社会問題小説・評論板

Re: アタシ-ネット=0【ネット中毒者】読者30人合計参照1万突破 ( No.271 )
日時: 2009/07/23 20:27
名前: ☆゜。√想空 ◆1i48NEoKCE (ID: QuEgfe7r)

*47*秘密の

「♪〜♪♪、♪〜♪♪」

鼻歌と一緒に、頭を左右にゆっくり揺らす。
ステージの隅から、三人を、ゆうすけを見る。
ニコニコしながら歌ってるゆうすけ。
ああもう、信じられないほど独占欲わいてくる。
アタシだけのモンにしたい。
もうファンなんかに笑うな。
アタシって檻に閉じ込めて、一生出られなくしてやりたい。
ああああもお。
いらいらするなぁ。

「エリサちゃん、エーリサちゃん!!」
「え、あはい」
「歌い終わったから出て」

ぼけっと自分の世界に入ってたから忘れてた。
アタシ応援来たんだっけ。

「はいありがとうございましたァー♪Dinnerboysさんの歌、前々からiポットで聞いてたんですけど、生だともっといいですねぇー♪」
「本当ですか?ありがとうございます」
「歌詞ちゃんと覚えてたよー」
「え、でもさっき噛んだよね」
「あ、バレた!?」

とりあえずトーク。
適当に相槌打ったり、振ったり、まぁそれなりに。
やりすぎやせんのだよ、わかるかな。
だって好きでやってる仕事じゃないしw
っていうかアタシも相当暇人だったんだなぁ。
オンナ一人潰すために芸能人になっちまったよ。
どーせ芽琉もJuliaも箸より重いモン持ったことねぇんだろう、苦労知らずめ。

「じゃぁ続いていきますよぉ〜♪Sweetgirlsの三人で“菓子恋”でぇーす!!」

アタシはそう言って、三人が出てきたらまた袖に。
ちょっと疲れた。
でもま、しかたねぇか。がんばろ。
時計を見る。
5時30分。
午後の公演の3分の2が終わってる。
7時までだから、あと1時間30分。
これ明日もあんだよね。
ダルい。
めちゃくちゃだるいし。

「エリサ」
「わ、はひッ!?」
「はひって;;溜息ついてたからどうしたんだろって」
「あ、本当??ごめん、気がつかなかった」

あはは、って笑う。
アタシ、エリサちゃんだもん。
アタシが笑うとみんなが笑う。
可愛いから。
アタシが可愛いから。
ああもう、気持ちよすぎ。
どうして最初っからこうじゃなかったんだろう。

「でも午前中からだから疲れたでしょ??」
「あ、ううん。大丈夫。頑張るよ」
「無理すんなよ??夜、本当にいい?」
「も、モチロン。全然平気!!」

そう言ってアタシは客席側を向いた。
江ノ島の海が見える。
綺麗だなぁ。

「あ、歌終わったぁ。行こう」
「おう!!」

パチパチと拍手しながらステージの中央へ。
フリッフリの衣装にキラキラしたラメ。
可愛い。
いいな、それ。
おっと。いけね。
アタシはこのポジションが一番落ち着くんだよ。
アタシは負けない。
誰にも潰されねぇからな。


「やっと終わったぁーッ」

アタシはホテルのベッドにごろん、と寝ころんだ。
不貞寝。なんてしねぇよん。
アタシは起き上がって、シャワー浴びて、すぐアタシはホテルを出た。
ゆうすけとの待ち合わせ場所。

「あ、エリサ、こっちこっち」
「ごめん、待たせちゃったかな」
「全然。じゃ、行こ」

まぁ、さっき7人で食事しちゃったから、二人で砂浜歩きながら喋るだけなんだけどね。
でも夜の砂浜ってきれいだなぁー。

「あ、崖」

それは漫画でよく見たことのある、崖。
長三角の崖の地面にはゴロゴロ石がたっくさんある。
下は海だから、こんなとこ落ちちゃやべぇな。
ま、そんなこと気にしてたら恋なんざできるか。
アタシはもう怖くない。
アタシは少し小走りに海の方向へ行って、空を見上げる。
星が見える。
東京じゃぁ見られないよね。

「星綺麗だよー!!」

アタシは思わずはしゃいで振り返る。すると…

「——————え??」

そこに居たゆうすけは、でっかい花束を持ってる。
ひまわりがたくさんの、かわいい絵柄の花束。

「えと、俺会った時から、エリサのこと好きで、さ。良かったら、付き合って、ください!!」
「え、嘘…」

なんでだろう、嬉しくて泣けてきた。
愛した人に愛されるってこんな感動的だったんだ。

「な、泣くほど嫌…??」
「ち、違う、う、嬉しくて…」

また涙が零れた。
もう、止まんない。
アタシ、ゆうすけの彼氏になれたんだ。
やっと、やっと。

「私で良かったら、お願いします…ッ」
「マジで!?うわ、マジ嬉しいッ」

ぎゅぅってゆうすけはアタシを抱きしめる。
温かい。
ゆうすけの匂い。
温かい匂い。
押さえてた鼓動が速くなる。
もうやだ。本当にアタシとまんないよ。

「大好き」

アタシの心からの本音、