二次創作小説(紙ほか)

(第16章 細胞手術に集え! アメリカ中の救世主達) ( No.17 )
日時: 2022/07/22 16:13
名前: 破壊神 (ID: RtQ9ht2V)

 その夜、結局皆は帰る気に慣れず、アレルヤの部屋の前で眠ってしまった。
アレルヤの細胞は、イヴによって侵され、かなりひどい状態になっていた。

今は薬で眠らせているが、もう限界に近いのか、かなり危ない状態にあるのは確かだった。
心拍数も小さく、何時死んでもおかしくない状態にまで侵され、アヤの安否が分かり、それだけで十分だとばかりにアレルヤは、意識をなくし、一時は本当に死にそうになっていた

そして、アヤとスメラギが、会った時、アレルヤの手は相当酷く、動かすだけでもやっとの状態で、本当に酷かった。

そこで医師達は、彼等の為にと、アレルヤの部屋に監視カメラを付けてくれ、彼の命の動向を見守る様にした。

時折看護婦が入っていくが、アレルヤはグッタリとしたまま、起きるという気力がなくなってしまったかの様だった。
「アレルヤさん。大丈夫ですか?」
と、ナースの1人が声をかけると、もう肌は痛み始め、腕をまくると、茶色に染まりつつ有り、どんどん広がっていく。
「大変! ちょっとごめんなさい!」
と、看護婦がアレルヤの服のボタンを外すと、本当に危ない状態なのが分かった。

なんと、根っこの取れた心臓から、新たな根が伸び始めていたのだ。
心電図を見てもかなり悪く、このままでは、アレルヤの命が危ないばかりか、第2のイヴを産ませる事になってしまう。

それだけはどうしても止めなければならない。
そこで、会議の結果、彼は大きな病院に転院し、詳しく調査をする事になった。

そして、移動の際には、アヤとロックオンが付き、彼を安心させてあげた。

新しい病院の特別室に運ばれると、すぐさまアレルヤはコードに繋がれ、心電図を計測しながら、どうしたら良いか話し合われた結果、まずは、心臓部に有るあの根っこを元から断たなければならず、それには、アレルヤの心臓を奇麗にし、アヤの力でイヴの力を引っ張りだし、前田が用意した、対イヴ用の注射をした後、細胞を奇麗にしていくかなかった。

だがこれには前例がなく、ましてや人の細胞や心臓を奇麗にするなど、有った事もなかった。

でも、それをしなければ、彼は死ぬ。
それを防ぐ為に、アメリカ中の名のある脳神経、外科、細胞学の学者等が集められ、その中にはなんと前田も特別に参加させてもらえる事になるが、用意がない為、一応必要な資料で、なんとかならないかと言われた。

その結果、彼のまだ汚れてない箇所の細胞で、細胞を培養させて、それを彼の細胞に直接戻せば、どうにかなるのかと言う結論に基づき、どう言う風にするかは、細胞学の権威を持つ、学者達が、どうすべきかを話し合っていた。
その時、イヴが言った事を思い出した。

下水道から逃げるさい、イヴは言った。
「1週間の間に自分を倒すか、お前の細胞が死ぬかのどちらかだ」
と。

だが、アレルヤの中に、直接イヴの細胞が入っている為、それを一刻も早く取り出さなければ、このまま彼を死なせる事になってしまうのだ。

そんなこんなで1日が過ぎる頃、アレルヤは点滴しか受ける事が出来ず、彼は今戦っているのだ。自分の細胞とイヴの細胞とで。

そして、状態を見た前田は、
「手術日を速めた方が良いのでは?」
と言い、彼の現在の体の様子を撮影したデータを見ると、彼のもう半分以上が侵され、酷い事になっていた。
「だが、一体どうやって……」
「方法としては、手術中イヴが現れた時は、アヤさんが付き添い。私も付き添います。それに、アヤさんはイヴに立ち向かえた。つまり、アヤさんの細胞をアレルヤさんに移植してはどうでしょうか? もちろん本人のOKが有ればですが、彼にはすでに、イヴの細胞で出て来たこれらをどうするかですが……」
「イヴの細胞で、こんなん物が……」
「信じられん まるでキメラだ」
と、学者の声が聞こえ、アヤは気になって見に来たのだが、やはり、自分の存在で、アレルヤを救うしかないのかと思っていた。

でも、今まで何度もハレルヤやアレルヤには助けられた。
だったら今度は、自分が助ければ良いだけどの事。
と、アヤは割り切り、前田にその事を知らせた。
「では、事前検査を行ってからですね。それに、医者の許可もいりますし。しかし、アヤさんの細胞だけでは……」
と言っていると、学者達は、既に数人の協力者を選出してくれていたのだ。
そして、その中に、グラハム・エーカーの姿もあった。
それにはビリー・カタギリが言う。
「おいおい良いのかい? グラハム」
「当然だ。自分の細胞を提供すれば、人を救えるのだからな」
「やれやれ。まさか君がそんな事を言い出すとはね~」
と言って、彼は細胞のテストを受けると、無事に合致し、使える事が分かった。
「良かったね。ピッタリ一致して」
「ああ。まあ、しばらく任務には戻れないだろうが、それは仕方ない事だ」
と、2人は車に乗って行ってしまった。

