかった。
そう思ったが、僕のフードを引っ張ったのは母親でも父親でも、クラスメイトでもなかった。
顔に貼り付けたような笑みを浮かべた男だった。
「キミ、いい体してるねぇ。俺のとこで働かないかな?」
いい体…っ!?何されるかわからない。今すぐ逃げなければ。
ところが、僕の体は術にでもかけられたかのように動かなくなった。
「…はは。冗談だよ。ねえ、キミにひとつ提案があるのだけど」
「…なんですか?」
「キミは今、死のうとしていたよね。でも、キミのようないい人材が死ぬのは勿体無い。だから、だからね。」
ーーキミの命を俺が買うよ。お金ならいくらでも出す。欲しいものをなんでもあげる。欲しいものは何だい?言ってみな。
僕が欲しい物?そんなもの……
「…が、欲しい。」
「ん?」
「愛が、欲しい!!」
僕は顔をくしゃくしゃにして号泣しながら言った。
男はさっきと何も変わらない調子で言葉を続けた。
「愛ね。そんなのいくらでもあげるさ。その代わり、キミには殺し屋のバイトをしてもらおうか。」
「…はい?」
「俺が対価もなしに愛をあげるわけないだろう?キミは殺し屋として俺のところで働く。僕は手柄のぶんキミに愛をやる。どうだい?」
冷静に考えたら、狂った提案だ。だが、僕は承諾した。
「交渉成立。キミは今から『ビバ』だ。いいかい?今までの人生は忘れ、『ビバ』として忠実に働くんだよ?」
「ハイ。」

「キャアアアアアアアっ!やめて、お願い命だ、け、h…」
僕は叫ぶ女を容赦なく刺した。
「…すまんね。これは、『愛』のためだから。」
今日も殺して愛をもらう。
僕ってよくないなぁ。
ま、人を殺して高揚してるのも事実だけど。


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