社会問題小説・評論板
- Re: 。+SUNSET+。−第7話追加− ( No.68 )
- 日時: 2008/09/28 22:58
- 名前: 春姫*はるき* ◆Opq5SLcSGY (ID: L43yfzZ2)
- プロフ: http://www.kakiko.cc/novel/novel4/index.php?mode=view&no=10154
*The 8th story*
「麻二夜ー!!いっしょに帰ろー」
その声に驚いて振り向くと、
そこにはなつとゆーがいた。
「えッ?」
二人とも笑顔で、こっちを見ている。
「何で?」
「私たち—麻二夜に悪いことしたと思ってるの。」
なつはわざとらしく腕を組んできて、
にっこり微笑んでる。
「・・・ねぇ、いっしょに帰ろ?」
ゆーが不気味な笑みを浮かべながら私の反対側の
腕をつかむ。
その手は、今にも私の腕の肉をひきちぎっちゃうんじゃ
ないかってくらい、強く喰い込んでいた。
私はものすごい恐怖に駆られて、その場から逃げようと
した。
二人の腕をふりほどき、全力疾走で走った。
二人も後を追いかけてきたけど、私のほうが速かった。
私は制服も髪も乱れたまま家の中に入った。
「—た、ただいま。」
「おかえり。あれ、今日早かったねー。」
お姉ちゃんがお菓子を食べながら廊下を歩いていた。
「ぶ・・・部活サボってきた」
「そのわりには息が荒い!!何かあった?」
何も答えられずにいると、お姉ちゃんは私の腕を取って
居間に座らせた。
「・・・ねぇ。麻二夜?言いたくなかったら言わなくていい。
でも、言った方が楽になると思うよ?」
「お姉ちゃん・・・?」
お姉ちゃんは私の両手をつかんで、まっすぐ目を見つめる。
「私も経験あるし、わかるよ。言うのは辛いと思うけど」
お姉ちゃん?どうしてわかったの?お姉ちゃんは
なんでもお見通しなの?どうしてそんなに優しくするの?
いつもいじわるしてばっかりなのに・・・
「麻二夜。お姉ちゃんに話してくれない?どんなこと
されたの?」
急に涙があふれた。私、ひとりじゃない。お姉ちゃんがいる・・・
「うッ・・・腕、つかまれたり・・・して・・・追いかけられて」
お姉ちゃんはうん、うんとうなずきながら、私を
抱きしめる。
「怖かったね。よく我慢したよ・・・」
私はお姉ちゃんの腕の中で思いっきり泣いた。
まさか、あの明るいお姉ちゃんが同じ経験をしてた
なんて・・・
「それで、麻二夜?相手はどんな人?・・・たとえばホラ、
中年とか・・・」
「は?同じクラスの子だよ?」
しばらくの沈黙。
お姉ちゃんは眉にしわを寄せている。
「あんた・・・痴漢されてたんじゃないの?」
・・・・・・
・・・お姉ちゃん?
何勘違いしてるの?私いじめられてるんだよ。
お姉ちゃん痴漢と勘違いしたの・・・?
・・・期待した私がバカだったみたい。
もう何がなんだか・・・
ほんッと最高!!お姉ちゃんなんて大嫌い!!!
私はバタバタと廊下を走ると、ドアの音を思いっきり
立てて外に出た。