社会問題小説・評論板

Re: アタシ-ネット=0【ネット中毒者】 ( No.202 )
日時: 2009/07/04 15:28
名前: ☆゜。√想空 ◆1i48NEoKCE (ID: tHinR.B0)

*38*スキ

「エリサちゃんってそれ好きだね、ココ来るときいつも頼むよね」
「え。あぁまぁ。お気に入りです♪」

今日は、ゆうすけとドーナツ屋に来ていた。
まぁ今日はというより、前からずっと来ていたところ。
アタシは、普通のドーナツに、白いクリームがついたものをいつも食べている。
なんだか、ゆうすけとの思い出みたいで、ずっと食べてる。

「あのさぁ、エリサちゃん、いい加減敬語いいよ。無理している気がするし」
「え、でも…」
「いいから。ね?」
「…じゃぁ、アタシのお願い聞いて??」

タメ口だけれどかわいらしく。
それがアタシの努力。

「アタシのこと、エリサって呼んで?」
「え、いいの??」
「アタシだってゆうすけって呼んでるんだし…ね?」
「あ、うんわかった。エリサ…」

そう言って、ゆうすけはアタシの頭をなでた。
この手がアタシの頭に乗せられている。
温かい、手。
純粋に、アタシはゆうすけが大好き。
スキ、なんて言えるのはたぶん相当先だけれど。
アタシは、ゆうすけに車で送ってもらって、龍の家に帰った。
いつも龍はゆうすけに嫉妬する。
ヤキモチ焼き。
でもさ、しょうがないじゃん。
ゆうすけが好きなんだから。
そんなことを思いながら扉の前に立ち、「アタシ」と扉を開けて、と命令する。
…が、あかない。
いつもならすぐ開くのに。
アタシは不機嫌になりつつも、扉を開けた。
…何これ。
誰もいない。
そこらにひかれていた絨毯もなければ、キラキラ光る照明も、うるさいほど鳴いていたオウムも。
おかしい。
アタシは急いでアタシの部屋に駆け込んだ。
そこには——————


——殺風景な部屋。家具一つなく、そこには薄っぺらい小さな紙一枚だけが置かれていた。