社会問題小説・評論板

Re: *。・かみさまなんてだいきらい・。*アンケート締め切り ( No.66 )
日時: 2009/11/12 18:50
名前: 凛雪 ◆.QjHDtkYOg (ID: JZOkdH3f)

*。・第五話 絆創膏・。*


屋上にきて、手鏡を見ていた。



「あ〜…やばいな〜、これ」


何がって、顔の傷がだ。さっきボールが当たったところ。

午後の授業は、毎度のことながらフケることにした。
毎週この時間は数学なので、丁度良い。

ポーチから絆創膏を漁る。
この前入れたやつ、まだ残ってると思うんだけど。


鏡を見ながら、適当に絆創膏を貼る。
こういうの、私はあんまり上手じゃない。
絆創膏貼ってくれるのは、いつも梨乃なんだもん。
私は、元気に暴れて怪我する係だから。


バタン、という大きな音がして、屋上のドアが開いた。

パタン、と音がして、屋上のドアが閉まる。


「明菜っ」

聞きなれた声がして振り向くと、梨乃がいた。


「大丈夫?また変なことされて…」


梨乃が言葉を止めた。やばい、見つかった。


そう、顔の傷(というか貼られた絆創膏)だ。






「…うん、大丈夫、大丈夫だよ。かすっただけだから」



嘘をつくのって、良い気分でないけれど。


嘘も方便、というし、嘘をつかなければ
乗り切れないこともある。

そう、決して悪い嘘ばかりではないのだ。

今こそ、嘘をつくときだ!!



…ボールがかすっただけだなんて、嘘に決まっている。

でも、こうでもしないと梨乃が発狂したんじゃないか、って程
騒ぐのは、目に見えているから。

梨乃はポケットをごそごそやって、可愛いピンクの包みを出した。
中からどんどん出てくる絆創膏。

「こんなにいらないよ…」

って言うんだけど、やっぱり嬉しいから。

「でも、もらっとく」

自分のポーチに、絆創膏を押し込んだ。
多分、こんなに使わないのに。


ねえ、怪我するのって、悪いことじゃないんだよ。