二次創作小説(紙ほか)

第二の巻:御一行様之旅珍道中(その1) ( No.11 )
日時: 2023/01/26 17:07
名前: 桜 (ID: VWN9kw8v)

いわずとしれた王ドラ主人公の外伝編、第二話!
ジブにある漫画も読み返しながらクロスオーバー小説と見比べてみましたが、多少差異がある(場合によっては漫画用に設定変えたりしてるキャラもいる)とはいえあんまり設定が変わってなさがもう安定の子達のような気が・・・(汗)
ちなみに読み返して一番差異があると思ったのはトリスタンですね。小説での設定はあんな多少度が過ぎるやきもち焼きと言われるほどじゃないwでもってどっちもあんまり変わらないのは「反転してもしてなくても度々やらかすような自由人の変人変態で、でもって本当に欲しいものは絶対に離さずにその目的のためならどんな手段でも厭わない」ようなところです。なぜでしょうね?甘え上手=その実嫉妬深いでしょうか??


スージー「騎士様もそういうところはありますわね。あんな甘え上手ではありませんが、多分そういう気配が!」


そうだろうね。だからどっちとも多少矛盾があるとはいえあんまり気にするようなことはないです。むしろ私は甘え上手=嫉妬深い攻めのキャラはめちゃ好きなので。そこに暗い意味ではなくかなりはっちゃければ尚更いい。






ーーーーーその米の豊作の前触れは貴方様方は知っているのか。


その前触れは太陽から光を与えられるか、それとも雨が降り水を与えられるか。どっちだと思うか?前者を答えるのが定番であろう。


・・・だが、答えは逆だ。つまり後者である。日照りを与えてばかりいたら豊作は実らない。それならば必須である稲も麦もそれから作られた食物は食べられないのだろう。お腹を空かせた子供が可哀想だ。


だから雨から水を与えられるのは必須なのだ。もちろん大雨なんて大袈裟なものではなく、恵みの雨という意味でーーーーー






王ドラ「・・・」


朝食を食べた後にせめてもの掃除しながら青空を眺めていたカンフーの達人王ドラはこれまでに起きた出来事を思い返していた。


王ドラ(うん。あの人達は悪い人達ではありませんけどねぇ。多少はケチャップが飛び散る戦闘狂(?)とかビッチとか女好きな多少ナルシスト(?)な美形な奴とかライオン頭とか刺青を入れてる奴とか過激な格好してる女の子らとかどこか邪悪な雰囲気が漂う愚羊とか過激な奴もいますが。まあそれらは私らとあんまり変わってないですね。例えばギャンブラーなんか色恋沙汰を度々引き起こす奴よりもずっとマシですよ)


王ドラはそう思いながら掃除を黙々と進める中でアサシンの人斬りサーヴァント・岡田以蔵が駆け寄ってきた。


以蔵「楽ー!為朝がわしらになんか話があるぜよ」
王ドラ「何を話すつもりでしょうね?」


アーチャーの超巨大サーヴァント・源為朝に呼び出された二人は彼からからあることを話された。それは・・・


二人「京にある城に住む殿下の使いから英霊剣豪に関する依頼を遣わすから、ここと京にある宿と行き来しろって!?」
為朝「ああ、あの城の殿下もそなたらには興味津々なのでな。特に半年前に打首刑になった悪人の「岡田以蔵」が生まれ変わったような奇蹟だと思っているようだ」
以蔵(この世界はここのわしが打首刑になって半年後か・・・おん?待て・・・なんか・・・)


すると、為朝はそばにいる四太郎や阿美の頭を同時に撫でながら言う。


為朝「二人も一緒に行ってあげなさい。少なくとも羽ぐらいは伸ばせるだろう」
阿美「はーい!」
四太郎「おじい、度々帰ってくる」


まだ幼い兄妹の四太郎や阿美に優しく接する為朝を見てカンフーの達人は少し意外だと感じた。


王ドラ「二人には優しいんですね。優しく見守るようなおじいちゃんに見えます」
為朝「あの二人の両親は赤い空から出てきた妖霊によって二人を庇った形で亡くしていてな。それでその時にまだ召喚直後だった私が二人を見つけて面倒を見ているのだ」
王ドラ「そうだったのですか・・・(あんな顔見たら迂闊なこと聞いてしまったような気分になりますね・・・」


そして四人は京に向かい、その城にある殿下の使いに会いに城下町にたどり着く中で以蔵は町民達が驚きや好奇などの目や時折耳にしていたその使いの名前を聞いて少し不機嫌になっていた。


以蔵「・・・」
王ドラ「やっぱり嫌だったりしますか?」
以蔵「町民達の好奇な目ならまだしも殿下の使いの名前が壬生浪の奴じゃから嫌なだけぜよ」
王ドラ「壬生浪ってまさか・・・」


すると、突然町民達がざわついていた!殿下の使いが馬に乗ってこっちに向かってきているからだ!


