社会問題小説・評論板

Re: 。+SUNSET+。−第9話追加− ( No.111 )
日時: 2008/10/04 15:50
名前: 春姫*はるき* ◆Opq5SLcSGY (ID: WlsPDN8U)
プロフ: http://ameblo.jp/kidaremonn/

*The 10th story*

拓が足を止めたのは、学校の屋上。

「ここ・・・?」

「ああ。あと・・・3分くらいだな。」

私は拓が見つめている方向を見た。
しばらくすると、空の色が少しずつ変わっていった。

最初はパープル、
次はベビーピンク、
そしてサーモンピンク。

「わぁ・・・綺麗・・・」

「秋が深くなったら、最後に空がオレンジ色になるんだ。」

拓はそう言いながら、何かを手渡してきた。

「クリスタル・・・?」

クリスタルが夕焼け色に染まって、キラキラ光ってる。

「それがまたその色になる頃には、俺らもっと強く
 なれてるかな・・・」

「それって、来年の秋?」

「そ。また夕焼け見に来ような。」

拓は私にニッと笑いかける。
私もつい笑顔になる。

「うんっ!」

————————————————————

次の日、私が意気揚々と家を出ると、ちょうど
拓も学校に行くところだった。

「おう」

「おはよ」

眠そうな拓の頭には、たくさんの寝ぐせ。

「昨日の夜ずっと考えてたけど・・・
 俺もちゃんと授業出るよ。あんたとの約束だもんな」

「うん。私もがんばるから」


二人で学校に行くと、教室の前で別れる。
拓は自分の教室の前で少し足を止めたけど、
ちゃんと中に入った。

よし。私もがんばらなきゃ。

私が教室に入ると、咲となつとゆーの視線が突き刺さる。

あの3人、手を組んだみたい。

「おはよー、まーにゃ♪」

咲が嫌な口調で言う。

「おはよッ!!咲♪」

私はわざと明るく元気に言った。
それと同時に、みんなが吹き出した。

「ばっかじゃねー?『おはよッ』だって〜!
 黒板見てから言えよー」

男子が笑う。ああ。黒板って言えばいじめの定番じゃない?

いじめられてる人の悪口がいっぱい書いてあって、
いじめられてる人があわてて消すっていう・・・

黒板を見た。予想通り、私の悪口がたくさん。

『キモイ』『ブス』『しね』『調子こぐな』

わかってる。わかってる。
楽しくて仕方ないんだね。でも私はその脅しに乗らない。
ここで黒板に書いてるものを消したら、全部台無し。

私は落ち着いた口調で言った。

「あーすごいねー!!卒業式の寄せ書きみたい♪
 せっかくみんなが書いてくれたんだから、
 先生が来るまで残しておこっか!!」

全員、凍りつく。
先生にいじめをしてることがばれれば、
みんなただじゃすまない。

なつが急いで黒板消しをとると、悪口を消し始めた。
私は自分の席に着いて、それを見てるだけ。

「ちょっと!!あんたも消せよ!!」

咲が言う。私は咲をまっすぐ見返した。

「なんで?書いた人が消せばいいじゃん。
 私消したくないよ。みんなが時間かけて
 書いてくれたんでしょ?」

イヤミっぽく言うと、咲は舌を鳴らして黒板に向かった。

よかった。うまくやりすごせた。あとは先生が来るのを
待つだけ・・・

かと思いきや、咲は黒板消しでなくチョークを
手に取った。

『まにゃ』や『日和』と書いてるところを
自分の名前に直す。

そして黒板の前に立ったまま動かない。

—しばらくすると、先生が入ってきた。

「何やってんだー水橋?・・・何だこれ・・・!?」

先生は黒板を見て固まる。

咲はあわてるそぶりをして、振り乱しながら黒板の
文字を消す。

「水橋・・・お前いじめられてるのか?」

「そ・・・そんなんじゃないもん!!あ、あたしは・・・



 まにゃの友達だもん・・・」