社会問題小説・評論板

Re: 孤高のプライド  ( No.4 )
日時: 2010/04/16 20:16
名前: 月姫 ◆Hy48GP/C2A (ID: 0VNTw2Qw)
プロフ: http://www.kakiko.cc/novel/novel3/index.cgi?mode

Ⅱ 世界は様々。


「巨人の木村コーチ、マジで残念だったぜ」
「だよな、まだ38だもんな」

皆巨人のキムタクコーチが召された事がショックなのだろう。
登校中の野球部のメンバー達が悲しそうに言う。確かにまだ若いのにね。ご冥福をお祈りします。

「純って最近人に憑いて操る事出来る様になっただろ?」
「間違ってもアンタに憑く事は無いから」
「アハハ、こっちもお前に憑かれたくないし」

いつも純と一緒に学校に行く。何か楽しいが、よくカップルと言われる。恥ずかしいような楽しいような。
こういう時間も、すごく好きだと思える。

「いけね、体操服忘れた!」

素っ頓狂な声を上げた廉。
今日は体力テストがあるから体操服持っていかないといけないんだった。
まだ時間はある。走れば間に合う。

「幻覚で何とかしろお嬢!」
「お嬢じゃない! それに外であんまりスキル使うなってママンが言ってたし!」

 この歳で母親の事を「ママ」と呼ぶ人は少ないけど、「ママン」と呼ぶ人は全国に何人居るのだろう。廉も真似して「ママン」とか「パパン」とか言う。
あ、別にスキルを使うなとは言われていないが、廉なんかの為に使うのはもったいないスキルだしね。

「仕方ないから走るぞ、俺に着いて来いよ!」

そう言って廉は私の手を掴んで走り出した。連歌忘れたのに何で私まで。
一瞬ドキッという心臓の鼓動が伝わってきた。て言うか廉走るの早い。とても着いていけない。

「おわぁ」

情けない声を上げて廉は石に躓いた。私は手を離した。廉はその場に倒れた。バカかアンタは、と思ったが、言わないでおいた。

「大丈夫?」
「手ェ離すなよ、お前も巻き込まれたらよかったのに」
「残念でしたー」

小ばかにした笑みを浮かべるも、私は廉に手を差し伸べた。

「サンキューな」

そう言って廉は立ち上がった。砂の付いたスクールバッグの砂を払って廉は辺りを見回す。が、さっきまで住宅街に居たのに……
辺りには商店街に通じる大通りが見える。この辺にこんな所あったっけ?