町民A「斎藤様!?見て元新撰組の三番隊長の斎藤一様よ!」
町民B「斎藤様も殿様も物好きなことよなぁ。あんな人斬りに俺達が恐れてる英霊剣豪のことで仕事を依頼するだなんて・・・」


斎藤一。以蔵が生前でも因縁がある新撰組の三番隊長を務めていた男だ。彼を見た瞬間に町民がみんな道を空ける中で以蔵達を見た。


斎藤「あんたがあの打首刑になったはずなのに黄泉から帰って来たような岡田以蔵か?」
以蔵「・・・」
斎藤「へぇ。無宿の鉄蔵にしてはいい睨みつけしてるねぇ」


すると、王ドラは斎藤から放たれる視線に抵抗しようとしたのか以蔵の前に立って歯を思わず食いしばりながらじっと睨みつけていた。


斎藤「えっ。あんたが言ってたような武器商人?」
王ドラ「武器商人ですね。外国から遥々とやってきた楽という者です」


斎藤は思わず王ドラの今の擬人化でのかなりの美少女に見紛うほどの可愛らしい顔と以蔵や四太郎と阿美の兄妹を守ろうとする啖呵を切る姿に関心を寄せながら言う。


斎藤「そんな強き可憐な武器商人がいるならあんたを殺すことはないよ。まあ、また打首刑になる前と同じ何かやらかしたりしたら間違いなく同じことだけどな」


斎藤はそう言って立ち去った後に町民達は思わず王ドラの斎藤相手に啖呵を切った姿に畏怖と少しの恐れを感じ取った。


以蔵「ありがとき。楽」
王ドラ「私が好きでやることですよ。このままでは以蔵さんがあの男に手酷い目に遭いそうですからね」
以蔵「わしには勝てる自信があるぜよ」


一方、野原のある川原。そこには二人の人物が会話を交わしていた。


???「案外辿り着けはしましたが・・・」
???2「とりあえず王ちゃん探すよぉ」


一方、為朝が言っていた宿に到着した四人はその宿の「紅孔雀亭」の豪勢さを見て驚いた。


王ドラ「これは千と千尋の神隠しにあるような宿ですか?」
以蔵「この世界にしてはますます怪しいもんじゃ・・・;(まあこれと同じようなもんはないことはないかが・・・」
宿の女将「ようこそいらっしゃいました!」


すると、出迎えてくれた女将の姿を見て王ドラは驚いた!


王ドラ(チュチュさん!?)
宿の女将「私、ここの宿の女将であるお紅と申します。為朝さんからも話を聞いてますのでささっ、どうぞ中に」
王ドラ(チュチュさんによく似ているけれどあくまでも違う別人か;よく見たらウサ耳ないですし)


四人が宿の中に入り、最上階にある部屋の間(聞けばちょいと上等な部屋であるらしい)に案内された後に窓から城下町の雰囲気などを見ていた。


阿美「見て!お城ー!」
シグ「山ー。おじいがいる長屋も見えるかも」
王ドラ「これがこの世界の・・・(ちゃんと普通だけど、やっぱりどこか・・・」


一方、以蔵はお紅に声をかけられていた。


お紅「貴方、やはり岡田様ですよね?まさか改心しておられたなんて!やっぱり黄泉で鍛え直されたのかしら?」
以蔵「お、おん・・・;(楽同様に別の世界から来たなんて言えん・・・;」
お紅「小さい頃に大飢饉により大流行していた天然痘で亡くした幼馴染に怒られたのでしょうかね?」
以蔵「?わしの幼馴染が天然痘って・・・?」
お紅「黄泉に一度行ったから記憶がぼやけましたの?」






