二次創作小説(紙ほか)
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- 未来の彼の人1 (ハンドレッドノート)
- 日時: 2025/01/27 16:17
- 名前: 焼き芋 (ID: 4cNSRyfC)
。。。ここは、何処だ?
Tokyo cityであることはわかる。斜町であることも。
だがしかし、おかしいのだ。
目に見えた違和感であるはず。しかし俺の眼は、ここが斜町であることしか認識をしない。
あまりの違和感に立ち尽くしていると、後ろから見慣れた白銀の髪がチラついてくる。
「そう戸惑うな。司波仁。君の街だろう?」
隣に並び直し、こちらを向いてくるのはやはり、スワロウテイルの恵美まどかであった。ああ、と戸惑いを隠すように軽い返事をし、もう一度街の方に目を向ける。
「僕にもわかるよ。君の違和感の正体は。だって、」
次のまどかの言葉に、仁は目を見開いた。
「昨日まではなかったはずの建物がそこら中に立っているんだからね。」
やはり、違和感はそこだった。ここは最近工事などなかったはずだ。
なのにまるで何年も前からあるようにそこに佇んでいる。
「あ、あの、、、、」
また後ろから声が聞こえたと思えば、そこには、かつての旧友が立っていた。
「だ。。。。い、ち。。」
「。。。。。久し振りだね。仁。。。。」
気まずい空気が流れる。
まどかはため息を一つつき、2人の間に入る。
「はいはい、久しぶりの再会だがなんだか知らないけど、後にしてくれない?今はこっちの謎を解かないといけないんだ。不本意だけどね。」
「そっそうですね。すみません。あ、俺は天命大地です!」
持ち前の気前の良さでコロッと空気を変える大地はやはり太陽の擬人化と言っても過言ではなかろう。
「そ。僕はスワロウテイルの恵美まどか。。。。。で?司波仁。なーんでお友達は敬語が使えているのに君は使えないのかな!!」
半ば八つ当たりで仁に問いかけてくる。さっきの年上感は何処に行ったのだろうか。
「知るかどっかいった。」
「ごめんなさい、恵美さん。仁は昔からこうで。。。」
「はあ。。もう良いよ。」
本日何度目かわからないため息を吐く。今日は悪い意味でよく眠れそうだ。
「それで、何か手や仮説は思いつく?君ら。」
「うーん。大体のことは聞きましたが、俺にはどうとも。。。ここのこともよく知りませんし。」
探偵失格だ、と大地は肩を落とす。飛んだお人よしである。
「。。。。俺は、さっきまで瑠衣と一緒にいた。」
「瑠衣って記録者の?」
大地が遠慮がちに聞くと、仁は頷く。
「それで瑠衣さんは何処に行ったの?」
「消えた。」
「。。。。。。え?」
「ここまで来て嘘はやめてくれない?司波仁。」
嘘ではない。本当に消えたとしか言いようがないのだ。
先ほどまで隣で会話していたはずの瑠衣が、音もなく消えられるはずがない。
ましてや千里眼でも見つけられないごくわずかな証拠だけを残して。
消えた瑠衣。そして一部が変化している斜町。頭の中が解けない謎でぐるぐるしていく。
。。。ふと、最近よく通っていた喫茶店が目についた。
否、あれは本当にいつもの喫茶店だろうか?確かに作りは大体変わっていないが、ところどころいつもより劣化しているように見える。
その時、仁の頭に一つの仮説が浮かんだ。
- Re: 未来の彼の人2 (ハンドレッドノート) ( No.1 )
- 日時: 2025/01/28 05:48
- 名前: 焼き芋 (ID: 4cNSRyfC)
(。。。。果たして、そんなことがあり得るのか。。。?)
