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第1章『裏切り者』


唯『ふふっ……』


その日の夜……、


私は幸せな気分に浸りながら、机の上に飾ってある鈴蘭を眺めていた。


勿論、萌恵から貰った鈴蘭。


その鈴蘭を眺めながら、今日あった誕生日会の事を考えていたのだ。


つい笑みがこぼれてしまう。


やっぱり友達っていいな……。


明日、誕生日会を開いてくれた友達にお礼言わなくちゃね。


そうして私は、いつの間にか眠りに付いていた。

唯『ふわぁ〜……』


桜が咲く春の麗らかな日差しの中、私はひとつ大きなあくびをした。


桜の花弁がひらひらと舞っている。


1枚の花弁が私の肩に乗った。


私は、この季節が一番好きだ。


春の日差しは暖かくて、なんだか幸せな気持ちにしてくれるから……。


ふと私は、ある大きな桜の木の前で足を止めた。


あまりにも、綺麗な桃色の桜に見とれてしまった。


すると、かすかにチャイムの音が聴こえた。


ようやく我に返り、学校へ登校中だった事を思い出した。


またさっきの方向へ向き直り、全速力走った。


新学期早々、遅刻なんて出来ない。


とにかく、ここは急がなくては。


焦る私とは裏腹に、桜はハラリハラリとゆっくり散っていた。