お紅「岡田様を大切に思っていた幼馴染・武家の坂本家の子息、龍馬様が子供の頃に天然痘を患って亡くなったのです」






以蔵はお紅からその話を聞いた後にやはりこの世界と本来の歴史とは違っていたことを改めて確認した後に四太郎や阿美を子守り中の王ドラの元を訪ねた。


王ドラ「おかえりなさい。何かわかったのですか?」
以蔵「・・・。なあ、おまんは本来の坂本龍馬の最期はなんというやつじゃ・・・?」
王ドラ「・・・最後は明治維新の志半ばで33歳で暗殺の凶刃に倒れたと聞きました」
以蔵「それが全部が異なっちょる。この世界の坂本龍馬は、大飢饉により大流行した天然痘で子供の頃に死におった・・・!」


以蔵の先程に得た証言から王ドラは少し驚きを隠せなかったが、同時にこの世界がなんなのかわかりそれで納得していた。


王ドラ「そうですか。だからなんですね・・・」
以蔵「・・・どういう意味じゃ?」
王ドラ「この世界は、多くの悲しみとそれによる多大な喪失を元に成り立っていたということが・・・」


王ドラや以蔵が感じ取っていた違和感の正体は、悲しみや喪失に彩られたこの歪んだ世界への憐憫や同情だった。だからこそますますこの世界のさらなる秘密を知らなければならない・・・。
すると、お紅が部屋に訪ねてきた。


お紅「楽様ー。貴方様に来客ですわ。聞けば貴方様の知り合いだという方二人が・・・」
王ドラ「知り合い?」


すると、お紅の後ろにひょっこりと顔を出した人物がいた!王ドラ救出という目的でチェリーワールドから王ドラの夢の中に入ることができたサーヴァント・新宿のアサシンことアサトだ!


アサト「よぉ、可愛い武器商人ちゃん!この俺様が助けに来てやったぜ!」
王ドラ「アサトさん!?なんでここに・・・」
アサト「すんなりと入れたんでな。ああ、それと・・・」


すると、アサトは自分が抱えてる何らかの形で気絶中の、アサトと同様に王ドラの夢の中に入ることができたアーチャーのサーヴァント・円卓の騎士の一人であるトリスタンを彼らに見せながら言う。


アサト「こいつ、ちょっと休ませてくれないかなぁ?京に着いた途端にここの人妻を口説いてそれを見たその旦那に殴られたんだ」
王ドラ「ここでも何やってんですかね・・・;」






ーーーーー事の発端はチェリーワールドのスマブラ屋敷。医務室のベッドで眠り続けている王ドラの中に潜み込んでいる怪異現象のまだ仮名として名付けられた「禍いの種」を完全体になる前に切除するためにチェリーワールドの創造主の桜はある策を提案した。


桜「ここにひみつ道具の夢はしごはあるわよね?夢はしごで行き来できるなら切除しないこともないと証明されてるわ」
ドラえもん「じゃあ、王ドラは助かるの!?」
桜「ええ。ただし、人間も人外も関係なく二人しか入れないわ。しかも、その禍いの種が関係しているってことはあるから王ドラの夢の中に入るのに適性値が高い人じゃないと・・・」


桜の策の内容に夏美は念のために聞いた。


夏美「じゃあ、もしそうだとしたらドラえもん達みたいな親友達も入れないの?」
桜「適性値が高くなかったら入れないわね。だから、適性値の高い人を示すレーダーが出てくれると思うんだけど・・・」


すると、そのパンダ型の適性値探知機がビービーと音を鳴らした!耳のいいゼオはその大音量に思わず耳を塞ぎながら聞く。


ゼオ「誰が示された?」
桜「・・・アサト。いけるわね」
アサト「俺かい?王ドラちゃんを救うのは俺に任せておけよぉ!」
クルーク「思ったよりも了承してくれてよかった!(あれ?ということはアサトのマスターのツキノも行くから二人ってこと?」


すると、ビービーとさらに大音量を鳴らす形で示された方を大半の全員が目を向ける。それはまさかの予想外な人物だった!


トリスタン「え?私ですか?」
チャラ王(マジ?あれだけ嫌われてんのに適性示されてんの?)






ーーーーー以上が回想。ちなみに夢はしごで渡ることができたトリスタンやアサトはチェリーワールドでは王ドラ同様に眠っている状態だそうだ。


アサト「というわけでさぁ〜!俺はともかくトリが入れるなんてみんな思わねーよぉ!みんなもかなりびっくりしたんだよ」
王ドラ「私もその話を聞いてかなりびっくりしたんですけどね(顔が青い」
アサト「だろぉ?ん?そちらの侍は?」


すると、以蔵は自分のクラス名と真名を名乗った!