そして、アレルヤの方は眠ったままだったが、時折、苦しそうな顔になる事が多く、やはりその時、イヴが彼を苦しめていた事が分かった。
「これは急いだ方が良いみたいね。下手をすると、精神的に参ってしまうわ」
「すまないな。アレルヤ」
と、ダニエルが彼に近づき、そっと手を持つと、力が全く入らなくて、かなり侵されている事が分かった。
それで、心電図を見ても、かなり弱い。
なんとか点滴だけで彼を持たせるしかなく、時折、苦しそうにしているのを見て、ダニエルはなんとかしようとするが、どうにもできなかった。
だが、その夢は、アヤが感じ取っていた。
「彼の中にいるわ。イヴの細胞が、まだ生きてる。いずれはこの細胞から飛び出して、彼を殺すつもりよ! 私掛け合ってくる」
と、アヤは病室を出て行った。
「お、おいアヤ!」
と、ダニエルが言った時だった。
「ウ、ウウ……ウワ……アア……」
と、何かに苦しめられており、心電図を見るとメチャクチャになっていた。
「ア! アウ……イ、ヤダ……ぼ、くは……ウウ……そ、んな……ウウ……僕は……」
「アレルヤ!」
とダニエルが彼の手を持ち、彼に言う。
「しっかりしろ。俺だ。ダニエルだ」
「ウウ……」
と、しばらく苦しんだのち、ようやくアレルヤの目が開くが、ぼやけていた。
「ダ、ニエルさん……あり、がとう……呼んでくれ、て……声、聞こえ、た……」
と、安心したのか、また彼は眠った。

だが、さっきとは違い穏やかな夢を見ているようだった。
「アレルヤ……お前……」
と、額を触ると、少し熱くなっていた。
「熱があるのか? 大丈夫か?」
と、彼が何とかしようとしたその時、医者に掛け合いに行ったアヤと、買い物に行っていたロックオンが戻って来た。
「おお、アヤにロックオンさん」
「何か有ったのか?」
「実は……」
ダニエルはさっきまでの事を話した。
「こりゃ、油断が出来ねえな」
「でも、おかしいわね。確かにイヴは両方とも、完全に消滅させたはずなのに……! まさか、イヴとハレルヤが融合した時に、何かしたのかしら?」
アヤの言葉に、前田が聞く。
「融合?」
「ええ。一度だけ、ハレルヤがイヴと融合した事が有るんです。しかも操られた状態で」
「あれ? でも、ハレルヤさんはへっちゃらだったんじゃないんですか? 一緒に闘って来たのでしょ?」
「ええ。でも、ハレルヤは、アレルヤの事になると、カッなってしまう性格だから。考えたくはないけど、可能性があるとすると、そこしかないのよ」
「う~ん。これは少し調べてみる必要がありますね。幸いここにはそれに精通している人も多いから、結果はすぐに出るでしょう」
「ありがとう。前田」
「いえいえ。じゃあ、とりあえず、聞くだけ聞いてみますか」
「ええ」
と、前田は、細胞学に詳しい人達に、自分の提案を言うと、OKが出たので、とりあえず、細胞を採取して、調べてみる事になった。

そして、その結果は、アレルヤの細胞が弱り、イヴに取り込まれるシーンが見えた。
「やっぱり。ハレルヤだから跳ね返せたのだ」
「こりゃ手術を速めた方が良いかもしれません」
「すぐに担当に連絡を」
「了解!」
その手際の良さに、ロックオンは遠目に見てた。
「こんな早く決まるとは、流石だね~」
「スゴイスゴイ」
と、ハロもビックリすると、前田が、
「あ~ロックオンさん。これから精密機器を使う事になるので、ハロはちょっと閉まっててもらえませんか?」
「あ、こりゃ失礼」
と、そこへ、
「ハロなら私が預かっておきますわ」
といつの間にか留美が来ていた。
「スマナイな譲さん。てか、何しに来たんだ?」
「かなりの手術になるので、一応着替えを用意したのですが」
「そっか悪かったな」
「早く治る事を、祈るだけですわね」
そして、日程日も決まり、その為機材や道具も運び込まれたが、後はその日まで、アレルヤの体がもつ事を祈るまでだ。

だが、その間にも前田は、イヴによって付けられた、アレルヤの細胞を採取して、電子顕微鏡とにらめっこの日が続いた。
「フア~」
と、欠伸をしていると、ロックオンが暖かいコーヒーを持って来た。
「ありがとうございます」
「すまないな。俺等の仲間の為にわざわざ」
「いえいえ。これしかできないのでしてるだけですよ。それに、私はこっちの方が専門なので」
「これが終わったら、なんか奢るよ」
はたして、アレルヤを救えるだろうか!?