社会問題小説・評論板
- Re: アタシ-ネット=0【ネット中毒者】 ( No.124 )
- 日時: 2009/06/19 21:20
- 名前: ☆゜。√想空 ◆1i48NEoKCE (ID: zy0H1PXw)
- プロフ: http://www.kakiko.cc/novel/novel4/index.php?mode=view&no=11393
*29*裏事情
「エリサちゃん、今夜、大丈夫??」
「あ、はい」
神谷だった。
また、誘ってくれたなんて、やっぱり気があるんじゃないか。
そんな自惚れたこと思ったの、初めてだった。
「じゃぁ、さ。この前打ち上げ行った焼肉屋さん、行かない?嫌ならいいけど」
「あ、いいえ、是非」
あの焼肉屋、めちゃ美味かったんだよな。
やっぱ高級だかんな。
アタシは次の仕事の収録をちゃちゃっと済ませ、焼肉屋へ直行した。
「あ、こっちこっち。」
個室のドアから、神谷の顔がひょっこり。
可愛らしいなぁ、と女ながら思ってしまう。
「エリサちゃんってさ、頭いいけど、今どこの高校通ってんの?」
「あ…両親の会社が経営破綻して、父親と学園長との契約も切れて、今は通ってません。家は龍の家で…仕事はこれです」
「そっか…」
アタシは運ばれてきたビールジョッキを、少しずつ飲む。
「いろいろ大変だったんだな…でも、我慢できたってすごく偉いと思うよ。これからは、彼氏とか仲間にめいっぱい甘えなよ。俺も、できることはすっから」
「ありがとうございます…でも、…先日亡くなった友人も、私のせいだったかもしれないんです…私、皆に迷惑かけちゃう…」
「そんなことねぇって。迷惑かけることは罪じゃない!人に甘えず生きるなんて強がりだよ。助けあわねぇと」
「ゆうすけ…。ありがとう。私も、悩みとかあったら聞く。何か悩み、あったりするんですか?」
ストレートに聞いた。
多分お嬢様って、聞き方を知らないんだろうな。
垂直に言っちゃうんだろうなぁ。
ゆうすけは一瞬黙った。
そして、口を開いた。
「俺…Juliaと付き合ってるとか、言われてるでしょ」
「あ、はい。Juliaにも、付き合ってるって聞きました」
「…あれさ、ヤラセっていうか…俺は別に、Juliaのこと好きじゃないんだよね」
「え…」
意味がわからなかった。あんなラブラブって感じだったのに。
ゆうすけは、口を開いて、Juliaとの関係を話し始めた。
出会ったのは一年前。クイズ番組での共演だったらしい。
ブリッ子口調で厚化粧なところであまり好感を持てなかったらしい。
でもJuliaが一方的に迫ってきたらしい。
ゆうすけはウザかったらしい。
ある日、こう言われたらしい。
“付き合ってくれないと、亜樹菜ちゃん殺しちゃうよ”
当時ゆうすけは亜樹菜と付き合っていたらしい。
亜樹菜は本当に大切な存在で、守りたくて、別れたらしい。
それで…Juliaと交際しているという。
最初はとまどったけれど、亜樹菜の衣類の中にカミソリが入っていて、亜樹菜は指を切ったらしい。
やりかねないと思ったらしい。
今は亜樹菜とは普通の友達、というか親友らしい。
Juliaは本当に嫌な存在らしい。
「…Julia、酷いですね…」
「俺、もう限界近付いてるっていうか、ホントやばい…本当、嫌いで」
そう口々と愚痴を言い始めた。
そんなとこからこんな言葉が発された。
“Juliaなんて、消えちゃえばいいのに”
本人は本気でないだろうに、私は直にその言葉を受け入れた。