以蔵「わしはかなり癪じゃが、アサシン、岡田以蔵じゃ。訳あって同じように飛ばされちょった楽と一緒に行動しちょる」
アサト「楽?岡田以蔵?同じように飛ばされた?そいつについては城下町の奴らが噂してたけどどういうこと?」
王ドラ「わっ;話しますから聞きなさいっ;」


王ドラは今の自分の身の上、そして自分と一緒にいる以蔵が「この世界の岡田以蔵」と同一存在の別人であり理由は未だ不明だがおそらく自分と同じように飛ばされて来たのだとアサトに話した。


アサト「ふーん。つまりそいつはちょっと困惑した状況になってるんだね。この世界についても本来の歴史からずれたチェリーワールドとは違う世界なんだねぇ」
王ドラ「そうですよ。だから、あなたも江戸時代向けに何か名乗った方がよろしいかと」
アサト「うーん・・・イゾー。俺は船乗りの朝川だよぉ。好きなように呼んでくれ」
以蔵「船乗りもここまで渡るもんか?後ろに未だ寝込んでるこの赤髪は?」
アサト「ああ、そいつはたまに一緒に飲んでる鳥野だよぉ。名のある楽器の奏者なんだ」
王ドラ(嘘つきなさい!二人でほぼ頻繁に飲んでるでしょうが!!)
以蔵「酒かぁ?」
アサト「おー、あんたも酒好きか?」
王ドラ(意外にも食いついた!!?)


すると、四太郎と阿美はアサトをじっと見る。


アサト「その子ら、シグとアミティに似てるけどどうした?」
王ドラ「飛ばされた私達を拠点とした長屋に案内してくれたんです。あの子らが住んでる長屋にはおじいがいまして、そのおじいが面倒見てるんです」
アサト「ふーん・・・」
王ドラ(彼とも仲良くなりたいけれど、近づかない・・・やっぱり刺青が怖いんですかね?)


その夜、大半の全員が寝静まった後にトリスタンは一人目を覚ました。ふと歩くと声が聞こえた。四太郎と阿美を寝かしつけている王ドラだ。


トリスタン「・・・無事なのですね」
王ドラ「トリさん・・・!目を覚ましたのですね」
トリスタン「ええ、なんとか。ん?アミティ嬢に似ているその子は・・・」
王ドラ「阿美ちゃんです。四太郎君と一緒に私達といるんです」
トリスタン「私達・・・」
王ドラ「ええ、岡田以蔵ですよ。・・・あなたと同じの」
トリスタン「・・・!知っていたのですね」
王ドラ「ええ。でも、性質自体は私達とあんまり変わってはいませんね。同一存在であったとしても別人ってことはわかるんですがね・・・」


すると、王ドラはなんだか少し弱きそうにトリスタンに言う。


王ドラ「・・・四太郎君や阿美ちゃんの面倒を見てくれてるおじい、あなたと同じですよ」
トリスタン「・・・」
王ドラ「私の中の禍いの種を切除したらきっとおじいは消えてしまいます。そしたら今度こそ四太郎君と阿美ちゃんは二人きりになります。両親を亡くしているのに・・・トリさん」
トリスタン「はい」
王ドラ「こんなこと言って悪いと思いますが、それでもあなたは私を軽蔑しないでくれますか・・・?」
トリスタン「ええ(この者の弱音、初めて聞きましたね・・・」


一方、それを見ていたアサトと以蔵、お紅は王ドラの弱音を襖越しに聞いてしまい、ちょっと反省した。


アサト「普段は弱音決して吐かないから意外だったよぉ」
以蔵「わしは自分のことばっかりで他にも目を向けるようなことしちょらんな・・・」
お紅「私ももうちょっと歩み寄ればよかったですね・・・」






一方、とある場所。そこは英霊剣豪が集う場所だった。


英霊剣豪・バーサーカー「しっかしさぁ、まさかランサー右京が倒されるなんて思いもしなかったし!」
英霊剣豪・アサシン「まさか人斬りがアレを倒したなんて意外ですね」
英霊剣豪・セイバー「・・・おい」


