社会問題小説・評論板
- Re: 孤高のプライド ( No.3 )
- 日時: 2010/04/16 19:49
- 名前: 月姫 ◆Hy48GP/C2A (ID: 0VNTw2Qw)
- プロフ: http://www.kakiko.cc/novel/novel3/index.cgi?mode
Ⅰ 平和ボケ
今日もまた朝が来た。神城家の朝はまず朝ごはんから始まる。今日はフレンチトースト。特別豪華ではないが、いつもの朝を感じさせる甘い香り。
これ好きなんだよね。
ちなみに神城家と言うのはですね、古代から伝わる『神城秘伝能力』とか言われる、幻覚や戦闘能力、そして最近人に憑依する能力も身に付けた所。
覚えても能力を使う機会が無いんですけどもね。
「純、おめー寝癖ヤバいぞ」
そう言ってリビングにやってきた金髪の少年。こいつは廉。
彼は身寄りが無かったため、路上で暮らしていたところを、たまたま見かけて拾ってきた。苗字も一応神城。
ま、その恩も忘れて私に余裕で喧嘩を吹っかける。気にしてないけど。
「その綺麗なストレートの髪が台無しだぜ」
「そう思うなら私の部屋から霧吹き持って来てよ」
私の目には廉という人間は「パシリ」、「暇つぶしの相手」程度にしか映っていない。可哀想なんだけどね。
顔はまあ、お世辞を言えば小栗旬みたいかな。けど結構カッコイイ。
「分かりましたー、お嬢さん」
「お嬢じゃないってば」
この家を継ぐ事についてはどうでも良い。が、この家で生きるには神城秘伝能力(以下スキル)を取得しないといけないらしい。
面倒な感じだが物覚えの良い私には赤子の手をひねるより簡単だったが。
ただ、「技にキレが無い」、「凄いんだけど何か足りない」と、特訓していると親によく言われたなぁ。何が足りないのかな?
「はい、霧吹き持ってきましたよ、お姫様」
廉は「お姫様」を強調させ、少し憎たらしい口調で言った。
私はお嬢様でも姫でもないって何度も言ってきているのに。ま、「姫」と言われて悪い気はしないんだけどね。
廉から霧吹きを奪うように受け取って、髪の毛を霧吹きで湿らせた。でも寝癖は右に左にダンシングしてるみたいで、かなりしつこい。
ブラシで必死に髪を梳くと、少しずつ癖が様ってきた。とりあえず何とかなった。
「そろそろ学校行くか」
「そうね」
私は都内の中学校に通っている。クラスメイトは皆友達だし、学年関係なく皆仲良し。先輩も後輩も皆思いやりに溢れてる人が多い。口悪い人も、性格変わってる人も居るけど、皆心優しい人ばかり。他校の人とも友達いっぱい。
そう、この世界はとても思いやりに溢れています。
他の世界もきっとこんなだろうと思っていた。皆が皆を思いやる事のできる世界だと思っていた。
そう、あの日までは。