社会問題小説・評論板
- Re: ワタシのイキル意味 ( No.49 )
- 日時: 2011/01/05 15:09
- 名前: 発戸 (ID: g8t52Hd5)
二十七話[一番恨むのは]
〜あすか視線〜
声が枯れるほど一人で泣いていた。
もう雨なのか涙なのか分からないほど私は濡れていた。
『・・・あすか。』
この声は舞だ。
手紙から舞へと視線を移す。
「・・・。」
『あのね私————』
「何も聞きたくない!!」
『ぇ!?』
舞が彩加の悪口を言いに来たのかと思うと聞きたくなかった。
そう思うと改めて彩加が死んだことを感じさせられる。
「もっとあたしが早く苛めに気づいていればっ!!もっとあたしが支えてあげたら!!こんな事には———。」
悔しくて。
切なくて。
もう何も言えなくなった。
『あすかが悪いわけじゃないよ。』
「あたしが悪いんだっ!!」
そう。あたしが一番悪いんだ———・・・。
こうやって自分に言い聞かせる。
『違うよ。心が弱かった彩加が悪いんだよ?』
・・・ナニソレ
舞は彩加が悪いとでも言うのか?
いつでも優しかった彩加を?!
段々苛ついてきた。
そしてあたしは舞の胸ぐらを思いっきり掴んだ。
「彩加は弱くなんかないんだ!!最後までお前を庇い続けたんだぞ!」
苛めてきたお前を庇った。
「彩加はあたしのせいでもお前のせいでも無いって言ってんだぞ!」
一番悪いあたしを、あたしのせいじゃ無いって言ってくれた。
「彩加はなぁ・・・・。」
そこまで言うと、また涙が溢れ出てきそうになった。
だから手を離して背中を見せた。
「一番優しくて、一番強い女の子だよ。」
もう涙が出てきた。
あたしと比べ物にならない位強い女の子。
そして可愛い笑顔を浮かべて笑う大好きな親友。
『・・・あすか。』
舞が声をかけてくる。
「お前の事は恨まないよ。彩加が恨むなって言ってるし、お前が全て悪いんじゃないからな」
『・・・。』
舞は黙った。
何を思ったのだろうか。
「でも!今までと同じ関係にはもう戻れない———・・・。」
だって。
あたしの大切な親友を”死”にまで追い込んだ一人でもあるから。
『うん。』
大体感じていたのか、迷いもなく返事をする舞。
あたしは、あたしなりに区切りをつける。
「じゃあ。あたしもう帰るね。バイバイ”小柳”」
『———っ!!!』
初めて舞を名字で呼んだ。
でもこれが区切り。
名字で呼んだからにはもう今までと同じようにはいかない。
あたしは小柳も恨まない
勝手に死んでいった彩加の事も恨まない
小柳の他に苛めていた奴らも恨まない
一番恨むのは
彩加を助けられて居なかったこの
あたし———————————————・・・。