司波仁が発したある仮説に、恵美まどかが眉を顰める。同じく不思議な今回の事件に巻き込まれた天命大地は困惑していた。
だがしかし、仁の仮説には筋が通っている。いくら先輩の名探偵とあれど、中々今回の仮説を否定するのは難しいように思えた。
♢♢♢数分前♢♢♢
「。。。。。恵美まどか。大地。」
不意に、何か閃いたようにさっきから曇っていた司波仁の顔が上がる。
彼曰く、ある仮説が思いついた、と。
仁は仮説は口に出さず、その仮説が閃くまでに至った原因を話していく。
「。。。。。。まずおかしかったのは、この街の名探偵である俺が、この街並みを覚えていない、、、正確には、わかっていないことだった。しかも、さっきまで隣にいた瑠衣がほんの瞬きをした0,数秒にいなくなってしまったこと。千里眼でも何も見えなかったし、誘拐などあり得ない。」
言葉からは、強い仲間に対しての信頼と、確信の色が伺えた。仁は途切れることなく言葉を紡ぐ。
「そして極めつけにはそこだ。」
仁は少し古びた喫茶店を指差した。
「。。。。あれは俺たちが最近贔屓にしていたカフェ。の、はずだった。」
「はず?」
大地が疑問符を口に出す。
「ああ。あそこは外観が何よりも綺麗に保たれていて、最近立ったばかりだ。」
まどかはそちらに視線を向ける。汚いとは言わないが、特別綺麗とも思わない。
「。。。。ああ、なるほどね。そうなると、“こちらの世界”では辻褄が合わない訳だ。」
「やっと、司波仁の言いたいことがわかったよ。」
♢♢♢冒頭に戻る♢♢♢
仁は確信を持った、恵美さんは、仁の仮説をある程度まで理解し、納得している。
しかし俺はどうだろう。仁の言いたいことはわかるが、あまりにも現実離れしていて頭が拒否している。
なんとか情報の整理をしようと、苦し紛れ声を出す。
「つ、つまり、仁は
“俺たちが未来に来てしまった”と、言いたいの?」
「。。。。。ああ。にわかには信じ難いがな。」
「でも筋が通っている。なんなら、その節しかあり得ない。」
恵美さんが強く後押しする。遅れてしまったが、俺もなんとなく整理がついてきた。。。。しかし、問題はその後である、
「あ、あのさ、、、」
「大地の言いたいことはよく分かっている。」
さすが上位ハウスの名探偵。俺の言いたいことはちゃんと分かっているようだ。いやじゃなっくて。
「仁はもう解決法が!?すごI」
「いや、俺たちの世界軸に帰る方法は、まだ分かっていない。」
「ええ!?」
「。。。💢あのさあー君たち。そんなたかが仮説の解決方法まで考えちゃってるけど、まずはその節が本当か確かめにいかないとじゃないの??」
。。。まどか、ごもっともである。
仕方なく仁と大地、まどかは、未来でも在る喫茶店に話を聞きに行こうと足を進める。
こちらもまた仁には見慣れたオープン・クローズ看板に薄緑色に着色されたすりガラスの窓。
扉に手をかけ真っ直ぐに手を引くと、聞き慣れた鈴の音がした。
どうやら店主は厨房の方にいるらしい。。。。。と、その時。
パリーン!!
「!大丈夫ですか!?」
俺たちを見ていた定員が、皿を落とし、割ってしまったようだ。
慌てて大地が駆け寄ると、半透明なガラスと共に床に落ちていくものがあった。
(。。。。泣いている。。。。)
だが苦しそうでも、悲しそうでもない。驚きと、ほんのわずかに読み取れる喜びが読めた。
「大丈夫ですか?ごめんなさい。俺たちもよく事情を知らなくて。。。?」
大地が言葉を切る。店員の視線は大地ではなく、その向こうの。。
「なんで、あなたがいるの。。。。?」
店員が発した言葉に3人は疑問符を飛ばす他ない。
「あ、あなた、は、仁さん、ですか?」
途切れ途切れの店員の言葉に、仁がゆっくりと頷く。
そうすると勢いよく店員が厨房の方に入っていく。「店長!!!仁さんが!仁さんが!」そう聞こえた気がした。
暫くして、厨房からは先ほどの店員と顔見知りの店長がやってきた。
てんちょう、と仁が呟くと、店主は驚いた顔をして、こちらに走ってきた。
近寄ってくるにつれて、店長がよく見るホログラムの画面を開き、急いで何か操作している様子が伺えた。
仁に近づくと店主はゆっくり口を開く。
「。。。。。君は本当に、司波仁くんなのだね?」
「ああ。序列。。」
「おい司波仁。序列を言うのはやめておきなよ。」
まどかが突如口を挟む。
一瞬困惑したが、その疑問はすぐに晴れる。確かに未来の世界なのであれば、序列が違うことで偽物だと疑われるかもしれない。
他にここが未来かを探る方法などいくらでもある。とりあえず歳、序列など変わっていってしまうことは伏せておいた方がよさそうだ。
「俺は、ホークアイズの名探偵、司波仁だ。」
「。。。。そうかい、そうかい。。。」
店主は仁の言葉をゆっくりと飲み込む。そして立ち上げたホログラム型のタッチパネルを人に向けた。
一緒に覗き込むと、通話画面のようだ。
しかし非通知であり、画面共有でもないことから余りかけない人物にかけているらしい。
発信相手が誰なのかはじきに分かる、とのこと。
数コールの後、コール音が途切れる。
「。。。。もしもし?」
「いやなんで疑問系なんだ」
非通知だからということはわかっていたがあまりの腑抜けさにつっこんでしまった。
すると、
「。。。。。え?あ、い、な、なんでっそっそんなことありえ。。。」
「おい、大丈ーー」
突如、仁の声も途切れる。
「仁?」
大地が顔を覗き込むと、一言。
「今の声、瑠衣だった。」
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