社会問題小説・評論板
- Re: ワタシのイキル意味 ( No.12 )
- 日時: 2010/10/30 20:01
- 名前: 発戸 (ID: g8t52Hd5)
九話[広重あすか]
私達は抱き合いながらずっと泣いていた。
* * *
落ち着いてきた私は彼女に聞いた。
「ねぇ。名前何て言うの?」
『あたし?あすか。広重あすか!』
「あすかちゃん?」
『違う!あ・す・か!』
彼女はそう言っていじけたように口をとがらせる。
「あ、、、すか?」
私がそう言うと彼女は嬉しそうに笑ってくれた。
「ねぇ。あすかって何組なの?」
『あたしはねー。2組だよ!』
「ほぇ?!私も2組だよ!だけどあすか見たこと無いよ!」
『だって授業サボってるもん』
当たり前のように言う彼女。
当たり前じゃないですよ・・・。
『あっ!そーいや名前なんていうの?』
「川崎百音だよ」
自分の名前を他の人に言うなんて緊張する。
あすかは『百音かー』なんて一人で呟きながら笑う。
あっ。
私、あすかの笑った顔大好きだ。
『百音ってさー。小柳に苛められてんの?』
「っ!・・・。うん」
私はその話題に触れてほしくなかった。
この話題になったら絶対にあすかは私を嫌いになる。
そう思ったからだ。
『やっぱねー。アイツ小学校の頃からそんな奴だったもんなー』
あすかは怒ったような、少し切なそうな私には分からない顔をした。
「どうしたの?あすか」
あすかは一瞬焦ったような顔をして『何でも無い』と答えた。
すると————
キーンコーンカーンコーン
授業が終わる音がした。
* * *
私は授業をさぼった。
でもとっても楽しい。
あすかと友達になってこんなに笑いあえるならずっとこのままでいいのに。
そんな風に思えてきた。
『百音ってさー。綺麗な髪してんなぁ・・・。』
嘘付け。
あすかの方が綺麗な髪のくせに。
「でもここの毛先汚いでしょ!」
私はこの前焼かれた毛先を見せた。
あすかは私のその言葉だけで悟ってくれた。
『百音。ショートカットでも似合いそうだよ』
あすかが私の髪の毛を触りながら言うから少し照れてしまう。
「ありがとう」
私も少し笑ってみせる。
『よし!百音が同じクラスなら一緒に授業うけようかな!』
あすかが決心したように告げる。
駄目だよ。怖いよ。また苛められちゃう。
「ここに居れば苛められないからここに居ようよ!」
私は必死に訴える。
『そんな弱気だといつまでも苛められ続けるよ。これから一緒に私が戦う。そのための友達なんだ。逃げたらいけない問題なんだよ』
あすかが真剣に言うから私は「分かった」って言って頷いた。
あすかは『良い子』って言って笑いながら頭をなでてくれた。
この子となら戦える気がする。
—————いや。戦える。
二人なら絶対に辛くないはず。
これから頑張って生きよう!
私はそう決心した。
そして髪の毛をショートカットに切ることも決心した。
「ありがとう。あすか」
私は彼女には届かないくらいの声でそう呟いた。