社会問題小説・評論板

Re: *。・ホントウノコト・。*キャラ絵世良cp☆ ( No.80 )
日時: 2009/06/16 17:16
名前: 凛雪 ◆.QjHDtkYOg (ID: BfXEK8t.)
プロフ: *。・ホントウノコト・。*アンケ中!!ヨロシク☆

#19 *。・迷惑なお客さん・。*

ドンドンドン!!ドンドン!!

ドアを叩く音が聞こえた。

「おねぃちゃん…だれだろぉ…オバケかなぁ…」

和子が、おびえた目で言った。

「大丈夫、大丈夫。きっとお客さんだよ、オバケじゃないよ」

和子をなでて落ち着かせ、ドアに歩み寄る。

でも、私自身もかなり緊張している。一体誰なんだろ…?

ドアをそっと開くと、何かがなだれ込んできた。

「姫!?」

そう、姫だった。

「和歌、お願い和歌!!家を追い出されてるの、泊めて!!」

必死で姫が叫んだ。

「じいやの夢にお母様とお父様がでてきたらしくて…
いじめをしていることがばれて、追い出されちゃった…」

シクシクと泣き出す姫。ここまでずっと走ってきたらしい。
だって、いまさら涙が出るなんておかしいもん。
きっと、悲しすぎて涙が出なかったか、泣く間もなく走ってきたんだろう。

でも、理由を聞く限り、どーも自業自得。だから…

「無理。泊めらんないよ。和子もいるし。そんな自業自得な理由で、泊めることはできない。
だいたい、家を追い出されたくらいで泣かないでよね、だったら
いじめられた人たちの悲しみはどうなるの?
よく考えてよね」

断って、ドアを閉めた。鍵もかける。
姫のすすり泣きが聞こえる。本当は泊めてあげたいけど、
心を鬼にした。反省して欲しかったから。

「ねえ、おねぃちゃん…さっきのおねぃちゃん、ないてるよ…
きっと、おなかすいてるんだよ、ごはんつくってあげよう??」

って、和子がいうけど、私は和子を戒めた。

「あのね、和子、悪い人はおうちにいれちゃいけないんだよ、わかった?」

「あのおねぃちゃんわるいひとなの?」

「そうよ、お姉ちゃんのことをぶったり、蹴ったりした
悪い子なの」


話を聞いた和子は、しばらく黙ってから、口を開いた。

「でもね、おねぃちゃん、あのね??
わるいひともおなかはすくし、ねるところがほしいんだよ??
だから、ぬすんだりするんでしょ??
あのおねぃちゃんも、きっとおなかすいてるよ」

「和子…でも、泊めたら、和子がぶたれたりするかもよ?」

「いいよ、だって、和子、あのひとたすけたい…」

…ああ、なんて純粋な和子(泣
これぞ自慢の妹だわ。
和子の眼があんまりキラキラなもんで、私は、
「わかった、じゃあ、助けてあげようね」
といってドアを開いた。
でも…




———姫はもういなかった———


こんな寒い中、ひとりでどこへ行ってしまったの?


                   姫——————