すると、セイバーがある者を指しながら言う。英霊剣豪のアーチャーだ。


英霊剣豪・セイバー「次、行けるか?アーチャー」
英霊剣豪・アーチャー「・・・行ってくるぞ。もしも勝利したら美味しいお米をドンドーンと食べさせてやる」


英霊剣豪のアーチャーはそう言って以蔵達一行を暗殺しに向かった。そこには頼もしい仲間二人が加わっていることも知らずに・・・。

第二の巻:御一行様之旅珍道中(その2) ( No.12 )
日時: 2023/01/26 17:11
名前: 桜 (ID: VWN9kw8v)

その翌朝の紅孔雀亭。王ドラは目を覚ましたらすっかりと眠ってしまったことに気付いた。思わずあわあわと慌てた。


王ドラ「四太郎君、阿美ちゃん!ごめんなさい、寝てしまって・・・!」
四太郎「大丈夫、ちゃんと寝てた」
阿美「楽兄ちゃんがちゃんと寝かしつけてくれたからだよー」
王ドラ「すみませんね、こんな時に休んでる場合じゃないのに・・・」


すると、お紅があくびをしながら入ってきた。先に起きていた二人をお守りしてくれたのだ。


王ドラ「・・・お紅さん、代わってくれたんですか?」
お紅「さて、なんのことでしょうか?それよりも町民には私から話をしておきました。少なくとも岡田様が改心していることはまだ半信半疑な者も大勢いるようですが、誤解も半分解けたようです」
トリスタン「私もその声かけを手伝いました」
王ドラ「えっ、うそっ!?」
トリスタン「疑いは完全に消えたわけではありませんが、今はもう殺しに来ることはないでしょうね」
王ドラ「どうやってやったんですか;」
トリスタン「ハープで三味線の音色を奏でながら唄風に話しました」
王ドラ「そんなこともやれるんですか;」
以蔵「・・・;」


すると、トリスタンは言う。


トリスタン「四太郎殿や阿美殿のこと、それは誰よりもお祖父殿も承知しておられます。その後の行く末についても彼なりに考えていないわけではないでしょう」
王ドラ「あ・・・そうですね」
トリスタン「私やアサト殿も預け先は探すことを尽力します」
王ドラ「本当ですか?・・・意外と頼りになる奴じゃないですか」
トリスタン「えっ。楽殿、とうとう私のことを・・・!」
王ドラ「それとこれとは話は別ですからね(毅然ときっぱり」
以蔵「つか、普段はアサトやトリと呼んでるき・・・」


すると、英霊剣豪のランサー・右京の時と同じ赤い空が映し出されてきた!


アサト「これは・・・!」
以蔵「!!英霊剣豪の奴か!!」
王ドラ「すぐに向かいますよ!」
お紅「貴方様ら!四太郎と阿美は私の方で見ますのでどうかお気をつけて!」
トリスタン「はい!」


一方、英霊剣豪・アーチャーは城下町近くで以蔵達一行を探していた。既に何人かの人間を弓の矢にかけながら。


英霊剣豪・アーチャー「どこにいるのだ?わかっているのだぞ・・・」
以蔵「わしらはここにおる!!」


すると、後ろから以蔵の言葉が聞こえた英霊剣豪・アーチャーは振り向くが、見知らぬ人物が二人王ドラや以蔵の近くにいることに気付いた。


英霊剣豪・アーチャー「・・・なんか増えたか?」
トリスタン「私だって騎士です。闇に落ちた貴方もそうではないのですか?」


すると、トリスタンはその英霊剣豪のアーチャーの真名を当てた!


トリスタン「貴方は弓矢の他に米俵もありますよね?アーチャー、その真名、俵藤太」
藤太「・・・ほう」


すると、英霊剣豪のアーチャーの藤太は以蔵ら一行に対決を布告する!






藤太「我はアーチャー、俵藤太であり英霊剣豪の中納言でもある!!いざ尋常に勝負!!」






藤太と以蔵達一行が激突する中で、以蔵はまるで景虎の時とは違うような強さを感じていた。思わず彼のなんとか保っている態勢が崩れそうになったこともあった。


以蔵「案外強いやないかこいつ!!」
王ドラ「トリさん。俵藤太ってもしや・・・」
トリスタン「ええ。平安時代に存在したあの伝説の大百足を倒し今もなお後の名を残した源氏でさえも戦うのは躊躇うほどの言わば化け物です。人間の英霊であることは変わりないのですが、まともに戦うのは厄介な類です。強さを特に重視してはいないのですがね」
王ドラ「英霊剣豪にはそのような人物を・・・」


