社会問題小説・評論板

Re: アタシ-ネット=0【ネット中毒者】 ( No.156 )
日時: 2009/06/26 18:04
名前: ☆゜。√想空 ◆1i48NEoKCE (ID: zy0H1PXw)
プロフ: http://www.kakiko.cc/novel/novel4/index.php?mode=view&no=11393

*35*安堵感

「はい、エリサちゃんいーよッもうちょっと笑って!!可愛いよー!!」

カメラマンの声が気持ちよくってしょうがない。
ああ、もっと褒めて。もっと称えて。
アタシの笑みは心からのものだった。
だって、ほめられてるんだもん。
お世辞でもいい。
可愛いなんて元の顔で言われたことないもん。
大仏顔とか、蛙とか、ウ○コとか、とにかく馬鹿にされた。
アタシをバカにする男子が大嫌いだった。
「可哀想だよ」と言いながら笑う女子が大嫌いだった。
志望校と勉強の事しかアタシに言わない先生が大嫌いだった。
アタシを虐待する母親が大嫌いだった。
安月給で毎日母親と喧嘩する酒ばかり飲む父親が大嫌いだった。
味方が居ない孤独なアタシが、大嫌いだった。
褒められる容姿のないアタシが、憎かった。
憎くても、憎くても。憎みきれない。
“幸せ”と無縁の人生を16年生きていた。
16歳17歳は幸せの為に必死だった。
やっとのことでつかみ取れた18歳。
逃がしてたまるか。逃してたまるか。
アタシの意地だった。意地でも幸せな人生のゴール、きってやるんだ。

「じゃぁエリサちゃん、休憩ねー!!可愛いかったよ!!」
「ありがとぉございまぁす!!」

ブリッ♪とでも効果音が出るんじゃねぇ勝手くらいブリッ子した。
キャピキャピした表のアタシは自分でもイライラする。
でもさ、アタシの幸せってそこからでしょ?
アタシは後輩の芽琉のところへ行った。
ソイツは無表情でそこらじゅうをジロジロ見ていた。
慣れていないんだろう。
思わず声をかけた。

「芽琉ちゃん!!撮影どうだったかな??お手本なんて初めてだったから緊張しちゃったぁι」
「…エリサさんってやっぱ流石です!!頭いいし、可愛いし、お嬢様だし…メル、エリサさんに憧れてました!!生で撮影見られるなんて、感激でこっちが緊張しちゃいましたよぉ;;」

なんだ、コイツアタシのファンか。
確かに事務所の時ガチガチだったもんな。
アタシは芽琉の頭を撫でた。

「緊張なんかしないで、アタシなんてまだまだ新人の部類だし。」
「あ、エリサさぁーんッッ」

そのタイミングで、アユ達が来た。
アユ達ってのは、Julia荒らししてた売れないヤツら。
もう、立場逆転してるからね。
アタシが後輩なんだけどね、さん付だしね。

「あの、このブログコメント欄閉鎖されちったんでスけどぉ。荒らせない…」
「は?ぢゃぁスレッド荒らせば済むコトだよ、本人もスレッド見てるしさ」
「はーい」

だるそうに返事をして、アイツらはディレクターに呼ばれどっかへ行った。
アイツら、もうあまりにも売れないから、もう裏方の仕事し始めてるらしい。本当、哀れ。
アタシなんてデビューして間もないのにね。
敬語で話すファンも居るしね、うん。
美人って凄い、お嬢ってすごいよ。

「エリサさんって後輩にも慕われてるんですね!!でもあの人たち見たことないやぁ」
「まだまだだからね。でもすぐ、皆の目の届くところにくるよ」

あはは、絶対ない、絶対!!
そんなことあったらアタシが潰す。ぎゃ は は は は !!!!
Juliaと一緒の墓に放りこんでやるよ。
そして嘲笑う。高い声で笑うんだ。
本当の勝ち組負け組を、見せてやるんだよ。
アタシは今の自分の立場が凄く安定してる。
心からの安堵感。