社会問題小説・評論板

Re: *。・ホントウノコト・。*—プロロcp— ( No.2 )
日時: 2009/05/12 17:16
名前: 凛雪 (ID: BfXEK8t.)

第一話 *。・わたしは奴隷・。*

【ボーン…ボーン…ボーン…】

「わっもうこんな時間だ!行ってきまーす」

リビングの柱時計が時を打った。

家から飛び出したのは、私、泉谷 和歌。

元気な「フリ」をして学校に向かう。

———でも、正直言って、学校なんか行きたくない———

家族には心配かけたくないから、元気な私を演じているけど。

手をふるお母さんが見えなくなると、私は走るのをやめる。

学校が近づいてくるにつれて、足が重くなってくる気がする。

周りのクスクス笑う声

妙に怖く感じる視線

走り去っていく人々

すべてが私にとっての敵だった。

時々聞こえる悪口が、私の心に刺さってくる

私は奴隷。昨日も、今日も、明日も、明後日も…

私は奴隷であり続ける。

抜け出したいけど、でも、私には力が足りない。

だから、私は今日も使われる。

皆の「生贄」として、今日もいいように使われるんだ。

学校なんか行きたくない。行きたくない、行きたくない…

でも、そんなこと言っても学校が遠くなるわけもなくて。


———今日も学校についてしまった———

(どうしよう…どうしよう…)

体が動かなかった。下駄箱に何か入ってたら、どうしよう…

思い切って、上履きをとった。中には、丸めた白い紙。

よかった…この前みたいに、虫じゃなくて。

でも、紙いっぱいに、「バカ」「アホ」「死ね」「生きてる価値ない」
などの悪口が書いてあった。

私は、この前、何をされても泣かないと決めた。

泣いたら、『あいつら』は、おもしろがってもっとやる。

だから、泣かない。そう決めた。

でも…

決めたからって、涙が出なくなるわけじゃない。

そばにいて、涙を拭いてくれる人が現れるわけでもない。

私は一人。涙は止まらない。


———私って、そんなにいらない人間なの———?