王ドラもそれを知って思わずゾッとした。英霊剣豪でなくともあのような強さを誇る英霊を見たからだ。大半の英霊からも畏怖されて恐れられる王ドラがゾッとするのは相当だったのだろう。しかし、彼が思わずゾッとして相対するのは最悪だと思った厄介な相手はすぐ隣にいた。


トリスタン「?なんですか?」
王ドラ(こいつも人のこと言えないですけどね。強さだけの騎士あるいは英霊なら勝てるけれど、こいつの動きはまるで読めない。攻撃したとしてもすぐその動きを変える。魔改造にして持っている宝具であるハープも移動用やトラップワイヤーにも使えるとしたら尚更厄介!)
トリスタン「以蔵殿を見ながら私のことチラ見してますよね」
王ドラ「うっるさい!」


一方、以蔵は藤太の強靭な強さに次第に苦戦を強いられていった。そこにアサトが駆け寄る。


アサト「イゾー!このままだとヤバいから俺が力貸してやろうかー?」
以蔵「は!?まあ、確かにあいつは強いき。聞かんことはないが・・・」
アサト「ーーーーー」
以蔵「・・・おん!?おまん、正気か!?」
アサト「いいからやろうぜー(それにトリスタンも気付いてる通り、あいつは何らかの理由で全力出してるように見える」


すると、藤太は自身の宝具を繰り出そうとしていた!


藤太「あの同じアサシンに策を言われたのか?残念であったな、その策は実行できん!【八幡祈願・大妖射貫】!!願わくばこの矢を届けたまえ!!」
以蔵「!!」


以蔵は藤太の宝具の攻撃を受けた!その射る矢は龍神が見えるかのようだった。


王ドラ「以蔵さん!!」


藤太はその宝具の弓を下ろした。自分の勝利はもう確定した・・・


以蔵(?)「あんたが射った奴がイゾーだと思って宝具ぶちかましたのかぁ?」
藤太「・・・何!?」


かに見えたが、その直後に藤太が射った以蔵の姿からいつもの姿に変わる!そう、自身の能力である変身で以蔵に化けたアサトだ!


藤太「よく見れば傷もない・・・そうか!アーチャーの円卓の騎士か!?」
トリスタン「楽殿にも事前に話したのですよ。私のスキル・声高らかに愛を讃えんで回避を二人に与えたので」
藤太「二人・・・まさか!」


すると、藤太の頭上に本物の以蔵が飛んできた!


以蔵「おまんらは色んな意味でむちゃくちゃじゃ!!【始末剣】!!」
藤太「っ!」


以蔵は自分の宝具を藤太にぶちかました!しかし、藤太にはダメージを与えられたものの彼はなんとか粘っていた。そう、外してしまったのだ。


以蔵「すまん、外しちょった;」
王ドラ「まだ大丈夫です!あと一発だけトドメを刺せれば・・・!」
トリスタン「その必要はありませんよ」
王ドラ「え?」


すると、藤太の霊基が消えていくように感じた!以蔵は外してしまったのに不可解な現象にアサトは藤太に聞いた。


アサト「・・・やっぱりな。あんた、自分の中にあった英霊剣豪としての呪いを解放するために全力で戦って宝具まで放ったんだろ?自分がそれで自害することで。確かに弓は使わねえな」
王ドラ「え?どういうことですか!?」
トリスタン「あの者は呪われてもなお英霊剣豪に囚われたくない自我を持ってその呪いと戦っていた。でも、このまま行けば呪いは侵され完全にその自我をなくしてしまう。だから、以蔵殿と全力で戦うことで自分の体力を消耗した。結構な皮肉な話ですが、以蔵殿が掠って外したことがその追い討ちになってくれたのでしょう」
以蔵「は?じゃあ、おまんは自分で自分を殺すために・・・!!」


以蔵の問いに消滅の間際である藤太は答えた。


藤太「いや、それでよかったのだ。そなたが全力を以て戦ってくれたから。我が目的も達成されている。だから、我を殺したのはそなたではない。・・・この拙者だ」
以蔵「・・・」
藤太「せっかくの作物も無駄にしたくないのでな。なぜならそれは民が誠心誠意を以て蓄えたものだ。拙者はそれを・・・我などに奪われたくなかったのだ」


