二次創作小説(紙ほか)
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- 東方廃書伝
- 日時: 2024/04/25 22:01
- 名前: 博士 (ID: 7ZyC4zhZ)
この小説は[東方Project]と[Library of Ruina]のクロスオーバー小説です。
※注意
・微グロ描写あり
・死ネタあり
・Lobotomy Corporation及び、Library of Ruinaのネタバレを含みます。これを留意した上で読みましょう。
以上です。楽しんで!
-プロローグ-
一級フィクサー・ローランは幸せであった。同じ事務所で知り合ったアンジェリカという女性と結婚し、もうじき子供が生まれてくるのだ。終わらない悪夢の様な血生臭い都市で唯一、心を預けられる...大切なものが出来たのだ。住んでいるのは音楽が有名な9区。最近、翼の管理下に置かれ、安全地帯になった場所だ。
しかし、この都市の中にいる限り、悲劇の連鎖に巻き込まれるのは必然的であった。
- Re: 東方廃書伝1 ( No.1 )
- 日時: 2024/04/25 22:20
- 名前: 博士 (ID: 7ZyC4zhZ)
一昔前、人類は著しい速度であらゆる科学技術や超常的な力を使い、巨大な文明を創り上げた。誰もが夢を持てる。そんな時代が始まろうとしていた。
なんて、甘ったるい未来が待ってるわけ無かった。人間は何千年経とうと、本質的な所までが変わった訳じゃなかった。
人類はあらゆる病気も怪我も治せる技術を持った。心の病を除いて。
遥か昔、大国の王族達が権力を振るっていたかのように、今の権力者達は巨大な組織を作り上げ、人類の大半を支配すべく、巨大な都市を作り上げた。
都市は25の区域に分けられ、それぞれが-巣-と呼ばれた。都市は治安の差が激しく、貧しい民達は強盗や殺人ばかりが起こる裏路地がある。都市の外は外郭と呼ばれる。人類が高度な科学力の副産物として創り上げてしまった怪物達の住処だ。
人の手で作られた悪意の塊。伝承や物語。トラウマから怪物は生まれた。L社とか言う折れた翼が幻想体と呼んでいた物だ。怪物達は餌を求めて外郭を彷徨っている。
翼は25区の中に存在する26の巨大企業。傭兵部隊からエネルギー供給会社まであるが、全て-特異点-と呼ばれる異常な技術力で成り上がったもんだ。翼に入れば、そこの巣...安全な居住区域で家族と一緒に暮らせる。ここらに住んでる奴らは中流階級だ。命の安全はほぼ保証されている。この都市に住んでいる人間達は権力者に目をつけられない様に怯えながら、安息を求め、誰もが翼をに入ろうと努力している。
俺達は夢の無い不自由な都市で縛られながら、目的も無く、明日死なない事だけを願って生きている。
俺がガキの頃にL社は滅んだそうだ。収容されていた幻想体は一匹残らず消えていたという。俺も最近まで幻想体なんて思い浮かびもしなかった。幸せな生活を送れてるしな。
ソファに寝転がりながら、ボソボソと呟く俺にアンジェリカが話しかけてきた。
アンジェリカ「さっきから何を話してるの?」
ローラン「独り言だよ。そういえば、約束してたんだった。」
アンジェリカ「約束?」
ローラン「知り合いのフィクサーに手伝って欲しい仕事があるって言われてな...報酬も良いし、楽な仕事らしい。行き先はこの地区か...お!ここのパジョンは美味しいって有名なんだよなぁ。」
アンジェリカ「なら買ってきてくれない?私も好きなの。」
ローラン「言われなくても買うに決まってる!行ってくるぜ。」
アンジェリカ「行ってらっしゃい。」
ローランは約束すると、早速その地区へと向かっていた。アンジェリカはそれを見届けると、何やら小型の携帯電話を取り出した。
アンジェリカ「えぇ、夫は出ましたよ。」
『こんな時に済まないな。』
アンジェリカ「そちらも大変でしょう?要件は何ですか?ハナ協会が特色の私にかけてくるならば、相当の事件だと思うけれど。」
アンジェリカに電話をかけていたのは、全てのフィクサー達の情報などを管理するハナ協会であった。
『先日に君が参加した掃除屋の掃討作戦があっただろう。あの後、我々のフィクサーが異変を発見したのだよ。』
アンジェリカ「異変?」
『信じがたい話だが...掃除屋の死体が奇妙な-スキマ-から捨てられていたらしい。何らかの転送技術だと思うのだが、W社などは関与していないらしい。』
アンジェリカ「違法技術かしら。」
『分からない。他の特色は別の案件で忙しい...君にしか頼めないんだ。』
アンジェリカ「こちらでも情報を集めておきます。」
『申し訳ない。』
通話が終了すると、アンジェリカはため息をついて、自分のお腹を見つめた。
アンジェリカ「ローランに相談するしか無いわね...」
そう言って、ソファでくつろぐアンジェリカの後ろに-スキマ-が現れた。アンジェリカは気付いていなかった。中から出てきたのは、洋風なドレスを着込んだ女性であった。人間とは思えない雰囲気を漂わせている。それに感づいたアンジェリカはすぐさま武器を取り出して後ろを振り向いたが、既に遅かった。
紫「私の存在が知られたら困るのよ。特に貴方みたいな人間にね。」
アンジェリカ「ッ!?」
その言葉と同時に、アンジェリカの意識は消えてしまった。
部屋の中には、黒い手袋と刀が落ちていた。
続く...
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