社会問題小説・評論板
- Re: 。+SUNSET+。−第5話追加− ( No.29 )
- 日時: 2008/09/26 19:13
- 名前: 春姫*はるき* ◆Opq5SLcSGY (ID: 8Tlqu13n)
- プロフ: http://www.kakiko.cc/novel/novel4/index.php?mode=view&no=10154
*The 6th story*
私は気がついたら、お弁当も勉強道具も置いて、
教室を飛び出していた。
ズキズキ痛み血が流れる足を押さえ、走って走って、
たどり着いた場所は屋上。
足を引きずり、腰を下ろすと、横から声がした。
関根 拓。
「よぉ。サボり組?」
あわてて立ち上がると、よろめいてしりもちをついた。
「ち・・・違う」
またゆっくり立ち上がると、拓に背を向けて言った。
「でももう授業始まるよ?」
「え!?うそ・・・行かなきゃ!」
走って行こうとすると、拓は私の腕をつかんだ。
「あんた・・・いじめられてんの?」
「は・・・?」
「足。」
「あ・・・。」
慌てて隠そうとすると、無理矢理座らされた。
拓は制服のポケットからハンカチを出して、
私の血のついた太ももを縛った。
「止血しないと。それにこのままだとばい菌入るし。」
私は何も言えなくなった。突然、自分の口が無くなって
しまったかのように。
そしてしばらくして、やっと口を開いた。
「いつも・・・サボってるの?」
「ああ。グループで行動しないと外されてるとか
勘違いされたり、先生に気使われたりするのが
キライだから。」
「集団行動は苦手?」
「そういうわけじゃないよ。ただ、縛られたくないだけ。」
拓は両手を空に突き上げて、大きく伸びをすると、
そのまま寝転がった。
「授業、行かなくていいの?」
「・・・行きたくない。」
「行きなよ」
「行かない」
拓は起き上がって、私を見た。
「行きなって」
「行けないよ」
私はうつむいたまま顔を上げることができない。
「行け!!・・・辛いことがあったら、力になる。」
拓は私をまっすぐ見つめている。
「っていっても俺、クラス違うしサボってばっかだけど。」
私は拓に背中を押されて教室に戻った。
教室にはまだ先生はいなかった。
私の机には何も上がって無い。
私は咲に向かってきいた。
「私のお弁当は?」
「あ、片付けておいたよ♪」
咲はニッコリ笑って言うと、私の耳元でささやいた。
「ゴミ箱にね♪」