藤太はそれを言い残して消滅した後、トリスタンは思わず吐き捨てるように言う。


トリスタン「あのような者まで英霊剣豪にしてしまうとは・・・!」
王ドラ「・・・」


藤太は自分の呪い(悪意)と全力で抗っていたのだ。彼の消滅の間際の表情は彼が本来持っている優しげな顔だった・・・






赤い空もいつもの青い空に戻った後のその翌日、二人目の英霊剣豪を倒した以蔵達一行は紅孔雀亭にてお紅が祝いとして沢山の食事を作ってくれた。


お紅「二人目の英霊剣豪をよくぞ倒してくれましたわ!これはそのささやかなおもてなしですが、四太郎君や阿美ちゃんの分もあります!」
王ドラ「美味しそうですね。魚も汁物もよく料理してらっしゃる」


王ドラは出された料理を美味しそうに口にするが、横をチラリと見た。


トリスタン「私とイゾルデの出会いは・・・やはり私が毒で倒れて目を覚ました後のことですね」
アサト「はぁー?女だけじゃなく金銀財宝も奪えよ。それだったら最後は悲惨なことにならずに済んだぞー」
トリスタン「いえいえ、イゾルデとの◯◯◯(放送禁止用語)や◯◯◯(放送禁止用語)がなければ・・・(酔」
アサト「せめて◯◯◯(放送禁止用語)はしなかったのかぁ?(同じく酔」
王ドラ(この放送禁止用語を連発してる酔っぱらい共の近くにいるとせっかくの美味しい料理が台無しだ・・・;)


すみません、タチの悪い酔っ払い達が放送禁止用語を連発しまくったのでその部分だけカットしました・・・;
同じく酒に弱い下戸だが、泣き上戸で最終的に眠ってる以蔵を王ドラが見て吐いたりしても二人と比べてみたらまだ可愛いものだと感じていた。


王ドラ(あの放送禁止用語を連発する酔っ払い共と比べてみたらよっぽどマシですね。前から髭があっても可愛い顔してるなーと思いましたが・・・)
以蔵「・・・りょうまぁ・・・武市先生・・・なんでわしを・・・置いていったんじゃあ・・・」
王ドラ「・・・(やはり置き去りにされるのは大人だって誰だって嫌なんですよね・・・」


王ドラは自分のロボット学校の学生時代の課題のレポートの資料で岡田以蔵や坂本龍馬などが活動した江戸時代についてちょっと書物を読み漁っていた時期があった。その中で特に気になる部分はあった。それは坂本龍馬が岡田以蔵には何も言わずに置き去りにしてしまったことに関する記述だ。置き去りにするぐらいならせめてものビンタしてでも連れ出せればよかったのだと心底思った。


王ドラ(まあ外部の私らがとやかく言う権利はないですがね)


王ドラはそんな以蔵の頭をポンと撫でた。王ドラは以蔵には甘くなっている。酔っ払っているトリスタンはそれを感じながらそんな光景をじーっと見ていた。


トリスタン「私は悲しい・・・せめて私にも撫でておくれ・・・」
王ドラ「あんたにはせがんできても撫でませんからね(^ω^#)」


すると、お紅がある手紙を持ちながら王ドラのところに駆け寄った。


お紅「山野様!山野様ら宛にお殿様からの手紙が!」
王ドラ「私らに?」


王ドラが読んだその手紙の内容は・・・






お殿様からの手紙「岡田以蔵、山野楽ら一行、先日の英霊剣豪の二人目の退治、見事な働きであった。それで私からも英霊剣豪についての情報を渡したい。私が遣わした使いの者に案内を頼んでいるから今日の夜に我が城に来い」






王ドラ「今日の夜ぅ!!?」
四太郎「お殿様、政務はこなせるしその上捌きは早いけれど意外にせっかち」
阿美「お殿様も早く楽兄ちゃん達の顔を見たいんだよー」
王ドラ「でも、今からすぐにその時間じゃないですか!!そんな強引な「すみません。殿もあなた方を城下町から即刻追い出したいわけじゃないのです」


いつのまにか笠を被り口元にはマスクを覆っていた見目麗しく冷徹そうな女性が紅孔雀亭に王ドラ達を迎えに来ていた。彼女が殿様が城の案内役として遣わした使いの者だ。


お紅「あら、あなたが?」
笠を被った見目麗しい女性「はい。殿の命でして」


その女性をアサトは一瞬垣間見て何かを感じ取っていた。


アサト「・・・?」


まるで忘れてしまっていた自分の真名がぼやけながらも微かに浮かんでるようだった・・・


続く・・・!






感想OK