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＃10　＊。・キエタキオク・。＊

高越さん…高越さん〜…

どうしても思い出せなかった。

まるで、そこだけぽっかりと穴が開いたみたい。

今のところ、思い出したことをまとめると、


・本名は「高越　杏里（タカゴエ　アンリ）」
・いつも「仲田　梨結（ナカタ　リユ）」「青木　実香瑠（アオキ　ミカル）」
　と、3人で固まっていた。
・小5〜小6と、2年間クラスが同じだった。
・今は、中学が違ったのか、なんなのか…
　消息不明！！ｗｗ


んで、ここからは考察。


・ユメで見たとおり、いじめられていた？
・ユメで見たとおり、私がいじめ役だった？


真相を確かめなくちゃ。愛夢ちゃんなら何か知ってる
かも…

「とゆうわけで、愛夢ちゃん何か知らない？」

とたんに、愛夢ちゃんの顔がこわばる。

「まさか、和歌、忘れちゃったの！？」

…え？

愛夢ちゃんは、少し考えたあと、私に笑って見せた。
無理した笑顔にしか見えなかった。
もしかして、忘れちゃマズイことだったのだろうか？
どうして？なんでそんな顔するの…？



「和歌、あたしは和歌を攻めないよ。
きっと、あいつらのひどいいじめのせいで、忘れちゃったんだ。
知らないうちに消えていくキオクって、あるでしょ」

愛夢ちゃんがうつむく。
愛夢ちゃんは、消えたキオクのせいで悲しい目に会った経験が
あるのだろうか？


「あの3人は、確かにいじめられてたよ。
高越　杏里は、あの変な声のせいで。
青木　実香瑠は、杏里を庇ったせいで。
仲田　梨結は…和歌の好きな人と付き合ってたのがバレて、
和歌の怒りに触れたせいだったはずだけどなあ…」




……………エ？


今、なんと？

「そうそう！あの頃のクラスの中心はあたしと和歌だったんだよ！」

愛夢ちゃんが手をポンと打った。

ウソ…あたしがいじめる側！？

今となっては信じられないけど、うそをつけないのが
愛夢ちゃん。
きっとほんとのことなんだ…


「そっそう。で、今3人はどうしてるんだっけ？」


「えっ…」



愛夢ちゃんの顔が青ざめてゆく。



わかってた、私、そこまでＫＹじゃないもの。

愛夢ちゃんの顔を見れば、わかったよ。


———おそろしい答えが返ってくることは———