社会問題小説・評論板

Re: アタシ-ネット=0【ネット中毒者】 ( No.174 )
日時: 2009/06/29 18:47
名前: ☆゜。√想空 ◆1i48NEoKCE (ID: zy0H1PXw)

*36*いもうと

「お、じゃましま、す」

カタコトに挨拶して、緊張してる雰囲気前回で家の中へはいっていく芽琉。
どうせ数年前はこんな家に住んでいたであろうに。
売春メイドがしぶしぶおかえりなさいませーって言うのがアタシは気持ちよくてしょうがないのに、
芽琉は一人一人に挨拶してる。

「そんなに緊張しなくていいんだよ??芽琉ちゃん」
「で、でも先輩の家だしッ」
「正しくは先輩の彼氏の家ね。」

芽琉の手を引いてアタシの家に連れていく。
いちいち緊張しているのがかわいらしい。
まるで、アタシのいもうとみたい。
アタシには、妹が居る。
アタシと違って、母親似の、かわいらしい愛嬌のある、要領のいい妹が。
腹黒なのはアタシと同じなのに。
母親は、高校の美人コンテストで3年連続1位を取ったほどの美人だった。
性格はドス黒いけれど。
父親は、高校でブサイクコンテストで3年連続1位を取ったほどのブサイク。
性格も要領の悪いダメなやつ。
アタシは、父親に似てしまったのだ。
妹はうまく両親に媚びて先生に媚びて男に媚びて。
うまく人間関係を保った、今は高校2年。
憎かったけれど羨ましかった。
ソイツの名前は岡本玲子。
どうしてアタシにはあんな名前をつけたんだ。
まぁ、一時も愛されなかったのだから仕方ない。
アタシは芽琉に目をやる。
かわいい顔立ち。
クラスでもモテるんだろうな。
愛されてるんだろうな。
羨ましい。
また妹に羨ましいなんて思ってるアタシはダメな姉。
だからダメなりに努力してるよ。
アタシなりに、嘘ついて。

「お部屋、広いですねぇ。綺麗…ベッドもおっきぃ」
「うん。アタシには大きすぎるかも」

ばぁか。ちょうどいいっつの。
寝像悪いアタシにとっちゃぁ。
フッカフカで気持ちいんだよなこれ。

「アタシ下から紅茶とお茶菓子持ってくるわね。そこに座って待っていて」
「あ、気遣ってくれてありがとうございます♪」

もう芽琉はウキウキ気分のようだ。
しょうがない、アタシの気に入ってたチョコの茶菓子出してやるか。
紅茶も一番高いやつ。
名前は…忘れた。どれもうまいから区別つかねぇよ。
アタシは部屋を出た。

「…やっと行った」
芽琉はそう呟き、立ち上がる。
ゆっくり、音をたてないように扉を開け、忍び足で近くの龍の部屋に侵入した。
そこにはマヌケに寝ている龍がいる。
キチンと布団で寝ていてくれて助かった。
机の上の資料を見た。
“●×プレゼン資料”“新商品の詳細資料”
きっと敵会社に見られたらヤバイモンだろう。
芽琉はその新しいプレゼンの資料、新商品の資料等今後の資料をかたっぱしからカバンにしまい、ダミーとすり替える。
そうすると、芽琉はまたエリサの部屋へ戻った。